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会社が倒産したら社長や従業員はどうなる?自己破産後の取るべき対応を解説

新型コロナウイルスの影響により、会社の経営状況に悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

会社の倒産手続きを検討している場合、会社が破産した後の自分の生活や家族への影響が心配ですよね。

この記事では、会社が倒産した後の家族・周囲への影響や、自己破産後に起こることを解説します。

会社倒産後の従業員や債権者への対応方法や、再び会社を設立できるのかなど、疑問をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

会社倒産による破産とは?

会社倒産とは、会社の債務を整理する方法の1つです。

債務超過や資金繰りの悪化により負債の支払いを停止している状況のことで、保有している資産から、債権者などに負債を可能な限り支払います。

会社が破産すると会社の資産をすべて失い、法人格は消滅。

会社の破産手続きは、裁判所によって選定された破産管財人が会社の資産をすべて現金化し、債権者に分配します。

会社が破産すると法人格が消滅するため、従業員は全員解雇になり、未払いの賃金や退職金が発生する場合がほとんどです。

会社の破産によるペナルティーはある?

会社や個人が破産しても、経営者に罰則は科せられません。

しかし、信用情報機関に破産の事実が記録されてしまいます。

信用情報機関とは、銀行や信用金庫、クレジット会社や消費者金融などが加入している個人の信用情報を登録・管理する機関です。

会社の破産が信用情報機関に記録されれば、一定期間中はクレジットカードの発行や金融機関からの借り入れが制限されます。

信用情報機関から破産の事実が登録解除されるまでには、5~10年必要です。

会社が倒産したらどうなってしまう?

新型コロナウイルスの影響により、今後も倒産する会社が出てくるのではと懸念されています。

資金繰りの工夫により、現在は何とか耐えている会社もあるでしょう。

会社が倒産すると、会社や資産を失うだけでなく、従業員や顧客にまで影響をあたえます。

では、会社が倒産した後にどのようなことが起こるのかを見ていきましょう。

会社がなくなる

会社が倒産すると、当然ですが会社はなくなります。

苦労して自ら立ち上げた会社や経営をしてきた会社は、経営者にとってかけがえのない存在でしょう。

会社倒産とは、これまでに育てた会社を失うことです。

個人が破産した場合は、会社と違い個人が消滅することはないため、債務を片付ければやり直すことができます。

一方、法人格を失う会社倒産は、大切に会社を育ててきた経営者や取引相手、従業員などの関係者にとって大きな影響となるでしょう。

会社の資産もなくなる

会社倒産では、会社の資産(プラス)と負債(マイナス)の精算を実施。

可能な限り負債を債権者に分配するため、会社が倒産すると会社の資産はなくなります。

個人の破産では、生活に必要な最低限の資産は残りますが、会社の場合は生活への配慮はありません。

会社を失うだけなく、これまでに事業で培ってきた財産そのものが消滅します。

従業員の雇用ができなくなる

会社の倒産は、経営者だけでなく従業員の生活にも大きく影響します。

会社自体がなくなるため、従業員を雇用することができません。

対価として給料をもらっていた従業員は、働く環境を失うため、新たに仕事を探す必要があります。

仕事を探すまでは、収入が大きく減少するため、従業員の生活に支障が出る可能性が高いでしょう。

多くの場合、従業員の解雇により未払いの賃金や退職金が発生します。

影響力がある規模の会社が倒産すると、メディアで取り上げられるため、社会的反響が大きくなります。

顧客への影響

会社が発売している商品やサービスを支持しているファンが多い場合、会社の倒産による顧客への影響も大きくなります。

会社が倒産すると、基本的に商品やサービスも会社と一緒に消滅するでしょう。

長年愛用していた顧客にとって、会社の倒産は自身の使用しているものを失うことを指します。

飲食店に関しては思い出の味を、化粧品に関しては自身の肌にあう製品を失うため、顧客は新たに商品を探さなくてはなりません。

会社の倒産では、経営者や従業員だけでなく、自社の商品・サービスを愛用していただいている顧客をも悲しませてしまいます。

会社の倒産により自己破産した場合

会社が倒産してしまうと、多くの場合は自己破産するでしょう。

自己破産では、会社の破産と異なり最低限の生活資金は確保できます。

また、周囲に知られることはなく影響をあたえることもありません。

会社が倒産してしまい自己破産になった場合、どのようなことが起こるのかを事前に知ることで、スムーズに対応できるでしょう。

では、自己破産について解説します。

自己破産とは?

自己破産とは、支払い不能の債務が発生した際に、裁判所で債務を免除してもらう手続きです。

自由財産と見なされる、生活できる最低限の財産以外は処分する必要があります。

債務の支払いが免除になるため、自己破産後に返済の取り立てはありません。

会社の倒産以外にも個人の借金などで自己破産になる人が多く、返済できない場合の最終手段といえます。

自己破産しても家族への影響はない

自己破産しても、家族が連帯保証人になっていなければ影響はないです。

会社の経営者が破産手続きをおこなっても家族への法的な責任はありません。

つまり、自己破産で自身の資産は失っても、家族の資産が処分されることはないです。

しかし、名義が家族でも、実質的に経営者個人の財産である場合は、処分される可能性があります。

家族への影響がないとはいえ、住宅や多額の資産を家族の名義で残しても、自己破産すると処分される可能性があるため注意が必要です。

債権者が会社と関係のない自身の家族にまで支払いを要求してきたら、速やかに破産申立を依頼した代理人弁護士に相談してください。

自己破産したことは周囲に知られない

自己破産した事実は、会社の取引相手などの債権者には知られます。

しかし、親戚や知人、近所の人には自身が伝えない限り自己破産したことは知られません。

会社の破産開始決定が出たことは、国の新聞である官報に掲載されます。

官報は、一般的な新聞と異なり、普通の人が読むことはないため、自己破産した事実が親戚や知人に知られる可能性は低いでしょう。

免責されない場合は、裁判所から経営者の本籍地にある市区町村役場に通知され、破産者名簿に記録されます。

破産者名簿は、非公開のため、一般の人に自己破産の事実が知られることはありません。

さらに、自己破産したことは戸籍や住民票にも記録されないため、周囲に知られることはないでしょう。

自己破産しても提供しなくて良い財産

自己破産しても、破産管財人によって換価回収されず、自由に使用できる財産を自由財産といいます。

自由財産として提供しなくて良い財産は以下です。

  • 破産手続き開始後に取得した財産
  • 99万円までの現金
  • 差押禁止財産(小規模企業共済の共済金や家財道具など)
  • 上記以外の裁判所が自由財産の拡張を認めた財産

裁判所によって、一定額の預金や生命保険などを、自由財産の拡張として換価回収しない場合があります。

自己破産では、自由財産として認められないすべての財産を処分されてしまいますが、家族の資産を提供する必要はありません。

会社倒産後の取るべき従業員や取引先への対応

会社が倒産してしまうと、従業員を解雇し、破産申立をおこなう予定であることを債権者に報告する必要があります。

従業員や債権者から、会社倒産に関するさまざまな問い合わせが来るでしょう。

経営者が自分で会社の破産申立をおこなう場合は、自身で従業員や債権者からの問い合わせや要請に対応しなくてはなりません。

一方、弁護士に破産手続きを依頼した場合は、解雇のタイミングや説明すべき事項、雇用保険の受け取り方などのアドバイスを受けることができます。

さらに、弁護士から債権者に破産申立の通知を送るため、経営者が問い合わせの対応に追われる心配がありません。

会社倒産により自己破産しても会社を設立できる

倒産してしまい1度は失敗したものの、新たに会社を設立してやり直したい経営者もいるでしょう。

自己破産しても、再び会社を設立することは可能です。

旧商法では、破産者は取締役の欠格事由となっており、借金を返済するまでは会社の取締役になれませんでした。

中小企業経営者の多くは、会社の再建を個人保証しているため、上記の条件を満たさないと会社を設立できません。

そこで2006年に、破産者の市場への再参入を促進し、経済の活性化を図るため、会社法が改正されました。これにより、借金の返済が完了しなくても会社を設立できるようになったのです。

しかし、会社は設立できるものの、信用情報機関に破産の記録が残っている期間は、金融機関からの借り入れが困難。

破産直後は現金を99万円以下しか保有していないため、イニシャルコストがかかる会社の設立は難しいでしょう。

自己破産後の会社設立をする際の注意点

自己破産の手続きをおこなっている期間中は、弁護士や行政書士などの士業、宅地建物取扱業、旅行業、賃金業、建設業などの資格が制限されます。

つまり、自己破産の手続きが完了するまでは、上記の資格を必要とする仕事ができません。

業界によっては、代表者が破産者であると認許可をあたえる際の欠格事項に該当することがあるため、再度会社を設立する際には事前に確認する必要があります。

さらに、自己破産後の5~10年間は信用機関のブラックリストに登録されるため、事業資金や事務所などが借りられない可能性もあるでしょう。

自己破産後の会社設立では、資格や借り入れの問題を考慮して行動する必要があります。

会社が倒産したら高い確率で自己破産する

この記事では、会社が倒産した後の家族・周囲への影響や自己破産後に起こることを解説しました。

市場の変化や災害によって、突然会社を倒産せざるをえない場合もあります。

会社が倒産すると、経営者の多くが自己破産するでしょう。

自己破産しても、家族への影響はなく再び会社を設立することができます。

会社の経営が困難になってきたら、資金調達をおこなったり、会社を売却したりして自分や従業員を守る準備を早めにおこなうことが大切です。