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法人が株式を売却した際にかかる税金とは?処理方法も解説

法人は本業で利益を上げることが不可欠ですが、業績が好調であり、財務基盤が盤石、現預金が滞留している場合には法人口座で投資をする企業もあります。

法人の投資先としては株式、投資信託、債券などがありますが、最も多いのは株式です。

株式投資の場合は、売却益などのキャピタルゲインや配当金などのインカムゲインがあります。

キャピタルゲインを狙って株式を売却する場合は、売却益に対して税金が課税されます

しかし、課税の仕組みが個人投資の場合と異なるので、注意が必要です。

この記事では、法人が株式を売却した際にかかる税金について仕組みなどを解説します。

法人が株式を売却した際にかかる税金

個人も法人も、株式を売却した場合には、売却益に対して課税されます。

個人の場合は、売却益に対して20%の課税がされますが、法人の場合は、法人税・法人事業税・法人地方税などが課されます。

法人の株式の売却によってかかる税金の税率は29~42%です。

法人の利益に対して課される法人税は一律で23.4%ですが、株式の売却の場合には、株の売却益が生じた法人の規模、企業の年間法人所得の金額によって税率が変動するので、29~42%と一定の幅があります。

一般的に企業規模が小さく、税法上の中小法人に該当する場合は税率が小さくなります

会計上の株式の取り扱い

法人が株式を購入または売却する場合には、株式を保有する目的によって会計上の取り扱いが異なります。

ここで言う取り扱いとは、決算書を作成する際の処理方法を指します。

会計上の株式の取り扱いには以下の4種類があります。

 

  • 売買目的有価証券
  • 満期保有目的有価証券
  • 子会社・関連会社株式
  • その他有価証券

 

これらの会計上の違いは、株式のみならず、債券など他の有価証券でも同様の取り扱いとなります。

売買目的有価証券

売買目的有価証券とは、短期的な売買によって売却益を得ることを目的としている有価証券を指します。

正確には「売買目的で保有し、かつ決算日の翌日から1年以内で満期が到来する社債やその他の短期債券を取り扱う簿記勘定科目」と定義されています。

期末に保有している場合には、勘定科目において「(売買目的)有価証券」勘定を使用し、売却した場合には、売却価額と帳簿価額の差額を「有価証券売却益」もしくは「有価証券売却損」の勘定科目で処理します。

決算期で保有している場合には、時価評価が必要となります。

満期保有目的有価証券

満期保有目的有価証券とは、主に、利息の受け取りを目的として法人が満期まで所有する意図を持って保有する国債や社債などの有価証券です。

勘定科目は「投資有価証券」勘定を使用しますが、満期日が決算日の翌日から1年以内に到来する場合は「有価証券」勘定を使用します。

満期保有目的の債券は、満期まで保有して利息を受け取り、償還を受けることを目的としています。

したがって、売買目的有価証券と異なり、時価の変動は投資の成果を表しているとは言えないので、期末時点では時価評価をせずに帳簿価額で評価されます

子会社・関連会社株式

子会社・関連会社株式とは、事業にプラスの影響を与えるために子会社や関連会社の所有を目的とした株式です。

勘定科目は通常、「投資有価証券」勘定、または「子会社・関連会社株式」勘定を使用します。

満期保有目的有価証券同様に、時価の変動は投資の成果を表しているとは言えないので、期末時点では時価評価をせずに帳簿価額で評価されます

ちなみに子会社とは、議決権の株式の50%超を親会社に保有されている会社、関連会社とは20%以上の議決権を所有している、または出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、財務、営業、事業の方針の決定に重要な影響を与えることができる会社を指します。

その他の有価証券

その他の有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的有価証券、子会社・関連会社株式に該当しない有価証券です。

勘定科目については、1年以内に満期となる債券や売買目的、子会社株式・関連会社株式以外の株式は「有価証券」、1年を超える債券や売買目的、子会社株式・関連会社株式以外の株式は「投資有価証券」勘定が使用されます。

決算期で保有している有価証券は、原則として時価評価をせずに帳簿価額で評価されます

しかし、市場価格のついている株式を大量に保有している場合は、時価評価となります。

税務上の株式の取り扱い

法人が株式を購入または売却する場合には、株式を保有する目的によって税務上の取り扱いが異なります。

税務上の取り扱いは、法人税の計算を行うための処理方法のことであり、税務上の取り扱いが異なると売却時の税負担が異なることになります。

税務上の株式の取り扱いには以下の2種類があります。

 

  • 売買目的有価証券
  • 売買目的外有価証券

 

これらの税務上の違いは株式のみならず、債券など他の有価証券でも同様の取り扱いとなります。

売買目的有価証券

売買目的有価証券とは、会計上の売買目的有価証券と同様に、短期的な売買によって売却益を得ることを目的としている有価証券を指します。

売買目的有価証券は、さらに、「専担者売買有価証券」とそれ以外の有価証券に分類されます。

専担者売買有価証券にはほ、とんどすべての売買目的有価証券が該当します。

トレードを事業として行っている部門によって保有されており、時価評価となります。

専担者売買有価証券以外の有価証券は、短期売買目的で取得した旨を帳簿書類へ記載します。評価方法は時価となります。

売買目的外有価証券

売買目的外有価証券は、売買目的有価証券以外の有価証券を指します。

これらの有価証券は原価法が適用され、原則的には帳簿価額をもって期末評価額とします。

ただし、償還期限及び償還金額が定まっているものについては償却原価法が適用され、その調整差額を帳簿価額に加算又は減算した価額をもって期末評価額とします。

ただし、「その他有価証券」のなかで会計上、時価で評価している場合の評価損益は、税務上では否認されるので注意が必要です。

株式の譲渡原価の算出方法

法人の株式の売却によってかかる税金の税率は29~42%ですが、株式の売却益は以下の式で表されます。

 

株式の売却益=譲渡金額ー譲渡原価(取得原価)

 

したがって、売却益にかかる税金の額を決定するためには、譲渡原価を確定させることが必要です。

譲渡原価とは、売却した株式を購入した際の価格です。

譲渡原価の計算方法には総平均法と移動平均法があります。

基本的にどちらの計算方法を適用しても構いませんが、総平均法で計算を行いたい場合は、税務署に総平均で計算することを届出する必要があります。

逆に税務署に届出をしていない場合は移動平均法で求めます。

総平均法

総平均法とは、期首の有価証券の帳簿価額と事業年度中に購入した有価証券の取得価額を合計します。

合計額を有価証券の総数で除して、平均単価を算出します。

 

平均単価=(期首の有価証券の帳簿価額+事業年度中に購入した有価証券の取得価額)÷有価証券の総数

 

平均単価へ、事業年度中に売却した株数を乗じて譲渡原価を算出します。

総平均法で譲渡原価を計算する場合は、事業年度中の譲渡単価はすべて同じ単価で計算することになります。

移動平均法

移動平均法は、有価証券の売却の都度、平均単価を算出します。

平均単価は以下のように求められます。

 

取得直前の帳簿価額+取得した有価証券の取得価額÷有価証券の総数

 

平均単価へ、売却した有価証券の株数を乗じた金額が譲渡価額となります。

移動平均法を活用する場合は、有価証券の売却の都度、平均単価を算出するので労力がかかります

総平均法と移動平均法のどちらを採用した場合でも、すべての事業年度を通算すると譲渡原価は同じですが、単一の事業年度で見ると、譲渡原価が異なります

したがって、売却益にかかる税金の額を考慮して、選択することが大切です。

株式の取得原価の処理方法

株式の譲渡原価(取得原価)には、株式の購入費用だけではなく、購入時に支出した購入費用以外の支出が含まれています。

購入費用以外の支出の中には、譲渡原価(取得原価)に含める費用と含めない費用があります。

支出のうち、取得原価に含まれる費用と含まれない費用を把握することは、正しい納税額の把握にもつながります。

株の取得原価に入れるもの

株の取得原価に入れるものには、証券会社を利用して株式を購入した際にかかる売買手数料や委託手数料などがあります。

これらの手数料は、証券会社が発行する売買明細書で確認することができます。

株の取得原価に入れないもの

一方で、株の取得原価に入れないものには、株式の保有者変更の際に負担する名義書換料、証券会社に電話して株式を購入する場合にかかる電話料金やプロバイダ料金などの通信費用などがあります。

これらを取得原価に含めて過小に売却益を計算した場合には、申告が認められない場合があるので、注意が必要です。

配当金の取り扱い

法人が株式を購入する目的には、売却益を狙うキャピタルゲインと、配当金収入を得るインカムゲインがあります。

ここまで説明してきた税金は売却益にかかるものですが、配当金を受け取った場合にも課税対象になります。

しかし、そこである疑問を抱く方もいるかもしれません。

株式の配当金の原資は企業の利益であり、利益とは企業の売上から法人税を支出した後の税引後利益が充当されています。

したがって、配当金を受けった法人が法人税を支払うと同じ所得に対して二重課税がされている状態となってしまいます。

そこで配当金については、課税に際して二重課税を軽減する措置が取られています。

法人税が配当金を受けった場合は、配当金の一定割合を益金として課税対象処理を行いますが、なかでも上場株式の場合には、配当金の20%は益金不算入となるので、その分だけ税金の負担が軽減されます。

正確な株式の処理を実施しよう

この記事では、法人が株式を売却した場合の税金の金額や仕組みについて解説しました。

法人が株式を売却する場合には株式の分類や譲渡原価が売却益や税額に影響を与えるため、正しく理解しておく必要があります。

正しい税務上の処理を行わなければ、法人税を過少申告しているとみなされる場合があるので注意が必要です。

ただし、株式を売却した場合の処理方法については専門的な知識が必要であり、法人の経理担当者や経営者だけではカバーしきれない部分もあるかもしれません。

したがって、株式の売却に際しては、信頼できる専門家に相談しましょう。

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