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企業がM&Aを行う目的とは?分類や主な5つの手法を解説!

大企業のみならず、中小企業間でも活発化しているM&A。

M&Aを行う企業は、どのような目的で実施に至るのでしょうか。

本章ではM&Aの概要をお伝えしつつ、企業がM&Aを実施する目的を紹介します。

M&Aとは?

近年よく耳にするM&Aとは何を表す言葉なのでしょうか。

本章では、M&Aの意味を紹介します。

M&Aの意味

M&Aは「Merger And Acquisition」の略で、「企業の合併と買収」と訳されます。

狭義では、株式譲渡・株式交換などの手法を用いた「企業買収」と、吸収合併・新設合併などの手法を用いた「企業合併」のこと。

ただし合併・買収以外にも、資本提携や事業承継などの経営戦略もM&Aと呼ばれるケースがあります。

株式譲渡・株式交換などのM&A手法については、後ほど詳しく紹介します。

M&Aの分類

M&Aは、企業の成長や市場地位の拡大を目指す重要な戦略手段です。

M&Aは以下の3つに分類できます。

  1. 買収
  2. 合併
  3. 分割

各分類は独自の特徴と目的を持ち、企業が直面する特定の課題や目標に応じて選択されます。

下記では、各分類について詳しく解説します。

買収

M&Aの分類の1つ目は「買収」です。

買収とは、一方の企業が他の企業の株式や資産を購入することによって、他の企業を支配下に置く行為を指します。

買収のプロセスは、買収する企業がターゲットとなる企業の株式の過半数、またはそれ以上を取得して経営権を握るのが一般的です。

買収は、企業が市場拡大や製品ラインの多様化、競争力の向上、シナジー効果の創出などの目的で行われます。

合併

M&Aの分類の2つ目は「合併」です。

M&Aにおける合併とは、二つ以上の企業が一つに統合されることを指します。

合併には、以下のように大きく分けて2つの形態があります。

  1. 吸収合併:吸収された企業が法的に消滅する
  2. 新設合併:関与する全企業が解散して、新たに設立される1つの企業に統合される

合併の目的は、業務の効率化やコスト削減、市場シェアの拡大、製品やサービスの多様化、技術力の強化など多岐にわたります。

企業は合併によって競争力を高めて、より大きな市場でのポジションを確立することができます。

分割

M&Aの分類の3つ目は「分割」です。

分割とは、企業が自身の一部事業や部門を切り離し、新たな独立した企業を設立するか、既存の他の企業にこれを譲渡するプロセスを指します。

分割には主に以下の2つの形態があります。

  1. 吸収分割:企業が自身の一部を切り離して、既存の企業に統合する方法
  2. 新設分割:企業が自身の一部を切り離して、新しい企業を設立する方法

分割は、特定の事業や部門をより効果的に運営するため、または企業全体の戦略的な再編成の一環として行われることが多いです。

分割をすることによって、企業価値の最大化や効率的な資源配分、経営の柔軟性向上が目指されます。

M&Aの目的を明確にすることが大切

M&Aを進める際は、M&Aをする目的を明確にすることが大切です。

M&Aの成功は、明確な目的設定に大きく依存するからです。

明確な目的設定は、適切なターゲット企業の選定や交渉戦略の立案、リスク管理の計画に直結します。

一方、不明瞭な目的は、不適切なパートナー選択や戦略の誤りにつながり、結果的にM&Aの失敗につながることが多いです。

関係者間でのコミュニケーションを円滑にし、組織内の調整や統合プロセスをスムーズに進めるためにも、M&Aの目的を明確にすることが大切です。

企業がM&Aを行う目的

企業がM&Aを実行する目的は、業種や企業状況などによってもさまざま。

この章では、譲渡(売却)企業と譲受(買収)企業ごとに、M&Aの代表的な実施目的を紹介します。

譲渡(売却)企業にとっての目的

譲渡企業、つまり企業を売却する側がM&Aに至る目的は、主に下記の5つです。

  • 投資資金を回収するため
  • 選択と集中を図るため
  • 事業再生を図るため
  • 事業承継のため
  • 祖業者利益を得るため

上記5つの目的を、順に紹介します。

投資資金を回収するため

企業がこれまでの投資資本を回収するには、多くの時間を要します。

とりわけ工場や機械設備への設備投資は投資額が巨額なため、回収までに年単位の時間がかかります。

M&Aでは、譲渡企業の純資産のみならず、無形価値や将来に見込まれる利益などを総合的に判断し、取引価格を算定します。

譲渡企業を正当に評価してくれる相手とマッチングできれば、短期間での投資額回収が実現できるのです。

選択と集中を図るため

選択と集中とは、業績が良い・得意とする事業を絞り込み、その事業に経営資源を集中すること。

自社事業の選択と集中を図るための手段として、M&Aを実施する企業が多いのです。

業績が伸び悩む事業を売却し、M&Aで得た資金を主力事業へ投資して、経営基盤の安定化・強化を目指します。

今後の日本は、さらなる高齢化・人口減少が進行し、日本市場の縮小化が懸念されています。

こうした市場環境下で他社との競争を勝ち抜くためには、経営資源の最適化が欠かせません。

非採算事業を譲渡し、社内事業を見直す企業が増加しています。

事業再生を図るため

できるだけ周囲や社員に影響の出ない形で事業を再生するために、M&Aを実施する企業も数多く存在します。

経営不振に陥った企業が事業再生を図る代表的な方法には、従業員のリストラがあります。

しかし、これまで自社のために尽くしてくれた従業員を解雇するのは、心苦しいという経営者も多いでしょう。

そこで注目されるのが、M&Aによる事業の再生

具体的には、先ほどの「選択と集中」と同様、経営のボトルネックである事業を譲渡し、経営の最適化を目指す取り組みです。

仮に、自力再生が困難な場合でも、M&Aで非採算事業を手放すことで、企業の業績を回復できる可能性があるのです。

また、自社の従業員や取引先への影響を最小限にとどめられる点が魅力です。

事業承継のため

高齢化が進む昨今の日本では、後継者不足に悩む企業が増加しています。

引用:全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)

帝国データバンクの調査によれば、日本企業全体の後継者不在率は6割以上

また、業種によっては、7割もの企業で後継者がいない状態です。

こうした背景から、現経営者が退いた後も企業・事業を存続させ、従業員の雇用を維持するためにも、第三者へ経営権を譲渡する事業承継M&Aが増加しています。

創業者利益を得るため

企業を売却した際の創業者利益を目的に、M&Aを実施するケースが少なくありません。

特に中小企業の場合、創業者が自分の資本で起業しているケースが多く、投資回収及び利益の享受を目的に、引退と同時に事業を売却する場合があります。

譲受(買収)企業にとっての目的

一方、譲受側(買収)企業がM&Aを実施する目的は、下記の3つが挙げられます。

  • 新規事業を素早く拡大させるため
  • スケールメリットを享受するため
  • シナジー効果を得るため

譲受側の目的は一貫して、今後の事業を有利に進めるためのものばかり。

上記3つの目的を、詳しく紹介します。

新規事業を素早く拡大させるため

デジタル技術の発展やモノが行き渡ったこともあり、昨今の市場では成長・成熟・衰退のサイクルが短期化していると言われています。

しかし、1から事業を立ち上げる場合、製品・サービスの構築や人材教育などさまざまな工程を進める必要があり、事業を軌道に乗せるには多くの時間がかかります

こうした背景から新規事業を素早く展開させるための手法として、M&Aを実施する企業が多いのです。

1から事業を立ち上げるのではなく、すでに仕組みが整った事業を買収し、自社事業として推進します。

また、M&Aにより短期間で事業を拡大することで、先行企業を追い越し、市場シェアを確保できたり、参入障壁を形成したりと、様々なメリットを享受できます。

スケールメリットを享受するため

スケールメリットとは、会社規模が拡大したことで得られるメリットのこと。

たとえば知名度が向上したことで、交渉を有利に進められたり、生産数が増加することで、生産コストの削減につながったりなどです。

今後の事業を有利に進めるため、経営基盤の強化としてM&Aを実施する企業が多いのです。

シナジー効果を得るため

M&Aで自社の弱みを補填し、強みを最大化するシナジー効果(相乗効果)を目的とするケースも多くあります。

たとえば、製造業の企業がデジタル化を推進するために、IT・デジタル事業を買収するなど。

既存の製造事業のデジタル化を推進でき、QCDの最適化を実現できるでしょう。

シナジー効果を目的とする場合は、他業種事業の買収が多くみられます。

M&Aで用いられる代表的な5つの手法

M&Aには数多くの手法があります。

本章では、代表的な下記5つの手法を紹介します。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡
  • 株式交換
  • 会社分割
  • 第三者割当増資

M&Aを検討している方はそれぞれの違いを十分に理解し、自社に適した手法を見つけましょう。

株式譲渡

株式譲渡とは、譲渡企業の株式を対価と引き換えに取引することで、企業の経営権を承継する手法のこと。

M&A手法の中で、最も用いられる手法です。

株式譲渡と聞くと、上場企業の株を株式市場で買う「株式公開買付(TOB)」を想像する方が多いでしょう。

しかし実際には、中小企業など非上場企業による株式譲渡が多く見られます。

譲渡側企業の株主が、50%以上の株式を引き渡すことで経営権が承継。

株式の対価は、原則として現金が用いられます。

関連記事:M&Aの株式譲渡とは?事業譲渡と違いや成功事例を解説

事業譲渡

事業譲渡は企業全体ではなく、一部の事業のみを切り取り承継する手法のこと。

不採算事業の売却や、選択と集中を図る際に用いられます。

先ほどの株式譲渡と混同されがちですが、事業譲渡はあくまでも一部の事業を承継する手法です。

企業全体を承継する株式譲渡とは全く異なる手法のため、注意が必要です。

関連記事:事業譲渡とは?売り手企業のメリット・デメリット、手続きの流れを解説

株式交換

株式交換は、譲渡企業の株式と譲受企業の株式一部を取引し、譲渡企業を子会社化するための手法

株式譲渡との違いは、下記の2つです。

  • 株式交換の主目的は、譲渡企業の子会社化
  • 取引対価が現金ではなく株式

株式交換は譲渡企業の子会社化を前提としているため、議決権の3分の2以上の取得が一般的です。

また、株式譲渡では原則的に対価を現金で支払うのに対し、株式交換は譲受企業の株式を対価に用います。

会社分割

会社分割は、譲渡企業の事業を、譲受企業の関係会社に承継させるM&A手法のこと。

会社分割は、さらに下記2種類の手法に分類されます。

  • 吸収分割:既存の会社に事業を承継
  • 新設分割:新設した会社に事業を承継

吸収分割は事業譲渡と類似するM&A手法ですが、内容に大きな違いがあります。

吸収分割が権利・義務などをまるごと移転させるのに対し、事業譲渡は両者で交わされた契約のもと、権利・義務の各項目を個別で承継します。

つまり事業譲渡では、事前に認知できれば、簿外債務などの不要な権利義務を承継しないことも可能なのです。

関連記事:【M&A】会社分割とは?メリット・デメリット、手続き方法を解説

第三者割当増資

第三者割当増資は、譲渡企業が株式を新たに発行し、第三者へ株式を割り当てる手法のこと。

株式の対価は既存の株主ではなく、譲渡企業が受け取るため、財政基盤の強化や資金調達を目的に実施されます。

M&Aの流れ

M&Aの実施期間は、半年から1年が一般的。

譲渡企業におけるM&Aの実施プロセスは、下記の7手順です。

  1. M&Aの初期検討
  2. 対象会社の簡易調査
  3. 譲受企業の候補先選定・打診
  4. 合意形成のための調査
  5. 基本合意契約の締結
  6. 買収監査の実施
  7. M&Aの成立

まずは大まかな流れを捉え、M&Aを実施する際の参考にしてください。

また、M&Aの流れを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。

関連記事:M&Aの流れとは?売り手側の手順とポイントを徹底解説

M&Aの初期検討

初めにおこなうのは、M&Aの目標策定と必要情報の整理です。

M&Aはあくまでも手段であり、実施後に何らかの達成目標があるはず。

この目標を明確に定義しておくことで、M&Aにおけるさまざまな選択で、最適な意思決定を取れるでしょう。

また、決算書や財務諸表などを分析し、交渉でアピールできる自社の強みと懸念材料になる弱みを洗い出しておくのも有効です。

この他、下記のポイントもあわせて検討すると、のちの工程をスムーズに進められます。

  • M&A後の役員・従業員の待遇
  • どのM&A手法をとるのか
  • 評価額の算定
  • 譲受企業に求める条件

対象会社の簡易調査

対象会社の簡易調査は、自社と交渉してくれる企業を選定するための調査

自社の条件を受け入れてくれる企業や、M&Aで事業展開を検討している企業を調査します。

また、譲受企業に提示するノンネームシートの用意も欠かせません。

ノンネームシートとは、譲渡企業の業種や事業規模、業績などのM&Aに関する基本情報を記載した概要書のこと。

一般的には、FAやM&A仲介会社などにより作成され、プラットフォームで公開して候補企業を勧誘します。

譲受企業の候補先選定・打診

続いて、M&A仲介会社などに提示された候補企業を選定し、絞り込む作業です。

あらかじめ設定した自社の条件と合っているかを軸に選定を進め、候補企業をリスト化します

また、候補企業へ打診する際は、M&Aの情報が外部へ漏れないよう細心の注意が必要です。

仮にM&Aの情報が外部へ漏れると、従業員の混乱や取引先の契約終了につながるため。

情報の漏洩に注意しながら、候補企業の選定・打診をおこないましょう。

合意形成のための調査

候補企業が定まると、M&A交渉に向けた調査をおこないます。

この工程から譲渡企業の内部情報を開示するため、情報漏洩に関する秘密保持契約を結びます。

譲受企業は、業務・財務・人材などの内情、収益性と成長性、企業価値の概算などを提示してもらい、今後のM&A交渉を進めるか否かを検討。

場合によっては、企業トップ同士が面談をおこない、内情の確認や条件のすり合わせをおこないます。

基本合意契約の締結

譲受企業による基本条件提示を受け、譲渡企業が同意すれば、基本合意書を締結します。

基本合意書はM&A実行を確約するものではなく、それまでの約束事と今後の動き方を明確にするための契約です。

具体的には、下記の事項を定めます。

  • これまでに合意した基本条件の確約
  • 独占的交渉権の確約
  • デューディリデンス(DD)の実行許可

また、基本合意書の締結は、数ある候補企業から取引相手を切り出す意味合いもあります。

その後は、基本合意書の締結相手と優先的に交渉を進めるため、面談やDDのスケジュールを決めておくと、のちの工程がスムーズになるでしょう。

買収監査の実施

基本合意書の締結後、譲受企業によるデューデリジェンス(DD)がおこなわれます。

デューデリジェンス(DD)とは、譲渡企業のさらに詳細な情報を得るための実態調査。

デューデリジェンスでは、譲受企業が譲渡企業に対して、必要資料の要求が可能です。

簿外債務や税金の申告漏れなど、これまでのプロセスでわからなかったリスクの有無を、下記6種類のデューデリジェンスで調べます

  • 事業DD
  • 財務DD
  • 税務DD
  • 人事DD
  • 法務DD
  • IT DD

譲渡企業側は求められた資料を即座に提出できるよう、事前に準備しておくと良いでしょう。

M&Aの成立

デューデリジェンスを経て双方がM&A実行に同意した場合、最終合意書を締結します。

最終合意書の締結により、譲渡企業のM&Aプロセスは終了です。

M&Aのメリットとデメリットとは?

M&Aは、譲受企業と譲渡企業双方にメリット・デメリットがある取り組み。

本章では、M&Aのメリット・デメリットを立場別に紹介します。

譲渡(売却)企業にとってのメリット

譲渡企業にとってのメリットは、下記の5つが挙げられます。

  • 金銭的利潤の獲得
  • 事業承継問題の解決
  • 企業の最適化
  • 個人保証の解消
  • 従業員の雇用維持

一番のメリットは、金銭的利潤の獲得です。

不要な事業を売却し得たお金を新たな事業へ投資したり、既存事業へ増資したりと使い方はさまざま。

また、不採算事業を売却すれば、財務上の課題解決にもつながるため、M&Aの実施効果は大きいでしょう。

譲渡(売却)企業にとってデメリット

一方、譲渡企業には下記のデメリットもあります。

  • 売却先が見つからない
  • 従業員の雇用条件が悪化する
  • 顧客や取引先との関係性が悪化する
  • 企業文化の不一致

事業譲渡をするにあたり特に懸念されるのが、売却先が見つからない可能性があること。

M&Aはタイミングが重要であり、必ずしも相手企業が見つかるとは限りません。

また、自社で候補企業を探す場合には、時間と手間がかかる上に、情報漏洩のリスクも高まります。

したがって、M&Aの専門機関である仲介会社などへ依頼し、候補企業とのマッチングをサポートしてもらうのが有効です。

また、M&A仲介会社には不得意な業種もあるため、自社事業に適した専門機関を選定するようにしましょう。

譲受(買収)企業にとってのメリット

譲受企業にとってのメリットは、下記の4つ。

  • のれんの獲得
  • 事業成長の加速
  • 新規エリアへの足掛かり
  • スケールメリットの享受

一番のメリットは、譲渡企業のブランド力や人材、ノウハウなどの「のれん」を承継できること。

もちろん、建物や設備などの有形資産が得られる点もM&Aの魅力ですが、譲受企業へ大きな恩恵をもたらすのは、無形資産であるのれんです。

仮に、1からブランドを確立するには、膨大な時間・金銭・労力などのコストがかかります。

これらを1年足らずで取得できるのは、M&Aならではの魅力と言えます。

M&Aにおけるのれんについて知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。

関連記事:M&Aの「のれん」とは?会計処理や注意点を売り手・買い手視点で解説

譲受(買収)企業にとってのデメリット

対して、譲受企業におけるデメリットには、下記の4つがあります。

  • 譲渡企業のリスクを抱え込む恐れ
  • 予想していた収益が上がらない
  • 想定していた相乗効果が出ない
  • 統合後の組織がうまくいかない

事前調査やデューデリジェンスで譲渡企業の潜在的なリスクを把握できなければ、M&A実行によりリスクも承継する恐れがあります。

たとえば、損害賠償請求や税金の申告漏れなどです。

これらを承継した場合、M&A実行後に自社の経営を脅かす恐れもあるため、慎重に調査しなければなりません。

ただし、譲渡企業には「事業を少しでも高く評価してほしい」という心理が働くため、不利な資料を積極的に提示しようとはしないはず。

したがって、リスクを発見できるよう、積極的に資料提示を求めることが大切です。

M&Aの歴史と今後

日本では1930年代に数々の大型合併がおこなわれ、M&Aの最盛期を迎えました。

しかし終戦後にはGHQによる財閥解体が起こり、M&Aの回数は減少します。

時代は移り1980年代のバブル景気によって、外資系企業のM&Aが増加しました。

バブル崩壊後は、企業の収益力や国際競争力の回復を目的とした組織再編が加速。

2005年になるとIT企業関連のM&Aが実施され、現在ではクロスボーダーM&Aが主流です。

今後の日本は、人口減少により市場規模の縮小が懸念されています。

こうした背景から企業の競争力を高める動きが活発化し、選択と集中やシナジー効果を目的としたM&Aが増加すると考えられます。

M&Aについて理解し、実施を検討してみよう

この記事では、M&Aの実施目的を譲渡企業・譲受企業それぞれの立場から紹介しました。

譲渡企業がM&Aに至る目的は、下記の5つ。

  • 投資資金を回収するため
  • 選択と集中を図るため
  • 事業再生を図るため
  • 事業承継のため
  • 創業者利益を得るため

また、譲受企業の目的は下記の3つです。

  • 新規事業を素早く拡大させるため
  • スケールメリットを享受するため
  • シナジー効果を得るため

M&Aにはさまざまな手法が存在しており、会社全体・事業の一部など自由度の高い事業承継が可能

M&Aには、メリットのみならずデメリットも存在するため、双方を十分に理解し、M&Aの実施を検討してください。

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