実は、日本人なら多くの方が知っている大手総合電機メーカーのSony(以下では「ソニー」と表記)が大手ゲーム会社のBungie(以下では「バンジー」と表記)を買収していました。
近年、企業間の買収が増えているなかで、
- ソニーが買収したバンジーはどんな会社なのか?
- 両企業の買収の目的は何か?
- ソニーはバンジーの他に買収した企業はあるのか?
など疑問に思う方も多いです。
そこでこの記事では、ソニーとバンジーの企業概要や買収目的、ソニーが買収した企業などをM&A×ITに強みを持つM&A会社が解説します。
具体的には、
- ソニーとは
- ソニーが買収した「バンジー」とは
- ソニーとバンジー、互いの買収目的とは
- ソニーが買収した、ゲームに関係する企業
の順にご紹介します。
この記事を読むことで、今後ソニーが力を入れていく事業の方向性や考え方が分かります。
目次
- 1 ソニーとは
- 2 企業概要
- 3 事業分野
- 4 企業理念(ビジョン)
- 5 ソニーが買収した「バンジー」とは
- 6 企業概要
- 7 事業内容とヒット作
- 8 ソニーとバンジーの買収目的とは
- 9 ソニーの目的①:ネットワークゲームの収益とノウハウ
- 10 ソニーの目的②:バンジーには開発力と人材が揃っている
- 11 バンジーの目的:手がけたプロジェクトを長期安定運営する
- 12 ソニーがバンジー以外で買収したゲーム会社例
- 13 Heaven Entertainment Studios(ヘブン・エンターテインメント・スタジオ)
- 14 Savage Game Studios(サベージ・ゲーム・スタジオ)
- 15 まとめ:ソニーはバンジー買収でパワーアップ必至!ゲーム業界M&Aが進む
ソニーとは
ソニーは日本の大手電機メーカーとして知らない人がいないと言っても過言ではない、日本の代表的な企業です。
しかし、ソニーの商品を使っていてもソニーがどんな企業か答えられない人が多いのも事実です。
そこで下記では、ソニーの概要や事業内容、企業理念を解説します。
企業概要
ソニーは、ソニーグループのエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)事業を担っている会社です。
ソニーは1946年に東京都中央区日本橋にあった百貨店の3階の一室を借りて、事務所兼工場を創業しました。
創業当初は中央区・日本橋に拠点を置いていましたが、1947年には品川区・北品川(御殿山エリア)に移転、以後約60年間にわたって、同地区に分散して多数の関連施設が並んでいます。
2007年には港区に建設されたソニーシティに本社が移転されて、分散していた施設のほとんどもソニーシティに統合されました。
ちなみに社名でありブランドである「ソニー(Sony)」は1955年より使用されており、音を意味する英語の「Sonic」とラテン語の「Sonus」、男の子(坊や)を意味する英語の「Sonny」に由来しています。
本店所在地 | 〒108-0075 東京都港区港南1-7-1 |
主要なオフィスの所在地(国内) | 東京都 港区港南、神奈川県 横浜市西区、東京都 品川区大崎 |
取締役/監査役 (2022年6月28日付) | 代表取締役 槙 公雄 取締役 会長 吉田 憲一郎 取締役 十時 裕樹 監査役 是永 浩利 |
資本金 | 30億円(ソニーグループ株式会社 100%出資) |
従業員数(2022年4月1日付) | 約8,500名 |
売上高(2021年度) | 2兆3,392億円 |
関連会社 | ソニーマーケティング株式会社 ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 Sony Electronics Inc Sony Europe BV 索尼(中国)有限公司 Sony Electronics Asia Pacific Pte. Ltd. |
事業分野
ソニーはさまざまな分野の事業を行っています。以下にソニーの事業分野を示します。
オーディオ | 1950年に国内初のテープレコーダーの試作に成功して発売 |
オーディオ・ビジュアル | 1958年にVTR試作1号機を制作 |
カメラ | 1988年に電子スチルビデオカメラを発売 |
コンピュータ | 2000年にPlayStation 2を発売 |
コンポーネント | 1989年に直径7ミクロンの世界最小レンズを実用化 |
日本の大手電機メーカーとして時代の流れに沿った製品・サービスを提供し続けています。
企業理念(ビジョン)
ソニーの企業理念(ビジョン)は「世界中の人と社会に、テクノロジーの追求と新たなチャレンジによって、『感動』と『安心』を提供し続ける」ことです。
企業理念を全うする上で、特に注力している3つの重点領域が以下の通りです。
環境 | 世界中の人々に感動を届けるためには、社会と地球環境が健全であることが前提で環境への責任を果たし、テクノロジーを通じて世界に貢献していく |
アクセシビリティ | より多くの人が製品やサービスを使えるように、すべての人が感動を分かち合える未来を実現する |
DE&I | 多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力が最大限に発揮される企業文化の構築を目指す |
ソニーは上記のことに注力することで、サステナビリティを経営と企業文化の基盤としています。
ソニーが買収した「バンジー」とは
出典元:BUNGIE CAREERS
ソニーが買収したバンジーは、アメリカのゲームソフトウェア開発会社です。
主にオンラインゲームのDestiny(デスティニー)シリーズの開発に注力しています。
企業概要
バンジーは1991年5月にシカゴで設立されました。
当時の社名はBungie Software Products Corporation(バンジー・ソフトウェア・プロダクト・コーポレーション)で、シカゴ大学で人工知能を学んだ2人がライバルが少なく親しみのあったMacintoshプラットフォームに注力するところから始まりました。
設立 | 1991年5月 |
事業分野 | ビデオゲーム |
創業者 | アレクサンダー・セロピアン ジェイソン・ジョーンズ |
本社 | アメリカ合衆国 |
主要人物 | ピート・パーソンズ(会長兼CEO) ジェイソン・ジョーンズ(CCO) |
従業員(2022年) | 900人以上 |
ウェブサイト | www.bungie.net |
事業内容とヒット作
バンジーの事業分野は先述した通り「ビデオゲーム」だけです。
バンジーが開発したヒット作を以下に示します。
Marathon | 1994年のSFゲームで、詳細なバックグラウンドストーリーや対話的に進むシナリオ、精細な3Dグラフィックス、パズル的な立体的マップなどネットワークプレイなどを取り入れてヒット作。 同じシリーズの「Marathon 2」はバンジー製ゲームとしては初のWindowsに移植されて、バンジーの売り上げは500%に成長。 |
Oni | 2001年にはSF風の3Dアクションゲーム「Oni」を発表。 「Oni」は日本のSFアニメに影響を受けた世界観を持っており、カットシーンや格闘などを取り入れたアクション性の高いゲームプレイ。 またPlayStation 2版を発売してバンジーとしては初の家庭用ゲーム機向けソフトウェアに。 |
ソニーとバンジーの買収目的とは
ソニーがバンジーを買収したのでソニーに買収目的があるのは当然ですが、バンジーにも買収を受け入れる目的がありました。
バンジーが買収を受け入れた目的は、買収では異例の好条件だったのです。
下記では、ソニーの買収目的2つとバンジーの買収目的1つを解説します。
ソニーの目的①:ネットワークゲームの収益とノウハウ
ソニーがバンジーを買収した目的の1つ目は、バンジーのゲーム市場を支えている収益性と長期的に運営するノウハウです。
ソニーは2025年までにゲーム分野の売上を2倍以上にして10タイトル以上のゲームサービスを立ち上げることを目標にしているからです。
2014年以降、ゲーム市場全体は12%成長して「ゲームのアドオンコンテンツ」は15%成長しています。実質的に「ゲームをプレイするために投じたお金」が市場の伸びを支えているのがわかります。
ソニーはバンジーの買収を機に、eスポーツなどで発展が著しいゲーム市場を獲りにいくつもりです。
ソニーの目的②:バンジーには開発力と人材が揃っている
ソニーがバンジーを買収した2つ目の目的は、バンジーの権利と開発力です。
ソニーはバンジーのドラマ化や映画化などの多様な権利の活用方法に魅力を感じて、それを実現しようと努めるクリエーターも獲得したいと考えたからです。
歴史の長い運営型ゲームは、ゲームを運営していくなかで世界観を構成するために必要な要素を大量に生み出してきました。
バンジーはSFの世界観に特化しているものの、あらゆるデバイスやプラットフォームでそのゲームの世界観を出すことを得意としています。
映画、テレビ、パソコン、スマートフォンと時代にフィットしたデバイスの進化により使われるプラットフォームが変化し続けています。
ソニーはバンジーを買収することで、時代の最前線に居続けようとしています。
バンジーの目的:手がけたプロジェクトを長期安定運営する
バンジーにとって買収を受け入れる目的は、独自の運営方針を貫きながら長期安定運営をしていくためです。
「独立」「独自」の言葉が目立つ背景には、Activision Blizzardとの別れやActivision Blizzardがマイクロソフトに買収されたなど苦い思い出があったからです。
1990年代末はまだ大きなメーカーではなかったバンジーは、マイクロソフト傘下で「Halo」を大ヒットさせました。しかしその後、Haloシリーズの権利をマイクロソフトに残したまま独立しました。また、2010年にはActivision Blizzardと10年間の契約を結んでスタートしましたが、8年で契約を解消しバンジーが独自に販売・運営を行う形に変わっています。
バンジーは今回の買収を機に、自分達が作った作品を独自路線の販売・運営を考えています。
ソニーがバンジー以外で買収したゲーム会社例
最近、ソニーはバンジー以外にも世界的大ヒット作品の開発会社やモバイルゲーム支援会社にも手を伸ばしています。
下記ではソニーが最近買収をしたゲーム会社を2社解説します。
Heaven Entertainment Studios(ヘブン・エンターテインメント・スタジオ)
ソニーは2022年3月にカナダの世界的大ヒットゲーム「アサシン クリード」を開発したゲームスタジオ「Heaven Entertainment Studios(ヘブン・エンターテインメント・スタジオ)」を買収しました。
才能豊かな新生チームを手に入れて、カナダ初のゲームスタジオメンバーとして迎えることで、プレイステーションのパワーを最大限に発揮し多彩なゲーム体験を拡大させるためです。
ゲーム開発に10年以上携わってきた経験豊富なクリエーター達が集結することで、業界最高峰の作品を含め、刺激的かつ遊ぶ心が感じられるゲーム体験をソニーと共にプレイヤーにお届けするでしょう。
Savage Game Studios(サベージ・ゲーム・スタジオ)
ソニーは2022年8月にモバイルゲーム分野で有名な「Savage Game Studios(サベージ・ゲーム・スタジオ)」を買収しました。
ソニーのこの動きは、PlayStationゲーム内のアップデートではなく、PlayStationゲームに「付加価値」をつけたいからです。
今回買収したサベージ・ゲーム・スタジオは、自社のゲーム開発というより他社の既存のゲーム制作支援を主に行ってきました。
バンジーを買収して10タイトル以上の新作ネットワークゲームを作ろうとしているソニーには必要不可欠な要素です。
モバイルゲーム分野を立ち上げることで、PlayStationになじみのないユーザーにも届いて、多くの方々にソニーのゲームに触れてもらう機会を増やすことができます。
まとめ:ソニーはバンジー買収でパワーアップ必至!ゲーム業界M&Aが進む
ソニーはバンジーを買収したことにより権利の活用方法や開発力を手に入れて、より一層PlayStationゲームに力を入れていきます。
また、バンジーは買収を受け入れる条件で独自で販売・運営ができるようになったことで過去の苦い経験から脱出できました。
両社にメリットがあった買収でしたが、ソニーはeスポーツなど将来性のあるゲーム業界を見据えて投資していると見られます。
実際にソニー以外にも中国系企業はより活発になることが見込まれています。
中国は国内向けのゲームサービスが規制により難しくなっているため、中国国外に向かわざるを得なくなっています。
ゲーム関連会社の買収が横行して大型化していく流れは、今後も基本路線となっていくでしょう。
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