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株式会社グリーのM&Aの歴史とこれから

2000年代に一斉を風靡したモバイルソーシャルゲーム「GREE」。これを運営する「株式会社グリー」は、これまで数多くのM&Aを実施してきました。時には、大きな損失を出したこともありますが、現在でも日本のゲーム会社として、多くの人に知られています。

今回の記事では株式会社グリーのM&Aについて、これまでの歴史や手法について解説しながら企業動向や戦略について紹介します。

株式会社グリーの概要

株式会社グリーはゲームや広告を売上げの基盤とする上場企業です。創業者の田中良和は、「GREE」というソーシャルネットワークサービス、いわゆるSNSを個人的な趣味として開発します。

2004年、利用者が10万人を突破したのを機に、運営のための「株式会社グリー」という法人を作りました。その後も、利用者は絶えず、2009年には1000万人を突破し、東京証券取引所1部市場に上場、日本国内だけでなく各国に進出を果たすなど大きく飛躍しました。

利用者が増えるとともに高額請求トラブルや、景品表示法違反など多くの問題が発覚し、大きな損害が出てしまいます。このことから売上不振に陥り、企業規模縮小の一環で海外からの撤退を強いられます。

しかしその後、数々の企業戦略を打ち出し、企業としての挑戦を続けて今に至ります。現在では、株式会社グリーのグループ会社には、ゲームやDX、メタバースの分野を中心とした会社があり、全17社を展開しています。

GREEの機能

当初GREEは、当時の携帯メールアドレスを登録すると無料で使うことができ、交流機能を主軸としていました。現在は、スマートフォン向けGREEのみが提供されており、ブラウザゲームをメインとしたSNSに変化しています。

主な機能では、mixiのような「日記」の機能や、Twitterに似ている「ひとこと」と呼ばれる短文を投稿する機能、フォトアルバムやレビュー機能などがあります。

株式会社グリーのビジネス

グリーの代表的なビジネス戦略として挙げられるのは世界進出です。2011年、アメリカのOpenFeintを完全子会社化したのち、新たなゲームプラットフォームを展開しました。そして、アメリカだけでなく、中国や韓国への進出も果たしたのです。

グリーがこのように急成長した背景にはM&Aがありました。次の項で詳しく見てみましょう。

株式会社グリーに買収された企業

グリーは、これまで多くの企業をM&Aで買収したり、資本業務提携を締結したりし、事業を拡大させてきました。この項では、これまでのM&Aの歴史を紹介していきます。

アトランティス(現 Glossom)

アトランティスは、2007年に創業、無料の広告配信システムを運営する会社でした。2011年1月、創業から3年という短い期間で、グリーが過半数の株式を16億700万円で取得して完全子会社化されました。

2013年、社名を現在のGlossomに変更し、グリーから広告事業を引き継ぎます。現在は、グループ会社としてデジタルマーケティング(DX)を支援する事業をメインにしています。

OpenFeint, Inc.

OpenFeint, Inc.はカリフォルニアを拠点に2008年創業。ソーシャルゲームプラットフォームの「OpenFeint, Inc.」を運営。米国市場に強力なプラットフォームを持ち、買収時点では世界中に7500万人のユーザーがいました。

グリーは2011年4月、世界進出のため1億400万ドル(約85億7000万円)で買収。これにより世界進出を成功させて波に乗りましたが、2015年に事業整理により精算しました。

Funzio, Inc.

Funzio, Inc.は2009年に創業、FaceBookとモバイル向けゲームを開発し、「最も革新的なスタートアップTop50」と評されました。

2012年5月にグリーは、ゲーム開発能力向上のために2.1億ドルで株式100%を取得し子会化されました。しかし、グリーの業績が低迷して2015年に142億円の特別減損を計上しました。

Paprika Lab

韓国有数のゲームデベロッパーPaprika Labは、2012年6月に創業から4年8ヶ月でグリーに買収されました。このM&Aは、グリーが日本で培ってきたモバイルソーシャルゲームの経験と同社のゲーム開発力を融合させ、ソーシャルゲームを各国に提供することが可能になりました。

ポケラボ

ポケラボは、2007年11月に創業したソーシャルゲームのデベロッパーです。AppStoreやGooglePlayで上位を取ったゲームをいくつも開発しています。グリーは、2012年10月にモバイルゲームの開発力強化のためにポケラボを買収しました。買収後は株式会社ポケラボとして、グリーの傘下に入りました。

2015年に業績が低迷したものの、現在はアイドル関係のゲームの開発や「SINoALICE」でAppStore首位を獲得するなど、継続して事業を続けています。

セカイエ

セカイエは2008年4月に創業、リフォームの定額サービス「リノコ」を提供する会社です。2015年1月にグリーンが13億円で株式100%を取得し完全子会社となりました。この時すでにグリーの子会社が、工務店150社とのネットワークを持っていました。セカイエを取り込み、このネットワークと共にリフォーム事業を拡大させるのが目的だったとされています。

リノコは、買収後の2016年急成長を果たし、「日本ネット経済新聞賞の急成長賞」を受賞しました。しかし、2017年グリーの事業整理で不動産売却の一括査定サイト「イエイ」を運営する株式会社Qに売却されます。

ADFULLY

ADFULLYは、2015年に創業。スマートフォンアプリの収益化事業を手掛ける「アドリフくん」を運営していました。アドリフくんは、アプリやネットワークに対して、収益化に最適な広告を自動で選んでくれる「SSP」と呼ばれるシステムを展開しています。

2016年6月に、創業からわずか一年ほどで、上述したグリーの子会社Glossomが株式を100%取得して完全子会社となりました。買収されたあとには、動画広告や動画に特化したネガティブ広告などの新機能開発を担っています。

PerBlue, Inc.

米国ウィスコンシン州を拠点に設立されたPerBlue, Inc.は、モバイル向けのゲームの開発・運営をしていました。グリーはPerBlue, Inc.の「DragonSoul」を2016年10月に買収。

買収後、「DragonSoul」の拡大と開発力強化に注力し、海外展開を急加速させました。

3ミニッツ

3ミニッツは、2017年2月にグリーが43億円で株式を取得しました。

2014年9月に創業した3ミニッツは、オリジナル動画コンテンツの企画や制作を手掛け、国内最大級のインフルエンサーマーケットを有します。「INSTAGRAMMER.JP」というインフルエンサーのプロモーション事業や、ユーザー数280万人を突破している国内最大級のライフスタイル動画メディア「MINE」を運営しています。

グリーに買収された後は、「AD MOVIE BY 3M」と呼ばれる動画制作やSNS配信とこれらの効果検証をまとめたパッケージ広告をリリース。デジタルプロモーションに特化した事業を展開しています。

株式会社グリー、非ゲーム業界のM&Aも活発

世界進出を果たしたグリーでしたが、2012年前後、コンプリートバチャと呼ばれる手法の景品表示法違反が発覚したり、利用者に高額請求が発生するトラブルが起こったりしました。さらに、世の中のスマートフォンシフトに上手く対応できなかったりと、複数の要因が重なりグリーの業績は急激に悪化してしまったのです。

そして、2017年、海外のゲーム開発事業からの撤退を余儀なくされます。

そうした中で起死改正を狙うため、ソーシャルゲームだけでなく、インターネット業界で総合的に売上げを得られるよう方向転換を図りました。具体的には、オンライン住宅サービスや介護施設検索サイトの運営、ブランド物の買取りなどの展開があげられ、ゲーム業界以外に100億円を投じる計画でした。

株式会社グリーが目指すメタバースの世界

2021年、グリーはメタバース事業に本格的に参入することを発表しています。この数年でこの事業に関するエンジニアを200人以上採用しました。今後、グリーの売上げの柱であるゲーム、広告に次ぐ3つ目の柱とすることを掲げています。

アバターでゲーム配信をするアプリ「REALITY」は2018年に日本で開始され、ユーザー数は世界で500万人を突破、現在急成長しているアプリです。日本語と英語に対応し、全ユーザーのうち、約90%が海外ユーザーです。

「REALITY」は、今後も利用者が増えていくことが予測されます。

株式会社グリーはM&Aで損失を出しながらも拡大

今回の記事では、株式会社グリーのM&Aについて歴史や戦略を紹介しました。グリーはM&Aで企業規模を拡大させていき、2012年には、世界進出を果たししました。しかし、スマートフォン対応の遅れや景品表示法違反など、複数の要因重なり一度は業績が悪化しました。

しかし、その後、非ゲーム業界進出を掲げ、M&Aなどで事業の幅を広げています。最近では世界でも注目されているメタバースへも参入してさらなる業務拡大を目指しています。

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