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Appleの企業買収は?これまでの買収の歴史や戦略を解説

Appleの企業買収について、あまり知られてはいませんが、これまで多くのIT企業を買収しています。2010年2020年の10年間での買収した企業数は80社以上です。Appleは、どのような企業をどのような目的で買収してきたのでしょうか。

今回の記事では、Appleの企業買収の歴史や戦略について解説していきます。

appleにおける企業買収の考え方

Appleはこれまで多くのIT企業を買収しています。その中でも特に、ITのスタートアップ企業です。数が多いため、買収に度に報道されているわけではないので知らない方も多いかもしれません。Appleはなぜこれほど多くの企業を買収するのでしょうか。

それは、Apple製品、特に、iPhoneの新機能追加のためと新しいApple製品の開発のためです。

Appleがこれまでに買収した企業

以下の表はAppleが買収した主要な企業の一覧です。買収した企業の技術がどのような目的で使用されているのかも合わせて見てみましょう。

日時企業・分野分野買収金額目的
2010年1月Quattro Wirelessモバイル広告アメリカ2億7,500万ドルiAd
2010年4月Intrinsity半導体(CPU開発)アメリカ1億2,100万ドルApple SOC
Siri音声制御ソフトウェアアメリカSiri
2011年12月Anobitフラッシュメモリーイスラエル3億9,000万ドルiPod, iPhone, iPad
2012年2月Chompアプリ検索エンジンアメリカ5,000万ドルApp Store
2012年9月ParticleHTML5/Webアプリ会社アメリカiCloud, iAd
2013年11月PrimeSense半導体イスラエル3億4,500万ドルFace ID
2014年6月Swell音楽ストリーミングアメリカ3,000万ドルiTunes
2015年3月FoundationDBデータベースアメリカiCloud
2015年4月LinXカメラ2,000万ドルiPod, iPhone, iPad
Coherent Navigation地図アメリカMaps
2015年9月VocalIQ音声技術イギリスSiri
2016年1月Emotient顔認識システムアメリカiPhone, iPad, iPod, Macintosh
2017年5月Lattice Data人工知能アメリカ2億ドル写真.app
2017年9月Regaindコンピュータビジョンフランス40万ドル写真.app
2017年10月PowerbyProxiワイヤレス充電ニュージーランドiPhone, AirPower
2018年3月Textureデジタル雑誌購読サービスアメリカ/カナダNews
2018年9月Shazam音楽と画像認識イギリス4億ドルiTunes, Siri, Apple Music
2019年2月PullString音声技術アメリカSiri
2020年4月Voysis人工知能/音声アシスタントアイルランドSiri
2020年7月Mobeewave決済技術カナダ1億ドルiPhone

出典:Appleの合併・買収リスト|フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この表以外にも多くの企業を買収していますが、これだけを見てもわかる通り買収した企業はどれも優れたAI技術を持ち合わせている IT企業です。そこにAppleが目をつけ、iPhoneの新機能として追加していった歴史が見て取れます。

Appleの企業買収の観点

近年のAppleはどのような観点で買収する企業を決定しているのでしょうか。2018年以降の買収した企業を見ていると以下の4分野が多く見られます。

  • AR/VR
  • AI
  • デジタルヘルスケア
  • 半導体・先端部品

Appleが最近、力を入れているのはハイテク分野の技術です。この分野だけでも25社以上の企業を買収しています。今後もこの分野に多くの資金を投じ、追加投資や新たな雇用を創出するとしています。それぞれの分野において1つずつ見てみましょう。

AR/VR

AR(拡張現実)は、シミュレーションした環境下で現実環境を拡張するテクノロジーです。対してVR(仮想現実)は、環境をシミュレーションしてユーザーの世界を仮想的な世界に置き換えるテクノロジーです。Appleはこの分野のアプリケーションに置いて特許を申請しています。

この分野の企業を多く買収し、優秀な人材と優れた技術を手にしています。これは、AR/VRに必要となるデジタル環境とハードウェアの開発の布石のためとも取れます。

AI

AppleはAIの技術を強化するため、機械学習AI分野の企業も積極的に買収しています。そのペースはGoogleやマイクロソフトを追い越すペースだとも言われています。AIの技術はiPhoneの新機能追加にとって必要不可欠です。音声アシスタント機能「Siri(シリ)」をメインとし、多くの機能に生かされています。

ホームセキュリティーカメラや、スマートスピーカーの開発などにもAIの技術を用い、新たな分野の開発も進んでいると囁かれています。

デジタルヘルスケア

Appleは戦略の一環として、健康の事業に関しても注力しています。この分野に関しては、企業の買収だけでなく他社大学と協力してアプリ開発を進めています。

ユーザーは、Apple WatchやiPhone端末を使用し、自分の健康状態やデータを収集して蓄積していきます。それに加えて、既存の健康データだけでなく、Apple Watchでモニタリングできる新たな健康データを探る活動も進められています。

一方、大手の保険会社やヘルスケア会社とは、加入者にApple Watchの購入費用を補助するサービスを提携し、デジタルヘルスケアの普及を後押しする形となっています。

半導体・先端部品

Appleは世界最先端の半導体委託企業、台湾積体電路製造(TSMC)に素材の生産を委託しています。半導体の生産は極めて複雑なため、この提携は大変重要なものです。しかし、最高の体験を消費者に提供するためには、半導体を自社開発する必要があることを理解しています。

そのため、世界中から多くの優れた半導体や先端部品の企業を買収し、設計に精力を尽くしているのです。

近年におけるAppleの買収

国家並みの資産があると言われ、これまで多くの企業を買収してきたAppleですが、近年は企業買収に消極的な傾向が見られます。

理由は、以下の3つがあります。

  • 買収が不要な分野が出てきた
  • 独占禁止法の監視が強化されているため
  • 未来を定義する能力があるため

買収が不要な分野が出てきた

Appleはこの10年で多くの企業を買収し、世界で大きな影響力を持つ企業へと成長しました。買収を多く重ねた結果、特殊な技術優秀な人材を多く手に入れ、現在では買収が不要な分野も増えてきました。

このことから、最近の企業買収のスピードが落ちてきたことが考えられます。

独占禁止法の監視が強化されているため

独占禁止法とは、有力な企業が他社を排除し市場を独占したり、価格を調整したりする行為を防ぐための法律です。アメリカでは、反トラスト法と呼ばれ、シャーマン法など3つの法律から成り立っています。

アメリカのIT市場では、インターネットの普及とともにGAFA(米四大テック企業のGoogle、Apple、Face Book、Amazon)による市場の独占が進み批判が大きくなっています。そのため、アメリカの下院司法委員会はGAFAに対して16ヶ月の調査を実施し、反トラスト調査リポートを発表しました。

この調査から、Appleは企業の買収による半トラストの可能性をなくすために企業買収うを控えめにしたことが考えられます。事実、Apple以外の3社は、企業買収により、致命的な買収によりライバル企業にプレッシャーをかけている点が調査の対象となっていました。

未来を定義する能力があるため

現在、大きな影響力を持つ企業となったAppleは、社会の未来を定義する大きな力を得たと言えるでしょう。Appleには最初に新製品を開発した実績は多くありません。しかし、iPhoneやApple Watchなどは、これまで市場に出回っていたものと先端技術を組み合わせ、消費者に体験したことのない最高の体験を提供することに成功しています。

そして、他社製品はApple製品に自然に近づくように改良されていき、結果としてApple製品と似ているものが出来上がります。これがAppleが社会の未来を手にする力です。

これはAppleがライバル企業を買収しないと言う点からも見て取れます。

Appleは多くの企業買収を経て現在の地位を確立した

今回の記事ではAppleの企業買収の観点や歴史について解説しました。Appleはこの10年間で多くの企業を買収し今の地位を確立しました。

現在では、買収が不要な分野も増えたことと、政府の反トラスト法の監視強化のため、買収のスピードを落としています。

Appleが多くの企業を買収するのは、市場を独占するためのものではありません。自社にない先端技術を見つけ出し、自社製品に取り入れるための1つの企業戦略です。

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