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近年の決算から見るインテルの今後の見通し

CPUやマイクロプロセッサ、チップ、メモリなどを製造販売するインテル。創業から50年以上がたち、世界有数の半導体メーカーとして世界を牽引しています。

しかし、2023年第1四半期の決算では過去最大の赤字を記録してしまいました。なぜ、今回このような業績となってしまったのでしょうか?

今回の記事では、インテルの決算情報について紹介し、近年の経営状況を詳しく解説します。

インテルの近年の決算情報

まずはインテルの近年の四半期ごとにおける決算状況を見てみましょう。

  • 営業成績(四半期)
2023年4月期第1四半期2022年12月期第1四半期2022年10月期第1四半期2022年10月期第1四半期
売上高63,054,000千79,024,000千77,867,000千71,965,000千
営業利益2,334,000千19,456,000千23,678,000千22,035,000千
税引前利益7,768,000千21,703,000千25,078,000千24,058,000千
当期純利益8,014,000千19,868,000千1,019,000千20,899,000千
総資産182,103,000千168,406,000千153,091,000千136,524,000千
自己資本101,423,000千95,391,000千81,038,000千77,659,000千
自己資本比率55.70%56.64%52.93%56.88%

単位:USD

次に、近年の決算情報を見てみます。

  • 営業成績(通算)
2022年12月期2021年12月期2020年12月期2019年12月期
売上高11,715,000千14,042,000千15,338,000千15,321,000千
営業利益-1,468,000千-1,132,000千-175,000千-700,000千
税引前利益-1,327,000千-796,000千-37,000千-819,000千
四半期純利益-2,758,000千-661,000千1,019,000千-454,000千
総資産185,303,000千182,103,000千174,841,000千170,418,000千
自己資本98,059,000千101,423,000千99,885,000千101,218,000千
自己資本比率52.92%55.70%57.13%59.39%

単位:USD

上記から、売上高は上昇していますが、利益が赤字となっていることがわかります。これにはどのような理由があるのでしょうか?

  • 財政状況
2022年12月2021年12月
一株益8.5913.77
総資産185,727.0165,987.0
純資産48.4945.88

単位:USD

2022年は減収

2022年度のインテルの決算は、売上高が前年(2021年度)と比べて16%減の631億ドル、営業粗利益率は47.1%、当期純利益は65%の76億ドルという結果でした。

対して、競合他社である「AMD」は増収となっており、インテルよりも好成績を残したということで、業界内では話題となっています。とくに、AMDの営業粗利益率が60%を超えている点に着目してみると、AMDの業績が好調であることがわかります。

営業粗利益率は、会社の売上げに対してどれだけコストをかけて運営しているのかを示す数値です。この数値が高いほど、無駄なコストをかけずに運営しているということになります。

インテルの営業粗利益率は47%と好調な数値ですが、過去数十年の数値を調べてみると、60%を上回っており、2022年度の47%の数値が普段よりも低かったということがわかります。

2社の2022年度の決算では、両社ともPC事業が赤字となっています。これは、PCの販売台数が全世界的に減少したなどの理由があるからです。

2023年第1四半期

2023年の第1四半期、インテルの業績は、過去最大の赤字となりました。

インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は今回の決算に対して、「厳格なコスト削減と効率化、開発投資の実行」について言及しました。

今回の業績悪化を受けてインテルは、2025年までに100億ドルのコスト削減を進めていきます

赤字の理由としては、PC向け半導体の不振や新型コロナウィルスのデジタル特需の低迷などが挙げられます。次の章で詳しく見てみましょう。

インテルの近年の株価が低迷していた理由とは?

インテルの株価が低迷してしまったのにはどんな理由があるのでしょうか?この章で詳しく解説します。理由は以下の2つです。

  • PC業界の需要低迷
  • 生産技術に対する多額投資

一つずつ詳しく見てみましょう。

PC業界の需要低迷

インテルの株価が低迷してしまった最も大きな原因として挙げられるのは、PC業界の需要低迷です。

新型コロナウィルスで急増したリモートワークでパソコンやコンピューター関連のIT分野で需要が一時的に急増しました。しかし、新型コロナウィルスも一段落したことでそれらが低迷したことが主な理由です。

さらに昨今の不安定な経済状況が売上げの低迷に拍車をかけているといってもいいでしょう。

生産技術に対する多額投資

近年、インテルは生産技術に対する多額の投資をしています。2022年にインテルが投資した開発や買収のための費用は前年の2021年と比べて14%も増加しているのです。さらに、工場の新規開設も発表しており、これらのコストもかかっています。

そのため、利益率も小さくなったことから表面上で売上が低迷したように見えますが、今後、研究や開発が進んでいくことにより成果が現れることでしょう。

低迷から一気に上昇を示唆する2023年第二四半期の決算

2023年第1四半期は過去最大の赤字という業績になってしまったインテルですが、2023年後期では、回復の見込みを示しています。

キャッシュフローが回復し、利益率も拡大するとの見通しを発表し、それとともに株価も上昇しました。

これまで問題であったPCの需要低迷も回復してきており、ともに低迷していたサーバーの分野も緩やかに回復していくとの見通しを発表しています。さらに、人工知能(AI)分野でもブームにのり成長が期待できるとされています。

歴史的な大打撃を受けた2023年前半から回復することはできるのでしょうか?

インテルの会社情報

最後に、インテルの会社情報について紹介します。まずは、基本的な情報について見てみましょう。

設立1968年7月18日
創設者ロバート・ノイス ゴードン・ムーア
本社アメリカ カリフォルニア州
従業員数11万千百人(2021年)
業種電気機器
事業内容マイクロプロセッサ・チップ・メモリなどの開発・製造・販売

インテルは世界でも有数の半導体メーカーで、1990年代から多方面にわたるハードウェアやコンピューター関連の事業を展開しています。PC向けのCPU市場では60%以上のシェアを誇っています。

日本法人であるインテルジャパン株式会社の詳細は以下の通りです。

設立1976年4月28日
本社東京都世田谷区
事業内容マイクロプロセッサ・チップ・メモリなどの開発・製造・販売

インテルの歴史

次に、インテルのこれまでの歴史について詳しく見ていきましょう。

1969年4月インテル初の製品であるSRAM 3101を発表
1971年10月NASDAQに株式を公開する
1981年8月IBMがCPUにインテルの製品「8088」が採用されたパソコンIBM PCを発表
1991年5月Intel Inside(インテル、入ってる)のロゴを発表。広く認知される。
1998年4月低価格パソコン向けのCeleronを発表する
2005年4月インテル初のデスクトップパソコン向けのPentium Extreme Editionを発表
2005年11月合弁会社「IM フラッシュ・テクノロジーズ」を設立。フラッシュメモリ事業に参入。
2006年6月マーベルへ、マイクロアーキテクチャなどの技術ライセンスとモバイル事業を売却
2011年3月コンピューターセキュリティーのマカフィーの買収
2017年6月国際オリンピック委員会とワールドワイドTOPパートナー契約を結ぶ

近年の決算で低迷も今後の見通しは明るい

今回の記事では、半導体メーカーのインテルの決算についてふれながら、近年の経済状況について開設しました。

インテルは2023年第1四半期の決算でパソコン需要の低迷などが原因で過去最大の赤字となってしまいました。しかし、今後、市場の回復とともにインテルの売上げも回復していくと見通しを示しています。

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