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yahooが買収したのは有名企業のZOZO!買収目的や手法を解説

実は、日本人なら一度は耳にしたことがある「Yahoo! JAPAN」を運営しているyahoo(以下では「ヤフー」と表記)が有名ECサイト「ZOZOTOWN」の運営会社である株式会社ZOZO(以下では「ZOZO」と表記)を買収していました。

近年、どの業界でも企業の買収が増えているなかで、

  • ヤフーが買収したZOZOはどんな会社なのか?
  • 両者の買収の目的は何か?
  • ヤフーはZOZO以外にこれまでどのような企業を買収したのか?

など疑問に思う方が多いです。

そこでこの記事では、ヤフーとZOZOの企業概要や買収目的、ヤフーが買収した企業などをM&A×ITに強みを持つM&A会社が解説します。

具体的には、

  • ヤフーとZOZOは一体どんな会社なのか
  • ヤフーとZOZOの買収取引の目的
  • ヤフーがZOZO以外に買収してきた企業

を解説していきます。

この記事を読むことで、ヤフーとZOZOの買収劇の全貌が理解できます。

yahooが買収したZOZOとは


出典:ZOZO

ZOZOはファッションテクノロジーを掛け合わせた時代の先端を走り続ける会社です。

ファッションを楽しむすべての人に寄り添い、笑顔で溢れる未来を作っていく会社「ZOZO」の会社概要やサービス、企業理念を解説します。

会社概要

ZOZOはファッションEC「ZOZOTOWN」やファッションコーディネートアプリ「WEAR」「ZOZOSUIT」などの計測テクノロジーの他にカスタマーサポート、物流拠点「ZOZOBASE」などを運営している会社です。

下記にZOZOの会社概要を示します。

会社名株式会社ZOZO
設立1998年5月21日
代表取締役社長兼CEO澤田宏太郎
資本金1,359,903千円
本社所在地千葉県千葉市稲毛区緑町1-15-16
従業員数1,485名(2022年9月末時点)

サービス概要

ZOZOが展開するサービスの一部を以下の表で紹介します。

ZOZOTOWN
(ゾゾタウン)
ファッションECサイトで1,500以上のショップ8,400以上のブランドを取り扱っています。また、常時90万点以上の商品毎日平均2,600点以上の新着を掲載しています。(2022年9月末時点)
即日配送やラッピングサービス、支払いが2ヶ月後でもいい「ツケ払い」システムが特徴です。
WEAR
(ウェアー)
日本最大級のファッションコーディネートアプリです。
オフィシャルユーザー「WEARISTA(ウェアリスタ)」と呼ばれていて、ショップ店員や一般ユーザーが投稿した洋服のコーディネートが検索・閲覧・保存ができます。
コーディネート数は1,300万件以上でアプリダウンロード数は1,600万件を突破しました。(2022年9月末時点)
最新のトレンドをチェックできてコーディネートの着用アイテムをZOZOTOWNや公式ショップですぐに購入できます。
ZOZOSUIT
(ゾゾスーツ)
スーツ全体にあるドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで身体のサイズを数値化した3Dモデルを生成できます。
計測した数値をもとに洋服を買うことで手元に届いてサイズが合わないという現象が起こりにくくなります。
ZOZOGLASS
(ゾゾグラス)
ECサイトでコスメを購入する際に多くの方が悩む「色選び」を解消するフェイスカラー計測ツールです。
スマートフォンのカメラで肌の色を検出、カラーチップ本来の登録カラーの補正によって肌の色を検出することができます。

企業理念

ZOZOが大切にしている理念を以下に示します。

企業理念世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。
経営戦略「MORE FASHION×FASHION TECH」〜ワクワクできる『似合う』を届ける〜
サステナビリティファッションでつなぐ、サステナブルな未来へ
ZOZOらしさソウゾウのナナメウエ、日々進歩、愛

上記の理念でわかる通り、ZOZOは常に変革を求めてファッションを楽しむすべての人の唯一無二の存在を目指しています。

ZOZOを買収したyahooとは


出典:Yahoo! JAPAN

ヤフーは国内初の商用検索サイト「Yahoo! JAPAN」を運営している会社です。

現在では当たり前のカテゴリから探すツリー構造「ディレクトリ検索」やフリーキーワードから探す「キーワード検索」を提供しました。
日本にインターネットを広めたパイオニア企業を下記で解説します。

会社概要

ヤフーはインターネット上で商品やサービスの売買や分配(eコマース)事業を主に展開している企業です。

日本人なら誰もが知っているウェブサイトにアクセスするためのサイト(ポータルサイト)「Yahoo! JAPAN」の運営ブロードバンド関連ネットオークション事業などもしています。

会社名ヤフー株式会社
代表者代表取締役社長小澤隆生
主な事業イーコマース事業、会員サービス事業、インターネット広告事業など
本社所在地〒102-8282
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー
資本金300百万円(2021年12月31日)
従業員数7,597人(2022年3月31日)
親会社Zホールディングス株式会社

サービス概要

ヤフーのサービスは大きなカテゴリーが3つあります。
カテゴリーの中には数多くのサービスがあるので代表的なものを一部紹介します。

カテゴリーサービス内容
メディア映画、カーナビ、カレンダー、検索、知恵袋、ニュース、MAP、メールなど
コマースebookjapan、占い、ゲーム、ショッピング、トラベル、PayPay、ヤフオクなど
ビジネスデータソリューション、マーケティングソリューション、災害支援など

ミッション・ビジョン・ステートメント

ヤフーは企業理念として「ミッション・ビジョン・ステートメント」の3つを掲げています。
以下の表にヤフーの企業理念を示します。

ミッション「UPDATE JAPAN」
情報技術のチカラで、日本をもっと便利に
ビジョン世界で一番、便利な国へ
ステートメント
(企業の経営理念を実行するために設けられる課題)
・買いたいものがすぐに手に入る
・知りたいことがすぐにわかる
・世の中を便利にすればするほど人はもっと自由に人生はもっと豊かに
・世界に誇れる便利さですべての人の可能性を引き出したい
・オンラインとオフラインの境界を無くし100を超えるサービスを通じて日本を世界で一番便利な国へ

昔から変わらない「ユーザーファースト」の価値観を大切にしたサービスを届けることでより良い社会や生活を目指しています。

yahooがZOZOを買収した目的は

ヤフーはこれまでさまざまな企業を買収して事業を成長させてきました。
ここからはなぜZOZOを選んで買収したのか、ヤフーの買収目的を2つ解説します。

①ZOZO独自の物流ノウハウ「ZOZOBASE」の獲得

ヤフーがZOZOを買収した目的の1つ目は、ZOZO独自の物流システム「ZOZOBASE」のノウハウを獲得するためです。
ZOZOBASEを獲得することで商品の即納体制が整いユーザビリティが向上するからです。

これまでのヤフーはYahoo!ショッピングやヤフオクに出店している業者自ら行う形をとっていましたが、ZOZOBASEの物流システムを取り入れることで商品の搬出・仕分け、梱包・出荷を業者が行わずに物流拠点が一手に請け負ってくれます。

物流能力が上がればユーザーや出店者の利用数が増えて、出店数増加でユーザーの利便性がよくなりユーザーが集まれば出店者も増えるという好循環が生まれます。

②ヤフーショッピングやPayPayモールに活用

ZOZOを買収した目的の2つ目は、ヤフーショッピングやPayPayモールの物流に活用するためです。

ヤフーは2012年に事務用品大手のアスクルの筆頭株主になり物流を強化しましたが、何らかの理由で物流拡大を断念したことで物流機能が弱いままです。
そこでZOZOを買収することで弱いままの物流機能強化を狙いました。

eコマース事業を拡大させていく上で物流機能の向上は避けて通れない道です。
さらに、買収によりZOZOTOWNもPayPayモールに出店する見込みなので利用数・出店数ともに上昇する可能性があります。

買収後のZOZOでは顧客の新規獲得数が増加

ヤフーに買収されるZOZOのメリットは、ソフトバンクやヤフー経済圏(ソフトバンクの携帯キャリア利用者やYahoo!プレミアム会員、PayPay利用者など)の顧客が獲得しやすくなることです。
しかし懸念点は出店者が違うことです。

ヤフーや楽天などのECサイトは小売店が多く出店しているのに対して、ZOZOの出店者はブランドメーカーが多いです。
ブランドメーカーは実店舗を持っていることが多いことから、ECサイト独自に値引きして出品するすると実店舗の売上を下げる可能性があるので嫌がります。

もしヤフーショッピングやPayPayモールで割引キャンペーンなどをしすぎると、出店者から反感を買う恐れがあるので注意が必要です。

ZOZOを買収した手法「TOB」とは

ヤフーがZOZOを買収した際に用いた手法は「TOB(株式公開買い付け)」と言われる買収手法です。
TOBは株式譲渡に当たる手法で、株式所得とは違う特徴があるので下記で詳しく解説します。

「株式取得」と「TOB」の違い

株式取得は企業の株式を取得して対象企業の支配が可能となる、議決権を得られる買収手法です。
手続きが簡単で、一般的に買収と聞くと株式取得をイメージする方が多いです。

TOBは「株式公開買い付け」と言われるもので株式譲渡の一種です。
株式譲渡とは買収される企業の株式を取得して経営権を得られるもので、TOBをすることで株式買い付け情報を公開して株主からの譲渡を誘導します。
TOBは上場企業が敵対的な企業の買収によく使う手法です。

今回のTOBはヤフーの親会社であるZホールディングスがZOZOの株式を2620円で買い取る条件を提示しました。

短期間で株式を買い集められる

TOBの手法を使うメリットは、短期間で株式を買い集められることです。

一般的に株式市場で買い集めることは可能ですが、市場で短い期間で買い集めようとすると株価が高騰して結果的に買収費用がかなりかかってしまうことがあります。
逆に時間をかけて買い集めても「大量保有報告書」という書類を株主が提出しなければいけなくなり、結局株式の買い集めが周囲にバレて株価が上昇しやすいです。

最初から買い取り価格を提示して株価をコントロールしながら短期間で買い集めることができるのがTOBです。

株主に損害がでないように保護できる

TOBは少数の株主が損をしないように保護することもできます。

大きなお金が動く買収となると不公平な取引を行う株主が現れることがあるので、少数の誠実な株主に損害が生じる可能性があります。
そこで、市場外で一定以上の買い集めを行う際に用いられるTOBで買収をすることで、均一な価格での買い付けが行われるので特定の株主が優遇を受けることはないです。

なお、TOBが行われたからといって買収対象の企業は応じなくても構いません。
株式を所有し続けてもいいですし市場で売却してもいいです。

【投資額TOP5】yahooが買収した企業

以下でヤフーがこれまで買収してきた企業を投資額順5社紹介します。

1位:ZOZO(約4,000億円)ヤフーの弱点である物流の強化とEC事業の拡大のため買収
2位:ボーダフォン(約1,200億円)・ソフトバンクグループが買収時にヤフーも1,200億円出資(2006年3月)
・移動体通信サービス(携帯電話)事業に力を入れるため
・Yahoo! JAPANを中心とする有力コンテンツとの融合に期待
3位:一休(約1,000億円)・TOB(株式公開買い付け)で約1,000億円を投じて完全子会社化(2016年12月)
・一休は高級ホテル・旅館と飲食店に限定したネット予約サイト
・じゃらんや楽天トラベルなどの競合がいる中独自の高級路線に特化することで先行者利益を受ける
4位:ジオシティーズ(約700億円)・ヤフーはポータル機能拡張のためにアメリカのジオシティーズを約700億円で買収(1999年1月)
・ジオシティーズはアメリカで1800万人が利用する(※当時)人気のウェブサイト・サービスを運営
・当時のヤフーはインターネットの利用者シェアの拡大を狙っていたため買収
5位:ソフトバンクIDCソリューションズ
(約450億円)
・ヤフーはソフトバンクIDCソリューションズの全株式を取得(2009年2月)
・ソフトバンクIDCソリューションズはデータセンター設備9カ所を運営
・インターネットやデータセンター事業の強化と効率化が狙い

まとめ:yahoo史上最大の買収額を投じた成果はいかに

ヤフーは買収の歴史の中で最も高額な費用4,000億円を投じてZOZOを買収しました
買収の目的はヤフーショッピングやPayPayモールなどeコマースの物流強化出店数の拡大です。

買収の手法は一般的な株式取得ではなく、上場企業が敵対企業を買収する際に用いる株式譲渡のTOB(株式公開買い付け)で行いました。
TOBは短期間での株価の高騰を避けることができて、誠実な少数株主に損害が生じません。
ヤフーがこれまで買収してきた企業の投資額を比較するとZOZOの買収にどれだけ力を入れているかがわかります。

ヤフー史上最大の投資をして物流強化ECの拡大を図った結果、どのような効果が生まれたのかヤフーに注目が集まります。

パラダイムシフトは2011年の設立以来、豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。

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