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連結会計とは?メリットや流れ、ポイントなどをわかりやすく解説

M&Aを検討している中小企業にとって、連結会計は避けて通れません。

しかし、連結会計の具体的な内容などを理解している方は少ない可能性があります。

もし適切に連結会計を行わなければ、銀行からの融資が受けにくくなったり、親子会社間での不正が見逃されたりする可能性が高くなります。

そこでこの記事では、連結会計の基本情報やメリット、デメリット、連結会計の流れ・やり方などをわかりやすく解説します。

この記事を最後まで読めば、正しい連結会計をするまでの流れやポイントが理解できます。

正しく連結会計を行うことで、企業の財務状況の透明性を向上させ、M&Aの成功につなげましょう。

連結会計とは

連結会計について正しい知識を持っているでしょうか?

ここでは、連結会計の目的や企業集団、連結財務諸表について、連結決算との違いを詳しく解説します。

連結会計の目的

連結会計の主な目的は、企業グループ全体の財務状況を正確に把握し、透明性を高めることです。

連結会計は、親子関係にある企業を一つの集団と見なした企業集団全体の財務諸表を作成し、企業グループ全体の経営成績や財政状態を明確にできます。

例えば、親会社が子会社に対して行った取引の未実現利益は、連結会計上消去されるため、企業グループ全体の真の利益を反映させることができます。

持株会社などの場合、親会社単独の財務諸表ではグループ全体の事業活動や業績を十分に理解することは難しいです。

連結会計をすることで、企業グループ全体の財務状況を正確に把握し利益操作を防止できるため、企業の透明性と信頼性が向上し健全な経営が可能になります。

企業集団とは

企業集団とは、事業提携や株式相互持合、融資関係などを通じて密な関係がある企業の集合体です。ピラミッド型のヒエラルキーを持たず、個々の企業のつながりが緩やかな特徴があります。

企業集団を形成することで、企業同士のリソースを共有しリスクを分散できるのです。

例えば、ある企業が技術開発に強みを持ち、別の企業が販売網を有している場合、2つの企業が集団を形成することで、技術と販売の両方の強みを生かした相乗効果が期待できます。

企業集団を形成すると、そこに属する企業は競争力を高めらるため、持続的な成長を実現できるでしょう。

連結財務諸表とは

連結財務諸表とは、連結決算の対象となる親会社と子会社などのグループ全体を「1つの会社」とみなし作成する財務諸表のことです。

グループ内の取引を相殺し、企業グループ全体の総合的な経営成績や財政状態を正確に把握するために作成します。

例えば、親会社が子会社に商品を売却した場合、取引はグループ内のものとして相殺され、外部との取引だけが反映されるのです。

連結財務諸表にはいくつか種類があります。

  • 連結貸借対照表
  • 連結損益計算書
  • 連結株主資本等変動計算書
  • 連結キャッシュフロー計算書
  • 連結附属明細表

それぞれ違う角度から企業グループ全体の財務状況を示します。

正しく連結財務諸表を作成することで、企業グループの真の姿を把握し、適切な経営判断ができるしょう。

連結決算との違い

連結会計と連結決算は似た言葉ですが、実は違います。

連結会計は、日々の会計処理を行い、企業グループ全体のお金の出入りを記録し資金の流れを管理することで、決算月にグループ全体の財務情報を整理することです。投資家など外部への情報開示や税金の計算、社内の資金管理などが含まれます。

一方、連結決算は、連結会計業務の一環として行われる決算処理のことです。企業グループ全体の財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況を明確にするために行われます

連結会計は日常の会計処理を含む広範な業務であり、連結決算は連結会計業務の一部として行われる決算処理です。

連結会計と連結決算の違いを理解することで、企業グループ全体の財務管理をより効果的に行えます。

連結会計をするメリット3つ

会社のリソースを大きく割いてまで、なぜ連結会計をするのでしょうか?

連結会計をする3つのメリットを解説します。

銀行から融資が受けやすくなる

連結会計をすることで、銀行など金融機関から融資を受けやすくなります。企業の資金繰りにおいて銀行など金融機関からの融資は、重要な資金源です。

金融機関から融資を受ける際は、企業グループ全体の経営状況を評価するために、連結財務諸表を活用します。

連結財務諸表は個々の企業の業績だけでなく、グループ全体の資金の流れや取引関係を詳細に把握できるため、企業の信用力を正確に評価できるからです。

連結会計で連結財務諸表を作成することで、金融機関はリスクを低減しつつ、安心して融資を行えます。

親子会社間の不正を防止できる

連結会計は、親会社と子会社間の不正取引を防止するために有効です。企業グループ全体の業績を一つにまとめられるため、虚偽の報告ができなくなります。

逆に連結会計しないと、親会社が負債を子会社に付け替えるなどの不正が起こり、財務状況が実際よりも良く見せかけられるリスクがあります。

しかし、連結会計をすることで、グループ全体の財務情報が透明化され、不正行為を防止できるのです。

連結会計をすると企業グループ全体の信頼性が向上し、株主やステークホルダーに対する情報開示の質が向上するため、不正防止と透明性向上を目指しましょう。

グループ全体の財政状況が明確になる

連結会計は、企業グループ全体の財政状況や営業成績を明確になります。

連結会計は、親会社と子会社などの全体的な経営状況を一目で確認できるため、経営課題の発見やキャッシュフローの改善につながり、簡単に経営戦略の立案ができるのです。

例えば、グループ内の各企業の業績を統合して分析することで、収益性の高い事業や改善が必要な事業を特定できます。

企業グループ全体の効率的な運営が実現し、キャッシュフローの改善や資金繰りの安定化が図れるのです。また、投資家にとっても連結会計はグループ全体の財政状態を正確に把握できるため、投資判断がしやすくなります。

連結会計をすることで、企業グループ全体の財政状況を明確にし、経営効率と透明性を高めましょう。

連結会計をするデメリット2つ

連結会計のメリットがあるのはわかったのですが、デメリットはないのでしょうか?

ここでは、連結会計をするデメリットを2つ紹介します。

監査を受けないといけない

連結会計をすると、連結計算書類の作成義務がある会社や有価証券報告書の提出を義務付けられている会社は、監査役や会計監査人による監査を受ける必要があります。

監査を受ける理由は、連結財務諸表の正確性と信頼性を保証するためです。

しかし、監査を受けるには、企業は追加のリソースや費用を投じないといけません。

予算のある企業であれば、連結決算書類を効率的に作成するためのシステムを導入して備えられますが、中小企業や資金に余裕のない企業は、監査対応が負担になります。

連結会計をする企業は、監査を受けることを前提に準備をしておきましょう。

連結財務諸表の作成負担が大きい

連結会計をする際の大きなデメリットの一つは、連結財務諸表の作成負担が大きいことです。

連結財務諸表を作る負担が大きくなるのは、一つの企業だけでなく複数の子会社の業績をまとめる必要があり、経理などの事務作業が増えるからです。

例えば、子会社が複数ある場合、それぞれの財務データを収集し整合性を確認する作業は膨大です。さらに、グループ内の取引を相殺するための連結修正も必要になる可能性があるため手間がかかります。

連結財務諸表を作成する負担を軽減するためには、連結会計システムの導入が有効です。子会社の情報収集を効率化し、データの統合や分析を自動化することで、作業時間を大幅に短縮できます。

連結会計をする企業は、効率的なツールを導入し負担の軽減を目指しましょう。

連結会計の流れ・やり方

連結会計をするには正しい流れ・やり方があります。

ここでは、正しい連結会計の流れ・やり方をステップ形式で解説します。

親会社が子会社の個別財務諸表を収集する

連結会計は、親会社が子会社の個別財務諸表を収集することが最初の一歩です。

まず、グループ会社がそれぞれ個別財務諸表を作成する際は、会計方針を統一しておきましょう。なぜなら、異なる会計方針を採用すると、あとで連結する際に数字が実態と大きくかけ離れてしまうリスクがあるからです。

会計方針を統一できたら、親会社が子会社から個別の財務諸表やグループ間の取引情報を収集し統合します。

収集する際は、各子会社が同じ会計基準に基づいて財務諸表を作成していることを確認しましょう。子会社の数が多い場合は情報収集に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを設定することが大切です。

親会社が子会社の個別財務諸表を収集し、会計方針を統一することは、グループ全体の財務状況を正確に反映し、信頼性の高い連結財務諸表を作成することにつながります。

親子会社の財務諸表を合算する

子会社から個別の財務諸表を収集したら、親子会社の財務諸表を合算しましょう。

ただし、企業グループ全体の財務状況を正確に把握するために、いくつかの調整が必要です。

まず、各企業の財務諸表を合算する際は、海外の関連会社の財務諸表は円換算する必要があります。為替レートの変動を考慮し、適切なレートで換算する必要があります。

また、決算期が異なる関連会社がある場合には、時期の調整が必要です。会社法により決算期が3か月以内であれば、企業ごとの決算期を統一せずともそのまま連結処理を行えます。

親子会社の財務諸表を合算することで、グループ全体の財務状況を正確に把握しましょう。

連結調整仕訳を行う

連結調整仕分けは、親会社と子会社の財務諸表を正確に統合するために必要な作業です。

連結調整仕分けを行うことにより、企業グループ全体の正確な経営成績と財政状態を反映できます。

まず、親会社と子会社間の取引を調整する必要があります。連結調整仕訳の方法は2つです。

  • 資本連結:親会社の投資と子会社の資本を相殺し、子会社の剰余金などの変動を反映させる
  • 成果連結:グループ会社間の取引を相殺し、未実現損益を消去する

連結調整仕訳を行うことで、グループ全体の財務状況が正確に反映されるため、透明性の高い連結財務諸表を作成できます。

企業グループ全体の財務状況を正確に把握することで、信頼性の高い連結財務諸表を作成し透明性を高めましょう。

連結財務諸表を作成する

連結調整仕訳が完了したら、連結財務諸表を作成しましょう。

連結財務諸表は、親会社と子会社の財務諸表を合算することで、グループ全体の財務状況を正確に反映した財務諸表が完成します。

連結調整仕訳をしたことで、グループ会社間の取引の相殺や未実現損益の消去を行っているため、連結財務諸表の作成は比較的シンプルな作業です。

ただし、勘定科目が多くなる場合があるので注意が必要です。

連結財務諸表で作成する書類の一例は以下のとおりです。

  • 連結貸借対照表
  • 連結損益計算書
  • 連結キャッシュフロー計算書

上記の書類は、企業グループ全体の経営成績や財政状態を明確に示しているため、経営者や投資家にとって重要な情報源です。

連結財務諸表は、勘定項目の整理を行い、信頼性の高い連結財務諸表を作成しましょう。

連結会計の3つのポイント

正しい連結会計をするにはいくつか押さえておくべきポイントがあります。

ここでは、連結会計を正しく行う3つのポイントを解説します。

会社間の会計処理の手続きを統一する

連結会計をする際の重要なポイントの一つに、親子会社間で会計処理の手続きを統一することがあります。

会計処理の手続きを統一するのは、各企業が異なる会計ルールや処理方法を使用していることにより、無駄な時間と労力がかかってしまうからです。

例えば、親子関係がある各企業それぞれが独自の会計書類を作成してしまうと、連結作業時にそれぞれの企業ごとの処理方法を確認し調整する作業が必要です。

各企業の会計処理の方法を確認・調整する作業を避けるには、各企業に同じ会計ツールを導入して書類を作成することで、スムーズな連結会計ができます。

もし同じソフトを導入するための費用がない場合でも、手続きのマニュアル化を行い同じルールに従って会計処理を行うことが重要です。

統一されたルールに基づく会計処理を行うことで、連結作業の手間を省き、正確な財務情報を提供できるでしょう。

会社間でスケジュール共有を徹底する

連結会計をスムーズに実施するためには、グループ会社間でスケジュールの共有を徹底しましょう。

連結財務諸表を作成するために、各子会社から必要な書類を集める必要があるからです。

連結財務諸表を子会社から集めるには、決算期の早い段階から子会社と連絡を取り合い、必要なデータ提出の期限を設定することが重要です。

また、共有するスケジュールには明確なマイルストーンを設定することで、万が一遅れが発生した場合でも早期に対策を講じられます。

もし親会社が単独でスケジュールを立てて作業を進めてしまうと、子会社への報告が間に合わず、期日までに決算書類を完成させることができない可能性があります。

連結会計を成功させるためには、親会社と子会社間でスケジュールを共有し、密なコミュニケーションを図ることが不可欠です。

会社間の取引を定期的に集計する

正しい連結会計をするためには、親子会社間の取引を定期的に集計することが大切です。

定期的に集計することで、各企業の会計情報の整理がしやすくなり、連結会計をする際のミスが少なくなります。

前回の決算月からまとめて取引情報を集計するとミスのリスクが高まりやすくなるため、可能であれば月に一度、親子会社間の取引を集計し、連結作業を行うことがおすすめです。

また、定期的な集計は、連結財務諸表の作成プロセスもスムーズに進められるため、決算期に集中する作業量を分散し、効率的な業務運営が可能です。

会社間の取引を定期的に集計することで、ミスのリスクを軽減させ、連結会計を効率的に進められます。

連結会計ツールを使って正しく連結財務諸表を作ろう!

連結会計を正しく行うことで、企業グループ全体の財務状況を正確に把握できるため、経営戦略の立案や透明性の向上につながります。

しかし、連結会計を正しく行うには多くの時間と労力がかかるため、連結会計ツールを活用するのがおすすめです。

連結会計ツールを使えば、連結会計のデメリットや押さえるべきポイントをカバーしてくれます。

  • 親子会社間の会計処理の統一や取引の集計が自動化される
  • スケジュールの共有や連結調整仕訳の精度向上できる
  • 円滑に会計監査を進められる

中小企業でも手軽に導入できるツールが増えているため、コスト面での負担は心配いりません。

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