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プロラタ方式とは?返済の計算方法やパリパスとの違い、注意点を解説

プロラタ方式は返済の計算方法や処理の流れ、金融機関との交渉など実務上の理解が必要で、混乱する方も少なくありません。

本記事では、プロラタ方式の意味や現場でどのように使われるのか、返済方法やパリパス方式との違い、メリット・デメリットについて解説します。

プロラタ方式の基礎を理解し、金融や事業再生の仕組みについて理解を深める際の参考としてください。

プロラタ方式とは?

 

プロラタ方式の「プロラタ(pro rata)」とはラテン語に由来する言葉で、「比例・按分」という意味があり、複数の債権者が存在する場合に、債務者の返済資金を各債権者の債権額の割合に応じて配分する方法のことです。

企業の資金繰りが厳しい場合や事業再生の局面で活用されることが多く、金融機関同士の利害関係を調整する手段として重要な役割を果たします。

例えば、企業が3つの金融機関から借入をしており返済できる資金が十分ではない場合、各金融機関への返済額を借入残高の割合に応じて分配します。

借入額が大きい金融機関には多く返済し、借入額が小さい金融機関にはそれに応じた返済額を配分することで、債権者間の公平性を保てます。

また、返済条件の見直しやリスケジュールを行う際にも、債権者間の公平性を確保するための方法として採用される場合があります。

パリパス方式との違い

パリパス方式とは「pari passu(同順位)」というラテン語が語源であり、債権者が同じ順位の債権を持つ場合、特定の債権者だけを優先せず、同じ条件で返済を受けるという原則を意味します。

プロラタ方式と似ている部分もありますが、両者は返済方法に関する考え方が異なるため、区別して理解する必要があります。

パリパス方式は債権の順位が同じであることを前提に、すべての債権者が同等の権利を持つという考え方を重視する傾向です。

企業の事業再生や金融交渉の場面では、プロラタ方式かパリパス方式を採用するかによって、金融機関への返済の配分や債権者の負担が変わる場合があります。

企業が金融機関と返済条件を協議する際には、それぞれの仕組みや特徴を理解したうえで適切な方式を検討してください。

プロラタ方式が使われる場面

プロラタ方式は複数の金融機関や債権者が関係する資金調整や返済交渉の場面で活用され、代表的な利用場面のひとつが、企業の事業再生や債務リスケジュールです。

企業が資金不足に陥った場合、金融機関と協議して返済条件を見直す「リスケジュール(返済条件変更)」を行うことが一般的です。

限られた資金をどの金融機関にどのように返済するかを決める必要があり、プロラタ方式を採用することで債権額の割合に応じた公平な返済ができます。

また、特定の金融機関だけが優先的に返済を受けると、他の金融機関の同意を得ることが難しいかもしれません。

その際、金融機関同士の公平性を保つために、債権額に応じて返済を配分するプロラタ方式が採用されやすいです。

事業再生や資金調整の場面では、債権者間の公平性を確保しながら返済計画を進めるための方法として重要な役割を果たしています。

事業再生でプロラタ方式が採用される理由

企業の事業再生では、複数の金融機関が関与する場合が多く、債務の返済方法をどのように調整するかが課題です。

以下では、事業再生の場面でプロラタ方式が採用される主な理由について解説します。

金融機関間の公平性

特定の金融機関だけが優先的に返済を受けると、他の金融機関との間で不公平が生じ、再生計画への同意が得られない可能性があります。

プロラタ方式は、各金融機関の貸付額に応じて返済額を比例配分する仕組みであるため、すべての債権者を公平に扱えます。

複数の金融機関がそれぞれ異なる金額を貸し付けている場合、返済資金を貸付残高の割合に応じて配分すると、特定の金融機関だけが不利になる状況を防げます。

公平な返済配分を行うことで、金融機関同士の信頼関係を保ちながら再生計画を進められます。

再生可能性の確保

プロラタ方式は、企業が返済できる範囲で資金を配分できるため、事業の継続と再生の可能性を高められます。

企業の事業再生では、借入金を返済するだけでなく、事業を継続しながら企業価値を回復させることが大切です。企業が過度な返済負担を抱えないよう、返済計画を適切に調整しなければなりません。

企業が限られた資金しか確保できない場合でも、プロラタ方式を採用すれば、その資金を債権額の割合に応じて金融機関へ配分が可能です。

プロラタ方式の返済方法

プロラタ方式による返済方法は、主に「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2つに分類されます。

複数の金融機関が関与する融資において、返済資金を債権額の割合に応じて配分する点は共通していますが、どの基準で返済額を決定するかによって配分方法が異なるため、それぞれの特徴の理解が重要です。

以下では、プロラタ方式の代表的な返済方法である残高プロラタと信用プロラタについて解説します。

残高プロラタ

残高プロラタとは各金融機関の貸付残高の割合に応じて返済額を配分する方法で、プロラタ方式のなかでもっとも基本的な仕組みであり、多くの事業再生の場面で採用されています。

企業が複数の金融機関から借入をしている場合、それぞれの金融機関の貸付残高を基準として返済資金を比例配分します。

例えば、A銀行が1億円、B銀行が5,000万円、C銀行が5,000万円の融資を行っていると仮定した場合、返済できる資金が2,000万円であれば、それぞれの貸付残高の割合に応じて返済額が決まります。

残高プロラタは、各金融機関の債権額に応じて公平に返済が行われるため、金融機関間のバランスを保ちやすいという特徴があります。

事業再生や私的整理など、複数の金融機関の合意が必要となる場面で利用されることが多い返済方法です。

信用プロラタ

信用プロラタとは、金融機関ごとの信用リスクや融資条件などを考慮して返済額を配分する方法です。

残高プロラタが貸付残高のみを基準に返済額を決めるのに対し、信用プロラタでは金融機関の信用力や担保の状況、融資の性質などを踏まえて配分が調整されます。

同じ企業に融資している金融機関でも、担保付き融資と無担保融資ではリスクの大きさが異なる場合があります。

金融機関同士の協議によって返済割合を調整し、リスクの高い融資を行っている金融機関に配慮した返済配分を行うことがあります。

信用プロラタは、金融機関ごとの立場や融資条件を考慮できる柔軟な仕組みである一方、配分方法を決めるための交渉が必要です。

プロラタ方式のメリット・デメリット

プロラタ方式は、返済を公平に配分できるため、債権者間のバランスを保ちながら返済計画を進められる点が特徴です。

一方で、プロラタ方式には実務上の課題も存在します。以下では、プロラタ方式の主なメリットとデメリットについて解説します。

メリット

プロラタ方式のメリットは、金融機関間の公平性を確保しやすい点です。

複数の金融機関が同じ企業に融資している場合、特定の金融機関だけが優先的に返済を受けると、他の金融機関との間で不公平が生じる可能性があります。

プロラタ方式では、貸付残高の割合に応じて返済額を配分するため、すべての債権者を公平に扱えます。金融機関間の合意形成を得やすい点もメリットのひとつです。

公平な配分ルールを採用すると、金融機関同士の利害関係を調整しやすくなり、再生計画への同意を得やすくなります。

企業には、限られた資金の中で無理のない返済計画を立てやすくなる点もメリットです。

デメリット

プロラタ方式は、金融機関同士の調整が必要になり、返済計画の決定までに時間がかかる可能性が高いです。

金融機関の数が多い場合、それぞれの立場や条件を調整する必要があり、交渉が複雑になりがちです。

担保付き融資と無担保融資など金融機関ごとの条件が異なる場合には、単純な比例配分では調整が難しい場合もあります。

プロラタ方式を採用しても、企業の資金状況が大きく改善しなければ根本的な問題の解決にはならない可能性がある点は留意が必要です。

プロラタ方式導入までの交渉手順

プロラタ方式を導入するためには、企業と金融機関との間で慎重な交渉と調整が必要です。

以下では、プロラタ方式を導入するまでの一般的な交渉手順について解説します。

担保状況の整理

プロラタ方式の導入を検討する際は、どの資産が担保として設定されているのか、どの金融機関が優先的な権利を持っているのかを把握しなければなりません。

担保の状況によっては、金融機関ごとの立場やリスクの大きさが異なるため、返済配分の方法にも影響を与えます。

特定の金融機関が強い担保を持っている場合、その金融機関は通常よりも優先的な立場にあると考えられます。

状況を理解しないまま返済計画を提案すると、金融機関の同意を得ることが難しくなる可能性が高いです。企業は自社の資産や担保の状況を正確に把握し、金融機関ごとの債権の状況を整理してください。

金融機関との協議

担保状況や財務状況を整理した後は、金融機関との協議を進めましょう。

プロラタ方式は複数の金融機関の合意を前提とするため、企業は各金融機関と丁寧にコミュニケーションを取りながら返済条件について説明する必要があります。

企業の資金状況や事業の将来性、再生計画などを具体的に示すことで、金融機関の理解を得やすいです。

また、金融機関ごとに融資条件やリスク認識が異なるため、それぞれの立場を踏まえた交渉が求められます。場合によっては、金融機関同士で協議を行いながら返済配分の方法を決めます。

企業は、すべての金融機関が納得できる形で合意形成を進めることが大切です。

リスケジュール交渉

金融機関との協議が進んだ後は、リスケジュール交渉を行います。

企業の資金繰りが厳しい場合、当初の返済計画のままでは事業継続が難しくなるため、金融機関と協議して現実的な返済計画を作成しなければなりません。

プロラタ方式を採用すると、返済資金を債権額の割合に応じて配分し、金融機関間の公平性を保てます。

金融機関が再生計画に同意すれば、企業は新しい返済スケジュールに基づいて事業の立て直しを進められます。

プロラタ方式を導入する際に確認すべきポイント

以下では、プロラタ方式を導入する際に確認すべきポイントについて解説します。

担保の内容と優先順位の整理

プロラタ方式を導入する前に、企業が提供している担保の内容や優先順位を整理しましょう。

金融機関は融資を行う際に、不動産や設備、売掛金などの資産を担保として設定している場合があります。

担保には優先順位があり、どの金融機関が優先的に回収できる権利を持っているかによって、返済交渉の内容が変わる可能性が高いです。

企業は担保の種類や設定状況、優先順位などを事前に整理し、金融機関との交渉に備えましょう。

各金融機関の立場と影響力の分析

プロラタ方式を導入する際には、各金融機関の立場や影響力を把握することも大切です。

企業が複数の金融機関から借入をしている場合、それぞれの金融機関の融資額や関係性、取引年数などによって立場が異なることがあります。

メインバンクの存在や金融機関の規模によっても、交渉における影響力が変わる可能性があります。

企業は、各金融機関の立場を理解しながら交渉を進めることで、合意形成をスムーズに進められます。

返済条件の見直しや追加融資の見通し

プロラタ方式を導入する場合、返済条件の見直しや追加融資の可能性についても検討しなければなりません。企業の再生計画によっては、新たな資金調達が必要になる場合もあります。

追加融資が実現すれば、企業の資金繰りを改善し、事業の立て直しを進めやすくなります。

しかし、金融機関が追加融資を行うかどうかは、企業の再生可能性や将来の収益見通しによって判断されるため、現実的な事業計画や資金計画が必須です。

専門家に相談すべきタイミング

プロラタ方式の交渉は、金融や法務の専門知識が必要になる場合が多いため、適切なタイミングで専門家に相談しましょう。

事業再生や債務整理の場面では、弁護士や公認会計士、中小企業診断士などの専門家が、財務状況や法的リスクを分析し、金融機関との交渉をサポートしてくれます。

早い段階で専門家に相談すると、適切な再生計画を策定しやすくなるというメリットもあります。

資金繰りが深刻化してから対応するよりも、問題が表面化した段階で専門家の助言を受けることで、より柔軟な選択肢を検討できます。

プロラタ方式に関するよくある質問

プロラタ方式は、事業再生や金融機関との返済交渉などの場面で使われることが多い仕組みですが、実際の運用や手続きについて疑問を持つ方も少なくありません。

以下では、プロラタ方式に関してよく寄せられる質問について解説します。

プロラタ処理とは具体的に何をする作業ですか?

企業が複数の金融機関から融資を受けている場合、返済資金が限られているときには、すべての金融機関に同額を返済することが難しい場合があります。

各金融機関の貸付残高に応じて返済額を比例配分する処理を行い、債権者間の公平性を保ちながら返済を進められます。

交渉では弁護士や税理士などの専門家が必要ですか?

プロラタ方式を導入する際、必ずしも専門家が必要ではありませんが、状況によっては専門家のサポートを受けることが望ましい場合があります。

弁護士は債務整理や法的なリスクの整理をサポートし、公認会計士や税理士は財務状況の分析や再生計画の作成を支援してくれます。

専門家が関与すると、金融機関との交渉をよりスムーズに進められる可能性が高いです。

プロラタ方式の基本を理解して返済交渉に備えよう

プロラタ方式は、複数の金融機関が関与する借入の返済を公平に配分するための重要な仕組みです。また、金融機関との交渉や事業再生の計画にも大きく関わる仕組みともいえます。

企業は自社の財務状況を正確に把握し、現実的な返済計画や再生計画の準備が欠かせません。必要に応じて専門家の助言も活用しながら、企業の将来を見据えた適切な判断してください。

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