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PMI(買収後の統合プロセス)とは?ガイドラインなどを解説

  • PMI(買収後の統合プロセス)とは何なのか?
  • PMIを進めるガイドラインはないのか?
  • PMIの失敗・成功事例を知りたい!

PMIは、M&A後の2つの企業が経営統合・業務統合、意識統合をバランスよく進めるために重要なプロセスです。

しかし、PMIに精通している人材は一般的な企業にあまりいないため、自社で実施するのは難しいです。

そこで、PMIを実施する買収についてもっと知りたい事業を営んでいる方のために、M&Aアドバイザリーとして日本を代表する企業やベンチャー企業にM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担ってきた「株式会社パラダイムシフト」が、PMIのメリット・デメリットやPMIのガイドライン、成功させるためのポイントなどを解説していきます。

具体的には、

  • PMIとは?
  • PMIのメリット・デメリット
  • PMIガイドライン・3ステップ
  • PMIを成功させる4つのポイント
  • PMIの失敗・成功事例
  • 「PMI 買収」についてよくある質問

を解説します。

この記事を読むことで、M&A後にシナジーを発揮させる「PMI」が理解でき行動することができます。

PMIとは?

PMIとは「Post Merger Integration」の略で、企業買収後の統合プロセスを指します。

PMIをすることで買収した企業と自社の経営方針や業務、組織、文化などを統合し、シナジー効果を最大限に発揮させることで企業価値を向上させることができます。

PMIは主に以下の5つのフェーズがあります。

  • 準備フェーズ:買収契約締結前の段階で、PMIの計画を策定します。
  • 実行フェーズ:買収契約締結後、PMI計画に基づいて、統合を実行します。
  • 統合フェーズ:買収から1年〜2年程度の期間で、統合を完了させます。
  • 定着フェーズ:統合が完了した後、統合効果を定着させます。
  • 評価フェーズ:PMIの成果を評価し、必要に応じて改善策を講じます。

PMIは、企業買収の成否を左右する重要なプロセスです。

PMIのメリット・デメリット6つ

PMI(買収後の統合プロセス)にはメリット・デメリットがあります。
下記ではメリット・デメリットを3つずつ解説します。

PMIのメリット3つ

PMI(買収後の統合プロセス)をすることでさまざまなメリットがあります。
下記では数々のメリットの中から3つ取り上げて解説します。

①新たな経営方針をスムーズに浸透させられる

PMIをすることで、新たな経営方針をスムーズに浸透させることができます。

PMIはプロジェクトの成功確率を高めるためのフレームワークなので、企業買収にPMIを導入することでプロジェクトの計画、実行、管理、評価を効率的かつ効果的に行うことができます。

また、PMIではプロジェクトのステークホルダーとのコミュニケーションを重視しているので、プロジェクトのステークホルダーの理解と支持を得やすくなり、新たな経営方針をスムーズに浸透させることができるのです。

②事業の効率化・売上拡大・コスト削減などが期待できる

PMIを導入することで、事業の効率化、売上拡大、コスト削減などが期待できます。

PMIはプロジェクトの計画が明確になり、実行が効率的になります。
また、プロジェクトの完了までの時間とコストを削減することができ、プロジェクトのリスクを事前に検出して軽減することができます。

つまり、プロジェクトの失敗を防ぐことができるので成功確率を高めることができます。

さらに、PMIではプロジェクトの成果を客観的に評価して改善につなげることができるので、事業の効率化や売上拡大、コスト削減などに繋げられます

③経営統合のリスクを減らせる

PMIをすることで経営統合後のリスクを減らすことができます。

経営統合の計画を明確にすることで、経営統合のリスクを事前に検出し軽減することができるからです。

PMIでは経営統合後の組織の混乱を防ぐための対策を講じることができるので、経営統合後の従業員の離職を防ぐこともできます。

つまり、PMIを導入することで経営統合の成功確率を高めることができるのです。

PMIのデメリット3つ

PMIにはメリットがあればデメリットもあります。
下記では数あるPMIのデメリットの中から3つを解説します。

①元の取引先との関係悪化

PMIのデメリットの1つ目は「元の取引先との関係悪化」です。

PMIをすることで、プロジェクトの計画や実行方法が変更される可能性があるからです。

例えば、元の取引先との間に合意していた契約内容がPMIの導入により変更された場合、元の取引先は利益を損なったり、プロジェクトの実行に必要なノウハウや技術を失ったりする可能性があるからです。

PMIを導入する際には元の取引先と十分にコミュニケーションをとっておく必要があります。

②経営体制の変化による従業員の混乱

PMIのデメリットの2つ目は「経営体制の変化による従業員の混乱」です。

PMIを導入することで従業員の役割や責任の変更、組織の再編が行われることで、従業員はこれまで慣れ親しんできた仕事のやり方や環境が大きく変化して混乱を招く可能性があります。

また2つの企業の文化や価値観が異なる場合、従業員同士の軋轢が生じる可能性があります。

PMIを行う際には、従業員の不安や懸念を解消して混乱を最小限に抑える対策を講じることが重要です。

具体的には、以下のような方法で混乱を最小限にできます。

  • PMIの目的や意義を従業員に明確に説明する
  • 経営体制の変更によるメリットを説明する

PMIの進行状況を従業員に定期的に伝えて従業員の意見や要望を吸い上げることで、混乱を最小限に抑えることができます。

PMIを行う際には、従業員の不安や懸念を解消するために事前にコミュニケーションを取っておきましょう。

③従業員のモチベーション低下

PMIのデメリットの最後は「従業員のモチベーション低下」です。

PMIは、2つの企業の経営体制を統一するため従業員同士の関係に亀裂が生まれたり不安や懸念が生まれたりするので、モチベーションが下がってしまいやすいです。

PMIを行う際には事前に従業員の不安や懸念を解消して、モチベーションを維持する必要があります。

PMI(買収後の統合プロセス)は企業の成長や競争力強化のために効果的な手段ですが、デメリットにも十分に注意しながら進めましょう。

PMIガイドライン・3STEP

PMI(買収後の統合プロセス)は効果的に進めるやり方があります。
下記ではPMIガイドラインと言える3STEPを解説します。

STEP①:統合の基本方針策定

PMIのガイドラインの1ステップ目は「統合の基本方針策定」です。

基本方針の策定はPMIの成功を左右する重要なステップで、以下の点を明確にする必要があります。

  • 統合の目的
  • 統合のメリット
  • 統合のスケジュール
  • 統合の予算
  • 統合の組織体制
  • 統合のコミュニケーション計画
  • 統合のリスク管理計画

基本方針を策定する際には、両社の経営陣が十分に議論して合意することが大切です。

基本方針を明確に策定することで、PMIの成功に大きく貢献することができます。

STEP②:ランディングプランを策定

PMIのガイドラインの2ステップ目は「ランディングプランを策定」です。

ランディング・プランとは、クロージング後3ヶ月〜6ヶ月以内に譲渡側だけでなく、譲受側での作業も含めて計画したものを指します。

ランディングプランを策定する場合は、以下の点に注意する必要があります。

  • 統合の基本方針に基づいて策定する
  • 実現可能で具体的なものである
  • 両社の経営陣が十分に理解し、合意できるものである
  • 定期的に見直し、必要に応じて修正する

ランディングプランはPMIの成功を左右する重要な計画なので、綿密にコミュニケーションを取って決めましょう。

STEP③:具体的な100日プランの策定

PMIのガイドラインの3ステップ目は「具体的な100日プランの策定」です。

100日プランとは、クロージング後100日間で策定する被買収企業の中期事業計画を指します。

M&Aは中期的な課題を整理しておくことが重要で、特にM&Aで経営改革を実施する場合に有効な手法となります。

具体的な100日プランを策定する際のポイントは以下の通りです。

  • 具体的な目標を設定する
  • 実現可能な計画を策定する
  • 時間軸を明確にする
  • リスクを管理する
  • 関係者の合意を得る

上記のポイントを押さえて100日プランを策定することで、M&A後の統合を効果的に進めることができるので企業の成長を加速させることができます。

PMIを成功させる4つのポイント

PMIを進める大枠のガイドラインが分かったところで、成功させるためのポイントを把握する必要があります。
下記ではPMIを成功させるための4つのポイントを解説します。

①統合日までにPMIを策定させる

PMIを成功させるポイントの1つ目は「統合日までにPMIを策定させる」ことが大切です。

PMI策定の目的は、M&A後の統合を円滑にして早期にシナジー効果を実現することができるからです。

M&Aを成功させるには両社の事業や組織、人材、文化などの情報を十分に把握して、統合後の経営戦略や組織体制、人事制度などを明確にする必要があります。

買収される会社の課題など把握ができる状態になったら統合日までに課題に対しての対応策などを洗い出し、プランの枠組みを作成していくことでスムーズにPMIの準備を進めることができます。

②各部署にPMIを実行する人材を充てる

PMIを成功させるポイントの2つ目は「各部署にPMIを実行する人材を充てる」ことです。

PMIは一般的な会社員ができるような作業ではないので、買収側の会社は買収された会社に派遣する人材を事前に検討して確保する必要があります。

一般的にPMIを経験した人材があまりいないので、M&AやPMIなどを専門にしている会社に依頼することで統合後の経営がスムーズに運びます。

PMIの難しい作業に適応できる人材を早い段階で選定・確保しておきましょう。

③業務オペレーションとシステムを統合させる

PMIを成功させるポイントの3つ目は「業務オペレーションとシステムを統合させる」ことです。

業務オペレーションやシステム統合などは、PMIの数多くの作業の中でも難しい取り組みと言われています。

業務効率化をするということは、従業員からすると自分の仕事がなくなる不安や業務変更は慣れるまで時間がかかるなど、ネガティブに感じられて協力を得るのが難しいです。

難しいと言われる業務オペレーションやシステム統合などをスムーズに行う際には、以下のポイントが押さえる必要があります。

  • 現場の従業員にヒアリングする
  • 両社にとってあるべき姿を設計する
  • 従業員の精神的ケアをする

M&A後の業務面は、社内システムをいかにスムーズに統合するかがポイントです。

また、総務や人事、財務などのシステムの変更は取引先にも影響を与えるため、統合後の効果をよく検証した上で最適な方法を選ぶ必要があります。

もし買収する側企業のシステムに統一する場合は、買収される企業の従業員の負担が大きくなるので業務フローやマニュアルを作成して業務の効率化を図りましょう。

④買収した会社従業員とのコミュニケーションを徹底する

PMIを成功させるポイントの最後は「買収した会社従業員とのコミュニケーションを徹底する」ことです。

M&Aを進める経営者同士が意気投合しても、実際に業務をする従業員の理解を得なければ成功はできません。

特にPMIは買収する側の会社だけの力で成功させるのは難しいので、買収される会社の従業員ともコミュニケーションを取って巻き込むことが必要です。

具体的には、M&Aを告知する際は従業員の精神的ダメージを考えましょう。

「代表者が変わる=役職や給料が変わる」という認識を持っている従業員は多いので、契約社員やアルバイトは不安になります。

M&AやPMIを進める過程では従業員に対する丁寧な説明を行い、雇用や会社の成長、待遇の変化などを知らせることで従業員の不満や不安を解消させます

PMIの失敗・成功事例

PMIは世界的に有名な企業でも失敗したり成功したりしています。
下記ではPMIの失敗・成功した事例をそれぞれご紹介します。

失敗した事例

下記で世界的な有名な企業も含めてPMIに失敗した事例をご紹介します。

①マイクロソフト

マイクロソフトはノキア携帯端末事業を買収した事例でPMIに失敗しました。

マイクロソフトはノキアブランドのユーザーや携帯開発力を取り込むことを買収の目的としていました。

しかし、マイクロソフトがノキアを買収した後も携帯端末市場でシェアの拡大に至っていません。

結果だけ見ると、後手に回ったハードウエア事業の買収や徹底されていない差別化で、ノキアのブランドを消滅させたPMIの失敗事例です。

②パナソニック

パナソニックは三洋電機の買収事例でPMIに失敗しました。

パナソニックによる三洋電機の買収は両社のノウハウ共有が目的ですが、三洋電機の暖簾わけ代として2,500億円を減損処理しました。

三洋電機の買収で失敗した原因は、リチウムイオン電池事業の価値とシナジー効果の低下です。

韓国の企業が安価なリチウムイオン電池を開発したことで業界シェアが奪われ、パナソニックと三洋電機の技術のシナジー効果は得られないと判明したことで失敗したのです。

成功した事例

下記ではPMIに成功した事例をご紹介します。

①楽天

楽天は他の企業が前向きにM&Aをしていなかった2000年代から、楽天トラベルや楽天証券などの前身である会社の買収事例でPMIに成功しています。

楽天がPMIに成功したポイントは、シナジーを効果的に発揮して業務範囲を広げられたことです。

インターネットや証券、旅行など数々の業界を結びつけて売上高向上・コスト面でシナジー効果を発揮させて成功しました。

②KDDI

KDDIは、自社の既存サービス間でPMIを行いシナジーを生むことで成功しました。

KDDIが成功したポイントは、既存事業間でM&Aを進めたことです。

M&Aでインフラを強化することで、ケーブルTVや携帯電話、インターネット回線サービスなどで自社サービスに幅を持たせて業績を拡大させることができました。

KDDIは現在も新たな企業価値を高めるための投資を進めています。

「PMI 買収」についてよくある質問

「PMI 買収」についてよくある質問は以下の通りです。

PMI業務とは何ですか?

PMIの業務は以下の通りです。

  • 買収契約締結前の段階でPMIの計画を策定
  • 買収契約締結後PMI計画に基づいて統合を実行
  • 買収から1年〜2年程度の期間で統合を完了
  • 統合が完了した後統合効果を定着
  • PMIの成果を評価して必要に応じて改善策を実行

PMIは企業買収の成否を左右する重要なプロセスです。

M&A後のPMIに関するおすすめの本は?

PMI(買収後の統合プロセス)に関するおすすめの本は以下の通りです。

  • 企業買収後の統合プロセス すらすら読めるPMI入門
  • M&Aの成功確率を高めるPMI
  • M&Aの勝者になるためのPMI

PMIの全体像や具体的な手順、成功事例などがわかりやすく解説されています。

PMI計画書の100日プランの立て方は?

PMI計画書の100日プランの立て方は以下の通りです。

  • 具体的な目標を設定する
  • 実現可能な計画を策定する
  • 時間軸を明確にする
  • リスクを管理する
  • 関係者の合意を得る

上記のポイントを押さえて100日プランを立てることで、M&A後の統合を効果的に進めることができます。

まとめ:M&AにPMIは必須!自社で実施するより専門の会社に依頼しよう!

PMIは買収後の統合プロセスを表す言葉で、PMIを成功させるためには経営統合や業務統合、意識統合の3つの柱をバランスよく進めることが重要です。

PMIは自社で実施することも可能ですが、一般的な企業はPMIの業務を理解している人材が少ないので難しいです。

しかし、M&A専門の会社はPMIの経験とノウハウを豊富に持っており、M&Aの成功に必要なサポートを提供することができます。

PMIの成功はM&Aの成功に繋がるので、PMIの策定に自信がなかったり迷ったりしている会社はM&A専門の会社に依頼しましょう。

 

M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。

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