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ネットフリックス決算から見る今後の動画配信市場を解説

ネットフリックスは、世界を代表する動画配信サービスです。現在では、誰もが知っているサービスと言っても過言ではないでしょう。しかし、近年のネットフリックスはユーザー数の増加に伸び悩んでいます。

今回の記事では、2023年第一四半期の決算情報や経済情報をお伝えします。合わせて、ネットフリックスが近年実施しているユーザー数を伸ばすための施策や、会社情報も詳しく紹介しています。

ネットフリックス第1四半期の決算

まずは、ネットフリックスの2023年第1四半期である今季の決算を見てみましょう。

ネットフリックス第1四半期の決算情報

  • 営業成績(累計)
2023年3月期第1四半期2022年3月期第1四半期前年比
売上高8,161.57,867.77+293.73
営業利益1,714.321,971.63-257.31
経常利益1,468.871,979.69-510.82
四半期純利益1,305.121,597.45-292.33
1株当たり四半期純利益2.883.53-0.65

単位:百万米ドル(1株当りの項目 単位:米ドル)

  • 財政状況
2022年12月2021年12月
一株益9.9511.24
総資産48,594.844,584.7
純資産46.6535.70

単位:百万米ドル(1株当りの項目 単位:USD)

増収も会員数の伸びはとどまる

2023年第一四半期のネットフリックスの決算について、新作のドラマなどが好調で増収し、売上高は想定内であったものの、有料会員数の伸びは昨年度の同時期を大きく下回る結果になりました。

上記の決算情報からも、売上高は黒字ですが、その他の項目である営業利益経済利益が赤字であることがわかります。

ネットフリックスは、この理由を以下の通りとしています。

  • ロシアなど北米での会員数が伸びなかった
  • 一部の国で導入したパスワード取締りの強化を開始した

これらの理由により、会員数が減少や解約数の増加につながったのです。

しかし、パスワード取締の施策をカバーするために、広告付きプランをリリースする対応策も導入し、成長の鈍化を阻止する計画を実行しています。

この2つの施策は実際にどのようなものなのでしょうか?次の章で詳しく見てみましょう。

ネットフリックスが実施した新しい施策とは?

この章では、上記でも紹介したネットフリックスの近年の施策であるパスワード共有の取締計画と、広告付きプランの導入について詳しく解説します。

パスワード共有の取締計画

一つ目の施策であるパスワード共有の取締計画について紹介します。

パスワード共有とは、パスワードをシェアして1つのアカウントで複数人が視聴する状態を指します。

ネットフリックスはパスワードを共有して、利用料を支払わずにアカウントを使用し視聴しているユーザーが1億人程度いるとの見方を示しています。

なぜこんなにもパスワードを共有するユーザーが多いのでしょうか?それには、元々ネットフリックスがこの行為を認めていた経緯があるためです。

しかし、ユーザー数の鈍化・減少に伴いパスワードの共有を禁止すると同時に追加料金を支払うことで視聴ヶ所を増やすサービスも開始しました。これにより、利用者数と収益を伸ばすことを目的としています。

当初は南米やカナダ、ニュージーランドなど一部の地域で試験的に開始されたこの施策も、対象の地域を拡大しました。2023年時点では、すでに100カ国以上でパスワードの共有禁止を開始しています。

広告付きプランの導入

もう一つの施策は、広告付きプランの導入です。これは、広告を付けることにより、利用料を低価格に設定するプランです。

動画配信市場の競合他社では、すでに多くの同サービスで広告付きプランを導入しています。ネットフリックスは広告付きプランの導入に否定的だったものの、ユーザー数の伸び悩みにより、その打開策として広告付きプランの導入を決定しました。

このプランは2022年に日本を含む10ヶ所程度の国で導入されています。また、このプランの導入をきっかけにマイクロソフトと提携して、技術開発や営業協力をすることも発表されました。

広告付きプランは、1時間に平均4〜5分の広告が流れ、作品のダウンロードが出来ない替わりに通常のプランより200円価格を下げて導入されています。

現在のところ、広告付きメニューを導入したことによる効果ありません。しかし、ネットフリックスでは、パスワードの共有禁止によりユーザー数が増加することと、広告付きメニュー導入の効果は2023年度中には発揮されると予測しています。

ネットフリックスの会社情報

次に、ネットフリックスの会社情報について見てみましょう。

ネットフリックスはアメリカ合衆国の主要IT企業であり、世界中で大きな影響力を持ちます。WebサイトによるDVDレンタルサービスを世界で初めて実施した企業です。2007年から動画ストリーミングの配信サービスを開始し、2023年時点での加入者数は2億3250万人にもなりました。

そして、現在ではドラマやアニメなどオリジナルコンテンツの制作・配信も手掛けています。

設立1997年8月29日
創設者リード・ヘイスティングス・マーク・ランドルフ
本社アメリカ カリフォルニア州
従業員数12,135人(2021)
業種映画製作・映画配給・テレビ制作・テレビ配給

出典:Netflix|Wikipedia

日本では2015年に動画ストリーミングサービスが開始されると同時にネットフリックス株式会社が設立されました。現在では、ネットフリックス合同会社に変更となっています。

その後、他の国同様、オリジナルドラマの制作・配信している他、日本発のオリジナルアニメを制作・配信したことでも話題になりました。

2020年には、スタジオジブリの配信権も獲得して日本以外の世界191カ国で配信されています。

これまでの主な歴史

次に、ネットフリックスの主な歴史について解説します。

1998年WebサイトによるDVDレンタルサービス開始
2005年一日のDVDレンタル数が100枚に昇る
2007年動画ストリーミング配信サービス開始
2013年インターネット界のアカデミー賞とも呼ばれるウェビー賞を受賞
2013年オリジナル作品の制作と配信を開始
2015年日本でのストリーミング配信を開始
2017年日本発のアニメ作品配信を発表
2021年ゲーム開発会社「ナイト・スクール・スタジオ」を買収、ゲーム業界に進出
2022年パスワード・シェアリング禁止、広告つきベーシックプラン導入
2023年有料会員数は2億3250万人、DVDレンタルサービス終了

出典:Netflix|Wikipedia

ネットフリックスは成熟する動画配信市場でどのように生き残るのか

今回ではネットフリックスの2023年第1四半期の決算情報について触れながら、近年のネットフリックスの施策について詳しく紹介しました。

ネットフリックスは近年ユーザー数の伸びに悩んでおり何らかの施策が必要でした。そこで打ち出したのがパスワードの共有禁止広告プランの導入です。

パスワードの共有禁止により解約しようとするユーザーを広告付きプランでつなぎとめるネットフリックスの施策は効果が現れるのでしょうか?

現在の動画配信市場は成熟し発展スピードが落ちていると言わざるを得ません。こうした中でネットフリックスはどのように生き残る道を探し出すのか、今後の動きに注目する必要があるでしょう。

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