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住宅業界におけるM&Aの現状や今後の動向・売却先について

今、住宅業界のM&Aが活発になってきていることをご存じでしょうか。

住宅業界にはさまざまな事業がありますが、どの事業においても買収や合併、M&Aが積極的に行われています。

住宅業界を営んでいる経営者で、経営がなかなかうまくいっていない、先行きが不安、リソースを割けないなどの理由から事業撤退を考えている場合は、まず事業売却の選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

本記事では住宅業界のM&Aの現状や今度の動向、売却先の探し方、相場を解説します。

住宅業界とは

住宅業界とは一般的に、居住用の戸建て住宅に関連する業種を指します。

住宅業界には主に、ゼネコンと呼ばれる総合建設業やハウスメーカーの他に、工務店やビルダー、建築設計事務所などさまざまです。

住宅業界のM&Aについて触れる前に、それぞれどのような違いがあるかを解説していきます。

ゼネコン(総合建設業)

ゼネコンは、「General Contractor=ゼネラル・コントラクター」の略称で、建設以外の土木工事や電気工事などのさまざまな工事を手がける総合建設業です。

ハウスメーカーや工務店は、土木工事や電気工事の許可を保有していないので、ゼネコンには該当しません。

現在全国100社以上もあるゼネコンですが、その中でも大手5社(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店)は、スーパーゼネコンと呼ばれていて、売上高は1〜2兆円を超えます。

ハウスメーカー

実は、ハウスメーカーには正式な定義はありません。住宅メーカーとも呼ばれており、主に自社ブランドの住宅や、ハウスメーカーが所有している土地を販売するのが仕事です。

広域もしくは全国展開している場合が多く、ある程度の住宅プランや設計などが固まっています。三菱地所や積水ハウス、住友不動産などがハウスメーカーに該当します。

工務店

ハウスメーカーが全国型なのに対して、工務店は地域密着型であることがほとんどです。ハウスメーカーよりも自由度が高い家を建てられるのが特徴です。

設計や建築に特化しているため、土地探しや住宅ローンなどは関与していないことが多く、施主が別で不動産屋や金融機関に依頼する必要があります。

ビルダー

ビルダーとは、ハウスメーカーと工務店の間くらいの規模の住宅建築会社のことを指し、ホームビルダー・ハウスビルダーという呼び名もあります。例えば首都圏だと、東栄住宅や飯田産業などがビルダーに該当します。

パワービルダー

床面積30坪程度の土地付き2階建て住宅を、2,000〜4,000万円程度の価格で分譲する住宅販売業者のことをパワービルダーと呼びます。

1次取得者層をターゲットにしており、代表的なパワービルダーが飯田グループホールディングスです。

建築設計事務所

建築設計事務所は、建築物の設計から工事監理を行う会社で、施工は行いません。建築家が在籍しており、会社の規模は大小さまざまです。

工務店と同様、土地探しや住宅ローンなどについては関与していないことが多いため、施主が別途不動産業者や金融機関を探す必要があります。

住宅業界におけるM&Aの現状

実は近年、住宅業界のM&Aは活発になってきています。あらゆる業界の動向をレポートでまとめている業界動向サーチによると、2020年の住宅業界のM&A・再編・合併事例は7件だったのに対し、2021年は16件と、2倍以上に伸びています。

この背景の一つとして、住宅業界の競合へ勝つための経営戦略・競争が盛んになってきていることが考えられます。

実は、住宅業界の市場規模は実際には縮小傾向にあります。高齢化と少子化により、国内の人口がどんどん減少していることが一つの要因です。

人口が減少すれば住宅業界も需要も必然と減ってきます。それでも、競合他社に負けていられまいと、M&Aでの買収や合併・吸収を試み、会社を大きくしていこうとする企業は多いのです。

住宅業界の今後の動向について

住宅業界は非常に単価の高い商品のため、景気に左右されやすい特徴があります。

新型コロナの影響もあり、売上高は落ち込んでいると思われがちですが、国土交通省の建築着工統計調査報告(令和3年計)によると、令和3年の新設住宅着工は増加しています。

持家(前年比9.4%増)、貸家(前年比4.8%増)、分譲住宅(前年比1.5%)、それぞれ前年比増加しており、地域別に見ても全国的に増加傾向にあります。

令和2年の数字が落ち込んでいたというのもありますが、在宅ワークの定着で郊外へ住居を移す人が増えているというのも背景にあるようです。

コロナの収束を狙って大手企業がM&Aや再編に動きを見せている今、住宅業界の会社売却の選択肢は経営戦略として有効と言えるでしょう。

住宅業界の売却先は?

住宅業界の売却先は主に大手住宅関連企業への売却になりますが、成長している中小企業や関連業種への売却も可能です。

大手の住宅建設企業への売却

大手の住宅建設企業によるM&Aは、2021年特に活発でした。国内企業のみならず、海外の住宅会社や木材企業の買収も行われています。

中小の住宅建設企業への売却

急成長している中小企業によるM&Aも積極的に行われております。将来的に全国展開を目指している地方の企業が、拡大のために建設会社を買収するという事例もありました。

事業拡大を図っている住宅企業を見つけたら、売却を持ちかけてみると話が進むかもしれません。

関連業種への売却

その他だと、住宅企業に限らず、関連業種への売却も可能です。住宅事業以外でのシナジー効果を見込んだM&Aというのも、行われています。

住宅業界の事業を売却するメリット

住宅事業を売却を検討する前に、メリットやデメリットについても理解しておく必要があります。

メリットとしては

  • 会社売却により資金調達が可能
  • 不採算事業の切り離しができる
  • 他事業に専念できる

と言ったことがあげられます。

会社売却により資金調達が可能

M&Aを検討する理由の多くに、資金調達をしたいと考える経営者は少なくありません。

売上も利益も出ている会社であれば、金融機関からの融資や投資家からの援助よりもはるかに効率的に資金調達可能です。

不採算事業の切り離しができる

景気の悪化でコストもかかり、人員も割きづらいという時、一刻も早くその事業を切り離したいと思う経営者もいるでしょう。

M&Aで事業を売却することで、不採算事業の切り離しができるのがメリットの一つです。

他事業に専念できる

不採算事業の切り離しによって、他事業に専念できます。

今まで費やしてきたコストや時間を他事業に使うことによって、既存事業や新事業に力を入れられます。

住宅業界の事業を売却するデメリット

デメリットとしては

  • 売却手続きに費用や時間がかかる
  • 従業員をどうするのか決めなければいけない
  • 売却後数年は同業を営むことができない(競業避止義務)

などがあげられます。

売却手続きに費用や時間がかかる

会社や事業の売却は早くても1ヶ月以上〜長いと1年以上かかるケースもあります。また、会社の規模によっては大掛かりなデューデリジェンスが必要になる場合もありますので、時間だけでなく、専門家への依頼費用もかかってきます。

従業員をどうするのか決めなければいけない

単純に会社を売却できればいいというわけではありません。既存で働いている従業員や役員をどうするか考えなくてはいけません

買い手へ引き継ぐのか、残った別の事業や部署へと異動するのかなど、しっかりと考える必要があります。

売却後数年は同業を営むことができない(競業避止義務)

M&Aで最も気をつけなければならないと言っても過言ではないのが、競業避止義務についです。

競業避止義務は会社法21条で定められているもので、簡単に言うと、譲渡後向こう20年間は同地域で同業を営んではいけないという法律です。

必ずしも20年間という期間を守らなければいけないわけではなく、期間については買い手との協議で決め、契約書に盛り込むことで10年や5年に設定も可能です。

住宅業界の事業を買収する側のメリット

売却する際には、買収する側のメリットも知っておくことで、交渉材料にもなります。

  • 事業拡大がスムーズ
  • 未開拓地域に強くなれる
  • 安定した人材の確保

それぞれについて補足していきます。

事業拡大がスムーズ

売却事業が、買い手の事業者がまだ参入していない住宅業界だった場合、買い手にとっては新事業を1から始める必要がありません

すでに構築されていて、マネタイズもされている事業であれば、積極的に買収したいと思うでしょう。

エリアの拡大や特定の地域に強くなれる

エリアの拡大や全国展開を目指している住宅企業は、まだ未開拓の地域や、より力を入れたい地域の住宅事業の買収に興味を持ちます。

買い手側からしたら、市場調査・人材採用・人材教育などが不必要になるので、事業買収は大きなメリットとなります。

安定した人材の確保

住宅業界は人材不足が頻繁に起こりやすい業種でもあります。事業買収をすることによって、優秀な人材を確保することができ、買収会社により大きいメリットをもたらします。

住宅業界のM&A相場について

住宅業界のM&Aの相場に関しては、他業種のM&A同様、目安となる相場はありません。通常、株式譲渡の場合はコストアプローチやマーケットアプローチ、インカムアプローチなどの算出方法を用いて、売却価格を算出します。

住宅業界においても同じで、会社の財務状況を見て、その事業に見合った価額を計算します。

売り手は少しでも高く売りたいですし、買い手は少しでも安く買いたいはずなので、間を取り持ってくれる仲介業者に依頼すると安心です。

住宅業界のM&Aは今後も活発化していく可能性あり

住宅業界のM&Aは今後も活発化していく可能性は十分あります。

新型コロナやロシア・ウクライナの戦争問題によって、ウッドショックや輸入制限、その他資材の高騰など、経営にダメージを受けている中小企業は少なくないでしょう。

これ以上経営を立て直すのが厳しいと感じた場合は、一度事業売却の選択肢も視野にいれるべきです。

売上が極端に落ちてしまうと、その分会社の価値が下がっていきます。取り返しつかない状況になる前に、一度M&Aの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

M&Aで自社を売却したいと考える経営者や担当者の方は、ぜひ弊社パラダイムシフトへお問い合わせください。

パラダイムシフトは2011年の設立以来、豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。候補先企業様のファインディング、デューデリジェンスの実施などのM&A全般の交渉をサポートするほか、買い手企業様の希望に柔軟に対応しながら、ニーズに沿ったM&A支援を行います。