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債務超過による貸借対照表の必要性とは?

債務超過ってなに?会社の経営が忙しくて知らない間に債務超過になっていたということにならないように貸借対照表の見方や、債務超過と間違いやすい資金ショートや赤字、債務不履行についても解説しています。

また債務超過になった場合、どうすれば会社を存続していけるのか、どのような方法があるのかも私的な方法と法的な方法を解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

目次

債務超過による会社への影響とは?

負債が超過

債務超過とは、債務が超過したことを意味します。

気づいたら返済ができなくなっていた、そのような場合どうすればいいのでしょうか。

債務超過とはどういうことなのか?

会社を経営している、あるいは個人事業主として事業所得を得ている場合には確定申告をする時に決算書の提出が必要となります。

会社の状況はこの決算書によって把握することができます。

決算書にはいろいろな種類がありますが、大きく2つに分けることができます。

貸借対照表と損益計算書という仕分けの仕方があります。

この債務超過とは貸借対照表で見られる仕分けの現象であり、この言葉の通り債務が超過したことを意味します。

会社の資産よりも負債の方が大きくなっていき、現状持っている資産では負債を返せない状況になっていることです。

会社の資産が10億円だったとして、負債が12億円だとしたら、マイナス2億円の債務超過です。

貸借対照表では左右の状態が一致していることが必須ですので純資産がマイナス2億円となります。

これは会社の純資産がマイナスだということができます。

倒産のリスクが上がる

債務超過になったら、すぐに会社は倒産してしまうのでしょうか?

上場企業が債務超過を1年以上続けていると倒産するリスクがあるようですが、中小企業の3割程度は債務超過の経営を続けているようです。

現金収入を債務の返済に当てている状況です。

自転車操業と呼ばれているようですが、これは現金収入が入って来なくなれば倒産するリスクがあがるといえます。

債務を返済することが目的となり、利益の追求まで追いつかない状況になっているといえます。

債務超過によるデメリット

債務超過になると、銀行からの借入が難しくなると考えられます。

債務超過に陥っているとウワサが流れてしまうと取引先との関係もなくなってしまう場合があります。

経営管理ができていないと判断される材料になるといえます。

カードローンのように負債を返すために借入金を増やすということにつながります。

こうなると倒産のリスクが上がります。

債務超過した会社の事例

債務超過は大手の会社でも起こりうるものです。

日本のペッパーフードサービスや米国の航空会社など大手企業でも債務超過となり得ます。

その中でも大手企業カネボウの巨額の粉飾決算は債務超過が原因で起こったといえます。

カネボウは1999年から2003年まで約5年にわたり不正経理を続けていました。

取引先企業への支援金522億円を隠し、取引先企業とカネボウと商社の間で商品の使い回しをして取引先企業の損失を隠しました。

1998年には債務超過が459億円になり、不良在庫は200億円を超えていたのにもかかわらず、カネボウは損失を計上しませんでした。

それだけにとどまらず、売上高の過大計上、経費の過小計上、さまざまな粉飾手法を用いて不正経理を続けていました。

2005年に発表された証券取引所監視委員会の特別調査官らにより計上された5年間の粉飾額は2150億円になり、産業再生機構のもとで行われた2003年決算では3577億円もの特別損失が出ていることがわかりました。

1990年から粉飾決算が行われていましたが、これは2003年単体での粉飾ではなく長年積み重ねてきた粉飾決算による特別損失だということができます。

粉飾額を訂正した結果、カネボウは9期連続で債務超過になっていました。

当時、債務超過が3期続くと上場廃止となる条件だったので、カネボウは随分前に上場企業である条件をクリアできていなかったということになります。

粉飾決算をすることで、なんとか上場企業でいることを維持していたといえます。

カネボウは長年にわたって債務超過になっていたということがわかります。

債務超過になる原因

債務超過の原因

債務超過になるのには原因があります。

原因がないのに債務が超過することはあまりないと考えられます。

どのような原因があるのでしょうか。

赤字が続く

赤字が続くと、やがて会社の資産に影響を与えます。

赤字は負債として大きくなり会社の純資産は減少していきます。

売り上げから経費を引いたらマイナスだったという自社だけでの責任ではない場合も赤字は発生します。

投資の増加

会社に必要な設備や人材を確保するために投資資金が必要になってきます。

例えば製造業などでは機械を使うことがあると思います。

機械を購入やレンタルする場合にも投資する資金が必要です。

投資金額が思ったよりも大きくなってしまった場合や、銀行からの借入金によって機械や設備を買う場合にも投資が必要となります。

この投資金額が会社の資産よりも上まった場合、債務超過の原因となります。

特別損失がでた

会社の資産として持っている有価証券や商品が購入時よりも評価額が下がってしまうことがあります。

そのときの株価の影響などもあるため評価額が大幅に下がってしまうと債務超過になる原因となります。

債務超過と資金ショートの違い

会社の財務状況を表す言葉に、債務超過や資金ショートという言葉があります。

それぞれの言葉が意味するものはどのように違うのでしょうか。

資金ショートと債務超過の違いをご紹介します。

資金ショートとは?

資金ショートとは現在持っている現金や資金が不足していて、支払いができない状態のことをいいます。

給料の支払いや取引先への支払いができない状況であり、経営の維持ができないといえます。

資金ショートは倒産するリスクが高いといえます。

債務超過と違うところ

債務超過は資産より負債の方が多くはなっているものの、支払いができない状態ではありません。

手持ちの現金や資産を使って、支払いすることは可能なのですぐに経営ができないということにはなりません。

資金ショートは債務超過にもなっていて支払いができないことをいいます。

債務超過と赤字の違い

債務超過と赤字の違い

債務超過と赤字の違いはどのようなところにあるのでしょうか。

債務超過しているということは赤字だということと同じに思えますが、少し違います。

どのようなところが違うのかご紹介します。

どこからが赤字なのか?

赤字は、損益計算書の当期純損失がマイナスになっている状態のことをいいます。

債務超過は会社の財産や資産の状況を表すのに対して、赤字かどうかの判断は損益計算書をもって年度単位で判断することになります。

赤字が続くからといってすぐに経営ができなくなるということではありません。

資産が赤字よりも多くあれば、倒産することはないですが赤字が続くと資産も減少していきます。

資産が10億あって赤字が6億だった場合、まだ4億の資産が残っている状況です。

しかしこれが2年続くとマイナス2億の負債となり債務超過となってしまいます。

債務超過と違うところ

債務超過は会社の資産の状況を見ることで長期的な会計だといえます。

赤字は年単位で赤字となるもので、売り上げから経費を引いたらマイナスだったというような1年単位の会計だといえます。

債務超過と債務不履行の違い

債務超過と債務不履行との違い

債務超過と債務不履行との違いを解説します。

言葉も似ている通り混同されやすい内容となっています。

債務不履行とはどういうことを意味するのか?

債務不履行とは、そのままの意味として債務を履行しないことです。

債務を返済することを約束した債務者が義務を果たさない、または果たせない状況のことです。

債務超過になり収入からの返済が見込めないとなると、だんだんと会社の資産は減少していきます。

そのため債務を返済することがむずかしくなってきます。

債務超過になっていたとしても債務を返済していれば債務不履行とはなりません。

債務超過と違うところ

債務超過は会社の資産よりも負債が多いことを意味します。

債務不履行は債務者が債務を返済しない、または返済できないことを意味します。

言葉は似ていますが、内容が全然違います。

債務不履行になったらどうすればいいのか

債務が履行できないという状況になった場合、どうすればいいのかいくつかの方法をご紹介します。

まずは返済日を遅らせてもらえないか債権者に相談してください。

資産となるものを換価して返済に当てられるか考えることも必要です。

この後、解説する破産申請や民事再生をすることも検討してください。

しかし債務不履行をしてしまうと債権者から破産申請をされる可能性もあります。

債務不履行をして債務の返済ができなくなったとき、必ずしも破産申請がよくないということではありません。

破産申請や民事再生、再生M&Aをして会社が持つ技術的なものや人材の雇用を守ったり、事業を継続することも可能です。

詳しくはまた破産申請や民事再生、再生M&Aのところで解説します。

まずは債務不履行をするとどうなるのかを、会社の事例とともに紹介します。

債務不履行をした会社の事例

あるY会社は果物店を営んでいました。

債務の弁済時期がきても返済ができない状況でした。

Y会社の取締役代表などが失踪したため債務不履行となり、弁護士らが代表取締役の代行をすることにより任意整理することにしました。

従業員を全員解雇して在庫商品を売ることによって未払いの給料を支払いました。

しかしY会社所有の不動産の売却をめぐり、弁護士らとY会社の株主らとの間で対立したため、債権者らは資産の公平な分配を求めて破産申請をしました。

しかしY会社とY会社の代表取締役である債務者は、破産申請の破産原因は存在しないとして取り下げるようにいいました。

Y会社の代表取締役である債務者は、自分は支払い能力がないわけではないと訴えたのです。

その理由として一般債権者に対して債務の一部免除を受けていることと、Y会社の債務は自分が個人保証しているとして現金と不動産を換価した場合の金額の提示をした。

しかし支払い不能となるには債務者が支払い能力を欠くために弁済期に一般的継続的に弁済できないことになっており、

債務超過は債務者がその財産を持って完済することができない状態にあるとしている。

債務超過においては弁済能力としてその資産だけが考慮されるのに対して、信用や能力、才能などでの資金の調達力までも斟酌されないと裁判所は判断しました。

この事例では、Y会社の債務超過に対してY会社の代表取締役の個人保証や資金調達力は斟酌する必要はないということになりました。

Y会社が債務超過になって債務不履行になっている時点での資産状況がもうすでに弁済能力がないといえる状況にあったということです。

この事例からもわかるように、債務不履行になると債権者から破産申請されることがあるといえます。(東京高裁昭和56年9月7日債務超過の判断要素)

債務超過による貸借対照表の見方

資産と負債

 

債務超になったというためには、貸借対照表上での資産より負債が多くなることが必要です。

通常の貸借対照表と債務超過になった貸借対照表では明らかに違いがあります。

こちらが通常の貸借対照表となり、左右が一致している状態です。

資産 100負債  50
純資産 50

債務超過になると、資産より負債の方が金額が高くなり純資産は減っていきます。

資産 100負債  150
純資産 50

 

貸借対照表が必要な人

貸借対照表は決算書の中のひとつです。

貸借対照表はBSとも呼ばれており、会社の財産や資産の状況がどうなっているのかがわかるBranceSheetバランスシートとなっています。

貸借対照表を見ることで会社にどのくらいの資産があるのか、またどのくらいの負債があるのかがわかります。

項目ごとに勘定科目があるので、詳細に資産と負債の状況を把握することができます。

貸借対照表の他には損益計算書とキャッシュフロー計算書というものがあります。

これらをまとめて財務三表といいます。

財務諸表の中の特に重要な計算書類となります。

この貸借対照表はすべての会社に提出の義務があり、会社法の定める計算書類とともに税務署に提出します。

個人事業主にも必要

個人事業主として事業を営んでいる方は事業所得があると思います。

事業所得があると経費や仕入れの計算が必要になり売り上げも管理するようになります。

そのため個人事業主の方も貸借対照表の作成が必要です

債務超過になる判断基準は?

債務超過とは、貸借対照表の資産よりも負債の方が多くなっていることを意味します。

貸借対照表の守る基準として左右が一致している必要があります。

そのため資産よりも負債が少しでも多くなると債務超過になっているという判断になります。

貸借対照表の内容を理解しよう

会社

個人事業での貸借対照表と大企業との貸借対照表には違いがあります。

会社が大きくなると提出する書類も増えます。

会社にとっての貸借対照表

貸借対照表とは会社の資産の状況を表すための計算書類です。

損益計算書と貸借対照表を作成することで1年間の会社の資産がどのように増えて減ったのかがわかります。

また確定申告のときに提出義務もあります。

上場企業は金融商品取引法に従わないといけません。

貸借対照表と損益計算書の他にも有価証券報告書の作成が義務付けられます。

資産とは?

貸借対照表は資産と負債に分かれます。

資産とはどのようなものがあるのでしょうか。

資産には流動性の資産固定された資産があります。

1年以内に動くか動かないかの判断で流動資産か固定資産かに分かれます。

流動資産の中には現金、売掛金、商品、棚卸しした商品などが含まれます。

売掛金とは、商品は売ったがまだお金が入ってきていないような「かけ金」のことをいいます。

これはお金が入ってくる予定のものとして資産として振り分けることができます。

固定資産としては土地や建物、機械、のれんなどの権利や物、現金となります。

開業をしたばかりのときの開業資金はどうなるのでしょうか?

そのまま費用として計上すれば会社1年目から大赤字です。

そのため会計学上では損益計算書の費用に計上する代わりに貸借対照表の資産のところに入れることができます。

またリース機械なども資産に入れることができます。

これは他社の商品を借りているので負債に入るかなと考えられるところです。

しかしリースした機械を使って何かを生み出したり商品を作ったりできることを考えると資産という勘定科目に分類できます。

会社にとって人は人的資源です。

しかしながら人は資産には入りません。

ではどのような基準で資産となるものを決めているのでしょうか。

今日もっとも考えられている資産の基準は

  • 現金を獲得するために役に立つ経済的資源であること
  • 過去に生じた何らかの取引または事象に起因していること
  • 会社がそれを支配していること

以上のような基準で資産に入るかどうかの判断ができます。

人は会社が支配できるものじゃないので、そのため資産には入りません。

資産になる「のれん」について詳しく見る

負債とは?

負債とはどのようなものがあるのでしょうか。

負債には流動負債固定負債があります。

負債も資産と同じ基準で1年以内に支払わないといけないのかどうかで判断します。

1年以内に支払わないといけないものを流動負債とし、返済が長期的なものを固定負債と考えます。

資産のところで説明した「売掛金」ですが、負債のところでは「買掛金」となります。

例えば仕入れしたが、まだ払えてないお金のことをいいます。

流動負債としては1年以内に払わないといけない税金や借入金のことをいい、長期的な銀行からの借入金は固定負債に該当します。

債務超過に対して今すぐできること

できること

債務超過になったときに、まずできることはどのようなことでしょうか。

法的な資産の整理になる前に私的にできることを検討してください。

利益を上げる

債務超過しているということは貸借対照表の負債の部分が資産よりも大きくなってしまった状態です。

資産の部分を増やすことを考え、資産として現金収入のできる利益をあげることを考えてみてください。

事業所得を増やすということです。

増資する

増資の検討をします。

資本金の増額を行うことによって、その分だけ資産の部が大きくなります。

資産の部に何が入るのかを考えてそれを増やすことが重要だといえます。

会社が債務超過になっている場合、取締役や株主からの借入金を資本に入れるなどして資産を増やすこともあります。

債務免除をしてもらう

債務の免除ができるかどうか、債権者に相談してください。

債権者が何名かいる場合は、債権者集会というものを開催してもらいます。

債権者の同意が得られれば、債務の免除や期日の猶予を受けることができます。

債権者は貸し倒れになりたくはありませんので相談してみるのがいいでしょう。

リスケジュールして返済日を待ってもらう

リスケジュールはリスケといわれています。

借入金の条件を変更してもらうことで返済日を伸ばしてもらうことです。

返済日を伸ばしてもらうだけで、その後支払いは生じます。

リスケをすることで金融機関への返済額が減ったり返済日が伸びたりして会社の資金巡りは改善するので経営に専念できるといえます。

しかしリスケをすることで、新たに融資を受けるのはむずかしくなってしまう場合があります。

近いうちに設備投資などに融資が必要な場合は、十分に考えてからの方がいいでしょう。

リスケをすると将来的に融資が受けられないということはありません。

それは会社の状況や金融機関との関係にもよるのでしょう。

DESをして債務を買い取ってもらう

DESとは、デットエクイティスワップといいます。

債務を株式に変えて債務超過を減少させることです。

金融機関から借りている借入金などを株式に変えることによって債務超過を減少させて会社の貸借対照表のバランスを戻す目的で行われます。

債権放棄のように思われますが債権者は株主となり、株価の上昇により将来的なキャピタルゲインが期待できます。

法的に会社を再生する方法

法的な手続き

債務超過になってしまった場合、どのような法的手段が取れるのでしょうか。

会社を存続させるためには

支払いができなくなってしまった場合、支払い停止として周りに公言したり債権者に対して通知の送付などをします。

その他債権者同士で集まって債権者集会というものを開催し、債務の免除や支払い日を調整してもらうことができます。

これは債権者と債務者との合意の上での契約となります。

このように債権者の同意を得られれば、まだ会社の存続は考えられますが債権者の同意が得られず債務の免除が受けられないこともあります。

今すぐ支払ってほしいと言われたり、債務の免除が受けられない場合はどうすればいいのでしょうか。

債務超過による破産手続き

破産

破産と聞くと、嫌なイメージを持つと思います。

どうしても債務の支払いができなくなってしまった場合や働けなくなった場合、会社や自分のためにも債務整理をすることは経済的生活の再生への第一歩です。

破産手続きとは?

破産手続とは、債務者や債権者が裁判所に破産申請をすることをいいます。

債務が支払えなくなった場合や働けなくなった場合債務整理をする手続きをいいます。

債権者から申立する場合や債務者自身が裁判所に申請します。

破産申請の目的として支払い不能または債務超過になった債務者の財産等を精算して、債務者の利害関係人の利害及び、債権者と債務者の権利関係を適切に調整すること。

債務者の財産等の適正かつ公平な精算をすることで債務者に経済的生活の再生の機会を与えることを目的としています。

個人が破産申請することもあれば、会社が破産申請することもあります。

手続きの流れ

破産手続の流れは、債権者または債務者または申立人の代理人が管轄の裁判所に申立書を提出します。

申立人の住所、氏名、債務者の住所、氏名を記入して申立の趣旨を記入します。

破産手続開始の原因となった事実と債務者の収入や支出の状況がわかる貸借対照表や損益計算書を提出します。

手続きの手数料を支払います。

債務者自身での申請の場合は1,000円、債権者申立の場合は2万円です。

破産手続きをするとどうなるのか

債務者は破産申請することによって、多数の債権者への対応や返済から免れられます。

また破産申請をすると、破産財団が構成され債務者は破産申請後の新たな資金は再起のための資金とすることができます。

破産手続終了後に免責制度を利用できる場合は未完了の債務が免除されます。

破産者は破産手続きを円滑に進めるために一定の制限が設けられています。

破産管財人に対して収支を報告する義務や財産の開示、裁判所の許可がなければ長期的な旅行をすることができません。

また後見人や保佐人、持分会社の社員や弁護士、会計士、などになる資格はないとされます。

会社法が制定される前までは破産者は会社の取締役や監査役になれないと記載されていました。

会社法が制定されてからは破産者となったからといって当然に株式会社の取締役になれないなどということはできないとして、その資格があるかどうかは株式会社に委ねることとなりました。

民事再生することで会社を存続させる

破産申請とはまた違った会社の再生方法について解説します。

民事再生法とは?

民事再生とは会社や個人を破産することで資産の整理をすることとは違い、民事再生することで事業を継続させたいときにする手続きです。

民事再生法に従って再生が行われます。

破産申請ではその債務者の財産の清算を目的としているのに対して、民事再生では将来の収入の算定や配分方法により民事再生が行われます。

そのため利害関係人による意思決定が求められます。

民事再生における債権者集会は必須ではありません。

再生計画案の議決も書面ですることが許されています。

これは債権者集会による手続きが簡易的な流れ作業となることを避けており、利害関係人や債権者に対しての情報の公開を充実させることを目的としています。

債権者の意思決定としては次のようなやり方があります。

  • 通常の決議
  • あらかじめ一定多数の債権者の同意があることを前提として手続きの簡略化をする簡易再生
  • あらかじめ一定多数の債権者の同意があることを前提として手続きの省略をする同意再生
  • 将来における収入見込みが確実である個人債務者について決議の要件を緩和する小規模個人再生
  • 将来における収入額が確実に予測できる個人債務者について決議を省略する給与所得者等再生

このように多様な意思決定方法があります。

手続きの流れ

債務者または債権者または法律上破産手続開始または特別精算開始申立の義務を負うものが申立を裁判所に申し立てます。

民事再生手続をするには開始原因となる事実が必要です。

債務者に破産手続開始の原因となる事実が生じるおそれがあること、または債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済できないことが開始原因となります。

再生手続の申立は裁判所に必要事項を記入して申立書を提出します。

申立人の住所、氏名、再生債務者の住所、氏名、申立の趣旨、再生開始原因の事実、再生計画案の作成の方針についての申立人の意見を記入して提出します。

また貸借対照表や損益計算書の添付も求められます。

申立費用として1万円が必要です。

民事再生をするとどうなるのか

精算型である破産申請とは異なり、民事再生は事業の継続価値を維持または保全するために行われる再生方法です。

そのため再生計画案が必要となります。

事業の継続を前提とした再生方法となります。

再生計画案の作成が求められ、この見込みまたは認可の見込みがないことが明らかであるときは裁判所は棄却というかたちで認められないということになります。

これは民事再生が利害関係人の権利を拘束するためであり、再生ができるよう計画されなければならないからです。

また債務者自身に財産の管理処分権があることが破産申請とは違ってきます。

破産申請の場合は破産管財人が財産の処分権を持つことになります。

民事再生では事業の継続が前提なので事業を継続しながら債務者の経済的再生を図ります。

手続き上では債務の免除や返済期限の猶予、債権の株式への振替などが行われます。

民事再生を詳しく見る

再生M&Aによって会社を存続させる

破産申請や民事再生とはまた違う会社の存続ができる方法を解説します。

再生M&Aとは?

経営資源を有しながらも債務超過になってしまった場合、どうにかして会社を存続させたいと考えると思います。

会社で培ってきたノウハウや技術、または人材などそのまま継続できれば経済社会的に見ても良いことがあります。

このような場合考えられるのが再生M&Aです。

債務の弁済ができずに自力ではどうにもならなくなったとき最適な企業や法人または個人スポンサーに受け継ぐことや承継することが再生M&Aとなります。

再生M&Aの特徴や手続き

再生M&Aには自力再生型とスポンサー再生型があります。

このスポンサー再生型には事業譲渡型と法人承継型があります。

事業実態が存在するうちに、金融機関と合わせてスポンサーに事業を譲渡することで、

今までの事業形態が存続するというものです。

再生M&Aをするとどうなるのか

債務者はスポンサーに事業を譲渡することで当該事業を存続させることができます。

スポンサーへの事業承継において得られる対価によって債務の弁済ができ、金融機関により残りの債務の免除を受けることができます。

債務者の企業自体は消滅することになります。

公的な補助金制度

会社の補助金

中小M&Aについての国や行政の整備も進んでいます。

事業再構築補助金や経営者保証に関するガイドラインなど公的な補助金などの利用によって債務超過に対しての検討もできそうです。

破産申請や民事再生を考える前にもこのような取り組みをしているところに行くのも方法だと思います。

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