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IPOとは?株式公開・株式上場の違いやメリット・デメリットを解説

ニュースなどで、IPOや上場という言葉を耳にするものの、いまいち意味がわからない方もいるのではないでしょうか。

IPOとは、自社の株式を証券取引所に公開することで、上場と同じような意味を持ちます。

IPOには厳しい審査があるため、準備段階からコストと時間がかなり必要です。

この記事では、IPOとは何か、上場や株式公開との違いやメリット・デメリットを解説します。

上場を検討している方や、言葉の意味を理解したい方はぜひ参考にしてみてください。

IPO(新規公開株)とは?

IPO:Initial Public Offeringは、新規公開株や新規上場株式と訳され、株式上場と同じような意味で使われる言葉。

IPOは、証券取引所が開設する株式市場で不特定多数の投資家に対して、自社の株式を自由に売買できるようにする公開することです。

上場しないと公開されない株式を、証券会社を通じて投資家へ配分するため、Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売りもの)といいます。

上場とは

上場(じょうじょう)とは、証券取引所に自社の株式を公開し、自由に売買できるようにすること意味しており、上場とIPOは同じ意味です。

証券取引所は、東京・大阪・札幌・名古屋・福岡と全国に5つ拠点があります。

証券取引所のなかには市場の区分があり、東京証券所(東証)の場合は、東証一部・東証二部・マザーズなどです。

東証一部は大企業が上場する市場、東証二部は中堅企業が最初に上場する市場、マザーズは新興市場といい、ベンチャー企業が上場する市場となります。

株式公開と上場の違い

株式公開とは、自社の関係者が保有する株式を自由に売買できる状態にすることです。

一方、上場は、自社の関係者が保有する株式を証券会社を通じて自由に売買できる状態を指します。

つまり、株式を自由に売買できるようにする行為をまとめて株式公開といい、証券会社で株式を売買できるようにする行為が上場です。

以前は、証券取引所を通さずに取引する店頭市場という市場がありましたが、現在では店頭市場もジャスダック(JASDAQ)という名前の証券取引所になりました。

したがって、株式公開と上場の意味は同じです。

IPOをすべきタイミング

IPOは、あくまで企業を発展させる手段のひとつであり、上場がゴールではありません。

上場するには、時間やコストがかかり、企業の規模や最終的な目的によっては、ほかの方法が適している場合があります。

IPOをするべきタイミングは各企業で異なるため、自社の状況と照らし合わせてみましょう。

競争力を上げたい

事業範囲が同じ競合が存在する場合、IPOが有効となる可能性があります。

上場すると、未上場時と比べてマスメディアに取り上げられる機会が格段に多くなるでしょう。

さらに、金融商品取引法にもとづく義務や株式取引所の要請によって、企業内容の開示が必要です。

したがって、投資家だけでなく、一般社会でも企業の知名度が上がるため、自社製品の販売促進やサービス内容を周知してもらえます。

IPOの審査には厳格な基準が設けられているため、上場企業は健全で安心できる企業として世間に認知してもらえるだけでなく、優秀な人材を確保しやすくなる点も特徴です。

企業を成長させたい

企業を成長させたい場合、IPOは非常に効果的です。

IPOによって株式に市場価値が生じるため、資金調達方法の幅が広がります。

強化された自己資金を元手に、新しい業界への参入や新商品の開発、設備投資に力を注ぐことで、さまざまな面で事業を展開でき、新たな市場の開拓も可能です。

IPOは経営計画に一貫性があるため、事業拡大を検討している企業にとっては、有効的な手段といえます。

なお、資金調達方法は、クラウドファンディングやストラクチャードファイナンス、シンジケートローンなど、種類が豊富です。

したがって、ほかの方法と比較し、IPOによる資金調達の方が企業の体制と合っているか確認する必要があります。

創業経営者の目的

創業経営者が個人的な目的を達成するために、IPOを目指す場合もあります。

IPOによって創業経営者の持株比率は低下しますが、時価総額の拡大によって、保有資産額である株式が増加し、創業者利益を高めることが可能です。

創業経営者の持株比率が低下しても、増資資金によって、企業価値の拡大にともない時価総額も拡大し、保有資産額を増やせます。

とはいえ、M&Aの方がIPOよりも手間がかからず、シナジー効果によってさらに株価を上げられる可能性があるでしょう。

M&Aのシナジー効果について、くわしく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

M&Aの成功を左右する「シナジー効果」とは?種類・評価方法・事例を紹介 – PS ONLINE

IPOのメリット3つ

IPOのメリットは、以下の3つです。

  1. 保有資産の増加
  2. 知名度・信用度の向上
  3. 優秀な人材の確保がしやすい

それでは、各メリットを見ていきましょう。

メリット1.保有資産の増加

上場すると、多くの場合は保有する株式の価格が上がるため、保有資産の価値が増加します。

未上場企業の株式にもある程度の価値はありますが、売買の対象として流通していないため、意味をなさない場合がほとんどです。

一方、上場後は株式が証券会社を通じて売買されるため、売買金額が明確になり、その価値が現実的なものとなります。

世界的なお金持ちの多くが上場企業の創設者や経営者であり、保有資産の大半は上場株式です。

価値を持つ上場株式を担保にすると、金融機関から多額の融資を受け取ることもできます。

メリット2.知名度・信用度の向上

IPOの審査では、法令違反の有無や経営者が会社を私物化していないかなど、会社と経営者が信頼できるかを証券会社と東京証券取引所で調査します。

よって、厳重な審査に合格した上場企業は社会的に信用できると認知され、株式の公開によって知名度が未上場のときよりも上がるでしょう。

会社の信用度が向上すると、従業員にもメリットがあります。

勤務先が上場企業だと、周りから一目置かれる存在になる可能性もあるでしょう。

メリット3.優秀な人材の確保がしやすい

上場企業になると、さまざまな人から周知され、ブランド力も増すため、優秀な人材を確保しやすくなります。

求職者からすれば、事業内容や規模が似ている上場企業と非上場企業があった場合、先に上場企業に興味を持ちやすいです。

求職者だけでなく、既存の従業員に関しても、上場企業で働いている意識からモチベーションアップにつながります。

IPOのデメリット3つ

IPOには多くのメリットがありますが、反対に以下のようなデメリットも存在します。

  1. コストが高い
  2. 時間がかかる
  3. 買収される可能性がある

それでは、IPOのデメリットを3つ紹介します。

デメリット1.コストが高い

IPOには、準備する段階から多額のコストがかかります。

コストの大きさは会社の規模によって異なりますが、最低でも数千万円は必要です。

上場に向けて社内体制の見直しやシステム導入が必要になる場合も多いため、IPOにかかるコスト負担は決して軽くはありません。

上場後にも、以下のような維持コストがかかります。

  • 年間上場料:50~450万円
  • 上場コンサルティング費用:1,000万円
  • 監査費用:1,000万円
  • 株式事務代行手数料:3,00万円

上記のとおり、準備段階から多額の費用が発生するため、上場するには多くの売上と利益が必要です。

デメリット2.時間がかかる

IPOの審査では企業を厳しく調査するため、一般的に審査期間は、準備段階から数えると3年以上かかります。

上場するには、以下のような準備が必要です。

  • 監査法人や主幹事証券会社の選定
  • 監査法人や証券取引所の中間審査
  • 外部からの人材確保

IPOは自社だけでなく、多くのパートナーとの連携が必要となります。

IPOを成功させるには、監査法人や主幹事証券会社の選定が非常に重要です。

上場するには、監査法人により、財務諸表などについて「金融商品取引法」に準ずる監査を受けなくてはなりません。

よって、監査法人と監査契約の締結が必要です。

主幹事証券会社は、公開準備の指導や公開審査、株式の引き受けおよび販売が主な役割となります。

したがって、株式を公開し販売するうえで主幹事証券会社は重要な役割を担っているといえるでしょう。

デメリット3.買収される可能性がある

株式の上場とは、自社株が他者によって自由に売買されることを意味します。

よって、望まない株主が株の大多数を購入し、自社の経営権を奪われてしまう可能性があるでしょう。

上場すると、不特定多数の投資家が自社株を購入できるため、株式の買い占めも起こり得るといえます。

とはいえ、買収によって資金を得られれば、会社がさらに成長できる可能性が高まるでしょう。

IPOの注意点

IPO後は、知名度や信用が高まると同時に、社会的な責任も強くなります。

近年では、各企業ではコンプライアンス遵守を強く求められる傾向となっており、プライベートカンパニーとして許容されてきた取引関係の見直しが必要になるでしょう。

また、IPO後は株主への配慮も必要になります。

未上場の場合は、企業が株主を選別できるうえ人数が限られているため、経営陣にとって都合のいい株主が積極的に経営に関わることが可能です。

しかし、IPOをすると、株主が不特定多数となり、株主が経営に直接携われなくなります。

さらに、経営に反対していた株主も含まれるため、取締役・監査役の解任請求や株主代表訴訟など、株主の権利にもとづく活動が活発化するでしょう。

そうなると、多く株主のために、企業情報の開示や株主総会の運営を適切におこなう必要があります。

IPO(株式の上場)はコストと時間が必要

この記事では、IPOとは何か、上場や株式公開との違いやメリット・デメリットを解説しました。

IPOと上場、現在では株式公開も意味は同じです。

上場すると、会社の認知度や信用が高まり、銀行から多額の融資を受けやすくなります。

とはいえ、IPOにはコストや時間が多く必要なため、気軽に挑める取り組みではありません。

あくまでIPOは企業を発展させる手段のひとつであることを忘れず、上場後のビジョンを明確に持つことが大切です。