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M&Aの成功事例15選!シナジーや承継問題に関する成功例を紹介

現在、国内外あるいは幅広い業種でM&Aが盛んに行われています。M&Aが実施される場合、将来的なシナジーを期待したものから、事業承継の解決手段として検討されるものまでさまざまな目的が考えらえます。

会社の成長や存続をさせる手段としてM&Aを用いる場合、過去の成功事例から学べることも多いのではないでしょうか。今回は国内大企業や中小企業、海外企業におけるM&Aの事例を15例紹介します。今後のM&A戦略を考える際には、ぜひ参考にしてください。

国内大企業によるM&Aの成功事例5選

国内大企業において、下記のM&A成功事例があります。

  • 資生堂によるGiaranの買収
  •  京セラコミュニケーションシステムによるRistの買収
  • KDDIとALBERTによる資本業務提携
  • 楽天がFablicを完全子会社化
  • 日本たばこ産業がアメリカのRJRナビスコホールディングスを買収

各事例について詳しく解説します。

資生堂によるGiaranの買収

化粧品の製造や販売を手掛ける資生堂が、Giaran社を買収しました。Giaran社はAI技術を駆使してディープランニングや予測モデリングなどのアルゴリズムを開発する企業です。

資生堂によるGiaran社の買収により、AIを利用した美容の追求が可能になりました。たとえば、バーチャル環境下におけるメイクアップや、AIによる個々人に適したメイクアップのアドバイスが実現。

資生堂の化粧品に関する製造技術とGiaran社のAI技術のシナジーにより、より顧客の持つ美容ニーズを満たせるようになりました。

 京セラコミュニケーションシステムによるRistの買収

IoTや通信エンジニアリング、再生可能エネルギー事業などのサービスを展開する 京セラコミュニケーションシステムが、Ristを買収しました。

Ristは、AIによるディープラーニングシステムを用いたサービスを開発。従来から人間によって行われている検査や解析業務を代替できるシステムを開発する企業です。開発された具体的なシステムは、画像検査システムや水質判定システムなどです。

京セラがRistを買収したことで、スタートアップ企業で資金に限りのあるRistは潤沢な資金を確保できました。確保した資金をもとに、優秀なエンジニアを雇用したり、職場環境を整えたりすることが可能になったのです。現在は製造業向けのAI開発で国内トップシェアを目指して、成長を続けています。

KDDIとALBERTによる資本業務提携

KDDIとALBERTによる資本業務提携により、既存のインターネットやスマホで体験することの難しいまったく新しいサービスの創出が期待されています。

KDDIはスマホや携帯通信事業のauを主力事業として、金融や保険などの事業も展開する大手の通信関連企業です。近年はAIやIoT、ビッグデータ分析などの最先端技術の強化にも注力し、顧客により良いサービスの提供を目指しています。

またALBERTは、ビッグデータ分析やAI活用コンサルティング、AIアルゴリズムの構築・運用、AIを用いた自社製品の提供などの事業を展開。AIを搭載した高性能のチャットボットサービスや、製品の不良を検査する画像認識サービスなども提供しています。

KDDIの持つ顧客ニーズへの対応ノウハウとALBERTの持つ高度なAI技術の融合により、互いの弱点を補完し合い、さらな事業拡大を目指しています。

楽天がFablicを完全子会社化

過去に数多くのM&Aを成功させてきた楽天が、Fablicの株式を全て取得し完全子会社化しました。株式会社Fablicは、日本初のフリマアプリ「フリル」の提供を2017年に開始。主に女性をターゲットとした商品を取り扱い、若年層からも大きな支持を集める企業です。

楽天はフリルの抱える顧客を取り込むために、Fablicの完全子会社化を進めました。実際に楽天は、自社のフリマサービス「ラクマ」と「フリル」のユーザーが互いのサービスを利用する状況を作り出し、大きなシナジーを獲得しました。

日本たばこ産業がアメリカのRJRナビスコホールディングスを買収

日本たばこ産業はアメリカのRJRナビスコホールディングスを買収して、アメリカ市場でのシャア拡大に成功。現地企業の買収により、ブランド力や販売網、ノウハウなどを自社に取り込みました。

買収に際して、買収された企業に勤めていた従業員のモチベーションを維持するために、給与や賞与体系を統一したことが成功につながった経緯があります。買収後は従来のたばこ販売本数が10倍にまで拡大し、高いシナジーを獲得しました。

国内中小企業によるM&A成功事例5選

ここでは、次の国内中小企業によるM&A成功事例を紹介します。

  • 事業承継のための自社売却に成功した事例
  • 事業承継のために資本提携を決断した製缶板金に携わる会社の事例
  • 食品事業会社の傘下に入った和菓子屋の事例
  • M&Aを繰り返しビルメンテナンス業から飛躍した事例
  • 警備会社と人材派遣会社で両者の目的が達成されたM&Aの事例

各事例について詳しく解説します。

事業承継のための自社売却に成功した事例

建築設計事務所S社は業績を順調に伸ばしていましたが、高齢の経営者が病気を患ったため、事業承継を検討。3人の子ども達は建築の専門課程には進まなかったため、M&Aによる事業承継を決断しました。

商工会議所を通してM&A仲介企業へ事業承継について相談すると、多数の買い手企業を紹介されました。提示された中から心情的に惹かれる企業をM&Aの交渉先として選択。さらに商材ルートがあることでシナジー効果が期待できると考え、大手建築会社への売却を決めました。

事業承継のために資本提携を決断した製缶板金に携わる会社の事例

とある製缶板金に携わる会社を経営するS氏は、先代から会社を引き継いで20年が経ち、次の世代に会社を引き継ごうと考えました。しかし子どもが他分野への進路を希望したため、事業承継問題に直面。

そのようなときに、証券会社からM&Aの提案を受けました。しかし株の承継について問題があったため、M&Aによる親族外継承も難しいと社長は感じたようです。

一方でS氏は、M&Aにより資本提携を結ぶと会社が成長できることを理解したため、最終的にはM&Aを選択。資本提携によるシナジーにより、新規の受注獲得にも動けるようになりました。

食品事業会社の傘下に入った和菓子屋の事例

親族内承継で京都の和菓子屋の4代目となったN氏は、新商品開発などで家業の経営改善を進め、事業を拡大し法人化を達成。その後も成長を続け、従業員15名を抱える企業に。しかしあるとき、社内で重要なポストを任せていた社員が退職することになったのです。

社員の退職により先行きに不安を感じていたところ、顧問税理士からM&Aにより会社を譲渡する提案を受けました。複数の買い手候補の中から傘下に入る食品事業会社を選択。現在はグループ企業の一翼を担い、仲間を増やしていくことに注力しています。

M&Aを繰り返しビルメンテナンス業から飛躍した事例

もともとはビルメンテナンス業を営む会社の3代目社長のK氏はM&Aを通して自社の業態を大きく拡大。10年で業績を15倍以上に伸ばしました。現在はホールディングスとして、13社を管理運営するまでに成長しました。

K氏は企業の成長戦略として魅力があると感じています。当社の将来構想に必要な業種や業態、エリアと判断した場合は、相手企業の業績に関係なくM&Aを積極的に進める方針です。

警備会社と人材派遣会社で両者の目的が達成されたM&Aの事例

とある人材派遣会社は自社の人材が働く場所を確保するために、警備会社を買収しました。一方、売り手側である警備会社は、経営者の高齢化によって事業継承問題を抱えることに。両者がM&Aを進めることで、相互の問題解決にいたり、両者の目的が達成されました。

海外企業が関わるM&Aの成功事例5選

海外企業が関わるM&Aについて、次の事例を紹介します。

  • AT&TによるディレクTVの買収
  • サッポロホールディングスによる米ストーンブリューイングの子会社化
  • セブン&アイ・ホールディングスによるマラソン・ペトロリア社の事業買収
  •  HJハインツとクラフト・フーズ・グループの合併
  • 鴻海(ホンハイ)によるシャープの買収

海外企業が関わるM&A事例についてみていきましょう。

AT&TによるディレクTVの買収

米国通信大手のAT&Tが、2014年に米国衛星放送最大手のディレクTVを約485億ドルにて買収。AT&Tは米国や中南米において、多くの契約者の獲得に成功しました。AT&Tは有料放送事業の成長が鈍化していたため、ディレクTVの買収により携帯端末やタブレットなどの配信強化へのシナジーを期待しました。

また、ディレクTVが持つ豊富なコンテンツも展開可能に。さらに重複事業の簡素化により、コスト削減の効果も期待されています。

サッポロホールディングスによる米ストーンブリューイングの子会社化

サッポロホールディングスは2022年6月に米孫会社Sapporo U.S.Aを通じ、ストーンブリューイングの子会社化を発表。ストーンブリューイングは、米ストーンブリューイングホールディングス傘下のクラフトビールメーカーです。

ストーンブリューイングではビール類製造販売事業や酒類卸事業を展開中。その中の酒類卸事業を切り離し、ストーンブリューイングホールディングスの新設子会社に譲渡後、Sapporo U.S.Aがストーンブリューイングの持ち株を取得予定です。

サッポロホールディングスは、ストーンブリューイングの保有工場を取得することで、「サッポロブランド」の成長を促します。また、ストーンブリューイングが抱える有力ブランドを獲得することで、北米における酒類事業のシャア拡大を目指します。

セブン&アイ・ホールディングスによるマラソン・ペトロリア社の事業買収

セブン&アイ・ホールディングスは2020年8月に、米国のマラソン・ペトロリア社からコンビニ併設型のガソリンスタンド「スピードウェイ」の買収に成功。セブン&アイ・ホールディングスはセブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂などを傘下に持つ日本の大手流通持株会社です。

マラソン・ペトロリア社は「スピードウェイ」ブランドを主力に、2019年12月時点で米国において約 3,900店舗を展開しています。

買収の成功によりセブン&アイ・ホールディングスが米国に抱える店舗数は約1万4,000となり、米国の人口の多い50 の都心部のうち 47 の地域に店舗網を有することになりました。

HJハインツとクラフト・フーズ・グループの合併

米国食品大手のクラフト・フーズ・グループと、トマトケチャップで有名なHJハインツが2015年、に合併しました。その結果、食品業界では北米3位、世界では5位の規模に成長。

クラフト・ハインツと社名を変え、合併により原材料の調達コスト削減に成功しました。従来のクラフト商品は北米市場が中心でしたが、ハインツによって海外販路も活用して販売されるようになりました。

鴻海(ホンハイ)によるシャープの買収

2016年に、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループによるシャープの買収が実行されました。日本の大手電機メーカーが海外勢に買収される事例は、シャープがはじめてです。

鴻海から資金を得たシャープは、今後の市場拡大が見込まれるディスプレーの「有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)」に注力する予定です。

鴻海のシャープ買収額3888億円は、縁起を担いだ「八並び」の数字とも考えられ、将来的にもM&Aによるシナジーが期待されています。

M&Aの事例で成功のためのポイントを確認しよう

今回は大企業や中小企業、海外企業に関するM&A事例を15例紹介しました。事例から見ても分かるように、企業の成長戦略や事業承継問題など、M&Aはさまざまな場面で有効活用できます。

日本のM&A件数は海外に比べると少ないのですが、今後は日本でもM&Aの需要拡大も予想されています。自社の成長戦略や事業承継問題の解決策として、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

M&Aを検討する際は、M&Aを専門に扱う企業に相談すると自社に有利な契約を結べ、成功の確率も高まります。

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