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婚礼・ブライダル業界のM&A事例10選!注目される理由を解説

自社におけるブライダル事業の展望を模索する中で、M&Aの実施を検討する企業も多いはず。

しかし、

  • ブライダル界隈で耳にする機会が多いものの、なぜM&Aが注目されているの?
  • ブライダル業界では、どのようなM&A事例があるの?

などの疑問をお持ちではないでしょうか。

本記事では、ブライダル業界でM&Aが注目されている理由と10のM&A事例を紹介します。

また、本記事では「ブライダル業界のM&A」を「ブライダルM&A」と表記します。

ブライダル業界でM&Aが注目される4つの理由

近年のブライダル業界でM&Aが注目される理由は、主に下記の4つが挙げられます。

  • 後継者問題の解決
  • 非採算事業からの撤退
  • 保証・担保の解消
  • 従業員の雇用先確保

上記4つの理由を順に紹介します。

後継者問題の解決

1つ目の理由は、M&Aにより後継者問題を解決できるため。

中小企業庁の調査によると中小企業経営者の平均年齢は、年々上昇傾向にあります。(参照:2 中小企業の経営者の高齢化と事業承継|中小企業庁

しかし、多くの企業では後継者が決まっておらず、ブライダルなどのサービス業における後継者不在の企業は全体の約7割を占めています。(参照:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020 年)|帝国データバンク

今や、後継者問題は多くの企業が抱える課題といえます。

一方で、M&Aで事業を第三者へ承継することで、企業を存続でき、後継者問題の解決が可能。

後継者不在の企業にとって、M&Aは後継者問題を解決できる有効な選択肢として注目されています。

非採算事業からの撤退

2つ目の理由は、非採算事業からの撤退です。

ブライダル関連の市場規模は、年々縮小の一途を辿っています。

引用:ブライダル市場に関する調査を実施(2020年)|矢野経済研究所

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年は、1兆2,838億円にまで落ち込む見通しが立っているほどです。

ブライダル事業の収益性が低下した企業は非採算事業を手放し、経営改善を図るための手段として、M&Aの実施に注目しています。

保証・担保の解消

3つ目の理由は、M&Aにより個人保証・担保を解消できるためです。

ブライダルビジネスでは、融資を受けて土地を確保し、結婚式場の建設を進めるケースが一般的です。

融資に際して、経営者は個人保証や担保を差し入れており、万が一業績不振により融資の返済が滞った場合は、債務弁済をしたり担保を差し出したりしなければなりません。

しかし、M&Aの実行では個人保証・担保を買い手企業へ譲渡できるため、経営者の負担軽減を実現できます。

従業員の雇用先確保

4つ目の理由は、従業員の雇用先確保です。

ブライダル事業の運営に伴い、多くの従業員を抱える企業も多いでしょう。

ただ、業績が悪化する企業では、従業員が働く環境をいかに維持していくかを考える必要があります。

中堅・中小企業のM&Aでは、従業員の雇用維持が譲渡先への条件に組み込まれているケースが多く、譲渡後も従業員の雇用を維持できます。

ブライダルM&Aを成功させた10の事例

エスクリによるフジ・メディアHDのM&A(株式譲渡)

2015年12月に株式会社エスクリは、株式会社フジ・メディア・ホールディングスの100%子会社である株式会社ストーリアの全株式を取得し、子会社化しました。

エスクリは全国的にブライダル事業を展開する企業で、さらなるマーケットシェア拡大を目指し、株式会社フジ・メディアHDのM&Aを実施したとのこと。

株式会社ストーリア以外にも、2020年にはラヴィマーナ神戸の運営及び同施設の衣裳事業を譲受しているなど、積極的にM&Aを実施しています。

くふうカンパニーによるフルスロットルズのM&A(株式譲渡)

くふうカンパニーは、2019年6月にフルスロットルズの株式51%を取得し、子会社化を実現。

その後の2021年1月には、株式会社フルスロットルズを吸収合併し、事業を一体として承継しています。

くふうカンパニーは、フルスロットルズを加えた計3社とM&Aをおこない、グループ統合しています。

各社のサービス資産・知見を結集し、多様化するニーズへの対応・競争力の強化を目指します。

カヤックによるサンネットのM&A(株式譲渡)

カヤックは、2018年2月に子会社のプラコレを通じて、サンネットの株式を取得しました。

サンネットは沖縄でブライダルメディア事業を営んでおり、代表の上地氏は沖縄リゾートウェディング協会の理事、事務局長を務めています。

2018年当時、沖縄で拡大しつつあった観光市場に目をつけたカヤックは、沖縄へのブライダル事業進出とさらなる収益性の向上を目的に、M&Aを実施しました。

IBJによるウインドアンドサンのM&A(株式譲渡)

2016年6月、婚活支援事業をおこなうIBJは、ブライダルメディア事業を手掛けるウインドアンドサンの株式を取得し、子会社化しました。

ウインドアンドサンはニーズ特化型の媒体である、ウェディングnaviを運営。

IBJは、既存事業の婚活会員基盤とウェディングnaviの融合による、迅速かつ効果的なサービス提供・収益性の向上を目的としています。

パートナーエージェントによるMクリエイティブワークスのM&A(株式譲渡)

パートナーエージェントは、2020年3月にMクリエイティブワークスの株式85.1%を追加取得し、完全子会社化しました。

以前の2019年4月にはメイションをグループ化しており、スマ婚やスマ婚ドレスなどの新商品を展開。

本M&Aは、さらなるサービス拡充を目的におこなわれたもので、婚活からカジュアルウェディングまでを提供するシームレスなサービスの実現が目的です。

ブラスによるビーラインのM&A(事業譲渡)

ブラスは、2017年7月にブライダル事業を手掛けるビーランの事業を譲受

ブラスはハウスウェディング事業を手掛ける企業で、ビーランが所有していた「ヴィラエッフェ 沼津」を取得し、完全貸切のハウスウェディング会場へとリニューアルしました。

本M&Aは、静岡県における営業基盤の強化を目的としています。

aedamによるラビアンローゼとウィンクルのM&A(事業譲渡)

愛知県豊橋市で貸衣装事業・フォトスタジオ事業を営むaedamは、2020年8月に2社から事業を譲受

ラビアンローゼからはホテルアークリッシュ豊橋衣装室を、ウィンクルからはスウィートローゼスクラブ岡崎を譲受しました。

aedamの拠点である愛知県における、ブライダル事業の拡大が主目的です。

ゼットンによるエルフラットのM&A(事業譲渡)

ゼットンは東京を中心に日本各地・ハワイなどに飲食店を展開しており、ブライダル事業にも尽力しています。

2020年3月には、結婚式場事業を展開するエルフラットから、三重県四日市の婚礼施設「YOKKAICHI HARBOR尾上別荘」を取得

ゼットンのコンセプトと合致する点・ドミナントエリアである点が評価され、さらなる事業拡大を目指し、本M&Aが成立しました。

テイクアンドギヴ・ニーズによるマリーゴールドのM&A(事業譲渡)

2017年11月、テイクアンドギヴ・ニーズはマリーゴールドが所有するドレスレンタル・販売事業の4店舗を買収しました。

買収した店舗は関西エリアに点在しており、買収価格は1.5億円。

テイクアンドギヴ・ニーズは、関西エリアにおけるドレス内製化率の向上を目指しており、外部委託の縮小に伴うコスト削減・収益向上が主目的です。

クラウディアホールディングスによる内田写真のM&A(会社分割)

2019年1月にクラウディアホールディングスは、大阪の老舗写真スタジオの内田写真を子会社化しました。

クラウディアHDは、写真事業を今後のシェア拡大事業に位置付け、積極的な投資に取り組んでいます。

本M&Aは、内田写真の写真事業のみを会社分割し、新設する子会社へ承継するというもの。

有名ホテル・結婚式場など優良な顧客との取引基盤を取り込むことが目的です。

ブライダルM&A実行における全体の流れ

本章では、M&Aの実行フローを下記の3ステップで紹介します。

  • M&A実施のための検討と準備
  • マッチング・交渉
  • 最終契約

Step1.M&A実施のための検討と準備

まずおこなうべきは、M&Aを実施する目標の設定とM&A仲介業者の選定です。

M&Aの実行フローではさまざまな選択が迫られるため、判断基準となるM&Aの目標設定が重要です。

例えば、事業継承M&Aをおこない、従業員の雇用を維持と事業の存続を目指すなど。

M&Aの実施で選択を謝らないよう、あらかじめ目標設定をしておきましょう。

次におこなうのは、M&A仲介会社の選定です。

M&Aは専門的な知識が求められる上に、条件の合う相手企業を見つける必要があるため、M&A仲介会社のサポートは不可欠といえます。

ただし、M&A仲介会社は各社で料金・サポート内容・得意分野が異なるため、自社の思い描くM&Aに適した会社を選ぶ必要があります。

Step2.マッチング・交渉

M&A仲介会社とのヒアリングを通し、自社の条件に合う候補企業をピックアップしてもらいます。

M&Aのマッチングでは、情報が外部に漏れないよう企業名が伏せられた状態で候補企業のリストが提示されます。

売り手企業と買い手企業の双方が交渉を進める意思を示した段階で、M&A仲介業者によるマッチングがおこなわれ、交渉へと移行します。

実際の交渉では、双方の経営トップが面談をおこない、譲渡価格やスケジュールを調節し、まずは基本合意書の締結を目指します。

Step3.最終契約

基本合意書の締結後におこなわれるのは、デューデリジェンスと呼ばれる買い手企業による調査。

売り手企業に簿外債務やなんらかの潜在的なリスクがないかを検証し、取引に反映、買い手企業はリスクを抱え込まないよう慎重に調査します。

デューデリジェンスが完了し、双方がM&Aの実行に同意する場合は最終譲渡契約を締結する流れです。

詳しいM&Aの流れは、「M&Aの流れとは?売り手側の手順とポイントを徹底解説」で紹介しています。

M&Aの流れが気になる方は、ぜひ参考にしてください。

ブライダルM&Aの成功ポイント・注意点

ブライダル業界に限らずどの業界のM&Aでも、さまざまな理由から失敗に終わるケースが少なくありません。

ブライダルM&Aを成功させるためには、下記3つのポイント・注意点を意識することが大切です。

  • エリアや施設の特徴を正確に把握
  • M&Aの目的を明確にする
  • 早めにM&Aの専門家へ相談する

エリアや施設の特徴を正確に把握

1つ目のポイントは、自社事業のエリアや施設の特徴を把握すること。

ブライダルM&Aにおいて、買い手企業が着目する1番のポイントは、売り手企業のエリアや施設の立地です。

そのため、施設があるエリアにはどれだけの見込み客がいるのか、立地条件の良し悪しなど、様々な特徴を把握し、買い手企業との交渉時の手札を増やすことが大切です。

M&Aの目的を明確にする

2つ目のポイントは、M&Aの実施目的を明確にすることです。

ブライダル事業を手放す理由は売り手企業によって様々ですが、売り手企業の目的に応じて、理想的な買い手企業は異なります

また、M&Aの目的が不明確な状態で実施に踏み切ると、相手企業との交渉決裂や実施後に後悔するなど、失敗率が高まります

したがって、M&Aの検討時には、必ず目的を明確にしましょう。

早めにM&Aの専門家へ相談する

3つ目のポイントは、早めにM&Aの専門家へ相談すること。

情報を外部へ漏らしたくないとの想いから、自社の人員でM&Aにのぞむ企業も存在しますが、交渉がまとまらないケースが大半です。

M&Aの実施は法律や企業の財務など、横断的かつ深い知識が求められるためです。

M&A仲介会社では、M&Aの検討段階から相談に乗ってもらえるため、まずは問い合わせるとよいでしょう。

ブライダルM&Aの実施を検討しよう

本記事では、ブライダルM&Aについて紹介しました。

ブライダル業界では、様々な課題解決の手段としてM&Aが注目されています。

自社のブライダル事業が何らかの問題を抱えている場合は、M&Aの実施を検討してみてはいかがでしょうか