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VR分野のM&Aの将来性とは?Facebookが買収したOculus、Oculus Quest注力へ

今後もM&Aの件数が増加すると見られているVR/AR業界。

2016年はOculus RiftやPlay Station VRが発売され、同年はこれからのVRの発展の期待が込められ、VR元年と呼ばれました。現在はVRが脚光を浴びた2016年から4年が経ちます。その後も成長が注目されるVR市場はどのような現状にあるのでしょうか?

今回の記事では、VR/AR市場の最新情報やFacebookのOculus QuestやSONYのPSVRなどのVRの現在と、これからを解説するとともに、時間軸とともにどのようなVR機器が活躍したのかを紹介します。

VR・AR市場の動向とM&A

世界最大のテクノロジー見本市「CES(Consumer Electronics Show)」で、2022年、最大のキーワードとなったのは「メタバース」。

メタバースとは、コンピューターネットワークの中に構築された3次元の仮想空間で、VR(Virtual Reality)と呼ばれる仮想現実と、AR(Augmented Reality)と呼ばれる拡張現実が代表的な技術です。

2028年には4000億米ドルの市場に成長することが予測され、国内外の大手が本格的に参入を発表しています。そのような中で事業拡大を考える企業がM&Aを検討するため、今後、M&Aの件数が増加する可能性があります。

VR市場について

VRは、記録されたデータを3次元で展開する技術です。VR市場はコロナ禍で追い風となりました。テレワークや外出自粛で自宅にいる時間が多くなり、中国やインドなどでは、自宅で楽しむための需要が急増しました。

旅行体験や教育などの商業目的のために活用されている他、ゲームや映像鑑賞のための用途として消費者に活用されており、今後も市場が拡大すると言われています。

AR市場について

ARは、現実の画像に仮装データが反映されるものであり、VRと比べて、使用できる範囲が広くなるのが特徴です。

現在のところ突出した用途はありませんが、開発によりディスプレイの軽量化や価格改定が進められることにより需要の拡大が濃厚です。そして、将来的には、スマートフォンタブレット端末のディスプレイがARに変わると言われています。

FacebookがVR会社OculusをM&A!Oculusの事業戦略とは

2014年、Facebookは20億ドルで買収した「Oculus VR」を買収しました。その後、2018年5月にOculus Goを発売しましたが、2020年6月に販売停止を発表しました。

そして、今後は6DoF製品のOculus QuestOculus RiftなどのVR製品に注力していく姿勢を発表したのです。

Oculus Goはより多くの人にVRを知ってもらうことを意図して発売され、VRを柔軟で自由度の高いものとして再定義することに貢献しました。しかし、もともとのマーケットの小ささゆえに苦戦し、それよりもむしろ高価格の代わりにより高機能で没入感の高い機器へのニーズがあることをVR企業に知らせることになりました。

“As we look to the future, we’re grateful to the Oculus Go community for pushing the VR revolution forward…

Oculusのブログより引用
https://www.oculus.com/blog/an-update-on-the-evolution-of-the-oculus-platform-/

「将来を見据えた時、私たちはOculus GoコミュニティがVR革命を前へ推進させたことに感謝しています。Oculus Goは唯一の、オールインワンのカテゴリーを開拓しました。それはより自由で柔軟な新しい形のVRです。そしてこれはゲームチェンジャーとなりました。Oculus GoはVRをより多くの人へと開き、没入型エンターテインメントの再定義に役立ちました。ライブコンサートからスポーツイベント、カウチでの協力プレイ、企業研修などその他にも、Oculus Goは世界中の人々に新しい体験を届けることを可能にし、これはOculus Questの基礎となりました。」(著者訳)

このような文面から、Oculus Goの販売終了に対して非常にポジティブに説明しているのがわかります。売れ行きが芳しくなく撤退せざるを得なくなった、というイメージではなく、新しいカテゴリーを確立し、VRの活用の幅を広げ、次の製品のための(Oculus Quest)へのステップとなったということです。

企業の発表は業績を印象づけるものなので明るく見せる必要性があるという背景もあるかもしれませんが、OculusはVR機器の展望について前向きな姿勢を見せていることがわかります。

VRの今と主要デバイスの紹介

ここからはPSVRなど、主要なVRの主要デバイスを紹介していきます。先ほど紹介したOculus GoとOculus RiftがVRにおける成長の歴史の中で、どのような位置づけとなっているのかに見ていきましょう。

VRの前身の技術は1930年代から始まっていますが、ここではVRがより一般の人々へと広がりが進んでいることに着目するため、2012年Oculus Riftの発表や2016年のVR元年から紹介します。

Oculus Rift

VRに注目が集まり始めたきっかけとなったVRデバイスは2012年に登場したOculus Riftです。Oculus Riftは米国クラウドファンディング「Kickstarter」において、当時3日で100万ドルを集めて話題を呼びました。そして、2014年には機器を開発したOculusがFacebookに20億ドル(約2,000億円)で買収されました。

Oculus Rift はパソコンに接続する形で価格は4~5万円ほど。ある程度のスペックのあるパソコンも必要であるため、決して価格は安くありません。機能としては6DoFであるところが特徴的です。この機能は、のちのOculus系列の機器開発において引き継がれて改善されていきます。VR機器の3DoFと6DoFの違いについては後述します。

この機器をきっかけにして日本のSONYはPlayStation VR、米企業のValve と台湾の企業HTCが合同でHTC Viveを発表するなど、VR業界に動きが見え始めます。

Oculus Rift は2016年に発売され、その後、モデルチェンジや改良を繰り返します。2019年には後継機であるOculus Rift Sが生まれ、現在も販売されています。

Play Station VR

2016年に発売されたPSVRは、日本で一般家庭向けに発売されたため、よく知っている人も多いかもしれません。バイオハザード、ファイナルファンタジー、ダンガンロンパなどの日本向けの独占コンテンツが充実しており、馴染み深いタイトルからVRに興味を持った人もいるでしょう。

Play Station 4の本体を持っている人がPSVRのゴーグルを買って接続することでゲームや映画などさまざまな体験ができます。Play Station 4本体は性能にもよりますが約3~5万円、そしてVRゴーグル(カメラ同梱版)が5万円、そしてゲームソフトや付属のコントローラーを加えて1~2万円。一式をそろえると10万円前後になるでしょうか。

ただ、広いPlay Stationユーザーの地盤をもとにして販売されたため、売上は伸びており、販売台数は2020年1月時点で500万台を突破しています。ちなみにPlay Station 4を持っている人のPlay Station VRの所有率は5%、PS4を持っている人の中で約20人に1人がPSVRを持っていたことになります。販売台数を公表している企業が少ないため、断定はできませんが、販売台数の規模感では世界一と見ていいでしょう。

HTC vive

HTC VIVEはスマホメーカーの米Valveと世界最大のゲームプラットフォーム『Steam』を運営する台湾企業HTCが共同で開発したものです。HTC viveは装着する人の頭や手の位置を認識して、VRの世界に反映する「ルームスケール」というトラッキング機能が特徴的です。

全身の動きが忠実にVR環境に反映される点が、Oculus RiftなどのほかのVR機器と比較した強みになっています。

前述のOculus Rift、PSVR、HTC viveと合わせて3大VRHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれています。これらはすべて2016年に発売され、同年はVR元年として脚光を浴びました。ここからVR機器は市場へと出回り始め、今まで企業向けが一般的だったVR技術が一般の人のものになっていきました。

Gear VR

3大VRHMDは、VRが大衆向けに提供され起爆剤となる役割を果たしましたが、現在のOculu Questまでの橋渡しをする役割を担ったのがSamsung(サムスン)Oculusが共同で開発したGear VRです。

Gear VRはサムスンの「Galaxy」シリーズのスマートフォンをセットすることで使用できます。価格は約1万5000円と他のVR機器と比べて、安価で使いやすい機器かと思われましたが、売上は今ひとつでした。

Galaxyの最新機器へのサポートの終了が発表され、2019年にはOculus CTOのカーマック氏による追悼スピーチでGearVRの定着率の低さを指摘しています。のちに紹介するOculus Goなど、パソコンやスマホにつなぐことなく、その機器単体で使用できるスタンドアロン型機器に比べて使用の「手軽さ」に劣っていたのがデバイスの定着率を下げる原因となったのかもしれません。

Oculus Go

冒頭でも紹介したOculus Goは2018年に発売されました。Oculus GoがVR機器において、明らかにしたことは3つです。

1つ目はスタンドアロン型VR機器の優位性です。今までのVR機器はゴーグルをパソコンやスマホにつなげて設定する必要がありました。例えば、PSVRはPS4という本体があってその楽しみを拡張する位置づけでPSVRがありました。Gear VRではGalaxyのスマートフォンをセットすることでVRを体験できました。

しかし、Oculus Goは外部機器を利用しないスタンドアロン型であったため、ユーザーからケーブルを接続する手間、初期設定の面倒さを取り除くことができました。「手軽にセットできて楽しめるもの」というVR市場のニーズを明らかにしたのが一つ目の功績です。

2つ目はVR機器の6DoFの優位性です。VR機器には3DoFと6DoFの2種類があります。2つの違いを説明すると、3DoFは頭のX軸、Y軸、Z軸の3つの動きを感知できますが、6DoFはその3つに加えて、体自体の移動方向のX軸、Y軸、Z軸を検知できます。

3DoFは視点が固定され、手足の動きは反映されず頭の動きだけが反映されるため、映画鑑賞などに適します。より技術的に高度な6DoFは頭だけでなく、身体の動きも検知されVR世界に反映されるため、より没入感が高く、本格的なゲームなどに適するイメージです。

Oculus Goの発売当時はVR機器が高すぎるという消費者認識があったため、6万円~10万円が一般的だったVR機器の価格を199ドル(約2万1000円)と安く抑えて発売されました。

価格を抑えるに伴って、Oculus Goは3DoFとなりました。こちらはOculus Go自体が成功したというよりは、後継機のOculus Questとの比較対象としての役割を果たしたという面が強くなっています。

Oculus Goは3DoF製品として登場し、のちに登場する6DoFのOculus Questとの比較によって、6DoFがVR市場のニーズに合っているということを明らかにしました。

3つ目はこの機器はVRがゲームだけでなく、より現実のイベントや事業への活用の幅を広げる面でも重要な役割を果たしたところ。OculusのOculus Goの販売終了の発表から引用すると「ライブコンサートやスポーツイベントから、カウチでの協力プレイ、企業研修など、Oculus Goは世界中の人々に新しい体験を可能にし、Oculus Questの基礎を築」いたのです。

VR機器のスタンドアロン型と6DoFの優位性を明らかにしたこと、そしてゲームだけではなくライブやイベント、企業研修などVRの可能性を明らかにしたという点でOculus Goは重要な役割を果たしました。そしてこの機器の販売終了と、Oculus Questの登場によってVRは新たな局面を迎えようとしています。

Oculus Quest

冒頭にも紹介したようにOculus Goの販売は約2年で終了し、今後主力となっていくと思われるのがOculus Questです。Oculus Questは2019年に399ドル(日本円換算5万4780円)で6DoF製品として売り出されました。頭と手の動きを追ってくれるトラッキングの機能に優れています。

そして外部の機器を必要としないスタンドアロン型であるため、これ1台でVR体験をすることができます。Oculus Goで見つかった市場のニーズや改善点を活かした特徴になっています。Oculusはブログで今後3DoFのVR製品を販売することはないと明言しており、今後はOculus Questなどの6DoF製品が主力になっていくと思われます。

また、発表では同時にOculusのデベロッパーのアプリ配布をより容易にすることを検討していると発表しています。当初は、Oculus Storeの厳しい審査を得ないとアプリを販売できない仕組みになっており閉鎖的な姿勢に批判が起こっていました。しかし、今後はより実験的なアプリが増えることになり開発者の積極的なアプリ開発が進むように思われます。

VR機器に求められていることと今後について

今回の記事では、VR/AR市場におけるM&Aにおける最新情報とともに、VRの主要機器を時間軸とともに紹介しました。今後、VR/AR市場が拡大していくとともにM&Aの件数も増加すると見られています。

VR機器については、スタンドアロン型の機器が一般的になるであろうことと、VRの没入感の強い6DoF製品が求められていることの2つになります。

スタンドアロン型については、パソコンやスマートフォン、そのほか外部機器を必要とせず、複雑なセットアップの手間が削減された、それ一つでVRを体験できる機器が求められることになるでしょう。

価格は安く抑えた機器よりも、ある程度高い値段でも、全身の動きが忠実にVRに反映される、没入感やVR体験の完成度の高さを持った機器が求められていることがわかります。VR企業は価格帯やデザイン、性能の試行錯誤を重ねて、VRをどのような人が求めているのかを探し続けています。

また、VRは今後ゲームだけでなく、医療や介護の分野への適用や人工知能の導入など他分野との関わりをもって発展していく可能性も秘めています。5Gの普及によって大容量のデータを扱うことができるようになることもVRの大きな手助けとなるでしょう。

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