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VRの今とこれから、Facebookが買収したOculus、Oculus Quest注力へ

今回は、FacebookのOculus QuestやSONYのPSVRなどのVRの今とこれからについてまとめていきます。

2016年はOculus RiftやPlay Station VRが発売され、同年はこれからのVRの発展の期待が込められ、VR元年と呼ばれました。現在はVRが脚光を浴びた2016年から4年が経ち、2020年6月にはFacebookがOculus Goの販売終了とOculus Questへの注力を発表しました。

VR元年から4年が経ったいまVRはどのような現状にあるのか、どのような機器が活躍しているのかとVRの今後について考えていきます。

1.FacebookのOculus Goからの販売停止しOculus Quest注力

まず最近話題になったVRのニュースとして、2020年6月のFacebookのOculus Goの販売停止の発表についてみていきましょう。Facebook傘下のVR企業、Oculus VRは2018年5月にOculus Goを発売しました。しかし、Oculus Goは発売からわずか2年で販売を終了しました。

そして、今後は6DoF製品のOculus QuestやOculus RiftなどのVR製品に注力していく姿勢を発表しました。

Oculus Goはより多くの人にVRを知ってもらうことを意図して発売され、VRを柔軟で自由度の高いものとして再定義することに貢献しました。しかし、もともとのマーケットの小ささゆえに苦戦し、それよりもむしろ高価格の代わりにより高機能で没入感の高い機器へのニーズがあることをVR企業に知らせることになりました。

“As we look to the future, we’re grateful to the Oculus Go community for pushing the VR revolution forward…

Oculusのブログより引用 https://www.oculus.com/blog/an-update-on-the-evolution-of-the-oculus-platform-/

「将来を見据えた時、私たちはOculus GoコミュニティがVR革命を前へ推進させたことに感謝していますOculus Goは唯一の、オールインワンのカテゴリーを開拓しました。それはより自由で柔軟な新しい形のVRです。そしてこれはゲームチェンジャーとなりました。Oculus GoはVRをより多くの人へと開き、没入型エンターテインメントの再定義に役立ちました。ライブコンサートからスポーツイベント、カウチでの協力プレイ、企業研修などその他にも、Oculus Goは世界中の人々に新しい体験を届けることを可能にし、これはOculus Questの基礎となりました。」(著者訳)

少し長い引用でしたが、このような文面からはOculus Goの販売終了に対して非常にポジティブな説明をしているのがわかります。売れ行きが芳しくなく撤退せざるを得なくなった、というイメージではなく、新しいカテゴリーを確立し、VRの活用の幅を広げ、次の製品のための(Oculus Quest)へのステップとなったという説明をしています。

企業の発表は業績を印象づけるものなので明るく見せる必要性があるという背景もあるかもしれませんが、OculusはVR機器の展望について前向きな姿勢を見せていることがわかります。

2.VRの今と主要デバイスの紹介

ここからはPSVRなど、主要なVRの主要デバイスを紹介していきます。先ほど紹介したOculus GoとOculus RiftがそのVRの成長の歴史の中でどのような位置づけとなっているのかについても見ていきます。
VRの前身の技術は1930年代から始まっていますが、ここではVRがより一般の人々へと広がりが進んでいることに着目するため、2012年Oculus Riftの発表や2016年のVR元年から紹介を始めます。

(1)Oculus Rift

VRに注目が集まり始めたきっかけとなったVRデバイスは2012年に登場したOculus Riftです。Oculus Riftは米国クラウドファンディング「Kickstarter」において、当時3日で100万ドルを集めて話題を呼びました。そして2014年には機器を開発したVR企業OculusがFacebookに20億ドル(約2,000億円)で買収されました。

Oculus Rift はパソコンに接続する形で価格は4~5万円ほど。ある程度のスペックのあるパソコンも必要であるため、決して価格は安くありません。機能としては6DoFであるところが特徴的です。この機能はのちのOculus系列の機器開発において引き継がれ、改善されていきます。VR機器の3DoFと6DoFの違いについては後述します。

この機器をきっかけにして日本のSONYはPlayStation VR、米企業のValve と台湾の企業HTCが合同でHTC Viveを発表するなど、VR業界に動きが見え始めます。

Oculus Rift は2016年に発売され、その後、モデルチェンジや改良を繰り返します。2019年には後継機であるOculus Rift Sが生まれ、現在も販売されています。

(2) Play Station VR

2016年に発売されたPSVRは、日本で一般家庭向けに発売されたため、よく知っている人も多いかもしれません。バイオハザード、ファイナルファンタジー、ダンガンロンパなどの日本向けの独占コンテンツが充実しており、これらなじみの深いタイトルからVRに興味を持った人もいるでしょう。

Play Station 4の本体を持っている人がPSVRのゴーグルを買って接続をすることでゲームや映画などさまざまな体験ができるようになっています。Play Station 4本体は性能にもよりますがだいたい3~5万円、そしてVRゴーグル(カメラ同梱版)で5万円、そしてゲームソフトや付属のコントローラーで加えて1~2万円。1からそろえるとなると10万円前後になるでしょうか。

ただ、広いPlay Stationユーザーの地盤をもとにして販売されたため、売上は伸びており、販売台数は2020年1月時点で500万台を突破しています。ちなみにPlay Station4を持っている人のPlay Station VRの所有率は5パーセント、およそPS4を持っている人の20人に1人がPSVRを持っていることになります。販売台数を公表している企業が少ないため、断定はできませんが、販売台数の規模感では世界一と見ていいでしょう。

(3) HTC vive

HTC VIVEはスマホメーカーの米Valve と世界最大のゲームプラットフォーム『Steam』を運営する台湾企業HTCが共同で開発したものです。HTC viveは装着する人の頭や手の位置を認識して、VRの世界に反映する「ルームスケール」というトラッキング機能が特徴的です。

全身の動きが忠実にVR環境に反映される点が、Oculus RiftなどのほかのVR機器と比較した強みになっています。

以上に紹介した、Oculus Rift、PSVR、HTC viveはまとめて3大VRHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれています。発表された時期は異なりますが、発売はすべて2016年に始まり、同年はVR元年として脚光を浴びました。ここからVR機器は市場へと出回り始め、今まで企業向けが一般的だったVR技術が一般の人のものになっていきました。

(4) Gear VR

3大VRHMDは、VRが大衆向けに提供され起爆剤となる役割を果たしましたが、現在のOculu Questまでの橋渡しをする役割を担ったのがサムスンとOculusが共同で開発したGear VRです。

Gear VRはサムスンの「Galaxy」シリーズのスマートフォンをセットすることで使うことができます。価格は約1万5000円と非常に安価な値段で使いやすい機器かと思われましたが、こちらの機器は思ったより売上が伸びませんでした。

Galaxyの最新機器へのサポートの終了が発表され、2019年にはOculus CTOのカーマック氏による追悼スピーチでGearVRの定着率の低さを指摘しています。のちに紹介するOculus Goなど、パソコンやスマホにつなぐことなく、その機器単体で使用できるスタンドアロン型機器に比べて使用の「手軽さ」に劣っていたのがデバイスの定着率を下げる原因となったのかもしれません。

(5) Oculus Go

冒頭でも紹介したOculus Goは2018年に発売されました。Oculus GoがVR機器において、明らかにしたことは3つです。

1つ目はスタンドアロン型VR機器の優位性です。今までのVR機器はゴーグルをパソコンやスマホにつなげて設定をする必要がありました。例えば、PSVRはPS4という本体があってその楽しみを拡張する位置づけでPSVRがありました。Gear VRではGalaxyのスマートフォンをセットすることでVR体験をすることができました。

しかし、Oculus Goは外部機器を利用しないスタンドアロン型であったため、ユーザーからケーブルを接続する手間、初期設定の面倒さを取り除くことができました。「手軽にセットできて楽しめるもの」というVR市場のニーズを明らかにしたのが一つ目の功績です。

2つ目はVR機器の6DoFの優位性です。VR機器には3DoFと6DoFの2種類があります。2つの違いを説明すると、3DoFは頭のX軸、Y軸、Z軸の3つの動きを感知することができますが、6DoFはその3つに加えて、体自体の移動方向のX軸、Y軸、Z軸を検知することができます。

3DoFは視点が固定され、手足の動きは反映されず頭の動きだけが反映されるため、映画鑑賞などに適します。より技術的に高度な6DoFは頭だけでなく、身体の動きも検知されVR世界に反映されるため、より没入感が高く、本格的なゲームなどに適するイメージです。

Oculus Goの発売当時はVR機器が高すぎるという消費者認識があったため、6万円~10万円が一般的だったVR機器の価格を199ドル(約2万1000円)と安く抑えて発売されました。

価格を抑えるに伴って、Oculus Goは3DoFとなりました。こちらはOculus Go自体が成功したというよりは、後継機のOculus Questとの比較対象としての役割を果たしたという面が強くなっています。

Oculus Goは3DoF製品として登場し、のちに登場する6DoFのOculus Questとの比較によって、6DoFがVR市場のニーズに合っているということを明らかにしました。

3つ目はこの機器はVRがゲームだけでなく、より現実のイベントや事業への活用の幅を広げる面でも重要な役割を果たしたところ。OculusのOculus Goの販売終了の発表から引用すると「ライブコンサートやスポーツイベントから、カウチでの協力プレイ、企業研修など、Oculus Goは世界中の人々に新しい体験を可能にし、Oculus Questの基礎を築」いたのです。

VR機器のスタンドアロン型と6DoFの優位性を明らかにしたこと、そしてゲームだけではなくライブやイベント、企業研修などVRの可能性を明らかにしたという点でOculus Goは重要な役割を果たしました。そしてこの機器の販売終了と、Oculus Questの登場によってVRは新たな局面を迎えようとしています。

(6) Oculus Quest

冒頭にも紹介したようにOculus Goの販売が終了し、そして今後主力となっていくと思われるのがOculus Questです。Oculus Questは2019年に399ドル(日本円換算5万4780円)で6DoF製品として売り出されました。頭と手の動きを追ってくれるトラッキングの機能に優れています。

そして外部の機器を必要としないスタンドアロン型であるため、これ1台でVR体験をすることができます。Oculus Goで見つかった市場のニーズや改善点を活かした特徴になっています。Oculusはブログで今後3DoFのVR製品を販売することはないと明言しており、こちらのOculus Questなどの6DoF製品が主力になっていくと思われます。

また、発表では同時にOculusのデベロッパーのアプリ配布をより容易にすることを検討していると発表しています。当初はOculus Storeの厳しい審査を得ないとアプリを販売できない仕組みになっており、閉鎖的な姿勢に批判が起こっていました。今後はより実験的なアプリが増えることになり開発者の積極的なアプリ開発が進むように思われます。

3.VR機器に求められていることと今後について

以上で見てきたようなことから今後のVR機器について言えるのは、スタンドアロン型の機器が一般的になるであろうことと、VRの没入感の強い6DoF製品が求められていることの2つになります。

スタンドアロン型については、パソコンやスマートフォン、そのほか外部機器を必要とせず、複雑なセットアップの手間が削減された、それ一つでVRを体験できる機器が求められることになるでしょう。

そして、価格は安く抑えた機器よりも、ある程度高い値段でも、全身の動きが忠実にVRに反映される、没入感やVR体験の完成度の高さを持った機器が求められていることがわかります。VR企業は価格帯やデザイン、性能の試行錯誤を重ねて、VRをどのような人が求めているのかを探し続けています。

また、VRは今後ゲームだけでなく、医療や介護の分野への適用や人口知能の導入など他分野との関わりをもって発展していく可能性も秘めています。5Gの普及によって大容量のデータを扱うことができるようになることもVRの大きな手助けとなるでしょう。

参考

参考サイト一覧

Play Station VR 公式サイト
https://www.playstation.com/ja-jp/explore/playstation-vr/

An Update on the Evolution of the Oculus Platform
https://www.oculus.com/blog/an-update-on-the-evolution-of-the-oculus-platform-/

5GキラーアプリはAR/VR、買収競争が激化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61024960R00C20A7000000/?fbclid=IwAR1ccJsy5pkGU2kOUqUB7FsT1ffzKUjb5Qsup7GhsHUcDvHgR7UlI0dIsYg

「VR空間で手が使えるってすごい」、独立型VRHMD「Oculus Quest」使用レビュー
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00824/00001/ HTCvive

5GキラーアプリはAR/VR、買収競争が激化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61024960R00C20A7000000/?fbclid=IwAR1ccJsy5pkGU2kOUqUB7FsT1ffzKUjb5Qsup7GhsHUcDvHgR7UlI0dIsYg

VR元年 | Mogura VR
https://www.moguravr.com/terms/index-h/vr-gannen/

VRの歴史が一目で分かるインフォグラフィック
https://www.moguravr.com/vr-history-infographic/

HTC VIVE最新情報まとめ 価格・おすすめゲーム・次世代デバイス情報など(2019年2月版)
https://www.moguravr.com/htc-vive-10/#:~:text=HTC%20VIVE%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%AF,%E3%81%8C%E9%85%8D%E4%BF%A1%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

VRハードウェアの基礎知識。歴史や仕組み、3大VR HMDの比較まで
https://www.watch.impress.co.jp/headline/docs/extra/vr/1060434.html

話題のVRを値段で比較!金額によるスペックの違いまで
https://tech-camp.in/note/technology/20533/#HTC_Vive-2

【Oculus Go VS Gear VR】どっちが買い?性能・価格を徹底比較
https://xr-hub.com/archives/5306

フェイスブックが最も安いVRヘッドセットOculus Goの販売を終了
https://jp.techcrunch.com/2020/06/24/2020-06-23-facebook-kills-off-its-cheapest-vr-headset/

「Oculus Go」の販売が2020年で終了。Quest/Riftに注力
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1261038.html

Facebook、「Oculus Go」販売終了 6DoFに完全シフト
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2006/24/news064.html

Oculus Goが販売終了、Facebookはその先に何を見ているのか|今日の「ヤバい!VR」#17
https://note.com/iwhododo/n/n237de4849b78

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