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役員報酬で節税するには?シュミレーションについても解説

役員報酬の金額を調整すると、効果的に節税ができます

節税とは、合法的な範囲で企業が支払う税金の額を圧縮することです。

役員報酬は全額を損金算入できるため、金額によっては節税効果を高めることができます。

法人税や所得税、住民税などの各種税金と社会保険料との兼ね合いを考え、役員報酬を設定してみましょう。

その結果、税金の負担を減らせる可能性があります。

本記事では、役員報酬と各種税金との関連や手取り額のシュミレーションを解説します。

役員報酬を活用した節税の方法や注意点も説明しますので、参考にしてください。

企業の利益と税率の関係

役員報酬の節税について紹介する前に、企業利益と税率の関係性を整理します。

企業は、売上から経費を差し引いた税引前当期純利益から、法人税等の税金を支払っています。

一般的に東京23区で経営する企業が支払う税金は、以下のとおりです。

  • 法人税(23.2%)
  • 地方法人税(法人税×10.3%)
  • 法人住民税(10.4%:東京都23区内の場合)
  • 法人事業税(3.75~7.48%)

上記の税金は税引前当期純利益に対して生じるため、企業の利益を圧縮することで、税金負担を軽減できます

役員報酬と各種税率の関係

税法上、役員報酬は勤務先から受け取る給料や賞与と同様に、所得へ分類されます。

したがって、役員報酬を受け取る際には、所得税や住民税、社会保険料の支払い義務が発生します。

これらの税金は役員報酬の金額が高いほど負担が増える仕組みであり、役員が税負担を軽減するには、報酬額を圧縮するのが効果的です。

この章では、役員報酬と各種税率の関係性を紹介します。

役員報酬とは?

役員報酬とは、会社の役員に対して支給される報酬を指します。

給与が従業員の労働対価として支給されるのに対し、役員報酬は役員の職務執行の対価として支給される会社の経費です。

役員報酬は定款や株主総会の決議で決定されますが、経営者の裁量に任されている部分が大き移転が特徴です。

また、役員報酬を高い金額に設定することで、会社の利益が圧縮され、法人税等の負担軽減が期待できます。

一方役員個人の所得が増加するため、所得税や住民税、社会保険料の負担額が増加します。

したがって、役員個人と会社の税負担のバランスを考え、役員報酬の金額を設定することが大切です。

役員報酬と法人税の関係

法人税と会社の経費である役員報酬は、下記のように連動した動きを見せます。

  • 役員報酬(多):法人税(少)
  • 役員報酬(少):法人税(多)

法人税は、税引前当期純利益×法人税率で算出されるため、役員報酬の金額を大きくすると、利益が圧縮されて法人税は少なくなり、役員報酬を少なくすると、法人税が増加します。

資本金1億円以下の普通法人が支払う法人税の種類及び税率は、以下のとおりです。

種類標準税率
法人税23.4%
地方法人税4.4%
住民税12.9%
事業税9.59%

また、これら法人が支払う税率の合計は、以下のとおりです。

平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度
資本金が1億円を超える企業32.11%29.97%29.97%29.74%
資本金1億円以下で利益が400万円以下21.42%21.42%25.89%25.89%
資本金1億円以下で利益が400万円超800万円以下23.20%23.20%27.57%27.57%
資本金1億円以下で利益が800万円超34.33%33.80%33.80%33.58%

法人実効税率とは、経常利益に対してかかる法人税、地方法人税、法人住民税、そして法人事業税の税率を合算したものです。

日本では経済界から法人税が高いという指摘があり、引き下げのための政策が実施されています。

役員報酬と所得税の関係

役員報酬は所得に分類されるため、支給された場合に所得税の納税義務が生じます。

所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、5%から45%の7段階に区分されています。国税庁によれば、収入と所得税の関係は以下のとおりです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

引用:所得税の税率|国税庁

役員報酬を設定する際は、各段階の上限金額以下に設定するのが望ましいといえます。

役員報酬と社会保険料の関係

所得税や住民税同様に、収入が高いほど社会保険料は高くなります。

保険料率は介護保険第2号被保険者に該当しない場合で9.84%、該当する場合で11.64%です。

保険料は標準報酬月額×保険料率で決まりますが、標準報酬月額は月額58,000円から1,390,000円まで50段階に分かれています。

役員報酬の設定額における手取り金額のシミュレーション

役員報酬をいくらに設定すると、個人・法人の合計手取り金額が最も多くなるのでしょうか。

  • 法人利益600万円の場合
  • 法人利益800万円の場合
  • 法人利益1,000万円の場合

この章では、経営者が社会保険に加入したものとして、上記3種類の法人利益額ごとに手取り金額をシミュレーションします。

法人利益が600万円の場合

役員報酬0万円300万円600万円
所得税・住民税017万円51万1,000円
社会保険料(個人負担)046万4,000円89万3,000円
法人税146万7,000円64万円7万円
社会保険料(法人負担)046万4,000円89万3,000円
個人と法人を合計した手取り額453万3,000円426万6,000円363万3,000円

法人利益が600万円の場合、個人と法人の合計手取り額が最も高いのは、役員報酬が0円の時です。

役員報酬が増加するにつれて法人税は減額されますが、所得税や社会保険料の比重が高くなります。

したがって、節税効果を最大限高める場合は、役員報酬を低めに抑えると良いでしょう。

法人利益が800万円の場合

役員報酬0万円300万円600万円800万円
所得税・住民税017万円51万1,000円93万1,000円
社会保険料(個人負担)046万4,000円89万3,000円114万9,000円
法人税196万4,000円110万2,000円31万9,000円7万円
社会保険料(法人負担)046万4,000円89万3,000円114万9,000円
個人と法人を合計した手取り額603万6,000円580万円538万4,000円470万100円

法人利益が800万円の場合も先ほどと同様、役員報酬0円の時に手取り額が最大化されます。

法人利益が1,000万円の場合

役員報酬0万円300万円600万円1,000万円
所得税・住民税017万51万1,000円144万7,000円
社会保険料(個人負担)046万4,000円89万3,000円125万2,000円
法人税270万1,000円160万円76万8,000円7万円
社会保険料(法人負担)046万4,000円89万3,000円125万2,000円
個人と法人を合計した手取り額729万9,000円730万200円693万5,000円597万9,000円

法人利益が1,000万円の場合は、300万円で手取り額が最大化されています。

また、役員報酬が300万円よりも大きくなると、手取り額が大幅に減少するため、注意が必要です。

役員報酬を活用して節税する方法

役員報酬を活用して節税効果を高める方法は、主に下記の2つがあります。

  • 配偶者を役員にする
  • 親族を役員にする

上記2つの節税対策について、詳しく紹介します。

配偶者を役員にする

最も代表的な方法は、配偶者を役員にする方法です。

オーナー社長が経営する中小企業の場合は、奥さんを会社の役員に就任させるのが一般的です。

所得税には累進課税制度が採用されており、所得が大きいほど税率が高まります。

したがって、オーナー社長一人に高額な役員報酬を支給するよりも、配偶者と所得を分散するほうが所得税を抑えられます

オーナー社長のみオーナー社長奥さん
年収1,500万円900万円600万円
所得税243万7,200円87万6,500円34万8,500円
住民税121万4,000円65万7,000円39万3,000円
社会保険料189万円130万円86万円
合計554万1,200円195万3,500円125万1,500円

上記の場合、オーナー社長のみに1,500万円の役員報酬を支給すると、税金や保険料を合わせて554万1,200円の負担が生じます。

しかし、役員報酬1,500万円を奥さんに600万円移転すると、夫婦の負担額は195万3,500円+125万1,500円の320万5,000円に抑えることが可能です。

結果、配偶者を役員へ選任する方が、554万1,200円-320万5,000円=233万6,200円の節税効果を得られます。

他の親族を役員にする

他の親族を役員にした場合も、先ほどと同様の節税効果が得られます。

ここでは、奥さんと2人の子供を会社の役員に就任させた場合を想定します。

社長のみ社長奥さん子供A子供B
年収2,000万円1,100万円300万円300万円300万円
所得税411万1,000円104万3,000円5万3,400円5万3,400円5万3,400円
住民税169万3,000円72万8,100円11万3,800円11万3,800円11万3,800円
社会保険料171万3,696円136万2,708円47万5,908円47万5,908円47万5,908円
合計751万7,696円313万3,808円64万3,108円64万3,108円64万3,108円

子供2人を役員に加えると節税効果はさらに高まります。

上記の場合、オーナー社長に2,000万円の役員報酬を支給すると、税金や保険料を合わせて751万7,696円の負担が生じます。

しかし、2,000万円という全体の役員報酬の金額を変えずに、奥さん、子供にそれぞれ300万円の役員報酬を移転すると、家族合わせた負担額は506万3,132円です。

結果として751万7,696円-506万3,132円=245万4,464円の節税効果が得られます。

極端な役員報酬設定の注意点

先ほどのシミュレーションで示した通り、企業利益800万円までは役員報酬を0円に設定する方が、手取り金額が大きくなります。

ただし、役員報酬を極端に安く(高く)設定した場合、それぞれにデメリットもあるため注意が必要です。

この章では、役員報酬を安く設定した場合、高く設定した場合の注意点を順に紹介します。

役員報酬をゼロにすると?

役員報酬を低く設定した場合には、下記の2つに注意が必要です。

  • 資金調達への悪影響
  • 社会保険に加入できない恐れ

役員報酬を0円に設定することで、決算書の利益を増やすことが可能です。

ただし、金融機関の融資は、決算書の利益額に対して融資額が設定されるため、役員報酬を極端に安く設定していると、融資担当者に不信感を与えかねません

万が一、役員報酬を低く設定する場合は、合理的な理由を説明できるようにしておくと良いでしょう。

役員が社会保険に加入するには、定期的に労働力を提供し、報酬を受け取らなければなりません。

役員報酬を0円に設定した場合、加入条件の後者に該当しないため、社会保険への加入が認められないのです。

したがって、社会保険への加入を希望する場合には、最低でも1円以上の役員報酬を受け取るようにしましょう。

役員報酬を高くしすぎると?

役員報酬を極端に高く設定した場合、下記の2つに注意が必要です。

  • 役員個人の税負担が大きくなる
  • 役員報酬を経費として認められない恐れがある

役員報酬を極端に高く設定した場合、会社の法人税等は節税されますが、役員個人の税負担が大きくなります。

中でも所得税は累進課税制度を採用しているため、報酬額が大きくなるにつれ税率が高まる仕組みです。

場合によっては、役員報酬を減らした方が手元にお金が残るケースもあるため、注意が必要です。

役員報酬は経営者が自由に設定できますが、極端に高い場合、損金算入を税務署に拒否される恐れがあります。

損金算入を拒否されると、損金算入できなかった部分に法人税が課税されるため、節税効果を得られないばかりか余分に出費がかさみます。

そのため、役員報酬で節税効果を享受するには、バランスを考慮した金額設定が大切です。

役員報酬を活用して最大限節税しよう

役員報酬を適正な水準に設定することで、節税効果を享受でき、個人・会社ともに手取り額を最大化できます。

また、役員報酬には様々なルールが有り、万が一損金算入が否認された場合は、法人税と所得税を二重で支払う必要があります。

役員報酬は適正な水準に設定することが大切ですので、信頼できる税理士やファイナンシャルプランナーなどに相談してみましょう。

相談相手としておすすめしたいのが株式会社パラダイムシフトです。

同社はIT領域におけるM&Aのサポートを行っていますので、中小企業の経営に関するノウハウや知識が蓄積されています。

役員報酬を活用した節税を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。