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株式譲渡契約書の書き方は?テンプレートと手続きの流れを徹底解説!

株式譲渡の際は、契約書を用意する必要がありますが、株式譲渡契約書の取り扱いは初心者にとって、難しく感じてしまうものです。

この記事では、株式譲渡契約書の書き方から、締結の流れや注意点までを徹底解説します。株式譲渡契約締結後の手続きについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

株式譲渡契約書が必要な株式譲渡の基本

株式譲渡契約書は、株式譲渡を行う上で非常に重要な書類です。ここでは、株式譲渡の基本的な知識と、なぜ株式譲渡契約書が必要なのかを解説します。

株式譲渡契約書とは

株式譲渡契約書(Stock Purchase Agreement)とは、企業の株式を売買する際に使用される契約書のことです。株式の譲渡に関して、譲渡人と譲受人の間で合意した内容を明確にするために作成されます。

株式譲渡契約書には、譲渡する株式の種類や数・譲渡価格・譲渡日などの重要な条件が記載します。株式譲渡契約書は、当事者間の権利と義務を明確にし、将来的な紛争を予防する役割を果たす重要書類です。

株式譲渡と売買の違い

株式譲渡も売買の一種ですが、通常の物品の売買とは異なる点がいくつかあります。

 違い株式譲渡通常の売買
対象株式会社の株式物品、不動産など
契約の成立当事者間の合意に加えて、株主名簿の書き換えが必要当事者間の合意のみで成立
影響会社の経営権に影響を与える可能性あり一般的に、売買契約自体は当事者間にのみ影響

株式譲渡では、株式名簿の書き換えが完了して初めて、譲受人が株主としての権利を行使できます。また、株式譲渡は会社の経営権の移転を伴う場合があるため、慎重な手続きが必要です。

株式譲渡契約が必要な理由

株式譲渡契約書は、株式譲渡を円滑に進めるために必要な書類です。主な理由としては、以下の点が挙げられます。

  • 権利義務の明確化
  • 譲渡条件の確定
  • 表明保証
  • 紛争解決

会社の運営に大きな影響を与える可能性がある株式譲渡契約書は、慎重に作成しましょう。

株式譲渡の種類

株式譲渡には、いくつかの種類があります。主な種類としては、以下のものが挙げられます。

  • 有償譲渡:株式を対価(金銭など)と引き換えに譲渡する
  • 無償譲渡:株式を無償で譲渡する
  • 相対取引:譲渡人と譲受人が直接交渉して行う譲渡
  • 市場取引:証券取引所を通じて行う譲渡

株式譲渡の種類によって、契約書の内容や手続きが異なる場合があります。ご自身の状況に合わせて適切な方法を選択しましょう。

株式譲渡契約書を締結する際の流れ

株式譲渡の契約締結までの流れは、以下のとおりです。

ステップ詳細
1. 譲渡交渉と基本合意譲渡人と譲受人の間で、譲渡する株式の種類・数・価格・譲渡日などの基本的な条件について交渉を行い合意を得る
2. デューデリジェンス譲受人は、譲渡対象となる会社の実態を把握するために、財務・法務・税務などに関する詳細な調査(デューデリジェンス)を実施する
3. 株式譲渡契約書の作成・締結デューデリジェンスの結果を踏まえ、譲渡人と譲受人は株式譲渡契約書を作成し、双方が契約内容に合意したら、契約書に署名・捺印し、契約を締結する
4. 株主名簿の書き換え請求株式の譲渡人と譲受人は共同で会社に対して、株主名簿の書換えを請求する
5. 譲渡承認請求(譲渡制限株式の場合)譲渡制限株式の場合、株式譲渡を行うには、会社の承認が必要。譲渡人は、会社に対して株式譲渡の承認を請求し、取締役会または株主総会で承認を得る
6. 株式譲渡の実行契約書に定められた譲渡日に、譲渡人は譲受人に対して株式を引き渡し、譲受人は譲渡人に対して譲渡価格を支払う
7. 税務申告株式を譲渡した譲渡人は、譲渡益に対して所得税を納める。確定申告の際には、株式譲渡契約書や証券会社の取引報告書などが必要

複雑な手続きや法的な問題が発生する可能性もあるため、弁護士や税理士などの専門家に相談しましょう。

株式譲渡契約書の書き方

株式譲渡契約書は、譲渡する株式の種類や数・譲渡価格・譲渡日など、重要な事項を明確に記載する必要があります。ここでは、株式譲渡契約書の各条項の書き方について解説します。

当事者の表示:譲渡人と譲受人を明確に

契約書の冒頭には、譲渡人と譲受人を特定するための情報が必要です。個人の場合は、氏名・住所・生年月日を記載し、法人の場合は、会社名・本店所在地・代表者名を記載します。

当事者の表示は、契約の相手方を明確にするために重要です。

例:

譲渡人:〇〇 〇〇(以下「甲」という)

譲受人:△△ 株式会社(以下「乙」という)

譲渡対象株式:種類、数、譲渡日を正確に

譲渡する株式の種類、数、譲渡日を正確に記載します。株式の種類は、普通株式・優先株式など、会社が発行している株式の種類を記載してください。

株式数は、譲渡する株式の数を記載し、譲渡日は株式の所有権が譲渡人に移転する日を記載します。これらの情報は、譲渡される株式を特定するために必要です。

例:

甲は乙に対し、甲が所有する〇〇株式会社の普通株式〇〇株(以下「本件株式」という)を、〇〇年〇〇月〇〇日に譲渡する。

譲渡価格:金額と支払い方法を明記

株式の譲渡価格とその支払い方法を明確に記載します。譲渡価格は、株式1株あたりの価格、または総額を記載しましょう。

支払い方法は、現金・振込・その他の方法など、具体的な方法を記載します。支払い期日も忘れずに明記し、後々のトラブルを避けるために、詳細に定めましょう。

表明保証:会社と株式の状態を保証

表明保証とは、譲渡人が譲受人に対し、会社や株式の状態について一定の事項が真実であることを保証するものです。

例えば、会社の財務状況・法的紛争の有無・株式の権利関係などについて保証します。表明保証は、譲受人が安心して株式を取得するために重要な条項です。

契約解除:契約解除の条件を定める

契約解除の条件を明確に定めます。例えば、譲受人が譲渡価格を支払わない場合、譲渡人が表明保証に違反した場合など、契約を解除できる条件を具体的に記載しましょう。

契約解除の条件を定めることで、万が一の事態に備えられます。

秘密保持義務:契約内容に関する情報の保護

契約内容に関する情報の保護について定めます。譲渡人と譲受人は、契約内容や、株式譲渡に関連して知り得た情報を第三者に開示してはならない旨を記載してください。

秘密保持義務は、会社の機密情報や個人情報を保護するために重要です。

準拠法と裁判管轄:紛争解決の方法を定める

準拠法と裁判管轄を定めます。準拠法は、契約の解釈や適用について、どの国の法律を適用するかを定めるものです。

裁判管轄は、紛争が発生した場合に、どの裁判所で裁判を行うかを定めるものです。準拠法と裁判管轄を定めることで、紛争解決の手続きを円滑に進められます。

その他条項:必要に応じて追加条項を設定

上記以外にも、必要に応じて追加条項を設定できます。例えば、競業避止義務・損害賠償・契約の有効期間など、個別の事情に合わせて条項を追加しましょう。

株式譲渡契約書を締結する際の注意点

株式譲渡契約書は、株式譲渡という重要な取引において、当事者間の権利義務を明確にするための非常に重要な書類です。契約締結後のトラブルを避けるため、以下の点に注意して慎重に手続きを進めましょう。

契約書の保管期間を遵守する

株式譲渡契約書には、法律で定められた保管期間はありません。しかし、税務申告に使用した場合は、5年間の保管が義務付けられています。

保管期間中は、紛失や破損がないように適切に管理しましょう。

個人間の譲渡契約の場合、保管義務はありませんが、後日のトラブルに備えて保管しておいてください。

個人間の譲渡でも契約書を用意する

株式譲渡は、親族や知人間で行われるケースがあります。しかし、個人間の譲渡であっても、口約束だけで済ませずに、必ず契約書を作成しましょう。契約書を作成することで、後々のトラブルを未然に防げます。

表明保証を徹底する

表明保証とは、譲渡人が譲受人に対し、譲渡対象となる株式や会社に関する一定の事項が真実であることを保証するものです。表明保証を徹底することで、譲受人は安心して株式を取得できます。譲渡人は、表明保証の内容を十分に理解し、虚偽の申告がないように注意しましょう。

弁護士のリーガルチェックを受ける

株式譲渡契約書は、法的に複雑な内容を含む場合があります。そのため、契約締結前に弁護士のリーガルチェックを受けましょう。

弁護士は、契約書の内容に不備がないか、不利な条項がないかなどを確認し、適切なアドバイスを提供してくれます。

贈与税やみなし譲渡が適用されるか確認する

株式譲渡の際には、贈与税やみなし譲渡所得税が課税される場合があります。特に、親族間や血縁にあたる者への譲渡は、注意が必要です。

M&Aや事業承継の手続きを確認する

株式譲渡がM&Aや事業承継の一環として行われる場合には、関連する法規制や手続きを確認しましょう。

例えば、会社法上の手続きや、独占禁止法上の規制などが適用されるケースがあります。M&Aや事業承継に詳しい専門家(弁護士、税理士、M&Aアドバイザーなど)に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

株式譲渡契約後の手続き:株主名簿の書き換えとその他の手続き

株式譲渡契約を締結した後も、いくつかの重要な手続きが残っています。手続きを確実に行うことで、株式譲渡が法的に有効となり、株主としての権利を適切に行使できるのです。

株主名簿の書き換え:会社への通知と手続き

株式譲渡が完了しただけでは、譲受人が会社の正式な株主として認められるわけではありません。会社に備え付けられている株主名簿の名義を書き換える必要があります。

株主名簿の書き換えの流れは、一般的に以下のとおりです。

  1. 譲渡人・譲受人による会社への通知
  2. 会社による株主名簿の書き換え
  3. 株主名簿の書き換え請求

譲渡承認請求:譲渡制限株式の場合

会社が発行する株式には、譲渡制限が付いているケースがあります。譲渡制限株式とは、株式を譲渡する際に会社の承認が必要となる株式のことです。譲渡制限株式を譲渡する場合、株主名簿の書き換えを行う前に、会社に対して譲渡の承認を請求しましょう。

譲渡承認請求の流れは、以下のとおりです。

  1. 譲渡人による譲渡承認請求
  2. 会社による譲渡承認の決定
  3. 譲渡承認後の手続き

もし会社が譲渡を承認しない場合、会社は譲渡人に対して、株式を買い取るか指定する買い取り手を見つけなければなりません。

株式譲渡の効力発生時期:株主名簿の書き換え完了時

株式譲渡の効力は、譲渡契約の成立および株式の引渡しにより発生します。株主名簿の書き換えは「会社に対して株主としての権利を主張するために必要な要件」であり、譲渡効力そのものとは異なるので注意しましょう。

税務署への届け出:所得税の確定申告

株式譲渡によって譲渡益(売却益)が発生した場合、譲渡人は税務署に所得税の確定申告を行いましょう。株式譲渡益は、譲渡所得として課税対象です。確定申告の際には、株式譲渡契約書や株式の取得費を証明する書類などを用意してください。

まとめ|株式譲渡契約書を締結する前に専門家へ相談しよう

株式譲渡契約書は、株式譲渡における重要な法律文書です。株式譲渡は、会社の経営権を左右する重大な取引であり、契約内容に不備があると後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。

株式譲渡契約書の作成においては、専門的な知識が必要となる条項が多く含まれているので、弁護士などの専門家に相談しましょう。

株式譲渡契約書の作成やリーガルチェックを依頼して、法的効力のある契約書を用意してください。

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