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清算結了登記とは?申告期限や流れについて徹底解説

会社は様々な理由で解散し、消滅することがあります。

合併による消滅や業績の悪化による破産手続きの開始、最近では経営者の高齢化と後継者不足で黒字廃業を選ぶ企業もあります。

会社が何らかの理由で解散するときには清算結了という手続きが必要です。

この記事では、清算結了の概要や清算結了をするための具体的な手続きについて解説します。

清算結了について

会社を解散して、消滅させるときに必要となる手続きが清算結了です。

清算結了は解散の決定から清算結了登記までの一連のプロセスを指します。

会社を解散する時に必要な手続きですので、理解しておきましょう。

ここからは、清算結了や清算結了登記について詳しく解説します。

清算結了とは

清算結了とは、会社に残る残余財産をすべて清算・分配し、会社自体を消滅させることを指します。

清算手続きに入った会社は清算株式会社と呼ばれます。清算株式会社は全債権の回収や全債務を返済、残余財産の清算が必要です。

これらの手続きをすべて完了しないと清算結了登記は受理されません。

清算結了登記が受理されて、会社自体が消滅すると裁判や取引の当事者になることができません。また登記簿謄本が、閉鎖されるため会社の復元も不可能です。

清算結了登記とは

清算結了登記とは、会社の清算手続きの一部であり、会社が清算して消滅したことを登記するものです。

そもそも登記とは会社の概要を公開し、「取引の安全」を図る目的があります。

したがって、会社の解散を公開し、清算株式会社との取引によって損害を受ける者が出ることを防ぐ趣旨があるのです。

会社法第499条には以下のように規定されています。

清算株式会社は、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。

つまり、会社の解散から2ヶ月以内に法律の規定にしたがって、手続きを行い、清算結了登記をする必要があります。

清算結了の流れ

会社を解散する時に事業を停止しても自動的に消滅することにはなりません。

事業を停止するだけでは会社は存続するため、税金や給与の支払いも継続します。

会社の設立時と同様に、解散するときにも法律に規定された手続き通りにステップを踏ことが重要です。

会社の解散は登記によって一般に公開されるわけですが、清算登記が受理されるためには必要な手続きをすべて完了している必要があります。

ここからは、会社を解散するための清算結了の流れについて解説します。

株主総会の決議による解散

株式会社では、株主総会で会社の解散に係る決議が行われます。

会社の解散は特別決議で決められる事項です。議決権の過半数を有する株主が出席した株主総会で決議する必要があります。さらに、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成も必要です。

また、株主総会では普通決議によって、清算事務を行う清算人を選任します。

中小企業では取締役が清算人に就任することがほとんどです。

清算人の選任をすると、債権者に公告する必要があります。

解散及び清算人選任登記

まずは株主総会で会社の清算に関する特別決議を行い、普通決議で清算人を選任します。それから2週間以内に会社の本店所在地を管轄する法務局に出向いて、解散と清算人選任の登記を申請

登記申請時に、「株式会社解散及び清算人選任登記」という申請書と清算を決定し、清算人を選任した株主総会の議事録、そして清算人の就任承諾書を添付します。

また、それ以外にも個々のケースによって追加で必要書類が求められることがあります。

財産目録・貸借対照表の作成と承認

会社法第492条1項には以下のように規定されています。

清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録及び貸借対照表(以下この条及び次条において「財産目録等」という。)を作成しなければならない。

このように清算人が財産を調査した上で財産目録・貸借対照表を作成し、その後に株主総会の承認を得る手続きが必要です。

債権者保護手続き

会社の解散という債権者に影響を及ぼす行為を行う時には債権者に異議を述べる機会を与える必要があります。

この場合の債権者とは銀行や取引先など会社に債権を持っている個人や企業です。

この債権者保護のために官報によって、異議のある債権者は2ヶ月以上の一定期間内に申し出ることを公告します。

官報とは、政府が発行する新聞のようなもので、破産や失踪宣言などの裁判所公告が記載されます。

官報公告の手続きは、弁護士事務所による代行も可能です。

さらに会社が認識している債権者や取引先については個別に通知をして、債権の申し出を依頼します。

解散確定申告書の提出

会社が清算した日の翌日から1年毎に期間を1事業年度とします。

事業年度における終了日の翌日から2ヶ月以内に、税務署で清算事業年度の確定申告書を提出し、課税所得に係る法人税の納付が必要です。

1事業年度は会社の期首から会社の解散の日となりますので、1年未満となることもあります。

通常の確定申告の期間は1年であり、解散確定申告と異なりますので、税理士と相談しながら進めましょう。

残余財産の確定・分配

清算株式会社の清算人は、会社の財産目録を作成して、会社の債権と債務の範囲を確定。

未回収の売掛金などの債権について債権先に催告して回収し、一方で買掛金や借入金などの債務については債務先に支払います。

財産が債務よりも多く、すべての債務を支払っても財産が残る場合には、残った財産を株主に分配して清算します。

清算確定申告書の提出

清算中の会社が債務の弁済が完了すると、残余財産が確定します。その場合、確定日が属する課税期間終了日の翌日から、1か月以内に税務署へ清算確定申告書の提出及び、税金の納付をします。

また、清算期間に発生した所得にかかる税金も清算確定申告書の提出時に納付。書類の提出と納税が完了すると、すべての清算事務が終了します。

株主総会における清算事務報告の承認

清算人によるすべての清算事務が終了したら、株主総会を開催して決算事務報告の承認を受けます

承認決議がされると、会社の法人格が消滅するのです。

また会社法施行規則150条によれば、決算報告書には以下の事項を含む必要があります。

  1. 債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額
  2. 債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額
  3. 残余財産の額(支払税額がある場合には、その税額及び当該税額を控除した後の財産の額)
  4. 一株当たりの分配額(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式一株当たりの分配額)

さらに4については、「残余財産の分配を完了した日」と「残余財産の種類及び価額」を記載します。

清算結了登記

株主総会で決算事務報告の承認を受けてから2週間以内に清算結了の登記申請を行います。

清算結了登記の登録免除税には2,000円が必要です。

この清算結了登記によって会社の登記簿は閉鎖されるので、会社は完全に消滅します。

また債権の申し出期間として、債権者には最低でも2ヶ月の期間を与える必要があります。そのため、会社の解散から清算結了登記までは最短2ヶ月です。

各機関への解散の届出

清算結了登記が受理されたら、管轄の税務署、都道府県税事務所、市区町村役場などに清算結了の届け出を行います。

届出時に「異動届出書」「登記事項証明書」を提出。登記事項証明書は閉鎖事項全部証明書となります。

これらの書類を各機関に提出すると、会社清算の手続きはすべて完了します。

清算結了に関する注意点

会社が解散するときには、清算結了という手続きが必要なことを解説しました。会社を解散するための重要な手続きですので、確実に進めましょう。

また清算結了には、注意点もあります。ここからは清算結了にかかる期間や必要となる費用について解説します。

ここで紹介する注意点を理解しておくと、想定外の事態に対処できますので、参考にしてください。

清算結了にかかる費用

清算結了を行うために必要な費用は主に以下の2つです。

  • 登録免許税
  • 司法書士への報酬

登録免許税とは、清算登記を含む登記手続きの際に国に納める税金のことです。

清算結了登記の場合には2,000円の登録免許税がかかります。

実際には登記申請書の背面に貼付する収入印紙の購入費用として登録免許税がかかります。

また、1支店につき2,000円の登録免許税がかかる点に注意しましょう。

清算結了の際には、司法書士に手続きを代行してもらうことが多いようです。

代行時には清算結了登記だけではなく、清算結了にかかる一連の流れを、報酬10万円程度で委託することが一般的です。

清算結了にかかる期間

清算結了登記は、株主総会で清算事務報告の承認を得た日から2週間以内に行う必要があります。

また、支店を持っている場合には支店所在地の法務局で3週間以内に登記申請をする必要があります。

さらに、会社の解散後に清算人は2ヶ月以上の期間を定めて官報で清算を公告する必要があります。

そのため、清算人の就任から2ヶ月以上経過しないと清算登記の結了はできません。2ヶ月が経過していない段階で、法務局に届け出を行っても受理されない点は注意が必要です。

債務超過の場合

清算株式会社が債務超過である場合は、通常の清算手続きによる会社解散ができないため注意してください。その場合は、裁判所を通じて破産手続きをするか、特別清算の手続きが必要です。

したがって、決算報告書において債務超過の事実が明らかになると、清算結了登記は受理されませんただし、例外もあるのです。

例えば、清算株式会社に対して債権のある関連会社や役員が、債権の権利を放棄する場合や役員等の第三者が会社の債務を免責的債務引受によって承継する場合があります。

その場合、債務の存在をなくした状態で作成・承認された決算報告書を貼付すると清算結了登記が受理されます。

清算結了をするためには登記が必要

この記事では、清算結了や清算結了登記の概要、そして清算結了の手続きの流れについて解説しました。

会社が何らかの形で解散する場合には一部の例外を除いて、清算結了の手続きが必要です。

清算結了についてさらに詳しく知りたい場合には、株式会社パラダイムシフトに相談しましょう。

株式会社パラダイムシフトは2011年の設立以来、一貫してM&Aのサポートを実施しています。

会社の解散を検討している経営者の方はぜひ株式会社パラダイムシフトに相談してみましょう。