近年、ゲームやオンラインイベントなど様々な場面で耳にするメタバース。
そんなメタバース事業の買収・M&Aが活発化しています。
本記事では、買収が活発化するメタバースの概要と、主な活用範囲を解説します。
目次
買収が加速するメタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に構築させる3DCGの仮想空間のこと。
SF作家であるニール・スティーブンスン氏がメタバースの生みの親とも言われており、1992年に発表した小説で登場する仮想空間サービスの名が「メタバース」でした。
近年、様々な場面で耳にするメタバースでは、アバターと呼ばれる分身で仮想空間に入り、ゲームやイベントなどのアクティビティを楽しめます。
すでに一部のゲーム・サービスでメタバースが活用されており、代表的なものは以下が挙げられます。
- あつまれ どうぶつの森
- ファイナルファンタジーXIV
- バーチャルマーケット
- まちこ
- Second Life
- めちゃバース
- VRChat
- メイプルストーリー
また今後はさらなる活用が期待されており、ビジネスや経済活動、生活の一部にメタバースが取り入れられるとされています。
2021年10月28日にアメリカの大手企業「Facebook」が「Meta」に社名を変更し、メタバース事業へ1兆円規模の投資を行うと発表したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
その後も、GoogleやMicrosoftなど名だたる企業がメタバースへの投資を開始しており、近い未来に大きな市場へと成長することが予測されます。
メタバースとVRの違い
メタバースト混同しがちな用語に、VRが挙げられます。
VRとは、Virtual Reality(バーチャルリアリティー)の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。
専用のゴーグルを装着することで、実際には起こっていないことを仮想体験できる手段・技術のことです。
前述のとおりメタバースは、インターネット上に構築させる3DCGの仮想空間を指す用語です。
したがって、メタバースが仮想空間自体を表すのに対し、VRは仮想空間を現実世界のように体感するためのデバイス・手段といえます。
メタバースの活用範囲
すでに様々な場面で耳にするメタバースですが、具体的にはどのような市場で取り入れられているのでしょうか。
代表的な活用範囲は以下の4つが挙げられます。
- ゲーム関連
- ビジネス関連
- バーチャル店舗
- バーチャルイベント
本章では、各分野の特色も交えながらメタバースの活用例を解説します。
1.ゲーム関連
メタバースの代表的な活用先は、複数人以上で同時にプレイするオンラインゲームが挙げられます。
アメリカのゲーム会社が提供する「フォートナイト」では、メタバース空間が構築されています。
このメタバース空間では、ユーザー同士でゲームを楽しめる他、フレンドとの交流やミュージシャンによるバーチャルライブを楽しめます。
VRや、AR(拡張現実)などの視覚技術を組み合わせることで、まるで現実空間のような感覚でゲームをプレイできます。
また任天堂が提供する「あつまれどうぶつの森」でのメタバース活用も大きな反響を生みました。
「あつまれどうぶつの森」ではアバターの着せ替えを楽しむことができ、世界的ファッションブランドの「Anna Sui」が着せ替え用の服を提供するなど、新たなビジネスとして注目を集めました。
まだまだ発展途上のメタバースですが、今後様々なゲームへの転用が期待されています。
2.ビジネス関連
早くもビジネスシーンにメタバースを導入する動きが活発化しています。
2021年にMeta社(元Facebook)が発表した「Horizon Workrooms」は、メタバースを活用し、バーチャルオフィスを提供するサービスです。
従来のテレワークとは異なり、バーチャルオフィス内にアバターが登場し、実際に出社しているかのような体験をできる点が特徴です。
また、Meta社独自の空間オーディオ技術を活用し、話しかけられている方向や距離が再現されるなど、現実世界に限りなく近い体験をできます。
VRゴーグルを装着することで、現実世界と同様に会議資料などを視認できるため、従来のテレワークよりもはるかに意思疎通を図りやすいでしょう。
3.バーチャル店舗
バーチャル店舗とは、インターネット上の仮想空間内に作られた店舗のことです。
リアルの実店舗と同様に、様々な商品サービスを購入できます。
一般的なネットショップとは異なり、実際に商品を視認できるほか、店舗スタッフによる接客や商品情報を調べられる点が魅力です。
また自宅にいながら、様々なショップで買い物を楽しめるため、消費者・事業者共に地理的影響を受けないのです。
これにより消費者は自分の欲しい商品を手軽に購入でき、事業者は商圏の拡大が期待できます。
4.バーチャルイベント
バーチャルイベントとは、インターネット上の仮想空間内で行うイベントのことです。
メタバースを活用したバーチャルイベントは、従来のオンラインイベントよりも圧倒的な臨場感を味わえます。
VRを活用することで、単に画面越しでライブを楽しむのではなく、実際にイベント会場にいるかのような体験をできるのです。
まさに実際のイベントとオンラインイベントの長所を併せ持った、新しいイベントの形といえます。
メタバース関連の企業・会社については、こちらの記事で詳しく紹介されています。あわせてご確認ください。
参考:【一覧】メタバース関連の企業・会社14選!各社の特徴と活用事例を比較紹介 | NFT Media |NFTに関する最新情報をお届けするメディア
メタバース市場で買収・M&Aが活発な理由
急速に市場規模を拡大させている近年のメタバース市場では、買収・M&Aが活発化しています。
この大きな要因は、以下の3つが挙げられます。
- インターネット・VR技術の進歩
- オンラインコミュニケーションの定着
- NFTの登場
本章では、上記3つの要点を解説します。
インターネット・VR技術の進歩
メタバース市場で買収・M&Aが活発化している理由は様々ですが、一番の要因は、インターネット・VR技術が進歩しているためです。
インターネットの高速化・高度化が進み、今や5Gが主流となりつつあります。
従来の通信技術よりもはるかに高速化し、一度に膨大な情報を扱えるため、メタバースなどの仮想空間をより現実に近い状態で構築できるようになっています。
加えて、VR技術の発展に伴い、仮想空間をより現実空間に近い状態で体感できるようになりました。
ゴーグルを通して仮想空間を視認できたり、オーディオ技術により実際の音に近い音を再現できたりします。
こうしたインターネット技術・VR技術の進歩が、メタバースの完成度を高めたことで、ビジネスとしての可能性を生み出し、買収・M&Aの増加につながっています。
オンラインコミュニケーションの定着
2つ目は、オンラインコミュニケーションの定着です。
近年では、TwitterやLINE、InstagramといったSNSを利用し、オンライン上でコミュニケーションを取ることが日常化しつつあります。
また近年世界的に猛威を振るった新型コロナウイルスの影響もあり、ビジネスシーンでも、SlackやChatWork、zoomを活用したコミュニケーションが浸透しつつあります。
こうしたオンラインコミュニケーションの定着を受け、より現実に近い環境で、コミュニケーションが取れる方法としてメタバースの活用が注目されています。
オンラインコミュニケーションが定着する以前に、メタバースを取り入れたゲームが失敗に終わった事例もありますが、すでにオンラインコミュニケーションが定着した現在であれば、多くの人々に受け入れられるでしょう。
消費者側の意識・ニーズが変化しメタバースが受け入れられ始めたことで、買収・M&Aに踏み切る企業が増加しています。
NFTの登場
3つ目の理由は、NFTが登場したことです。
NFTとはNon-Fungible Tokenの略で、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。
従来、複製や偽造が容易にできたデジタルデータに対し、代替ができないようブロックチェーン技術を活用して複製や偽造をできなくするというものです。
NFT技術の登場によってデータの改ざんが困難となり、デジタルデータに一定の価値を付加できるのです。
NFTとメタバースを組み合わせれば、仮想空間上に大規模な経済を構築できるため、多くの企業が注目しています。
メタバース企業を買収する3つのメリット
では、メタバース企業を買収メリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
考えられるメリットは以下の3つです。
- 先行優位性を獲得しやすい
- 新たなマーケティング手法の確立
- 大規模イベントを開催できる
先行優位性を獲得しやすい
1つ目のメリットは、先行優位性を獲得しやすいことです。
メタバース自体は以前から存在しましたが、本格的にビジネスへ投入され始めたのはつい最近のことです。
また現実世界とは全く異なる仮想空間であるため、多くのビジネスチャンスを秘めています。
新たに登場したメタバース市場にいち早く参入することで、先行優位性を確立しやすいでしょう。
さらに、すでに存在しているメタバース企業を買収する場合は、新規参入するよりも人材や技術、ノウハウなどのアドバンテージがあります。
買収後にそれらの資源をうまく活用できれば、いち早く事業を軌道に乗せられるでしょう。
新たなマーケティング手法の確立
2つ目のメリットは、新たなマーケティング手法の確立です。
インターネット上の仮想空間であるメタバースでは、現実世界とは異なった新たなマーケティング手法を利用できます。
例えば、以下のような手法が考えられます。
- インゲーム広告:ゲームの読み込み中に広告を表示する
- ゲーム内イベントでブランド体験:イベント内でプレイヤーにアプローチをかける
- アバターへ向けた商品提供:アバターの衣装を提供・販売
前述した「あつまれ どうぶつの森」では、アパレルブランドがアバターの装飾品を提供するといった事例もありました。
メタバースを活用することで、新たなアプローチが可能となり、売上の向上や利益の拡大が期待できます。
大規模イベントを開催できる
3つ目のメリットは、大規模なイベントを開催できることです。
メタバースでは、仮想空間内でイベントを開催できるため、地理的影響や人数制限などの規制がありません。
また、システム・サーバー次第で全世界に向けた数百万人規模のイベントも開催できるのです。
現実的には開催が困難な大規模イベントも、メタバースではコスト面を抑えつつ実現できるため、大きな収益が見込めるでしょう。
メタバース事業を買収しビジネス拡大を図ろう
本記事では、買収が活発化するメタバースの概要と、主な活用範囲を解説しました。
メタバースの主な活用範囲は、以下4つが挙げられます。
- ゲーム関連
- ビジネス関連
- バーチャル店舗
- バーチャルイベント
今後は技術の進歩、企業の参入に伴い、さらなる活用が期待されています。
また、メタバースは比較的新しい技術ということもあり、いち早く参入することで先行優位性を確立しやすいでしょう。
新たに参入するビジネスジャンルとして、メタバースをご検討されてはいかがでしょうか。
メタバースでできることについては、こちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:【実例あり】メタバースでできること10選【おすすめプラットフォームも紹介】 – ふぁふぁぶろ
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