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M&Aの利益は売却価格の何倍?算定する要素や高めるポイントなどを解説

M&Aの利益が売却価格の何倍になるか知っていますか?

企業が合併や買収(M&A)を検討する際には対象企業の評価が重要で、「利益の何倍か」という形で考えられる場合が多いです。

しかし、適切な評価を行わなければ、過大評価により過剰な資金を投下してしまうリスクや、過小評価により潜在的な収益機会を逃す可能性があります。

この記事では、M&Aでの売却価格はターゲット企業の利益の何倍になるのかや、価格算定の方法などについて解説します。

最後まで読めばM&Aの適正価格を把握できるため、業界標準に則した取引ができるようになるでしょう。

適切な価格設定により、財務リスクを避けて企業価値を最大化できます。

M&Aの価格算定する4つの要素

M&Aの価格を算定する際には、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。

これから解説する要素は、企業の価値を正確に反映し、適切な売却価格を設定するために欠かせないものです。

要素を詳細に分析して正確に評価することで、より高い価格での売却が可能となります

①市場価値

M&Aの価格算定において重要な要素の一つに、「市場価値」があります。

市場価値は、企業が現在市場でどれほどの価値を持つかを示すものです。市場価値を正確に把握することで、適正な売却価格を設定できます。

例えば、同じ業界内で類似の企業が高い評価を受けている場合、市場の価値は上昇します。逆に、業界全体が低迷している場合、市場価値は下がるのです。

市場価値を高めるためには、業界の動向を常に把握し、企業の競争力を維持・向上させる努力が求められます。

②無形資産

M&Aの価格算定において、無形資産はとても重要な要素です。

無形資産とは、特許やブランド、顧客リスト、ノウハウ、ソフトウェアなど、物理的な形を持たないが企業にとって価値のある資産を指すもので、企業の競争優位性や市場でのポジションを強化するために不可欠です。

強力なブランドを持つ企業は、ブランド価値によって消費者の信頼を得ており、市場での競争力が高いです。

また、独自の特許技術を持つ企業は、他社が模倣できない製品を提供することで、差別化を図ることができます。

無形資産を強化するためには、ブランドの信頼性を維持・向上させる努力や特許技術の開発・保護を積極的に行うことが重要です。

③純資産

M&Aの価格算定において、純資産は企業の財務的健全性を示す重要な要素です。

純資産とは企業が保有する総資産から負債を差し引いたもので、企業の実質的な財務力を表します。企業がどれだけの資産を自由に活用できるか、また負債をどれだけ抱えているかが明確になります。

例えば、A社が1億円の総資産を保有し5,000万円の負債がある場合、純資産は5,000万円となります。

純資産の額が高いほど企業の財務状態が良好であり、M&Aの際にも高い評価を受けやすいです。逆に負債が多い企業は、財務的なリスクが高いため、評価が低くなる可能性が高いです。

企業の純資産を高めるためには、負債の適切な管理と資産の有効活用が求められます。

④M&A後の見込み利益

M&A後の見込み利益は、M&Aの価格算定において将来の収益性を示す重要な要素です。

M&A後の見込み利益とは、買収後に企業がどれだけの利益を生み出すかの予測値です。買い手が投資回収期間を計算し、M&Aが将来的にどれだけ有益かを判断します。

見込み利益の予測が現実的に信頼できるものであれば、買い手は売り手企業に高い評価を与えるため、M&Aの売却価格が上昇します。

逆に、見込み利益が不確実である場合、価格は低く抑えられる可能性が高いです。

M&A後の見込み利益の算出には、詳細な市場調査や過去の業績分析、将来の事業計画の精査が必要です。

M&Aの価格を高めるポイント3つ

M&Aの取引において、価格を最大限高めることは売り手にとってとても重要です。

ここでは、M&Aの価格を高めるための具体的なポイントを3つ紹介します。

どのポイントも交渉の場で有利に立つために役立つ内容となっています。

高く評価してくれる買い手企業と交渉する

M&Aで価格を高めるためには、高く評価してくれる買い手企業と交渉することが重要です。

自社に興味がない買い手企業よりも、シナジーを感じたり興味を持ってくれたりする企業のほうが、価値を高く評価してくれるからです。

興味を持ってくれた買い手企業には、独自の技術や市場地位が買い手にとってどのような利益をもたらすかを明確にアピールすることが効果的です。

買い手の関心を引き、交渉において有利な立場を確保することで、M&Aの取引で望む価格を達成することが可能になります。

根拠を明確にして強みをアピールする

M&Aの価格を高めるには、自社の強みを根拠をもってアピールすることが不可欠です。

自社の強みや競争優位点を明確に伝えることで、どのように買い手企業に利益をもたらすかを具体的に示せます。

例えば、特許技術やブランド価値、顧客基盤など、買い手が価値を感じるポイントを事前に分析し交渉材料として用いるのです。

買い手は自社の価値を正確に理解し、適正な評価をしてもらいやすくなるでしょう。

ニーズが高い無形資産をそろえる

M&Aの価格を最大化するためには、市場のニーズが高い無形資産をそろえることが効果的です。

無形資産とは特許や商標、ブランド名、独自のノウハウなど、形のない財産のことを指します。

無形資産は、企業の競争力を高める要素として買い手にとって大きな価値があるため、強化・アピールすることが重要です。

例えば、特定の技術が業界標準となっている場合や、強力なブランドイメージが消費者の購買行動に直結している場合などが挙げられます。

無形資産を事前に整備しておくことで、交渉時に高い評価を引き出しやすくなります。

M&Aの価格算定する3つの方法

M&Aの取引において価格を算定する方法は複数ありますが、それぞれの方法には特徴があります。

ここでは、主に利用される3つの価格算定方法を詳しく解説します。

適切な算定方法を選ぶことで、M&A成功に向けた交渉の鍵となるでしょう。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、同業他社や類似の取引事例から企業価値を評価する方法です。

市場における類似企業の売買情報や株価などをもとにして、対象企業の価値を算出します。

具体的には、類似企業の財務比率や業績指標を参考にして、自社の価値を市場との比較により導き出します。

市場の現実を反映した価値を把握できるため、透明性が高く信頼性のある評価が可能です。特に公開企業に適用しやすい手法とされています。

マーケットアプローチを用いることで、市場の動向を踏まえた適正な価格設定が行えるでしょう。

インカムアプローチ

インカムアプローチは、将来の収益性に基づいて企業価値を評価する方法です。

企業が将来生み出すと予想されるキャッシュフローや、利益を現在価値に割り引いて算定します。

具体的には、ディスカウントキャッシュフロー分析(DCF法)がよく用いられ、適切な割引率を使用して未来のキャッシュフローを現在価値に変換します。

企業の実質的な経済的価値を反映するため、特に成長が見込まれる業界や事業で有効です。

インカムアプローチを用いることで、企業のポテンシャルに基づいた価格を導けるため、戦略的な買収決定ができるでしょう。

コストアプローチ

コストアプローチは、企業を再建または再現するために必要なコストをもとに価値を算出する方法です。

対象企業の資産の再取得コストや、事業をゼロから再構築する際の費用を評価基準とします。

適している産業や企業としては、固定資産が多くを占める産業、特定の技術や設備が重要な役割を果たす企業です。

コストアプローチを用いる際には、現存する資産の減価償却や劣化を考慮に入れた企業価値を見積もります。

コストアプローチは、市場価値や収益性が直接的には反映されないが、資産の実質的価値に焦点を当てるため、特定の状況下でとても有効な評価手法となります。

M&Aの価格算定をする際の注意点

M&Aの価格算定を行う際には、売り手と買い手の双方にそれぞれの立場から最適な価格を導くための注意点があります。

ここでは、売り手側と買い手側の双方が取引において注意すべき点を解説します。

注意点を押さえた適切な準備と戦略が、互いに納得のいく取引を実現させるでしょう。

【売り手側】買い手側に魅力的な見せ方をする

M&Aの取引において売り手側が注意すべき点の一つは、買い手側に自社を魅力的に見せることです。

自社の強みや将来性を買い手側に魅力的に見せることで、買い手の関心を引き、価値を高めることが目的です。

具体的には、独自の技術や市場でのポジショニング、成長潜在力などを明確に示しましょう。また、成功事例や顧客の証言を用いて、実績を具体的にアピールすることも効果的です。

売り手側は、買い手側に魅力的に伝えられる情報を整理し、適切にプレゼンテーションすることで、より良い交渉結果を引き出せます。

【買い手側】買収価格を安くして交渉しない

M&Aの取引における買い手側の注意点は、買収価格を安く抑えることだけに焦点を当て過ぎないことです。

価格交渉においては、短期的なコスト削減よりも長期的な価値の創造に注目すべきです。

買収する企業が持つ真の価値や、将来的な成長潜在力を正確に評価したものをもとに、適切な価格を提示しましょう。

また、過度に価格を抑えようとすると、取引が不成立に終わるだけでなく、将来的に価値ある関係を損なう可能性もあります。

良好なビジネス関係を築くためにも、公平かつ現実的な価格設定を心がけることが望ましいです。

M&Aの価格を決める流れ

M&Aの価格を決定する過程は、戦略的かつ段階的に進める必要があります。

ここで解説する流れを丁寧に実行することで、売り手と買い手双方にとって公平かつ適切な価格が設定できるでしょう。

①企業価値を算出する

M&Aの価格を決定する最初のステップは、対象企業の企業価値を算出することです。

企業価値を決めるには、財務諸表の分析や業界の動向、市場での競争状況など、多角的な視点から詳細な評価を行います。

具体的には、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)や純資産価値、収益に基づくアプローチなどが用いられます。

企業の価値は、企業が持つ実際の資産価値だけでなく、将来的な収益生成能力も含めた総合的な価値です。

正確な企業価値が算出されることで、買い手との交渉やデューデリジェンスの過程で適切な価格設定の基盤となります。

②交渉やデューデリジェンスをもとに価格を決める

企業価値の算出後、交渉やデューデリジェンスをもとに最終的なM&Aの価格を決定します。

最終的なM&Aの価格は、初期の価格評価をもとに買い手と売り手が具体的な条件について話し合います。

デューデリジェンスは、対象企業の法的、財務的、事業的リスクを詳細に調査することで、隠れた問題がないかチェックが可能です。

交渉やデューデリジェンスは複雑で時間を要するものですが、丁寧に行うことで公正なM&A取引が実現されるでしょう。

まとめ:M&Aの利益は見せ方と交渉次第で何倍にもなる!

M&Aの取引における利益は、売却価格の算定や交渉の仕方によって大きく変わる可能性があります。

企業価値の正確な評価から始まり、強みのアピールや適切な交渉戦略まで、多くの要素が組み合わさることで、売却価格を最大限に高めることが可能です。

特に、市場価値の把握や無形資産の価値評価、M&A後の見込み利益の予測は、価格を形成する上で重要な要素となります。また、買い手との効果的な交渉を行うことで、理想的な価格での取引が期待できます。

M&Aを成功に導くためには、この記事で紹介している準備と戦略が必要です。

最適な戦略を立てて積極的に取り組むことで、M&Aの利益を最大化しましょう。

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