近年では、中小企業や個人事業主をはじめ、サラリーマンによる小規模な「スモールM&A」が増えています。
スモールM&Aとは、売買価格が数百万~数千万円といった比較的規模が小さい取引です。
所得格差が広がり続ける昨今、副業や独立を目指す人が増えているため、従来のような大企業だけでなく、サラリーマンなど個人でのスモールM&Aも身近になりつつあるといえるでしょう。
この記事では、個人によるスモールM&Aの特徴や種類、おこなう方法、注意点などを解説します。
この記事を読むと、個人でするスモールM&Aの注意点を理解した上で、明るい未来が見えてくるはずです。
目次
- 1 個人でおこなうM&Aとは?
- 2 個人でおこなうスモールM&Aが増えている理由
- 3 個人のM&Aがしやすい会社・業種
- 4 個人向け「スモールM&A」の種類
- 5 株式譲渡
- 6 事業譲渡
- 7 個人でスモールM&Aをおこなうメリット・デメリット
- 8 メリット
- 9 デメリット
- 10 個人がスモールM&Aをおこなう方法
- 11 事業引き継ぎ支援センターを利用する
- 12 知り合いに紹介してもらう
- 13 M&Aマッチングサイトを利用する
- 14 M&A仲介会社を利用する
- 15 個人によるスモールM&Aの注意点
- 16 取引相手が協力してくれない場合がある
- 17 簿外債務が含まれている可能性がある
- 18 個人でスモールM&Aをおこなう場合は専門家へ相談しよう
個人でおこなうM&Aとは?
M&Aは、何百億円もの資金を持つ大企業以外にも、中小企業のほかにサラリーマンなどの個人でも実施できます。
特に、近年では数百万円から数千万円で売買するスモールM&Aが増加傾向です。
スモールM&Aは小規模な事業や会社の売買を意味しており、事業者によって定義が異なります。
一般的に、売買金額が1億円以下・売り手と買い手の年間売上高が1億円以下の取引がスモールM&Aです。
それでは、個人でのM&Aや小規模なM&Aが増えている理由、個人でのM&Aがしやすい会社・業種を解説します。
個人でおこなうスモールM&Aが増えている理由
個人のM&Aが注目を集めている理由は、サラリーマンから独立や起業、事業承継などを考える人が増えているためです。
これから日本の所得格差は徐々に広がっていくと予想されており、独立や起業、副業を考えるサラリーマンが増えています。
中小企業に関しては、経営者の高齢化による後継者不足が深刻な課題といえるでしょう。
後継者不足により、黒字経営でも廃業する企業が少なくありません。
そこで、スモールM&Aにより事業承継をおこなえば、親族や従業員でなくても、第三者に会社や事業を引き継ぐことで会社を存続できます。
個人のM&Aがしやすい会社・業種
個人が買い手としてM&Aをする場合、買収予算に限りがあるため、買収額が小さくなる傾向にあります。
特に買収する会社や業種に制限はありませんが、個人でM&Aをおこなうなら、以下のような業種がおすすめです。
- 飲食店
- エステサロン
- フランチャイズ店
- 塾や予備校
- Webサービス(ECサイトやアフィリエイトサイト)
- デイサービスや訪問介護事業
サラリーマンのM&Aは、300~500万での取引が多く、上記のような業種がよく売買されています。
ラーメン屋や居酒屋などの飲食店では、居ぬき物件での開業も多く、飲食業界の事業者数も多いため、M&Aマッチングサイトの登録数も比較的多いといえるでしょう。
個人向け「スモールM&A」の種類
個人向けの「スモールM&A」には、主に「株式譲渡」と「事業譲渡」の二つの形態があります。
スモールM&Aは小規模な企業や個人事業主にとって、事業の移転や後継者問題の解決に役立つ重要な手段です。
それぞれの形態の特徴を理解することが、スモールM&Aを成功させる鍵となります。
株式譲渡
株式譲渡型のスモールM&Aは、小規模な企業や個人事業主が自らの事業を他者に譲渡することです。
売主が所有する企業の株式を購入者に譲渡することで、事業の所有権が変わります。
株式譲渡は、特に小規模な事業において、スムーズな経営権の移行ができる一般的な方法です。
事業の継続性を保ちながら、新たな所有者による経営が開始できるのが、株式譲渡型スモールM&Aの特徴です。
事業譲渡
事業譲渡型のスモールM&Aは、企業や個人事業主が自身の事業の一部またはすべてを別の企業や個人に譲渡する方法です。
株式譲渡との違いは、株式ではなく事業そのものが移転対象となる点です。
譲渡される事業は、新たな経営者の下で独立して運営されることになります。
事業譲渡は、特定の事業部門の売却や事業の縮小、あるいは事業の完全な譲渡を目的として行われます。
個人でスモールM&Aをおこなうメリット・デメリット
個人でM&Aをおこなう際には、メリット・デメリットをしっかりと把握しておく必要があります。
一から起業し経営者になるより、事業を買い取って経営者になる方が難易度は低めです。
とはいえ、ある程度の資金が必要で、思い通りに経営できない可能性もあります。
個人M&Aのメリット・デメリットをしっかりと把握し、自分に合っているか判断しましょう。
メリット
個人でM&Aをおこなうメリットは、以下のとおりです。
- 人材や設備を揃える必要がない
- 顧客や取引先を見つける手間を軽減できる
- 将来の見通しが立ちやすい
既存の事業や会社を買い取るM&Aでは、人材や設備を揃える必要がありません。
一人で起業する場合、従業員の募集や事務所の設置、取引先の獲得、経理などを自分でおこなう必要があります。
M&Aをおこなえば、自分の苦手な業務を得意とする人材に割り振れるため、作業効率が上がるでしょう。
さらに、自分の強みや経験を活かし、会社の業績を上げられる点も個人でM&Aをおこなう魅力といえます。
既に稼働している事業を買い取るため、将来の見通しを立てやすい点もM&Aの強みです。
デメリット
一方で、個人のM&Aには以下のようなデメリットも存在します。
- 想定していた経営と違う
- 従業員が買い手を受け入れない
- 買取額以上の資金が必要になる場合がある
大企業と異なり中小企業では、優秀な人材だけを採用できる資金力や余裕はないため、大企業と同じようなマネジメントでは従業員との関係性が悪化する恐れがあります。
大企業に勤めていた経験や知識、ネームバリューが中小企業の経営では活かせないケースも少なくありません。
自分の思っていたように経営できず、売上もなかなか上がらないと、金融機関から借り入れる必要があるでしょう。
その結果、買取額以上の資金が必要になる可能性もあります。
さらに、買取先の従業員が新しいオーナーを素直に受け入れてくれるとは限りません。
個人のM&Aには、知識や経験以外にも、従業員とうまく関係性を築けるコミュニケーション能力も重要です。
個人がスモールM&Aをおこなう方法
個人でM&Aをおこなうには、以下の方法があります。
- 事業引き継ぎ支援センターを利用する
- 知り合いに紹介してもらう
- M&Aマッチングサイトを利用する
- M&A仲介会社を利用する
それでは、各方法を見ていきましょう。
事業引き継ぎ支援センターを利用する
事業引き継ぎ支援センターとは、後継ぎ問題に困っている中小企業や個人事業主を対象とした相談窓口です。
事業引き継ぎセンターは日本全国にあり、M&Aの事業承継をサポートするために設置してあります。
公認会計士や中小企業診断士など、事業承継について専門家へ無料で相談できるため、スモールM&Aを検討している方は一度問い合わせてみるとよいでしょう。
相談だけでなく、M&Aの取引先を見つける場所として事業引き継ぎ支援センターを利用できる点も特徴のひとつです。
幅広いネットワークや案件情報がまとまっているデータを活用し、自社にあった取引先を紹介してもらえるため、自力で探すより効率がよくスムーズに手続きを進められるでしょう。
知り合いに紹介してもらう
上場前の株式を購入するのは難しいため、スモールM&Aは知り合いの紹介でおこなう場合もあります。
人脈が広く、さまざまな業界の人と繋がっている知人がいるなら、紹介してもらえないか相談してみるのも選択肢のひとつです。
ただし、紹介相手が必ずしも自分に合っているとは限りません。
知り合いの紹介で取引先が見つかった場合、専門家のサポートを受けながら手続きを進めることをおすすめします。
買取額が適正か、不利な条件を提示されていないかなど、素人では判断しにくい内容も、専門家へ依頼すれば正しい選択ができるでしょう。
M&Aマッチングサイトを利用する
M&Aマッチングサイトとは、インターネット上で買い手と売り手をつなげるサービスです。
マッチングサイトを利用すれば、気軽にM&Aを実施でき、自分で取引相手を見つけられます。
売り手は、自社の売上高や希望する譲渡額、業種を登録するだけで、買い手を探すことが可能です。
譲渡企業から手数料を取らないマッチングサイトも多いため、売り手にとっては利用しやすいといえるでしょう。
買い手は、業種や売上高など希望する条件に絞って探せるため、効率よく取引先を見つけられます。
手数料も比較的安いため、売買金額が少なくなりがちなスモールM&Aにもマッチングサイトは利用しやすいです。
ただし、仲介会社や専門家からサポートを受けにくく、M&A成立後に予期せぬトラブルが起こる可能性もある点を覚えておきましょう。
M&A仲介会社を利用する
スモールM&Aだけでなく、一般的なM&Aを実施する際には仲介会社へ依頼する方法が無難です。
M&A仲介会社とは、売り手と買い手をつなげて、契約が成立するまでをサポートする専門家といえます。
M&Aでは、税務や法務、会計といった幅広い分野の専門知識や経験が必要になるため、仲介会社にはさまざまな分野の専門家が在籍しており、あらゆる場面でサポートを受けることが可能です。
さらに、幅広いネットワークを活用し、全国から自社に合った取引先を見つけてもらえるため、自分で探す必要がありません。
最近では、スモールM&Aに特化した仲介会社も存在するため、個人でM&Aをおこなう際は、小規模な案件を多く扱っている仲介会社を選びましょう。
個人によるスモールM&Aの注意点
個人でM&Aをおこなう際には、以下の点に注意しましょう。
- 取引相手が協力してくれない場合がある
- 簿外債務が含まれている可能性がある
それでは、個人でM&Aをおこなう前に押さえるべきポイントを2つ紹介します。
取引相手が協力してくれない場合がある
外部に会社の財務状況や内情を知られたくないと取引相手が考えている場合、限られた情報しか提供してもらえない場合があります。
さらに、小規模な企業の場合、従業員の数が少なく、交渉に対応し続けられる人材を用意できないなど、M&Aによる負担が大きいといえるでしょう。
M&Aの実施にあたり、想定外のトラブルが起こった際に素早い対処を取るためにも、仲介会社など専門家への依頼をおすすめします。
個人や小規模なM&Aをスムーズ進めるには、第三者に仲介してもらうのが大切です。
簿外債務が含まれている可能性がある
M&Aの手続きでデューデリジェンスをおこなっても、成約後に不良債権など簿外債務が見つかる場合があります。
買い手は契約前に売り手の企業情報を確認しますが、成約後に簿外債務を発見し訴訟を起こしても、買い手のデューデリジェンスが甘かったと判断されれば、補償を受けられません。
回収できない債権は、買収後の経営を悪化させる原因となる可能性があります。
M&Aをおこなう際には、第三者の徹底したデューデリジェンスが欠かせません。
特に、経験や知識が浅いサラリーマンが買収する際には、仲介会社やアドバイザーといった専門家へ調査を依頼しましょう。
個人でスモールM&Aをおこなう場合は専門家へ相談しよう
この記事では、個人によるM&Aの特徴や増えている理由、おこなう方法を解説しました。
個人でM&Aをおこなう場合、マッチングサイトを利用するケースが増えています。
マッチングサイトを利用すれば、手軽にM&Aをおこなえますが、専門家からサポートを受けづらいため、後々トラブルにつながりかねません。
そこで、M&Aを実施する際には、仲介会社などの専門家に依頼し、交渉や手続きのサポートをしてもらうことが大切です。
M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
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