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IM(企業概要書)とは?目的や記載内容、作成時の注意点などを解説

後継者不在という切実な問題を抱える売り手側企業にとって、M&Aは新たな希望の光となります。

しかし、M&Aをする企業を選ぶ際に重要となるのが、「IM(企業概要書)」です。

IM(企業概要書)は、売り手企業の魅力とポテンシャルを買い手企業に伝えるための重要な文書です。

適切に作成されたIMがなければ、買い手側企業とのシナジーを最大化させることができずに、最悪の場合企業価値の低下につながります。

この記事では、自社の問題を解決すべくM&Aを検討している企業様に向けて、IMの目的や記載内容、作成時の注意点などを解説します。

最後まで読むことで、売り手企業が直面している問題に対する解決策を見出し、将来の不確実性から企業を守ることができるのです。

また、正確かつ魅力的なIMを作成するための具体的なポイントを学べます。

IMを通じて最適な買い手企業とのマッチングを実現することで、企業の持続可能な成長と価値の最大化を目指しましょう。

IM(企業概要書)とは

IM(企業概要書)は、M&A取引や資金調達のプロセスで極めて重要な役割を果たす文書です。

企業の概要や事業内容、財務状況、将来計画などを総合的に記載したもので、売り手と買い手企業双方の意思決定をサポートするための情報を提供します。

下記では、売り手、買い手それぞれのIMを作成する意味・目的やノンネームシートとの違いについて詳しく解説していきます。

IMを作成する意味・目的

IM(企業概要書)を作成する意味・目的は、効果的なM&A取引や資金調達のために不可欠だからです。

企業の立場IMを作成する意味・目的
売り手側自社の価値を適切に伝え、潜在的な買い手や投資家に対する魅力を最大化する手段
買い手側IMを通じて投資の機会を詳細に分析し、リスクを評価する基礎資料

下記では、それぞれの企業の立場でのIMの作成する意味・目的を詳しく解説します。

売り手側

売り手側にとってIM(企業概要書)を作成する意味・目的は、自社の魅力と潜在的価値を買い手側や投資家に対して効果的に伝えられるからです。

多くの競合が存在するM&A市場では、自社の強みや事業戦略、財務状況などの重要情報を体系的にまとめ上げることが、自社を際立たせることが成功の鍵を握ります。

例えば、業績の成長性や差別化できるビジネスモデルを明確に示すことで、買い手の興味関心を引くことができるため、評価額の向上につながります。

売り手側にとってIMの作成は、自社をM&A市場で有利に展開させることで、最適な取引条件を引き出すための重要なステップとなるのです。

買い手側

買い手側にとってIM(企業概要書)は、投資対象の企業を深く理解することで、投資の可否を慎重に判断するための基礎資料となります。

買い手側は、買い手側は売り手企業の事業内容や市場でのポジション、財務状況、将来計画などの詳細情報に基づいて、潜在的なリスクや見返りを正確に予測することが求められます。

例えば、財務状況の分析から買収後の統合コストやシナジー効果を推測することが可能です。

買い手側にとってIMは、投資のリスクを最小限に抑えつつ、最大のリターンを追求するための重要な分析プロセスと言えるでしょう。

ノンネームシートとの違い

IM(企業概要書)とノンネームシートは、M&Aにおいて異なる役割を持ちます。

  • ノンネームシート:企業名を伏せた状態で基本的な事業情報が記載されている文書
  • IM:より詳細な企業情報を含んだ、ノンネームシートよりも後の段階で交換される文書

主な違いは、開示するタイミングと記載する内容です。

効率的なM&Aの遂行において違いを理解するしておくことは重要なため、下記で開示するタイミングや記載する内容について詳しく解説します。

開示するタイミング

ノンネームシートとIM(企業概要書)の開示タイミングは以下の通りです。

  • ノンネームシート:M&Aプロセスの初期段階、特定の企業を明かさずに基本情報を共有するタイミングで使用される
  • IM:具体的な交渉の可能性が高まった段階、より詳細な企業情報を開示するために用いられる

ノンネームシートは、潜在的な買い手企業が多数存在する状況で、事業の概要や魅力を広く伝えるためのものです。

M&Aの初期段階では、買い手の関心を引き候補を絞り込むことが目的なため、企業名の開示は競合の情報漏洩リスクを回避できます。

ノンネームシートとIMの開示するタイミングに違いがあることで、情報の流れとM&Aプロセスの進行度を管理する上で重要な役割を果たしています。

記載する内容

ノンネームシートとIM(企業概要書)で記載される内容の違いは以下のとおりです。

  • ノンネームシート:業務内容や市場ポジション、財務の概要など、潜在的な買い手が興味を持ちそうな内容(企業名や識別情報を伏せる)
  • IM:買い手が具体的な評価や分析を行うために必要なより詳細かつ包括的な内容(企業名や財務詳細、経営戦略、将来の見通し等含む)

ノンネームシートを開示する段階では、情報のセキュリティとプライバシーを保ちつつ、広範な買い手に対して興味関心を持たせることが目的です。

例えば、業界の成長性や事業の競争優位性に関する情報は共有されますが、特定の企業に直接つながる情報は避けたほうがいいです。

ノンネームシートとIMに記載される内容の違いは、M&Aプロセスのそれぞれの段階で買い手と売り手のニーズに合わせた戦略的な選択です。

IM(企業概要書)を作成する際に記載する内容

IM(企業概要書)の作成は、売り手企業の全体像を買い手企業や投資家に伝える上で不可欠です。

IMには、企業の基本情報から財務状況や事業内容、市場でのポジション、組織構造、将来の見通しに至るまで、幅広い情報を記載する必要があります。

正確かつ詳細な内容を記載することで、投資判断の基礎が築けるため、取引の透明性と信頼性を高められます。

下記では、IMを構成する主な記載内容について詳しく解説します。

売り手企業の概要

IM(企業概要書)に記載する「売り手企業の概要」は、売り手企業の基本的な理解を深めるために重要です。

企業の創立日や設立の経緯、主要な事業活動、ビジョンとミッション、市場でのポジション、さらには主な成果やマイルストーンなどを網羅的に記載します。

企業概要を記載する理由は、買い手側や投資家が企業の背景や成長の見通し、事業の核心を把握し、興味関心を持つかどうかを決めるための基盤となるからです。

例えば、売り手企業が業界内でどのような独自性や競争優位を持っているかを明確にすることは、買い手企業にアピールする上で不可欠になります。

売り手企業の概要は、IM(企業概要書)の中でも特に買い手企業や投資家から注目を集める内容のため、正確で魅力的な情報を記載することが重要です。

事業内容と市場のポジション

「事業内容と市場のポジション」では、売り手企業の主な事業領域や製品やサービスの詳細、市場内でどのような位置を占めているかを明確に記載する必要があります。

売り手企業がどの業界に属し、どのような顧客ニーズに応え、競争相手とどう差別化しているかを示すために不可欠です。

例えば、市場シェアのデータや業界内での認知度、顧客の評価などは、企業の競争力と魅力を評価する上で中心的な要素です。

事業内容と市場のポジションでの内容は、売り手企業が属している市場での成功と将来性を示すために、具体的で説得力のある情報を記載することが大事です。

組織の概要

「組織の概要」では、企業の組織構造や主な管理層と役員の概要、従業員の構成などを記載することで、企業の運営体制と人材の強みを明らかにします。

組織の概要を記載することで、企業の戦略的方向性や運営の効率性、企業文化の形成に直接的な影響を与えます。

例えば、経験豊富な経営チームや革新的な人材が多く在籍すると、売り手企業が将来的に成功を収める可能性が高い可能性があるのです。

組織の概要を開示することは、投資家や買い手企業が企業の内部的強さとポテンシャルを評価するための鍵となります。

企業の財務状況

「企業の財務状況」では、売り手企業の財務諸表や収益性、流動性、債務状況などの財務データを詳細に記載することで、企業の経済的な健全性と運営効率を明らかにします。

売り手企業が財務状況を開示することで、企業のリスクを評価する上で最も重要な指標なため、投資の魅力を判断する基礎となります。

例えば、安定した収益成長と健全なキャッシュフローは、売り手企業が将来的に持続可能な成長を遂げる能力を示す証拠です。

企業の財務状況を通じて分かる正確な財務情報は、投資家や買い手企業が売り手企業の真の価値を把握する重要な判断要素となるでしょう。

譲渡する理由

「譲渡する理由」では、売り手が企業を売却する動機や背景を説明することで、買い手企業に透明性を示します。

明確に譲渡する理由を記載することは、買い手企業にとって売り手企業の将来性や潜在的なリスクを理解する上で重要な情報となります。

例えば、経営陣の退職や成長資金の確保、戦略的再編成など、譲渡を決めたことの背後にある正当性を示すことで、買い手企業の懸念を軽減できます。

真実の譲渡理由を記載することは、買い手企業が売り手企業を買収する意思決定をサポートするための手助けとなるでしょう。

許認可や法規制の事項

「許認可や法規制の事項」では、企業が事業運営を行う上で必要な許認可の状況や、影響を受ける主な法規制について詳しく記載します。

許認可や法規制の情報は、企業が規制環境の要件を満たしているか、また特定の法律上の問題に直面している可能性があるかを理解するために不可欠です。

さらに、許認可や法規制の遵守状況は、企業のリスクと事業の持続可能性に直接的な影響を与えます。

例えば、業界特有の規制や国際的な法規制に対する適合性は、企業が将来的に直面する可能性のある運営上の障壁やコストにつながります。

正確な許認可や法規制の情報は、投資家や買い手企業に対する透明性と信頼性を高めるでしょう。

固定資産や設備状況

「固定資産や設備状況」では、企業が保有する物理的資産の範囲と状態、資産が事業運営において果たす役割について詳しく記載します。

固定資産や設備状況の情報は、企業が市場で競争力を維持し、成長を続ける能力に直接的な影響を与えるため、企業の物理的な実力と将来の投資すべきニーズを評価するために不可欠です。

例えば、最新の技術を取り入れた設備や良好な保守状態の資産は、効率的な運営とコスト削減になります。

固定資産や設備状況を記載する際は、保有資産の価値と事業への影響を明確にすることで、買い手企業や投資家に対して企業の強さと将来性を印象付けるようにしましょう。

今後の事業計画

「今後の事業計画」では、企業の将来戦略や成長目標、市場展開計画などを実現するための具体的なアクションプランについて詳しく記載します。

将来のビジョンや実行可能な計画を持つ売り手企業は、投資家や買い手企業にとって魅力的で、持続的な可能性と潜在的な企業成長を感じるからです。

例えば、新規市場への進出計画や製品開発のロードマップは、企業がどのように成長を追求し、市場の変化に対応していくかのかがわかります。

今後の事業計画で記載する内容は、売り手企業が未来に向けてどのように位置づけられているかを示す重要な部分であるため、投資の判断材料としての価値を高めるために、明確で説得力のある事業計画を書きましょう。

IM(企業概要書)を作る際の注意点・ポイント

IM(企業概要書)の質と正確性は、M&A成功に直結するといっても過言ではありません。

売り手側は自社を魅力的に見せる一方で、誤解を招くような誇張した表現や不正確な情報を買い手側に提供することは避けけましょう。

IMの質を高めてM&A成功につなげるために、下記ではIMを作る際の注意点・ポイントをそれぞれの立場から詳しく解説します。

売り手側

IM(企業概要書)を作成する際に売り手側は、いくつかの注意点やポイントがあります。

下記で詳しく紹介する注意点・ポイントを守ってIMを作ることで、取引進行において買い手企業との信頼性は構築しやすくなるでしょう。

専門家と協力して質を上げる

IMを作成する際、売り手側が専門家と協力して作成することで、文書の質を格段に向上させることができるでしょう。

売り手企業が属している業界のトレンドや財務分析、戦略的アピールポイントを理解している財務アドバイザーや業界の専門家の知見がIMに反映できることで、買い手に対して企業価値をより魅力的に伝えることが可能になるからです。

例えば、財務の専門家が企業の財務状況を正確に分析してわかりやすくIMで伝えると、買い手企業の信頼が得られます。

専門家と協力してIMを作成することは、売り手企業が自社で作成するよりも、IMの信頼性と説得力を高めることができるため、結果的にM&A成功の確率を向上させられるでしょう。

記載内容に嘘の情報を盛り込まない

IM(企業概要書)において記載内容に嘘の情報を盛り込まないことは、売り手側にとってとても重要なことです。

誤解を招く情報や不正確なデータを記載してしまうと、将来的な信頼性の喪失や法的な問題を引き起こす可能性があるからです。

例えば、楽観的な財務予測や実際には存在しない市場の優位性を記載すると、短期的には興味関心を引くかもしれませんが、長期的には取り返しのつかない大きな問題へと発展する恐れがあります。

IMを作成する際は正直かつ正確な情報を記載して、買い手との長期的な信頼関係を築くようにしましょう。

自社の強みやアピールポイントを明確にする

IMにおいて自社の強みやアピールポイントを明確にすることは、シナジーのあるM&Aを成功させたい売り手側にとってとても重要です。

強みやアピールポイントを明確にすることで、企業価値を適切に伝えられるため、投資の魅力を高められます。

例えば、独自の技術や強力な顧客基盤、効率的な運営モデルなど、競合他社と比較して売り手企業が優れている点を具体的に記述することで、信頼と関心を深められます。

自社の強みやアピールポイントを効果的に伝えて、M&A成功への道を歩みましょう。

買い手側

IM(企業概要書)を評価する際、買い手側はいくつかの注意点やポイントがあります。

買い手側は、下記で紹介する注意点・ポイントとIMに記載されている情報を分析して、売り手企業の本当の価値と将来性を正しく理解しなくてはなりません。

記載された情報を慎重に扱う

買い手側は、IMに記載された情報を慎重に扱わないといけません。

IMに記載されている情報は投資判断の根幹を成すため、間違った取り扱いをすると、将来的に財務的損失や戦略的ミスマッチを引き起こす可能性があります。

例えば、財務状況や市場のポジションに関するデータからは、売り手企業が直面しているリスクが理解できます。

IMに記載された情報を慎重に取り扱うことは、投資決定のリスクを最小限に抑え、成功率を高めるために不可欠です。

専門家に記載内容を分析してもらう

買い手側で専門家にIMの記載内容を分析してもらうことは、賢明な戦略と言えます。

独自の知識と経験がある専門家に分析してもらうことで、IMに記載された情報の背後にある意味や潜在的なリスクなどが明らかになるため、売り手企業の価値を深く理解できるからです。

例えば、財務の専門家は、財務諸表の分析を通じて企業の経済的な健全性を評価するのに役立ちます。また、業界アナリストは市場動向や競争状況に関する洞察力に優れています。

専門家の意見を取り入れてIMを分析することは、投資判断の質を高めることにつながるため、買い手としてより確かな決定を下せるでしょう。

まとめ:IMはM&Aに不可欠!適切に作成して効果を最大化させよう

IM(企業概要書)は、M&Aにおいて不可欠な文書です。

売り手と買い手双方にとって重要な情報を記載しているため、M&Aにおける取引の透明性と効率性を高めます。

適切に作成されたIMは、売り手が自社の魅力を最大限アピールでき、買い手が正確な投資判断を下せます。

また、専門家と協力することで、質の高いIM作成とより正確な投資判断が行えるのです。

売り手側は質の高いIMを作成し、買い手側が正確に分析・判断することで、双方にとって最大限の効果があるM&Aができるでしょう。

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