日本最大級のフードデリバリーサービス「出前館」が、競合他社であるウーバーイーツの買収を検討しているのはご存じですか?
とはいえ、
- そもそもその情報は本当なのか?
- 「出前館」がフードデリバリー以外に展開する事業とは?
- 買収されたりしていないの?
などと、疑問に思う方も多くいます。
そこでこの記事では、ウーバーイーツ買収の真相から実は〇〇〇〇に買収されていた事実をM&A仲介会社が解説します。
具体的には、
- 本当に出前館がウーバーイーツを買収しようとしていたのか
- フードデリバリーサービス「出前館」の会社はどんな会社
- 〇〇〇〇と資本業務提携した理由と目的
の順番に、抑えておきたいポイントだけ解説します。
今後「出前館」をチェックする上で、過去の動向を知っておいて損はないので、参考にしてください。
目次
出前館がウーバーイーツ買収を検討!報道に対する出前館の回答
デリバリーサービスを展開している出前館が、同じくデリバリーサービスを展開する競合のウーバーイーツの買収を検討していると、2020年8月に報道がありました。
報道した番組では「両者が買収提案をしていた」と報じていますが、出前館はこれに書面で「事実無根」と反論しました。
さらに、出前館は今後の買収に関する質問に「数ヶ月位以内に買収する予定はない」と回答しました。
「株式会社出前館」はどんな会社?
フードデリバリーサービスで有名な「出前館」は株式会社出前館の事業です。
株式会社出前館は1999年に設立して2006年に上場しています。
2021年には「出前館」の加盟店舗は70,000店舗を突破して、名実ともに日本最大級のフードデリバリーサービスとなりました。
では、日本最大級のデリバリーサービスを展開する「株式会社出前館」の経営方針や事業内容を紹介していきます。
ミッション・ビジョン・バリュー
「ミッション・ビジョン・バリュー」は、株式会社出前館が掲げている経営方針です。
経営方針は、その企業がどこに重きを置いて経済活動しているのか、が把握できます。
株式会社出前館が掲げている経営方針は、以下の通りです。
内容 | |
MISSON(ミッション) | フードデリバリーを起点に、テクノロジーを駆使して人々の生活に価値ある時間を創り出す |
VISION(ビジョン) | モノをデリバリーするだけでなく、人と人をつなげて多くの人を支えるライフインフラとして地域経済を活性化させる |
VALUE(バリュー) | ホスピタリティ:目の前の人だけでなく、その先の信頼を考えて寄り添ったサービスをする。 チャレンジ:あらゆるモノが届けられるように失敗を恐れずにチャレンジしていく クリエイティビティ:人それぞれ違うワクワクする心と創造力を体現して新しい世の中の価値を生み出す |
デリバリーサービスを起点として「人々に価値を提供する」ことにフォーカスしています。
事業内容
出前館はフードデリバリーのイメージが強くありますが、実は仕入れ事業やテイクアウト業態の導入事業などもしています。
株式会社出前館が展開している4つの事業と内容を以下に示します。
事業 | 内容 |
出前館事業(Demaecan) | 弁当・ネットスーパー・お酒など多数のジャンルの出前サービスを登録している店舗からメニューやお届けまでの時間などを確認できます。 さらに、注文してから商品お届け、決済完了まで最短20分です。 |
仕入れ事業(Shiirecan) | 飲食店向けの仕入れをするサービスです。 食品の他にエコ素材容器なども提供されています。 また、買い物をしやすいように「お気に入り」登録やパターン登録ができる「買い物かご台帳」機能もあります。 決済はVisa、JCB、Masterなど5つのブランドを使うことができます。 |
シェアリングデリバリー | デリバリーをしていない店舗に出前館のデリバリー網をシェアすることでデリバリーが可能になるサービスです。 |
Dekitchens事業(Dekitchens) | いまの店舗業態に加えて、デリバリーやテイクアウト業態を導入するサービスです。 出前館が持っているデータやノウハウをもとに開発した認定ゴーストブランドを提供、さらに出店にかかるコストは出前館が負担してくれます。 |
デリバリーサービス事業だけでなく、食品に関する事業全般的に展開しています。
出前館はLINEグループと資本業務提携をしていた!
出前館は2020年3月にLINEと資本業務提携をしていました。
その際の出資額は300億円で、LINEは株式会社出前館の約35%の株式を保有することになりました。
下記では買収を避け、資本業務提携を結んだ理由を解説します。
資本業務提携の理由
LINEが出前館と資本業務提携をした理由は、出前館と自社のデリバリーサービス「LINEデリマ」と連携させて、出前館のサービスを利用するためと考えられます。
しかも、この資本業務提携が発表されたのは、コロナが流行して間もない頃です。
各企業のフードデリバリー事業が伸び始めていた時期なので、LINEも自社サービス「LINEデリマ」を伸ばすチャンスと考えて多額の出資をしました。
なぜ買収ではなく業務提携にしたのか?
LINEは、出前館を買収ではなく資本業務提携(出資)という選択をしました。
資本業務提携という形をとった理由は、自社のデリバリー網を整備するコストがかかるため、今後も赤字が続く可能性があると見込んだからです。
では、なぜ300億円もの多額な出資をしたのかというと、出前館の配達網でのLINE Pay決済です。
出前館の配達網でもLINE Pay決済をしてもらえば、LINEの利用時間や利用頻度が増えるため赤字を補えるだけのプラスがあると考えたのです。
出前館に関する今後の買収報道に注目!
出前館は、2021年9月にも増資引受を行なっており、総額約800億円の資金を調達しています。
出前館はフードデリバリー業界の競争環境の激しさを背景に、ユーザーや加盟店、配達員の獲得する上で、圧倒的な市場シェアを獲得する必要があると言及しています。
約800億円の調達した資金は、2024年2月末までに以下の資金に充当されます。
運転資金(マーケティング) | 650億円 |
設備資金(開発/システム強化) | 100億円 |
配達員増強資金 | 50億円 |
ここ数年で買収報道が何度も出ているので、今後も出る可能性が高いです。
出前館が今後どのように変わっていくのか注目です。