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会社をたたむとは?判断基準や手続き、費用、期間などを解説

会社をたたむという決断は、経営者にとってとても大きなものです。

経営が難しくなったり、後継者が見つからなかったり、高齢で引退を考えたりすると、会社を畳むかどうか悩む方は多いでしょう。

いつまでも会社をたたむかどうかを悩んで時間が経つと、借入金や従業員への対応、顧客への影響など、多くの問題が発生します。

この記事では、「会社をたたむ」際の判断基準や具体的な手続き、費用や期間について詳しく解説します。

最後まで読むことで、会社をたたむ前に検討すべき選択肢や、スムーズに手続きを進めるための知識が得られるはずです。

会社をたたむか、別の選択肢を探すか、会社の命運を下す際に参考にしてください。

「会社をたたむ」とは?

「会社をたたむ」とは、会社の事業をすべて終了し、解散・清算の手続きを経て法人を廃止することを指します。

会社をたたむには事業の停止だけでなく、法的な手続きも伴うため、株主総会での承認や廃業届の提出が必要です。

会社をたたむ主な理由は経営難による廃業だけでなく、後継者不足や経営者の高齢化など、さまざまな理由で決断されることがあります。

会社設立が事業開始の第一歩であるのに対し、会社をたたむことはその逆のプロセスなのです。

会社をたたむ際には、適切な手続きを経て円滑に進めましょう。

会社をたたむ3つの判断基準

会社をたたむ決断は、経営者にとってとても重要で難しいものです。

しかし、経営が難しい状況や後継者不足、経営者自身の高齢化など、会社を続けることが困難な状況にある場合は決断せざるを得ません。

ここでは、会社をたたむ際に考慮すべき3つの判断基準について解説します。

人手不足で経営が難しい

経営が難しいと感じる大きな理由の一つが、人手不足です。

特に中小企業では、少子高齢化の影響や大企業志向の若者の増加などで働き手が減少しているため、人材の確保が深刻な問題となっています。

人手不足が続いてしまうと、事業の維持が困難になり、やむを得ず会社をたたむ決断しなければなりません。

後継者が見つからない

後継者が見つからないことも、会社をたたむ大きな理由の一つです。

経営者が高齢でも、信頼できる若い後継者がいれば、経営を引き継ぐことが可能です。しかし、適切な後継者がいない場合、会社の存続が不安定になり、急な病気や事故で経営が続けられなくなるリスクもあります。こうした事態を避けるため、健康なうちに事業を終える決断がなされることも少なくありません。会社を引き継ぐ体制が整わない場合、後継者不在は廃業を考える一因となります。

まとめると、後継者がいない場合、会社をたたむ判断が必要となることがあります。

経営者が高齢で引退する

経営者が高齢で引退を考えることも、会社をたたむ理由としてよく見られます。特に中小企業では、経営者のカリスマ性やマンパワーに依存するケースが多く、経営が個人に大きく依存しています。そのため、経営者が年齢とともに意欲や体力が低下すると、引退を決断するきっかけになります。後継者がいない場合や、事業の継続に不安がある場合、経営者は会社をたたむ選択肢を考えることが多いです。

まとめると、経営者の高齢化による引退は、会社をたたむ判断に直結することが多く、計画的に準備することが重要です。

会社をたたむ方法・手続き

会社をたたむ際には、さまざまな法的手続きや関係者への対応が必要です。

適切な手続きを踏まずに廃業を進めると、トラブルや余計な負担が生じる可能性があります。

ここでは、会社をたたむために必要な具体的な手続きと流れについて解説します。

関係各所への説明・手続き

会社をたたむ際は、まず関係各所への説明と手続きを行う必要があります。

従業員には、会社をたたむ理由や今後のスケジュール、雇用の継続、退職金に関する説明を丁寧に行います。取引先企業や金融機関にも、廃業に至る経緯や借入金の返済方法などを説明し、債権・債務の処理を進めます。

加入していた商工会や保険などの各種退会・解約手続きも忘れずに行い、廃業までにすべての準備を整えることが大切です。

株主総会・取締役会での解散決議

会社を解散するためには、臨時株主総会での解散決議が必要です。

解散決議は、発行済株式総数の過半数の株主が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得ることで成立します。反対する株主が多い場合は解散決議は成立せず、解散手続きは進められません。

取締役会も合わせて開催し、会社解散に向けた具体的な方針や手続きを確認することが求められます。

清算人の選任と登記

解散決議が行われた後、会社をたたむ手続きを進めるために「清算人」を選任します。

通常は会社の代表者が清算人となりますが、複数の清算人を選任することも可能です。複数の清算人を選任する場合には代、表清算人を決めておくと良いでしょう。

清算人の選任後、株主総会の決議から2週間以内に解散と清算人の登記を行う必要があります。

清算人の登記を怠ると、法人住民税の納付義務が残るため、速やかな登記手続きを行いましょう。

会社解散の届出と公告

会社の解散と清算人の登記が完了したら、会社解散の公的機関への届出が必要です。

税務署には「異動届出書」や「事業廃止届出書」などを提出し、法人税や消費税に関する手続きを行います。また、都道府県税事務所には法人住民税・事業税の届出を行います。

さらに、社会保険や雇用保険に関しても、それぞれの機関に定められた期限内に「全喪届」や「資格喪失届」などを提出し、解散の手続きを進める必要があります。

決算書類の作成・申告

会社解散の届出と公告が完了したら、決算書類の作成と申告をしましょう。

まずは解散時点の貸借対照表や財産目録、解散日までの損益計算書を作成します。作成した損益計算書をもとに税額を算出し、解散日から2か月以内に確定申告を行い納税します。

また、解散日の翌日から1年間も新たな事業年度として、決算書類の作成と申告を行います。

財産の処分が完了するまで、清算確定申告は複数回にわたって行われることがあるので注意しましょう。

残ったお金の整理・分配

会社の財産を換価した後、保有していた現預金と合わせて債権者に借入金や債務の返済を行います。もし全額返済できない場合、解散手続きを進められず、破産手続きに移行する必要があります。

債務返済後に残った資産は「残余財産」となり、株主に分配されます。土地や固定資産の現金化には時間がかかることがあるため、専門家の助言を受けるといいでしょう。

残余財産は基本的に金銭で分配されますが、場合によっては現物分配も可能です。

決算報告書の作成

残余財産の分配が完了したら、会社の最後の決算報告書を作成します。

最後の決算報告書は、会社の最終的な財務状況をまとめたものであり、すべての手続きが終了したことを示す重要な書類です。

決算報告書の作成後には、株主総会を開催し、株主からの承認を得る必要があります。

株主の承認を得られたら、会社解散に向けた最終的なステップへ進みましょう。

清算結了の登記・申告

株主総会で清算結了の決算報告書が承認された後、2週間以内に法務局で清算結了の登記を行う必要があります。

生産結了の登記が完了すると、法人は正式に解散となり会社の登記簿謄本は閉鎖されます。同時に、最後の清算確定申告の準備を進め、残余財産確定後の清算確定申告を1ヶ月以内に行いましょう。

清算確定申告が終われば、会社をたたむための一連の手続きは完了です。

会社をたたむまでにかかる費用・期間

会社をたたむ際には、ある程度の費用や時間がかかります。

会社をたたむ費用に関しては、自社で手続きを進める場合と専門家に依頼する場合では費用や手間が異なります。

ここでは、会社をたたむ際にかかる具体的な費用や手続きに要する期間について詳しく解説します。

自社で会社をたたむ場合の費用

自社で会社をたたむ場合、いくつかの登録免許税や公告費用が発生します。

  • 会社の解散登記に必要な登録免許税:3万円
  • 清算人の選任登記:9,000円
  • 解散を公告するために官報への掲載:約3万5,000〜3万6,000円程度
  • 清算結了の登記費用:2,000円

会社を自社でたたむ場合の費用は約7〜8万円となります。

自社で会社をたたむ費用は、会社の規模にかかわらず必要なため、余裕を持って手続きを進めましょう。

専門家に依頼する場合の費用

会社をたたむ際に専門家へ依頼する場合、費用負担が大きくなると考えておきましょう。

解散手続きでは、登記を司法書士に、財産整理や確定申告を税理士に依頼するケースが一般的です。

依頼する専門家の種類や業務内容によって費用は異なりますが、全体で20万〜50万円程度がかかることが多いです。特に、倒産手続きでは主に弁護士に依頼することが多いため、さらに高額になることもあります。

事前に見積もりを取り、費用を確認しましょう。

会社をたたむまでにかかる期間

会社をたたむには、最低でも2ヶ月以上の期間が必要です。

会社をたたむまでにかかる期間は会社法で定められており、解散公告を官報に2ヶ月以上掲載し、債権者に対して解散の通知を行う必要があるためです。

また、資産の換価や債務の弁済といった清算業務が順調に進んでも、会社の規模や資産の種類によってはさらに時間がかかることもあります。特に不動産などの固定資産を所有している場合は、現金化に時間がかかるのです。

会社をたたむには少なくとも2ヶ月以上の期間が必要で、業種によってはさらにかかる場合があることを念頭に置いて進めましょう。

会社をたたむ前に考えるべきこと

会社をたたむ前には、他の選択肢を慎重に検討することが大切です。

他の選択肢を模索して最適な選択をすることで、会社の未来や周囲への影響を最小限に抑えることができます。

ここからは、会社をたたむ以外に考えられることを3つ詳しく解説します。

会社を休眠にできないか

会社をたたむかどうかをまだ迷っている場合、一時的に事業を停止し会社を存続させる「休眠会社」という選択肢があります。

休眠会社にすると、将来的に再度事業を再開できます。

例えば、事業の立て直しに時間が必要な場合や、経営者が病気から回復した後に再開を考える場合に有効です。また、会社を解散するよりも費用や手間を抑えられるメリットがあります。

ただし、休眠中も納税義務や維持費は発生するデメリットも理解した上で選択しましょう。

M&Aで事業継承できないか

適切な後継者が見つからない場合、M&Aを通じて第三者に事業を継承するという選択肢もあります。

M&Aを活用すれば、事業を存続させるだけでなく、経営者がこれまで築いてきた価値に対して対価が得られます。

技術力やブランド力だけでなく、立地条件や顧客・取引先とのネットワークも企業価値として評価されるため、会社をたたむ前に一度検討してみてはいかがでしょうか。

M&Aで事業継承することで、会社や従業員を守りつつ円滑な事業の引き継ぎができます。

関係各所に伝えるタイミングはいつが適切か

会社をたたむ際、関係各所に伝えるタイミングは慎重に見極める必要があります。

従業員には会社をたたむ30日以上前に解雇通知を行う義務がありますが、早すぎるとモチベーションの低下や情報漏洩、業績悪化を招く恐れがあります。

取引先には損失を避けるために早めに伝える必要がありますが、伝えるタイミングが早すぎると取引が早期に中止され、会社の収益に悪影響を及ぼす可能性もあるため、慎重に対応しましょう。

会社をたたむ前にはあらゆる事を検討してから決断しよう!

会社をたたむ決断は経営者にとって大きなものなので、あらゆる選択肢を検討した上で決めましょう。

例えば、会社を休眠させて事業を一時停止する方法や、M&Aで事業を第三者に引き継ぐという手段も有効です。また、費用や手続きの期間も考える必要があります。

会社をたたむ以外のすべての可能性をしっかり検討したうえで、最終的に最善と思われる決断を下しましょう。

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