廃業届は、個人事業を廃業する際に提出する書類です。
廃業届を提出する理由は、売上げの減少や、家庭の事情、法人設立など、さまざまな理由があり、事業主により異なるでしょう。
廃業届は、廃業の理由や事業形態により書き方と提出方法が異なります。提出する書類や提出する場所もそれぞれの事業主によりさまざまです。
今回の記事では、廃業届の基本的な書き方から、廃業理由による書き方の違いや提出すべき書類などを紹介します。
目次
- 1 廃業届とは?
- 2 廃業の手続き方法は?
- 3 準備するもの
- 4 廃業届の書き方
- 5 「個人事業の開業・廃業等届出書」の部分
- 6 税務署名
- 7 提出年月日
- 8 納税地
- 9 上記以外の住所等
- 10 氏名・生年月日
- 11 個人番号
- 12 職業・屋号入
- 13 届出の区分
- 14 所得の種類
- 15 開業・廃業等日
- 16 事業所等を新増設、移転、廃止した場合
- 17 廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
- 18 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
- 19 事業の概要
- 20 給与等の支払の状況
- 21 廃業届と一緒に提出が必要な書類
- 22 事業廃止届出手続
- 23 青色申告の取りやめ届出書
- 24 消費税の事業廃止届出書
- 25 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
- 26 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
- 27 廃業届の提出方法
- 28 税務署に持参
- 29 税務署に郵送
- 30 e-Taxで提出
- 31 廃業届を提出しなかった場合
- 32 廃業届の正しい書き方を理解して期限内に手続きをすすめましょう!
廃業届とは?
廃業届とは、個人事業主が事業を廃業する際に税務署に提出する書類です。
廃業すると決定したら、管轄の税務署や所属する都道府県に対し、事業を辞めると言う旨を報告する必要があります。
都道府県は、個人がどのような事業をしているのかは把握していません。そのため、税務署に開業届や廃業届を提出した際には、各都道府県にも届け出る必要があります。
個人事業主は、所得税や消費税、個人事業税を支払っています。従業員を雇っている場合には、源泉徴収の義務もあるでしょう。
廃業の際は、国や都道府県の各場所に対して、事業を廃止した旨を伝え、納税義務と徴収義務がなくなったことを通知する必要があります。
廃業の手続き方法は?
廃業手続きは、廃業届を提出することが手続きの大部分です。廃業届とその他の必要な書類を揃えて、管轄の税務署と都道府県へ提出します。
廃業届と呼ばれている書類の正式名称は個人事業の開業・廃業等届出書といい、開業届と同じ書式です。国税庁のホームページでダウンロードするか、管轄の税務署で入手できます。
廃業届は、原則として廃業から1ヵ月以内の提出が必要です。提出日が土日祝となる場合には、その翌日が提出期限です。
手続きを後回しにすると忘れてしまう可能性があるため注意しましょう。
準備するもの
合わせて、廃業届を書く際に準備するものも紹介します。
- マイナンバーカード
- 提出済の開業届や確定申告書の控え
- 印鑑
マイナンバーの記載が必要となるため、マイナンバーカードがある方は用意しましょう。ない場合には通知カードにマイナンバーの記載があります。
印鑑は開業届や確定申告で使用しているものが好ましいでしょう。
廃業届の書き方
出典:国税庁
次に、廃業届の具体的な書き方について、項目ごとに詳しく見ていきましょう。
「個人事業の開業・廃業等届出書」の部分
まずは、最上部の題名の箇所である個人事業の開業・廃業等届出書の部分です。前述のとおり、開業届と廃業届は同じ形式の書類を使用します。
今回は廃業届なので、開業届に二重線を引きます。
税務署名
廃業届は事業の納税地を所管する税務署に提出します。税務署名には、事業の納税地を管轄する税務署を記入しましょう。開業届の控えや毎年確定申告書が送られてくる封筒に管轄の税務署が記載されているので確認してみましょう。
提出年月日
提出年月日は、税務署に廃業届を提出する日を記入します。年は西暦で記入してください。
納税地
開業届の提出のときに、納税地とした住所を記入します。郵便番号、住所、電話番号の記載が必要です。
納税地が納税者の住所地であれば「住所地」に丸をつけましょう。自宅兼事務所であれば「居所地」に丸を付けます。納税地の住所が事業所などである場合は「事業所等」に丸をつけてください。
上記以外の住所等
状況の納税地以外に事業所などがある場合は、上記以外の住所等にその住所を記入します。
氏名・生年月日
廃業する個人事業主の氏名と生年月日を記入します。氏名の横に押印する印鑑は、開業届を提出する際に使用したものが好ましいでしょう。
個人番号
該当する個人事業主のマイナンバーを記入します。
職業・屋号入
開業届や確定申告で記載していた職業を記入します。屋号を持っている場合は、屋号も記入しましょう。
届出の区分
廃業の箇所に丸をつけます。「事由」の欄には廃業する理由を記入しましょう。具体的には、「個人事業主として廃業し会社員になるため」、「売り上げ減少による」などがあります。
法人を設立する際には、個人事業主として廃業し法人成りするためと記載します。
所得の種類
廃業する事業における、所得の種類に丸を付けます。事業の全てを廃業する場合には「全部」という欄が該当します。事業の一部を残して、一部のみを廃業する場合は「一部」の欄に丸をつけます。「一部」に丸を付けた場合は、廃止する事業をカッコ内に記入しましょう。
開業・廃業等日
事業を廃業した年月日を記入する欄です。年は西暦で記入しましょう。
事業所等を新増設、移転、廃止した場合
事業所等を新増設、移転、廃止した場合の欄は、事務所を増設等した場合に記入する欄です。個人事業を廃業する場合には記入する必要がありません。
廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
法人設立により個人事業主を廃業する場合に記載が必要です。法人名や代表者、法人の納税地や設立登記の日を記入します。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
個人事業について青色申告をしている場合、青色申告の取りやめ届出書の提出が必要です。青色申告の取りやめ届出書を提出する際は、この欄の「有」に丸をつけます。
個人事業者の方で、消費税の支払いをしている課税事業者は事業廃止届出書も一緒に提出する必要があります。この場合にもこの欄の「有」に丸を付けましょう。
白色申告をしていた個人事業主や、消費税の支払いが不要であった個人事業者は、これらの書面を提出する必要はないので「無」に丸をつけてください。
事業の概要
個人事業として実施していた事業の内容を記入します。文章で具体的に記入しましょう。
給与等の支払の状況
個人事業主として従業員として雇っていた場合に記入が必要な欄です。
家族を従業員として雇っていた場合は「専従者」の欄に雇っていた人数を記入します。家族以外の従業員を雇っていた場合には「使用者」の欄に人数を記入してください。
「給与の定め方」には「月給」や「日給」と具体的に記入してください。
「税額の有無」は、従業員ごとに給与額や扶養親族等の状況を確認して、納税すべき税額があるかどうかを判断します。その区分の全員について納付すべき税額がないと認められる場合は「無」に、その他の場合は「有」に丸をしてください。
廃業届と一緒に提出が必要な書類
この項では、廃業届を提出する際に、一緒に提出が必要となる書類について解説します。
事業廃止届出手続
都道府県の税務署へ提出します。書式形態は各都道府県により異なるため、それぞれの都道府県の書式形態や提出方法をあらかじめ確認しておきましょう。
青色申告の取りやめ届出書
青色申告している個人事業主の方は、青色申告の取りやめ届出書を管轄の税務署へ提出します。
この書類は、事業を廃止する年の翌年3月15日までに提出が必要です。廃業届と一緒に提出すると忘れずに済むのでおすすめです。
消費税の事業廃止届出書
消費税を支払っていた個人事業主は、事業廃止届出書を提出しなければなりません。事業を廃止する場合には、必要経費の処理について、特例がありますので注意しましょう。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
予定納税をしている個人事業主の方が廃業することになり、予定納税額が多すぎる場合、予定納税額の減額を求めることができます。
所轄税務署へ下記の期間に所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を提出しましょう。
- 第1期分及び第2期分の減額申請、その年の7月1日から7月15日までに提出
- 第2期分のみの減額申請、その年の11月1日から11月15日までに提出
出典:所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
廃業する個人事業主が、家族(事業専従者)や従業員に給与を支払っている場合に提出が必要です。廃業届と合わせて所轄税務署に提出します。
廃業届の提出方法
この項では、廃業届の提出方法について解説します。提出方法は以下の3つです。
- 税務署に持参
- 税務署に郵送
- e-Taxで提出
1つずつ詳しく見ていきましょう。
税務署に持参
管轄の税務署へ廃業届とその他の書類を持参して提出します。受付時間は平日午前8時半〜午後5時までです。税務署によっては、時間外収受箱が設置されており、受付時間内でも提出できる場合がありますので確認してみましょう。
税務署に郵送
管轄の税務署へ、廃業届とその他必要書類を郵送で送付します。紛失を防ぐため、普通郵便ではなく、簡易書留や特定記録郵便がおすすめです。
e-Taxで提出
e-Taxで確定申告している場合には、マイページから廃業届を提出することができます。
廃業届を提出しなかった場合
廃業届を提出しないとどうなるのでしょうか?個人事業主が税務署に廃業届を提出しなかった場合には、以下のような弊害が生じます。
- 納税義務のない税金の支払いを求められる
- 給与所得者になっても確定申告の案内が届いてしまう
- 税務調査の対象になる
これらのとおり、廃業の手続きを怠ると余計な混乱を招いてしまう可能性があります。状況を整理するためにも手続きは怠らずに済ませましょう。
廃業届の正しい書き方を理解して期限内に手続きをすすめましょう!
今回の記事では、個人事業主の廃業届の書き方を中心に、提出方法や合わせて提出する書類を紹介しました。
廃業届は事業を廃止した際に、その事実を管轄の税務署や都道府県に通達して廃業したことを知らせる重要な工程です。
廃業の際は、物件の退去は設備の処分など、やるべきことが多いですが、自身の情報を整理ためにも怠らずに廃業届を提出しましょう。
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