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株式会社が上場を選ばない理由とは?上場してない企業の利点も解説

非上場企業と上場企業の違いを理解することは、企業運営において不可欠です。

非上場であるという選択は、経営の自由度を高め、潜在的な買収リスクから企業を守る効果があります。

しかし、上場と非上場を選択する際には十分な知識が必要であり、情報が不足していると投資判断のミスにつながるリスクも伴います。

この記事では、なぜ上場しない株式会社があるのかその理由や背景上場企業と非上場企業のメリットとデメリットを詳しく解説します。

株式会社の上場と非上場について

株式上場とは?

株式上場とは、企業が自社の株式を証券取引所に登録し、一般の投資家から資本を調達するための手段です。

上場することで企業は大きな資金を得ることができ、その資金を使って新たな投資、研究開発、事業拡大などを行うことが可能になります。

また、上場企業は財務情報を公開する義務があるため、経営の透明性が高まり、社会的な信用を獲得しやすくなります。

非上場企業とは?

一方、非上場企業は株式を一般公開していない企業であり、株主は主に創業者、家族、従業員、特定の投資家などに限られています。

非上場であることの最大のメリットは、経営の自由度が高いことです。

非上場企業は、経営における重要な判断や決定を外部の投資家に対して説明する必要がないため、長期的な視点で事業戦略を練ることができます。

株式会社が上場する条件

上場資格の基準

株式会社が証券取引所で上場を申請する際には、一定の基準を満たす必要があります。

これらの基準は、企業の規模、財務健全性、透明性など多岐にわたります。

主な基準

  • 事業継続年数
  • 純資産の額
  • 連続した黒字実績
  • 株式の分散状態
  • 内部管理体制の整備

たとえば、スタンダード市場への新規上場の場合、3年以上株式会社として継続的に事業活動をしていること、直近1年間における利益の額が1億円以上であること、流通株式比率 25%以上、登録上場会社等監査人の監査を受けていることなどが求められます。

JPX:日本取引所グループ

証券取引所の種類とその特徴

日本にはいくつかの証券取引所が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。

代表的なものに東京証券取引所大阪証券取引所名古屋証券取引所があります。

東京証券取引所は、売買高や上場企業数が最も多く、国内外の大企業が多数上場しています。

一方、大阪証券取引所は、デリバティブ市場が特徴であり、名古屋証券取引所は中小企業の上場が多いことが特徴です。

上場をしてない株式会社の都合とは?

経営の自由度を保持したいから

企業が非上場を選ぶ理由の一つに、経営の自由度を高く保ちたいという点があります。

上場企業は、株主や市場の期待に応える義務があるため、短期的な業績向上に重点を置くことが多いです。

これに対し、非上場企業は、外部からの期待や要求に縛られることが少なく、長期的な戦略に集中することができます

そのため、新事業への進出や研究開発において大きな利点となります。

買収のリスクを避けるため

非上場企業のもう一つの利点は、敵対的買収のリスクを軽減できることです。

上場企業は市場に株式を公開しているため、外部からの買収の対象となりやすいです。

対照的に、非上場企業は所有権が限定されており、株式の譲渡には株主間の合意が必要となることが多いため、望まない買収を防ぐことができます。

財務情報の非公開を望むため

非上場企業は、財務情報を公にする必要がないため、内部の戦略や財務状況を秘匿して、より自由な経営が可能になります。

企業戦略や財務状況を公開すると、競合分析や投機的な取引の対象となることがあるため、戦略的な優位性を保つ上で、非公開にすることには大きなメリットがあります。

上場企業と非上場企業:それぞれのメリット

資金調達のしやすさ(上場)

上場企業は、株式市場を通じて広く投資家から資本を集めることが可能です。

株式公開により、大規模な事業拡張や研究開発投資への資金調達が容易になり、企業の成長に寄与します。

上場企業の資金調達能力は、非上場企業と比較して格段に高いとされています。

社会的信用の獲得(上場)

上場企業は財務の透明性が求められ、定期的に財務報告をする義務があります。

これにより、企業の透明性が保証され、顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。

企業運営に関する情報開示は、企業に対する信頼度を高め、その結果として社会的信用が向上します。

優秀な人材の確保(上場)

上場企業は安定した経営基盤と将来性において、優秀な人材を惹きつける能力があります。

上場企業で働くことは多くの労働者にとって魅力的であり、キャリアアップの機会となります。

また、株式オプションなどのインセンティブを提供できることが、優秀な人材を引き寄せる要因となります。

経営の自由度の高さ(非上場)

非上場企業は、外部投資家の期待や要求に縛られることが少なく、経営戦略の自由度が高いです。

長期的な計画を立てやすく、市場の短期的な変動に左右されにくいため、独自のビジネスモデルを確立しやすくなります。

これにより、自社のポリシーに基づいた成長戦略を推進できます。

上場企業と非上場企業それぞれのデメリット

経営の透明性による圧力(上場)

上場企業は、経営の透明性を保つために規制と監査を受ける義務があります。

詳細な財務報告や定期的な情報開示が必要であり、企業にとって大きな負担となることがあります。

また、株価の変動に影響を受けやすく、短期的な業績に対する市場の反応に左右され、経営判断が短期的な視点に偏るリスクがあります。

このような状況は、長期的な戦略を立てにくくする要因であり、経営者にとって大きなプレッシャーとなることが少なくありません。

資金調達の難しさ(非上場)

非上場企業は、株式市場を通じた資金調達ができないため、大規模な資金を集めることが困難であり、新規事業の展開や大きな投資の機会を逃す原因となり得ます。

また、銀行からの借入れに依存することが多くなるため、金利の変動リスクや返済負担が増大することがあります。

さらに、非上場企業は外部から資金を調達する際に、担保や保証が求められることが多く、これが資金調達をさらに複雑にします。

社会的信用の低さ(非上場)

非上場企業は、一般的に上場企業ほどの知名度や透明性がないため、社会的信用を獲得することが難しいです。

上場企業に比べて外部からの評価が得にくく、新規顧客やビジネスパートナーを獲得する際に不利になることがあります。

また、非上場であることがリスクと捉えられることもあり、事業の拡大やパートナーシップの構築に影響を及ぼすことがあります。

どちらの選択にも一長一短があり、企業の現状や将来のビジョンに応じて、最適な戦略を選択することが求められます。

特に新市場への進出や大規模な投資を考えている企業にとっては、これらのデメリットを理解し、適切に対応することが成功の鍵となるでしょう。

株式上場と非上場の注意点

上場企業のコンプライアンス要件

上場企業は、厳格な規則とコンプライアンス要件に従う必要があります。

これには以下のような責任が含まれます。

  • 定期的な財務報告:四半期ごと、あるいは年次での詳細な財務情報の公開が必要
  • 透明性の確保:企業活動における透明性を確保し、株主との信頼関係を維持することが求められる
  • 監査の受け入れ:独立した監査機関による定期的な監査を受けることで、財務報告の正確性が保証される

これらの要件の遵守は、投資者保護と市場の公正性を保つために重要ですが、同時に企業運営のコスト増加や管理の複雑化を招くことがあります。

非上場企業の隠れたリスク

非上場企業も特有のリスクを抱えており、以下の点において注意が必要です。

  • 内部管理の不透明さ:内部管理がおろそかになりがちで、透明性が確保されにくい
  • 財務報告の透明性の欠如:定期的な外部監査の義務がないため、正確性が評価されにくい
  • 資金調達の困難:知名度や透明性が低いため、外部からの資金調達が難しくなることがある

非上場企業は経営の自由度が高いものの、それに伴いリスクや責任も増大します。

適切な内部管理体制の構築と、透明性を確保するための努力が不可欠です。

上場していない有名な株式会社

サントリーホールディングス

  • 業種:飲料・食品製造業
  • 設立:1899年
  • 従業員数:約42,000人
  • 特徴:独自のブランド戦略と環境への取り組みで知られる。プレミアムウイスキーや健康志向商品が特に有名。
  • 非上場であることの強み:長期的な研究開発に投資できる自由度と、同族経営による経営の継続性。

ロッテ

  • 業種:食品製造業
  • 設立:1948年
  • 従業員数:約4,900人
  • 特徴:菓子製品を主力としながら、リゾート事業やスポーツ事業など多岐にわたる事業を展開している。
  • 非上場であることの強み:事業戦略の迅速な変更が可能で、多様な市場ニーズに柔軟に対応可能。

朝日新聞

  • 業種:新聞業
  • 設立:1879年
  • 従業員数:約3,800人
  • 特徴:質の高いジャーナリズムが評価されており、国内47都道府県と海外の約30か所に取材拠点がある。
  • 非上場であることの強み:編集の独立性が保たれ、長期的な視点でジャーナリズムの質を保つことができる。

竹中工務店

  • 業種:建設業
  • 設立:1937年
  • 従業員数:約8,000人
  • 特徴:大型建設プロジェクトと技術革新に強みを持つ。地震工学やエコ建築の分野で先駆的な役割を果たしている。
  • 非上場であることの強み:大規模なリスクを伴う革新的なプロジェクトに自由に投資できる。

佐川急便

  • 業種:運輸・物流業
  • 設立年:1965年
  • 従業員数:約52,000人
  • 特徴:国内に幅広い配送網を持ち、高度な物流サービスを提供している。
  • 非上場であることの強み:迅速な意思決定と地域社会との密接な関係を維持することで、顧客ニーズに細かく対応可能。

これらの企業はそれぞれ、非上場というステータスを生かして独自の強みと戦略を築いています。

まとめ:上場してない株式会社の経営戦略とは

この記事では、株式会社が上場しない理由とメリットやデメリットについて詳しく解説しました。

非上場企業の経営戦略とその背後を理解することは、ビジネス戦略において重要です。

以下は、非上場企業の経営戦略に関連する主なポイントです。

  1. 経営の自由度が高い:外部の圧力が少なく長期的な計画が可能
  2. 買収リスクの軽減:安定した経営を維持しやすい
  3. 情報の非公開性:市場に対する情報の非開示が可能
  4. 独自の事業戦略:市場の動向に左右されにくい自由な戦略展開

非上場であることの利点を生かしながら、それぞれの企業がどのようにして独自の道を切り開いているかを学ぶことは、企業戦略を考える上で非常に役立ちます。

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