「株式会社を設立したいけれど、仕組みがよくわからない」「株式会社の設立には何が必要で、どういったメリットやデメリットがあるのか」といった疑問を抱いている方は少なくありません。
本記事では、こうした疑問を解消すべく株式会社の仕組みをわかりやすく解説します。株式会社の基本構造から出資、経営、利益分配の仕組み、設立方法や一人株式会社の可能性についても詳しく説明します。
株主の権利や株価の関係、非上場株式会社の特性など、株式会社を運営する上で知っておきたい情報も一挙公開します。株式会社を設立しようと思っている方、すでに設立しているもののより深く理解したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 株式会社とは?仕組みをわかりやすく解説
- 2 株式会社の基本構造:株主、取締役、取締役会
- 3 株式会社の出資、経営、利益分配の仕組み
- 4 株式会社のメリット・デメリット【個人事業主との比較】
- 5 株式会社設立のメリット
- 6 株式会社設立のデメリット
- 7 株式会社と個人事業主の違い
- 8 株式会社の設立方法【費用・期間・手続きの流れ】
- 9 株式会社設立に必要な費用
- 10 法定費用
- 11 その他費用
- 12 株式会社設立にかかる期間
- 13 株式会社設立の手続き
- 14 一人でも株式会社は作れる?取締役・資本金の疑問を解決
- 15 一人株式会社における取締役の選任と役割
- 16 資本金の決め方と注意点
- 17 一人株式会社設立の流れと必要な手続き
- 18 まとめ:株式会社の仕組みを理解して、事業を成功させよう
株式会社とは?仕組みをわかりやすく解説

株式会社は、現代社会において非常に重要な役割を果たしている企業形態です。しかし、仕組みを完全に理解している人は多くありません。株式会社が具体的にどういった組織で、いかに運営されているのか、詳しく解説します。
株式会社の基本構造:株主、取締役、取締役会
株式会社の基本的な構造は、以下の3つの要素で構成されています。
要素 | 詳細 |
---|---|
株主 | 株式会社に出資した人または法人です。出資額に応じて株式を保有し、会社の所有者としての権利(議決権、配当請求権など)を持ちます。 |
取締役 | 株主総会で選任され、会社の経営を行う人です。会社の業務執行の決定や、代表取締役の選定などを行います。 |
取締役会 | 取締役で構成される会議体です。会社の重要な意思決定機関であり、業務執行の決定や監督を行います。 |
こうした要素が相互に作用し、株式会社は組織として機能します。株主が出資を行い、取締役が経営を行い、取締役会が経営を監督するのが基本的な流れです。
株式会社の出資、経営、利益分配の仕組み
株式会社の仕組みを理解するために、出資、経営、利益分配の流れを解説します。
項目 | 詳細 |
---|---|
出資 | 株式会社を設立する際または事業拡大のために資金が必要な場合、株主から出資を募ります。出資者は、対価として株式を取得します。 |
経営 | 取締役は、株主から委託された経営を行います。事業計画を立て実行し、会社の成長を目指します。 |
利益分配 | 会社が利益を上げた場合、株主はその利益の一部を配当として受け取れます。配当額は、保有する株式数に応じて決定されます。 |
株式会社のメリット・デメリット【個人事業主との比較】
株式会社には、個人事業主と比較して、さまざまなメリット・デメリットがあります。各々の特徴を理解し、ご自身の事業に合った形態を選択しましょう。
株式会社設立のメリット
株式会社設立の主なメリットをまとめました。
メリット | 詳細 |
---|---|
信用力の高さ | 株式会社は、個人事業主よりも社会的な信用度が高いと一般的に認識されています。そのため、企業間取引や金融機関からの融資を受けやすい傾向があります。 |
資金調達の容易さ | 株式発行を通じて、多くの投資家から資金を調達できます。個人事業主と比較して、資金調達の選択肢が豊富です。 |
節税効果 | 株式会社は、個人事業主と比較して、経費として計上できる範囲が広いため、節税効果が期待できます。 |
人材採用の有利性 | 株式会社は、福利厚生や給与体系を充実させやすいため、優秀な人材を確保しやすい傾向があります。 |
株式会社設立のデメリット
一方で、株式会社設立には、以下のようなデメリットがあります。
デメリット | 詳細 |
---|---|
設立・運営コスト | 株式会社の設立には、登録免許税や定款認証手数料などの費用がかかります。また、運営にも会計処理や税務申告などのコストが発生します。 |
事務手続きの煩雑さ | 株式会社は、個人事業主と比較して、会計処理や税務申告などの事務手続きが複雑です。 |
情報公開の義務 | 株式会社は、決算公告などの情報公開義務があります。 |
株式会社と個人事業主の違い
株式会社と個人事業主の主な違いをまとめました。
比較項目 | 株式会社 | 個人事業主 |
---|---|---|
法人格 | あり | なし |
設立費用 | 高い | 低い |
資金調達 | 株式発行など多様 | 自己資金、借入 |
主な税金 | 法人税 | 所得税 |
責任 | 有限責任 | 無限責任 |
信用力 | 高い | 低い |
株式会社と個人事業主の違いを理解した上で、ご自身の事業規模や将来の展望などを考慮し、最適な形態を選択しましょう。
株式会社の設立方法【費用・期間・手続きの流れ】

株式会社を設立するにあたって、気になるのは費用、期間、具体的な手続きの流れです。本章では、株式会社設立に必要な情報をわかりやすく解説します。スムーズな会社設立のために、ぜひ参考にしてください。
株式会社設立に必要な費用
株式会社の設立には、いくつかの費用が発生します。費用は、大きく分けて「法定費用」と「その他費用」に分類できます。
法定費用
法定費用は、会社設立時に必ず発生する費用で、主に以下のものがあります。株式会社の場合、法定費用は約25万円程度です。
費用項目 | 目安の費用 | 備考 |
---|---|---|
定款認証手数料 | 3〜5万円 | 電子定款の場合は不要 |
登録免許税 | 15万円 | 資本金の額の0.7%(最低15万円) |
印鑑証明書代 | 数百円 | – |
参考:日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」
国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
その他費用
会社設立の準備段階で発生する費用や、専門家に依頼する場合の報酬などが含まれます。こうした費用は、依頼する専門家や選択するサービスによって大きく変動します。
- 印鑑作成費用:数千円~数万円
- 専門家への依頼費用(司法書士、行政書士など):数万円~数十万円
- 会社設立代行サービス利用料:数万円~
会社設立費用を抑える方法としては、電子定款を利用して定款認証手数料を節約したり、自分でできる手続きは自分で行ったりなどが挙げられます。
株式会社設立にかかる期間
株式会社設立にかかる期間は、準備段階から登記完了まで、一般的に2週間~1カ月程度です。ただし、必要な書類の準備や手続きの進捗状況によって、期間は前後する可能性があります。
株式会社設立にかかる期間を左右する主な要因は以下のとおりです。
- 書類の準備:定款や印鑑証明書など、必要な書類をスムーズに準備できるかどうか
- 定款認証:公証役場での定款認証に要する時間
- 登記申請:法務局での登記申請に要する時間
最短で会社設立をするには、設立前の準備をしっかりと行い、手続きの流れを把握しておきましょう。
株式会社設立の手続き
株式会社設立の手続きは、以下のステップで進められます。
- 基本事項の決定:会社名、本店所在地、事業目的、資本金などを決定
- 法務局で商号と目的のチェック:類似商号がないか、事業目的が適切かなどを確認
- 印鑑の作成:会社の実印、銀行印、角印を作成
- 定款の作成:会社の基本ルールを定める定款を作成
- 定款の認証:作成した定款を公証役場で認証してもらう
- 出資金の払い込み:発起人の銀行口座に資本金を払い込む
- 設立登記申請:法務局に設立登記の申請を行う
- 会社設立完了:登記が完了し、会社が設立される
上記の手続きは、専門家への依頼も可能です。専門家に依頼すれば、手続きの代行だけでなく、法的なアドバイスやサポートを受けられます。行政書士や司法書士などの専門家は、会社設立手続きをスムーズかつ確実に行ってくれます。
一人でも株式会社は作れる?取締役・資本金の疑問を解決

株式会社の設立を検討する際、「一人でも設立できるのか」「取締役や資本金はどうすれば良いのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。本章では、一人株式会社の設立における疑問を解消し、具体的な設立の流れを解説します。
一人株式会社における取締役の選任と役割
結論から言うと、一人でも株式会社は設立可能です。2006年の会社法施行により、取締役1名のみの株式会社設立が認められるようになりました。つまり、「株主=取締役=代表取締役」といった形態も可能です。
一人株式会社における取締役の役割は、通常の株式会社と同様に、会社の業務執行の決定や代表取締役の選定・監督などです。ただし、取締役が一人であるため、取締役会の設置はできません。
資本金の決め方と注意点
資本金は、会社の設立時に株主が出資するお金です。2006年の会社法施行により、資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。しかし、資本金の額は会社の信用力に影響を与えるため、慎重に決定する必要があります。
資本金を決定する際の注意点は、以下のとおりです。
注意点 | 詳細 |
---|---|
事業に必要な資金を考慮する | 事業を開始するために必要な資金(運転資金、設備資金など)を十分に確保できる額を設定しましょう。 |
許認可要件を確認する | 事業によっては、許認可を得るために一定額以上の資本金が必要となる場合があります。事前に確認しておきましょう。 |
自己資金で準備する | 資本金は、原則として自己資金で準備する必要があります。借入金などを資本金に充当するのは避けるべきです。 |
資本金の調達が難しい場合は、最初は合同会社からのスタートも検討しましょう。
一人株式会社設立の流れと必要な手続き
一人株式会社の設立は、以下の流れで進めます。
- 基本事項の決定:商号、本店所在地、事業目的、資本金などを決定
- 法務局で商号と目的のチェック:類似商号がないか、事業目的が適切かなどを確認
- 会社の実印の作成:会社の実印、銀行印、角印を作成
- 定款の作成:会社の基本ルールを定める定款を作成
- 公証役場での定款認証:作成した定款を公証役場で認証してもらう
- 資本金の払い込み:個人の銀行口座に資本金を払い込む
- 設立登記申請:法務局に設立登記申請を行う
一人株式会社の設立には、通常の会社設立と同様に、定款や設立登記申請書などの書類が必要です。また、設立にかかる費用は25万円程度です。
設立手続きに不安がある場合は、専門家(司法書士など)への依頼も検討しましょう。
まとめ:株式会社の仕組みを理解して、事業を成功させよう

本記事では、株式会社の基本的な仕組みから設立方法、株式の役割、非上場株式会社の特徴まで、幅広く解説しました。株式会社は、個人事業主とは異なる組織構造を持ち、資金調達や事業拡大において大きな可能性を秘めています。
株式会社の設立は、事業を成長させるための有効な手段の一つですが、設立費用や手続き、運営における責任など、考慮すべき点も多く存在します。本記事で解説したメリット・デメリットを比較検討し、ご自身の事業規模や将来の展望に合わせて最適な形態を選択しましょう。
特に、株式の仕組みに対する理解は、株式会社を運営する上で不可欠です。株主の権利や配当、株価といった要素は、会社の意思決定や資金調達に大きく影響します。こうした知識を習得し、適切に活用すれば、企業価値の向上につなげられます。
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