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シダックスがオイシックを買収!?給食事業をめぐる買収を解説

  • なぜシダックスはオイシックスに買収されたのか?
  • シダックスとオイシックスはどんな会社?
  • シダックスとオイシックスは今後どうなる?

オイシックスは2022年8月29日にシダックスに対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表し、2022年10月24日に成立しました。

しかし、今回の買収は順調に進まずに、こじらせながら成立した買収話だったのです。

シダックスの買収についてもっと知りたい事業を営んでいる方のために、M&Aアドバイザリーとして日本を代表する企業やベンチャー企業に、M&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担ってきた「株式会社パラダイムシフト」が、シダックスとオイシックスの買収や各会社について、今回の買収がこじれた理由などを解説していきます。

具体的には、

  • シダックスTOBにオイシックスが合意!
  • シダックスは安心・安全・笑顔をつくるサービスを提供する会社
  • オイシックスがシダックスを買収した狙いは「給食事業」
  • オイシックスを運営する会社「オイシックス・ラ・大地株式会社」とは?
  • シダックスとオイシックスの買収問題がこじれた3つの理由

を解説します。

この記事を読むことで、シナジーを発揮できるM&Aが成立した際の業績加速度にどの程度見込みがあるのかが分かります。

シダックスTOBにオイシックスが合意!

オイシックスは、2022年8月29日にシダックスに対して株式公開買い付け(TOB)を実施しました。

TOB価格は1株あたり643円で、総額は約2,000億円。
オイシックスはシダックスの創業家が保有する株式を取得することで、シダックスの経営権を握る狙いでした。

しかし、シダックスの取締役会はTOBに反対を表明。
理由としては、TOBの価格が時価を下回っていることやシダックスの給食事業の将来に懸念があることなどを挙げました。

その後オイシックスとシダックスの間で交渉が行われ、2022年10月7日にシダックスの取締役会はTOBへの反対意見を撤回することを発表しました。

オイシックスとシダックスの間でシダックスの給食事業の協業に関する基本合意書を締結したのです。

合意書では、オイシックスとシダックスは給食事業の協業先を第三者のフィナンシャルアドバイザーを起用して検討し、シダックスの取締役会が最終決定することとしています。

オイシックスによるシダックスTOBは2022年10月24日に成立。
オイシックスは、シダックスの給食事業の協業を通じて事業拡大を目指しています。

シダックスは安心・安全・笑顔をつくるサービスを提供する会社

今回の買収の主人公であるシダックスは給食事業など安心・安全・笑顔をつくるサービスを提供する会社です。

ではシダックスはどんな会社なのか、会社概要や事業内容、企業理念をご紹介します。

会社概要

シダックスの会社概要は以下の通りです。

会社名シダックス株式会社
本社所在地東京都新宿区西新宿3-20-2 新宿三井ビルディング
設立1961年1月
代表者代表取締役社長 谷田貝 智
売上高1,236億5,000万円(2022年3月期)
従業員数29,651名(2022年3月31日時点)
ウェブサイトhttps://www.shidax.co.jp/

事業内容

シダックスの事業内容は以下の通りです。

事業内容概要
フードサービス事業企業・団体・学校・病院・高齢者施設・官公庁等を対象に、食事提供・給食運営・ケータリング・食品製造・食育・栄養コンサルティング等を行う。
車両運行サービス事業企業・団体・学校・病院・高齢者施設等を対象に、役員車・公用車・バスの運行管理・運転代行・車両メンテナンス等を行う。
社会サービス事業企業・団体・学校・病院・高齢者施設等を対象に、清掃・ビルメンテナンス・警備・イベント運営・介護等を行う。

企業理念

シダックスの企業理念は以下の通りです。

企業理念内容
シダックスのMISSION未来の子供たちのために、より良い社会づくりの視点で、「安心」「安全」「笑顔」の日々をつくる。
シダックスのVISION
  • 人材面
    現場力・対応力を日々学び続けることで高め、人々の笑顔に繋げる意識を持つ。
  • 事業面
    安心・安全を当たり前に超えるシダックスレベルで提供し続け、その自信を持つ。
  • 発展性
    連携力を磨いてシダックスの強みとし、500の仕事で役立てることに誇りを持つ。
  • 先進性
    デジタルを人の役に立つために上手に活用し、未来の期待に応えるチカラを持つ。
  • 社会性
    SDGsを自分たちの日々のこととして、自分にできることと結びつける姿勢を持つ。
シダックスのVALUE人で成り立つ仕事だからこそ、人としての力をつけ、人の力を認める。

オイシックスがシダックスを買収した狙いは「給食事業」

オイシックスがシダックスを買収した狙いは、シダックスの給食事業のノウハウを獲得して自社の事業を拡大することです。

オイシックスは有機食材の宅配事業を展開していますが、給食事業は参入していない分野だからです。

しかし、シダックスの給食事業は全国に約1万の拠点を持ち年間約10億食を提供しているので、オイシックスはシダックスの給食事業のノウハウを獲得することで自社の事業を拡大して、食の領域でトップ企業になりたいのです。

さらにオイシックは、シダックスの給食事業と自社の宅配事業を連携させることで新たな価値を創出することも計画しています。

例えば、シダックスの給食事業で余った食材をオイシックスの宅配事業で販売するといったことです。

オイシックスはシダックスの給食事業のノウハウと自社の強みを組み合わせることで、食の領域で新たなビジネスモデルを構築して企業の成長を目指しています。

オイシックスを運営する会社「オイシックス・ラ・大地株式会社」とは?

シダックスを買収したオイシックスは、どのような会社が運営しているのでしょうか?

オイシックスを運営する「オイシックス・ラ・大地株式会社」の会社概要や事業内容、企業理念をご紹介します。

会社概要

オイシックスを運営しているオイシックス・ラ・大地株式会社」の会社概要は以下の通りです。

会社名オイシックス・ラ・大地株式会社
本社所在地東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー5階
設立2000年6月
代表者代表取締役社長 高島宏平
売上高1,000億6,000万円(2022年3月期)
従業員数1,927名(2022年3月31日時点)
ウェブサイトhttps://www.oisixradaichi.co.jp/

事業内容

オイシックス・ラ・大地株式会社」の事業内容は以下の通りです。

事業内容概要
食品宅配事業ウェブサイトやカタログによる一般消費者への有機野菜、特別栽培農産物、無添加加工食品等、安全性に配慮した食品・食材の販売
プライベートブランド事業自社ブランドの食品・食材の開発・販売
フードデリバリー事業デリバリーサービス「出前館」への加盟店出店や、自社ブランドの食品・食材の販売
農業事業自社農園の運営や、生産者への支援
環境事業食品ロスの削減や、環境に配慮した取り組み
その他海外事業、人材育成事業、メディア事業など

企業理念

オイシックス・ラ・大地株式会社の企業理念は以下の通りです。

これからの食卓、これからの畑

  • より多くの人が、よい食生活を楽しめるサービスを提供します
  • よい食を作る人が、報われ、誇りを持てる仕組みを構築します
  • 食べる人と作る人とを繋ぐ方法をつねに進化させ、持続可能な社会を実現します
  • 食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決します

私たちは、食のこれからをつくり、ひろげていきます

シダックスとオイシックスの買収問題がこじれた3つの理由

記事の冒頭でも述べましたが、シダックスとオイシックスの買収はスムーズに成立せずにこじらせて成立に至りました。

下記ではシダックスとオイシックスがこじらせてしまった3つの理由を説明します。

①創業家と役員の意見分裂

2022年8月にオイシックスに対してシダックスの株式公開買い付け(TOB)を実施しようとしましたが、シダックスの創業家はオイシックスによる買収に反対しました。

シダックス創業家は、オイシックス・ラ・大地がシダックスの給食事業を十分に理解していないこと、オイシックス・ラ・大地の経営方針に懸念があることなどが理由です。

シダックスの取締役会も創業家の意見を支持しTOBに反対して、シダックスTOBは不発に終わる可能性が高まったのです。

最終的にはオイシックス・ラ・大地とシダックスが1ヶ月ほど交渉した末、シダックスの取締役会はTOBへの反対意見を撤回することになりました。

②TOBが不発に終わる可能性

今回の買収をこじらせた理由は、株式公開買い付け(TOB)は不発に終わる可能性があるからです。

TOBが不発に終わる可能性が高い理由には、以下の2つの懸念点があったからです。

  • シダックスの株価がTOB価格を下回っている
  • オイシックス・ラ・大地の財務状況が厳しい

買収成立時のシダックスの株価はTOB価格を下回っていました。

2022年8月29日のTOB発表当初は、シダックスの株価はTOB価格を上回っていましたが、その後株価は下落。市場がTOBに懐疑的な見方をしている可能性を示していたのです。

さらに、オイシックス・ラ・大地の財務状況が厳しいことを懸念。

近年、オイシックス・ラ・大地は積極的なM&Aを展開するために借入金が膨らみ、2022年12月期の業績が前期比で減収減益となっていました。

オイシックス・ラ・大地がシダックスを買収した場合、さらに財務状況が悪化する可能性があったのです。

以上の理由から、シダックスが開いた取締役会では、TOBが不発に終わる可能性が高いと判断していたのです。

③外食大手コロワイドの買収希望

コロワイドは居酒屋や焼肉店を運営する外食大手の企業です。

2022年12月にシダックスに対して買収提案をしていたコロワイドは、オイシックス・ラ・大地株式会社と同様にシダックスの給食事業と自社の外食事業を連携させ、シナジー効果を狙っていました。

シダックスはコロワイドの買収提案に対して検討中としていましたが、当時のシダックスの創業家はオイシックス・ラ・大地による買収には反対していたので、コロワイドの買収話に前向きな姿勢でした。

コロワイドの買収提案が成功すれば、シダックスは外食大手に生まれ変わることになるからです。

シダックスの給食事業とコロワイドの外食事業が連携することで、新たな価値を創出できシダックスの宅配事業もコロワイドのノウハウを活用することで成長できます。

シダックスにとって優良な買収先の登場がオイシックスとの買収話が進まない原因になったと考えられます。

まとめ:M&Aで業績加速!シダックスとオイシックスは給食事業で売上高100億をめざす!

「食」の分野でトップ企業を目指すシダックスとオイシックスの両社は、2023年1月に資本業務提携契約を締結してシダックスの給食事業とオイシックスの宅配事業を連携させるなど、シナジー効果を最大限に生かして、給食事業で売上高100億円をめざすことを発表しました。

シダックスは全国に約1万の拠点を持ち、年間約10億食を提供している給食業界のリーディングカンパニーで、オイシックスは有機食材の宅配事業を展開し急成長を遂げている企業です。

両社が連携することで給食事業の効率化やサービスの向上、新たな価値の創出などさまざまな価値創出が期待できます。

例えば、シダックスの給食事業で余った食材をオイシックスの宅配事業で販売するといったことが可能になったり、シダックスのノウハウを活用してオイシックスの宅配事業を拡大したりすることもできます。

今回のM&Aが成立したことで、シダックスとオイシックスの両社にとって大きな成長のチャンスを掴み、食の分野でトップを目指せるほどのシナジー効果を得ることができたのです。

M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。

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