楽天モバイル、UQ mobile、mineoと並び格安スマートフォンを展開する「LINEモバイル」が、日本の大手電気通信事業者のソフトバンクに買収されました。
近年、企業間の買収が増えているなかで、
- LINEモバイルとソフトバンクって改めてどんな会社なんだろう?
- 買収の目的やメリットはなんだろう?
と疑問に思う方も多いです。
そこでこの記事では、LINEモバイルの買収に関してM&A×ITに強みを持つM&A会社が解説します。
具体的には、
- LINEモバイル、ソフトバンクの企業概要
- 買収した目的や手法、メリット
- LINEモバイルを買収したソフトバンクの今後
の順にご紹介します。
この記事を読むことで、LINEモバイル買収の詳細とソフトバンクの今後が分かります。
目次
買収された「LINEモバイル」とは?
出典:LINE MOBILE
「LINEは知っているけどLINEモバイルってなに?」という方は多いです。そこで下記では、LINEモバイルがどのような企業なのか解説します。
企業概要
LINEモバイルとは、日本のMVNO(仮想移動体通信事業者)であり2016年に100%LINEの子会社として設立されました。
MVNOとは、大手キャリア(au、docomo、ソフトバンク)の通信回線を利用して格安SIMと呼ばれる安価なサービスを提供している事業者のことです。
LINEモバイルと並び、MVNOで代表的なサービスは楽天モバイルやUQ mobileです。
これら2つはauの通信回線を利用しています。
LINEモバイルは大手3大キャリアのau、docomo、SoftBankの3回線を利用できるので一人当たりの利用範囲が広いです。
サービス内容
LINEモバイルは、格安SIMと呼ばれる安価なサービスを利用したスマートフォンを提供する事業だけしています。
下記でLINEモバイルの料金・サービスなどを示します。
データフリーオプション | LINEデータフリー | SNSデータフリー | SNS音楽データフリー |
データ容量 | 音声通話SIM データSIM | 音声通話SIM データSIM | 音声通話SIM データSIM |
2GB | 月額1210円 月額660円 | ー | ー |
5GB | 月額1628円 月額1078円 | 月額1936円 月額1386円 | 月額2156円 月額1606円 |
10GB | 月額2420円 月額1870円 | 月額2728円 月額2178円 | 月額2948円 月額2398円 |
30GB | 月額3520円 月額2970円 | 月額3828円 月額3278円 | 月額4048円 月額3498円 |
※料金は税込で記載
データフリー:データフリーの対象サービスを利用していてもデータ通信量を消費しない機能(※機能によっては対象外になる)
対象サービス:LINE、Twitter、Facebook、Instagram、LINE MUSIC、Spotify、AWA
その他かかる料金
・10分電話かけ放題(月額968円):誰とでも何度でも10分以内の電話かけ放題
・端末保証(月額495円・月額550円):落下や水没などの万が一のときに最低限の負担で端末の交換・修理が可能
LINEモバイルを買収した「ソフトバンク」とは?
出典:SoftBank
日本人なら多くの方が知っている大手企業「ソフトバンク」
しかし、名前は知っていても何をやっているのか全貌を知る人は少ないです。
そこで下記では、ソフトバンクの全貌を明かしていきます。
企業概要
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」と表記)は、1981年に設立されたソフトバンクグループ傘下の企業で携帯電話などの通信サービスや長距離国際通信を提供する日本の大手通信事業者です。
代表は、日本トップの資産家であり2021年のフォーブス世界長者番付で第29位の孫正義(そんまさよし)が務めています。
本社所在地 | 東京都港区海岸1-7-1 |
代表者 | 代表取締役 会長兼社長執行役員 孫 正義 |
資本金 | 2,387億72百万円(2022年3月末時点) |
子会社数 | 子会社数:1,316社(2022年3月末時点) |
従業員数 | 従業員数:255人・連結ベース59,721人(2022年3月末時点) |
ソフトバンクの理念・ビジョンは、300年間成長し続ける企業グループを目指すことです。
創業当初からテクノロジーが人々の幸せを築く鍵になると考えていたソフトバンクは、パソコンからインターネット、ブロードバンド、スマートフォンと進化を遂げるなかでソフトバンクも同じくビジネスモデルを進化させてきました。
そして、現代の産業に革命を起こそうとしているAIが新たなステージに立ったことで、ソフトバンクはAI×テクノロジーを正しく活用して、効率的に人々がつながりやすく喜びに満ちた世界を実現できると信じて企業活動をしています。
事業内容
ソフトバンクの事業は、AI・IoT・ロボットなどの最先端テクノロジーを活用してライフスタイルを革新する製品やサービスの提供を目指しています。
ソフトバンクの主な事業内容は以下の通りです。
コンシューマ事業 | 個人を対象にしたモバイルサービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドサービスの提供 |
法人事業 | 法人を対象にしたモバイルサービスやソリューションサービスの提供 |
流通事業 | 法人を対象にしたICTサービス商材の提供、個人を対象にした通信端末関連商品・IoT機器の提供 |
主な会社:ソフトバンク、Zホールディングス株式会社、ヤフー株式会社、LINE株式会社
ソフトバンクが提供する主なサービスは以下の通りです。
移動通信サービス | 携帯電話、Y!mobile、LINEMO etc… |
インターネット接続サービス | SoftbBank Air etc… |
固定電話サービス | JR電話サービス、NURO光でんわ etc… |
電気サービス | おうち電気 |
ロボット | Pepper(ペッパー) |
ソフトバンクは現状に満足せず、パートナー企業との連携や協業を通してコアワーキングスペース「WeWork」や決済サービス「PayPay」など事業を展開しています。
ソフトバンクがとった買収の手法
LINEモバイルはサービス開始約2年足らずでソフトバンクと資本提携し、ネイバーグループのLINEとソフトバンクグループのソフトバンクの合併子会社となりました。
今回の買収は、他の企業と連携することでの関係強化や資金繰りがうまくいっていないときに行う「第3者割当増資」と呼ばれる手法です。
第3者割当増資:資金調達のことであり、特定の第3者に対して株式を割り当てて対価を得る手法 |
この手法を行うことで、自社と友好関係にある企業に株式を売却してネガティブな買収を避けることができます。
具体的な株式の割当は、両社が資本・業務提携してソフトバンクがLINEモバイルの株式51%を取得する契約を締結したのち、増資されることになりました。
株式の割合から、実質上ソフトバンクによるLINEモバイルの買収が決定となったわけです。
LINEモバイルを買収した目的
ソフトバンクがLINEモバイルを買収した目的は大きく2つあります。
下記の内容を読むと、社内と世間両方にメリットを持った買収だと分かります。(69)
新ブランドの機能拡張
LINEモバイルを買収した目的の一つは、オンライン専用の新ブランド「SoftBank on LINE」の機能を拡張するためです。
新ブランドはユーザーの利便性向上を目的とし、データ容量20GBを月額2980円で利用できるサービスです。
本サービスにコミュニケーションアプリ「LINE」がデータ容量を消費せずに使い放題になるサービスを上乗せすることで「LINE」でさまざまな手続きができます。
近年生活シーンのオンライン化が進み、非対面で費用を抑えることができるオンライン完結のサービスのニーズが高まっています。
買収により開始される予定の新ブランドは、環境変化にも対応できるサービスで多様化するニーズに応えられるものです。
オンライン上の顧客獲得
二つ目の目的は、若年層の顧客をオンライン上で獲得できるためです。
LINEモバイルの親会社であるLINEは、大きな成果の出ないものは早々に終了して他者との業務提携をしてきました。
LINEモバイルのサービス提供開始から約2年、早すぎるM&AはLINEらしいです。
今回の買収で、ソフトバンクは自社のグループ企業と合わせてSoftBank、Y!mobile、LINEモバイルと3つの通信事業ブランドを持つことになります。
LINEモバイルと提携することにより、これまでのソフトバンクではリーチできなかった10代から20代前半の顧客に向けてサービスを展開できます。
LINEモバイルを買収して得る4つのメリット
LINEモバイルを買収してソフトバンクが得られるメリットはたくさんあります。
下記では、たくさんあるメリットから誰でもわかる簡単で大きなメリットを4つ解説します。
①圧倒的な知名度
LINEモバイルを買収するメリットの一つ目は、圧倒的な知名度の獲得です。
「LINE」ブランドは国内だけに留まらず世界各国に轟いて、主要4カ国(日本、インドネシア、タイ、台湾)のユーザー数は1億7,600万人です。
LINEブランドの恩恵を受けているLINEモバイルの利用者数・契約者数は670万人を超えており、格安SIMの契約数が1,130万人なので、格安SIMを使っている人の半数はLINEモバイル利用していることになります。
(参照:電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ(平成29年度第4四半期(3月末)総務省))
LINEモバイルのユーザー層は、20代〜70代と幅広く利用されているので全年齢層の顧客を囲い込めます。
②店舗数の増加
二つ目のメリットは、実店舗数を増やせることです。
LINEモバイルは即日開通店舗がほぼすべての都道府県に展開されています。
ソフトバンク側はLINEモバイルの店舗を利用して、既存の店舗数に加えてLINEモバイルの店舗数が加わることで新規顧客の獲得を狙っています。
また、利用できる店舗が増えることで顧客を集める新たな施策を実行できるようになります。
③即日受け渡しが可能に
三つ目のメリットは、SoftBank携帯の即日受け渡しが可能になったことです。
LINEモバイルはもともと家電量販店(コジマ・エディオン・ノジマ・ソフマップ・カメラのキタムラなど)で即日受け渡しサービスを行っていました。
ソフトバンクがLINEモバイルを買収したことにより、SoftBankも家電量販店で即日受け渡しが可能になりました。
ユーザーの利便性が上がったことでSoftBankの契約数が伸びることが期待できます。
④楽天モバイル対策
最後のメリットは、格安SIMサービストップの楽天モバイルに対抗できるようになったことです。
2020年にMMD研究所が実施した格安SIMサービスの利用動向調査によると、楽天モバイルがトップで26.4%、続いてUQ mobile11.8%、mineo11.0%。
ソフトバンクが買収したLINEモバイルは6.1%という結果でした。
しかし、LINEモバイルに加えてSoftBankとY!mobileという3つのブランドを持ったソフトバンクは、格安SIMサービスのトップの楽天モバイルに勝てる可能性が出てきました。
ソフトバンクの今後は?
ソフトバンクは、LINEモバイルを買収したことでオンライン・オフラインで圧倒的な知名度・拡散力を手に入れました。
特に、スマートフォン事業の競争が激化する現代でSoftBankとY!mobileに加えて、人気格安SIMスマートフォンのLINEモバイルというブランドは待ち望んだカードです。
ソフトバンクは今後も横綱相撲を取るように、力の足りない事業にM&Aをすることで力をつけていくでしょう。
まとめ:ソフトバンクのM&Aは異質!その他企業では真似できない
近年、企業間の買収が増えていますが、規模の大きさや事業選定などを考慮するとソフトバンクとその他日本企業のM&Aは大きく異なります。
ソフトバンクは数年間に兆単位の巨額な買収や投資を何度も繰り返す、横綱相撲方式をとっています。しかし、その他の日本企業はそもそも巨額な投資ができる資金がないため同じ相撲は取れません。
今後も通信や流通事業の日本トップはソフトバンクが走り続けるでしょう。
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