「開発リソースが足らず、人を増やしたいが採用が進まない」「外注すべきか判断できない」
こうした悩みを抱える企業は少なくありません。
開発リソース不足は、人手不足ではなく体制や進め方、優先順位の設計に起因している場合も多くあります。
本記事では、開発リソース不足が起きる主な原因や解決策を解説します。自社にとって最適な解消策をどう選ぶべきかを整理したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 そもそも「開発リソース」とは
- 2 開発リソース不足を解消できない5つの原因
- 3 IT人材の需給ギャップが慢性化している
- 4 投資余力が限られ、開発に十分な予算を割けない
- 5 開発プロセスが属人化・非効率になっている
- 6 組織構造や役割分担が曖昧なまま進んでいる
- 7 事業・開発の優先順位が整理されていない
- 8 開発リソース不足が現場にもたらす問題
- 9 一人あたりの負荷増大によるパフォーマンス低下
- 10 エンジニアの疲弊・モチベーション低下
- 11 開発スケジュールの遅延・品質低下
- 12 市場変化への対応力が弱まる
- 13 開発リソース不足を解消する体制
- 14 オフショア開発
- 15 ラボ型開発
- 16 ニアショア開発
- 17 開発リソース不足を解消する実践的な7つのアプローチ
- 18 既存メンバーの稼働状況を可視化する
- 19 業務フローや評価制度を見直す
- 20 外注やツール導入で負荷を切り分ける
- 21 多様な働き方を前提にした体制を整える
- 22 ノーコード・ローコードで実装負担を減らす
- 23 自動化できる業務を洗い出す
- 24 開発対象を絞り、注力領域を明確にする
- 25 開発リソース不足を解消し、成果を出すチームを目指そう
そもそも「開発リソース」とは
開発リソースとは、システムやソフトウェアなどの開発プロジェクトを完遂するために必要なあらゆる資源を指します。
エンジニアの人数を指すことが多いですが、以下の5つの要素がバランスよく揃うことでプロジェクトは進行します。
- 人的リソース:エンジニアやデザイナー、PM、テスターなどの専門スキルを持つ人材
- 物的リソース:サーバー、PC、開発ツール(IDE)、オフィス、SaaSなどのインフラ環境
- 資金リソース:人件費やライセンス費用、外注費、広告費などの予算
- 時間リソース:納期までの期間やメンバーの稼働可能時間
- 情報リソース:蓄積されたノウハウや技術ドキュメント、市場データ、既存のソースコード
開発リソース不足を解消できない5つの原因
開発リソースが不足すると、予算を投じて採用を強化して最新のツールを導入しても、組織の構造や意思決定のプロセスに欠陥があると、リソースは無駄に消費されてしまいます。
以下では、多くの現場で見られる、開発リソース不足を解消できない5つの原因を解説します。
IT人材の需給ギャップが慢性化している
開発リソース不足の要因として挙げられるのが、IT人材の需給ギャップです。デジタル化やDXの加速により、業界を問わずシステム開発やIT人材への需要は年々高まっています。
一方で、即戦力となるエンジニアの供給は追いついておらず、慢性的な人材不足が続いています。
採用活動を行っても応募が集まらない、採用できても経験不足で即戦力にならないような状況に陥りがちです。また、大手企業に人材が集中し、中小企業や地方企業ほど採用難の影響を受ける傾向もあります。
投資余力が限られ、開発に十分な予算を割けない
開発リソース不足の背景には、予算制約の問題も大きく関係しています。エンジニアの採用や外注、ツール導入など開発力を強化するためには一定の投資が必要です。
しかし、事業の収益基盤が安定していなかったり、短期的な利益を重視する経営判断が優先されたりすると開発への投資が後回しになりがちです。
開発部門がコストセンターとして扱われている場合、今すぐ売上に直結しないからという理由で予算が削られるケースは少なくありません。
その結果、老朽化したシステムを使い続けたり、少人数で無理に開発を回したりする状況が常態化します。生産性の低下やエンジニアの疲弊につながり、さらにリソース不足を深刻化させる悪循環を生みます。
開発プロセスが属人化・非効率になっている
開発プロセスの属人化と非効率化に問題がある場合も少なくありません。
特定のエンジニアしかわからない仕様やコード、暗黙知に頼った業務フローが存在すると、その人が不在になるだけで開発が止まってしまいます。
ドキュメントが整備されていない、レビューや承認フローが曖昧、タスク管理が属人的といった状態では、同じ作業を何度もやり直してしまいます。
非効率なプロセスは、人を増やしても解消されません。むしろ、新しいメンバーが増えるほど混乱が拡大し、教育コストやコミュニケーションコストが膨らむ可能性が高いです。
組織構造や役割分担が曖昧なまま進んでいる
開発リソース不足の原因として見落とされがちなのが、組織構造や役割分担の曖昧さです。誰が何を決めるのか、どこまでが開発チームの責任なのかが明確でない場合、無駄な確認や調整が頻発します。
また、開発チームが本来担う必要のない調整業務まで抱え込んでいる場合もあります。エンジニアが本来の開発業務に集中できず、人が足りないといった状況につながります。
事業・開発の優先順位が整理されていない
最後に挙げられる原因が、事業や開発の優先順位が明確になっていないことです。全てが重要だと判断され、複数のプロジェクトが同時並行で走ると、限られたリソースは分散されます。
その結果、どの開発も中途半端になり、全体として進捗が遅れる事態に陥ります。経営層や事業部門からの要望が整理されないまま開発に投げられると、現場は常にリソース不足の状態です。
緊急度や重要度に基づいた判断がされず、結果的に優先すべき開発に十分なリソースを割けません。
開発リソース不足が現場にもたらす問題
開発リソース不足は、現場の働き方や成果、組織文化にまで影響を及ぼします。
短期的には忙しい、回らないという問題として表面化しますが、放置すると中長期的に事業成長そのものを阻害する要因になりかねません。
開発リソース不足が現場にどのような悪影響をもたらすのかを、代表的な4つの視点から整理します。
一人あたりの負荷増大によるパフォーマンス低下
開発リソースが不足すると、まず起こるのが一人あたりの業務負荷の増大です。本来であれば複数人で分担すべき業務を、限られた人数で抱え込むことになり、エンジニア一人ひとりの担当範囲が過剰に広がります。
設計や実装、テスト、運用対応までを兼務するケースも珍しくありません。業務量が増えると、どうしても考える時間が削られます。
設計の検討が浅くなり、場当たり的な実装が増えることで、結果的に手戻りや修正作業が発生します。本来は効率を上げるための対応が、かえって生産性を下げる原因になるからです。
常にタスクに追われる状態では、新しい技術の習得や改善提案に時間を割く余裕もなくなります。
短期的には回っているように見えても、長期的には技術的負債が蓄積し、リソース不足を深刻化させる悪循環に陥ります。
エンジニアの疲弊・モチベーション低下
開発リソース不足が続く現場では、エンジニアの精神的かつ肉体的な疲弊が顕著になります。
慢性的な残業や突発的な対応が常態化すると、頑張っても状況が改善しないといった感覚が強まり、モチベーションの低下を招きます。
人が足りないために成果が可視化されづらく、忙しいだけで成長実感がないといった不満が蓄積しやすいです。
新しい人材を採用しようとしても、引き継ぎや教育に割く余裕がなく、即戦力にならないまま現場が疲弊するケースも少なくありません。結果として、人が辞め、人が育たない組織構造が固定化されてしまいます。
開発スケジュールの遅延・品質低下
人手が足りない状態では、当初の計画どおりに開発を進めることが難しく、リリース延期や納期遅延が頻発します。
スケジュールを守るために、テスト工程を簡略化したり、レビューを省略したりする判断が行われることがあります。
その結果、リリース後に不具合が多発し、追加対応や緊急修正に追われてしまいます。これは開発チームだけでなく、営業やサポート部門にも影響を与え、組織全体の信頼低下につながります。
品質低下が続くと、顧客からのクレームや解約リスクが高いです。一度失った信頼を取り戻すには、想像以上の時間とコストがかかるため、リソース不足による影響は決して軽視できません。
市場変化への対応力が弱まる
開発リソース不足による特に深刻な問題は、市場変化への対応力の低下です。競争環境が激しいIT業界では、顧客ニーズや技術トレンドの変化に素早く対応できるかどうかが、事業成長を左右します。
しかし、開発リソースが常に逼迫している状態では今あるものを回すだけで精一杯になり、新しい施策に着手する余裕がありません。新機能の開発や改善提案が後回しになり、競合に後れを取るリスクが高いです。
突発的な市場変化やトラブルが発生した際にも、柔軟に対応できる余力がなく、判断が遅れがちです。結果的に機会損失が積み重なり、気づいたときには手遅れになる可能性もあります。
開発リソース不足を解消する体制
開発リソース不足を根本的に解消するには、どの体制で、どこまでを外部に任せるかを戦略的に設計する必要があります。
開発リソース不足を解消する体制を3つ紹介します。それぞれの特徴を正しく理解し、自社に合った体制を選びましょう。
オフショア開発
オフショア開発とは、主にアジア圏に開発拠点を持つ企業やパートナーに、システム開発を委託する体制を指します。
ベトナムやフィリピン、インドなどが代表的な拠点として知られており、最大の特徴はコストを抑えながら一定規模の開発リソースを確保できる点です。
日本国内と比べて人件費が低いため、同じ予算でも多くのエンジニアを確保でき、開発スピードを上げやすいメリットがあります。仕様がある程度固まっている開発や作業量が多いプロジェクトでは効果を発揮しやすい体制です。
一方で、言語や文化の違いによるコミュニケーションコストは無視できません。要件定義が曖昧なまま進めると、認識のズレが頻発し、修正工数が増えるリスクがあります。
そのため、オフショア開発を成功させるには、国内側で要件整理や進行管理を担う体制が不可欠です。
ラボ型開発
ラボ型開発とは、外部の開発会社と契約し、専属の開発チームを一定期間確保する形態です。請負型と異なり、成果物単位ではなく人月やチーム単位で契約するため、内製に近い感覚で開発を進められるのが特徴です。
ラボ型開発の強みは柔軟性の高さで、開発途中で仕様変更が発生しても、チーム内で優先順位を調整しながら対応できます。
継続的に同じメンバーが関わるため、プロダクト理解が深まりやすく、長期的な開発に向いています。
一方で、成果物の進捗や品質は、発注側のマネジメント力に大きく左右されるので注意が必要です。タスク管理やレビュー体制が弱いと、人はいるが成果が出ない状態に陥る可能性もあります。
プロダクトオーナーやテックリードなど、開発を主導できる人材が社内にいることが前提です。
ニアショア開発
ニアショア開発とは、国内の地方拠点や地方企業に開発を委託する体制を指します。
海外ではなく国内で完結するため、言語や文化の壁がなく、コミュニケーションが取りやすい点が大きな特徴です。地方では首都圏に比べてエンジニア人材の競争が緩やかなケースもあり、安定した人材確保が可能です。
同じ国内であるため、法制度や商習慣の違いによるトラブルが起きにくく、品質管理もしやすい傾向があります。
コスト面ではオフショアほどの削減効果は期待できませんが、首都圏の内製採用と比べると抑えられるケースも多く、コストと品質のバランスが良い選択肢といえます。
仕様調整や細かなすり合わせが頻繁に発生するプロジェクトでは、ニアショア開発の相性は良好です。
開発リソース不足を解消する実践的な7つのアプローチ
開発リソース不足は、「誰が何にどれだけ時間を使っているのかわからない」「本来やるべき開発以外の業務に時間を奪われている」といった構造的な問題が絡み合っています。
解消には人員補充だけでなく、業務体制やツール、意思決定の見直しが不可欠です。以下では、実務で効果が出やすい7つの具体的アプローチを紹介します。
既存メンバーの稼働状況を可視化する
最初に取り組むべきは、開発メンバーが実際に何に時間を使っているかを可視化することです。
タスク管理ツールや工数管理表を使い、細かく分解して記録すると、想像以上に開発以外の作業が多いことに気づくケースが少なくありません。
仕様調整や社内会議、問い合わせ対応に時間を取られている場合、人を増やす前に業務分担を見直す余地があります。
可視化によって、本当に足りないのは人か、それとも時間かを判断できます。
業務フローや評価制度を見直す
開発リソース不足が慢性化している組織では、業務フローや評価制度が現場の実態と合っていないことがあります。
承認プロセスが多すぎて開発が止まる、成果より稼働時間が評価されるため非効率な作業が温存されるといった状態です。
評価制度が忙しさや残業量に寄っていると、効率化や自動化が進みにくくなります。結果として、限られたリソースが消耗し続けます。
開発リソース不足を解消するために、成果やアウトプット、改善への取り組みが評価される仕組みへの移行を推奨します。
外注やツール導入で負荷を切り分ける
すべてを内製で抱え込むと、開発リソースは枯渇します。どこを内製し、どこを外に出すかを意識的に切り分けることが重要です。
コア機能や競争優位につながる部分は内製に残し、それ以外の実装や保守、テスト、運用業務は外注やツールに任せる判断が有効です。
テスト工程を自動化ツールに任せる、運用監視をSaaSに切り替える、単純な実装を外部パートナーに委託するなど、負荷の分散は多様な形で実現できます。
内製チームが本来の価値創出に集中できる環境を作ることが、リソース不足解消の本質です。
多様な働き方を前提にした体制を整える
開発リソース不足の背景には、フルタイムや常駐を前提とした働き方があります。近年は、業務委託や副業エンジニア、リモートワークなど多様な関わり方が一般化しています。
正社員でなければ戦力にならないという固定観念にとらわれず体制を設計すると 、採用の母数を一気に広げられます。 役割と成果を明確にすれば、多様な働き方は十分に機能します。
ノーコード・ローコードで実装負担を減らす
すべてをフルスクラッチで開発する必要はありません。近年はノーコード・ローコードツールの進化により、簡易的な業務システムや管理画面であれば、エンジニアでなくても構築可能です。
社内管理ツールや簡易的な業務フローはノーコードで構築し、エンジニアはコアシステムに集中させるといった分業ができます。
ノーコード導入のポイントは、どこまで任せるかを明確にすることです。無理に複雑な要件まで載せようとすると逆に負担が増えるため、適材適所で使い分ける判断が大切です。
自動化できる業務を洗い出す
開発現場には、人がやらなくてもよい作業が多く残っています。ビルドやデプロイ、テスト、ログ収集、通知などは自動化の余地が大きい領域です。これらを人手で回していると、開発者の時間は確実に削られます。
まずは定常的に発生している作業をリストアップし、頻度が高く、ルール化できるものから自動化を検討します。
CI/CDの導入やRPA、スクリプト化など小さな改善の積み重ねが、結果的に大きなリソース創出につながります。自動化は一度仕組みを作れば継続的に効果を発揮するため、費用対効果も高い施策です。
開発対象を絞り、注力領域を明確にする
最後に重要なのは、取り組まない事項を明確にする視点です。開発リソース不足の状態で、すべての要望に応えようとすると、どれも中途半端になりがちです。
事業戦略と連動させ、本当に注力すべき開発は何かを明確にする必要があります。優先順位を整理し、価値の低い機能開発や改善は後回し、あるいは停止する判断も重要です。
開発リソースは有限だからこそ、集中投下する領域を決めることで成果が出やすくなります。
開発リソース不足を解消し、成果を出すチームを目指そう
開発リソース不足は、一時的な人手不足ではなく、組織や業務、意思決定の積み重ねによって生まれる構造的な課題です。
まずは開発リソースの正体を正しく理解し、不足が起きている原因を整理したうえで、自社に合った打ち手を選びましょう。開発リソース不足の解消は、短期的な負担軽減だけでなく、継続的に成果を出せるチームづくりにつながります。
自社の状況に照らし合わせながら、可能な範囲から一つずつ取り組んでいくことが、リソース不足を乗り越えるのに効果的です。
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