- 日立が買収したグローバルロジックについて知りたい
- 日立がグローバルロジックを買収した狙いは何なのか?
- 日立が「高値づかみ」と言われる理由は?
日本経済を古くから支えている日立がアメリカのIT企業「グローバルロジック」を買収しました。
しかし、日立は過去に企業研究に失敗して海外企業のM&Aがうまくいかなかったケースがあるため、一部の専門家からは今回の買収に批判的な声があります。
そこでこの記事では、日立が買収したグローバルロジックについてや日立が買収を機に狙う改革、「高値づかみ」と言われる理由などを解説していきます。
具体的には、
- 日立はグローバルロジックを1兆円で買収
- グローバルロジックはどんな会社?
- 日立がグローバルロジックを買収して狙う改革は「Lumadaの世界展開」
- 日立が用いた買収方法「逆三角合併」とは
- グローバルロジックの買収は「高値づかみ」と言われる理由
などを解説します。
この記事を読むことで、日立とグローバルロジックの買収劇の全貌や買収から半年経った現状、日立の未来が見えてきます。ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 日立はグローバルロジックを約1兆円で買収!
- 2 グローバルロジックはどんな会社?
- 3 会社概要
- 4 提供サービス
- 5 社会的責任(CSR)
- 6 日立がグローバルロジックを買収して狙う改革は「Lumadaの世界展開」
- 7 Lumadaとは
- 8 日立がグローバルロジックを買収した効果
- 9 日立が用いた買収方法は「逆三角合併」
- 10 逆三角合併を利用した日立とグローバルロジックの買収の流れと理由
- 11 日立とグローバルロジックの流れ
- 12 日立が逆三角合併を利用した理由
- 13 なぜグローバルロジックの買収は「高値づかみ」と言われるのか?
- 14 「高値づかみ」と言われる理由
- 15 過去の買収の失敗
- 16 まとめ:買収後の現状と日立のさらなる飛躍は?
日立はグローバルロジックを約1兆円で買収!
日立がグローバルロジックを約1兆円で買収したことは、日本のIT産業にとって大きなグローバルな話題となりました。
グローバルロジックのクライアントベースを通じて、日立はグローバルなビジネスの拡大を目指すことも可能になるでしょう。
これにより、日本のIT企業がグローバル市場での競争力を高めることが期待されます。
グローバルロジックはどんな会社?
日立が買収したアメリカのIT企業「グローバルロジック」はどのような会社なのか。
下記ではグローバルロジックの概要、提供サービス、社会的責任(CSR)を解説します。
会社概要
グローバルロジックは、アメリカ合衆国に本社を置く、ITコンサルティングサービスを提供する企業です。開発、運用、保守などのサービスを提供しています。
デジタル技術を用いたソリューションや、ロボットプロセスオートメーション(RPA)をはじめとする自動化技術の導入支援など、ビジネスプロセスの効率化にも対応しています。
グローバルロジックは、従業員は500名以上おり世界各地にオフィスを構えています。
提供サービス
以下にグローバルロジックが提供しているサービスとサービス内容を表で示します。
サービス | 内容 |
ITコンサルティングサービス | システムの設計、開発、運用、保守など(クライアント向け) |
ソリューションの提供 | クライアントのビジネス課題に対して、AIやIoT、チェーンブロックなどのデジタル技術を活用した最適なソリューションの提供 |
自動化技術の導入支援 | ロボットプロセスオートメーション(RPA)をはじめとする自動化技術の導入によるビジネスプロセスの効率化 |
コンサルティングサービス | クライアント企業のビジネスの効率化に向けたコンサルティングサービス |
社会的責任(CSR)
グローバルロジックは、社会的責任を非常に重視しており、環境保護や地域社会の貢献、従業員の健康や福利厚生など、窮屈な領域でのCSR活動を実施しています。
以下にグローバルロジックのCSR活動を表にまとめたので参考にしてください。
社会的責任(CSR) | 概要 |
環境保護 | 環境に配慮した事業活動を行うため、エネルギー省・省資源の推進やCO2削減を目的とした取り組みを実施 |
地域社会貢献 | 地域社会に貢献することを重視しており、地域イベントの支援や社員のボランティア活動など、地域に根ざしたCSR活動を展開 |
従業員の健康・福利厚生 | 定期的な健康診断の実施やストレスチェックの導入、健康増進イベントの開催、育児休業や介護休業など、働きやすい環境づくり |
日立がグローバルロジックを買収して狙う改革は「Lumadaの世界展開」
日立がグローバルロジックを買収で狙う改革は日立が開発した「Lumada」のためと言っても過言ではありません。
下記では日立が開発した「Lumada」とはとグローバルロジックを買収した効果について解説します。
Lumadaとは
Lumadaは、日立が開発したIoTプラットフォームであり、ビッグデータやAI技術を活用することで、工場や建物、交通システムなどあらゆるものをインターネットに接続し、データの可視化や分析、最適化を行うことができます。
Lumadaは、製造業や公共事業、金融業界などあらゆる業界で活用されており、ビジネスプロセスの改善や業務の効率化、新しいビジネスモデルの創出など、幅広いメリットをもたらしています。
日立が加速してきたIT技術や業界知識をIoTで活用することで、産業のDXを支援することを目的としています。また、開発者向けのAPIやSDKも提供しており、外部開発者がLumadaを利用することで、新たなビジネスの創造やイノベーションを促進することができます。
Lumadaは、日立がIoT分野でのリーディングカンパニーとしてビジネス拡大を目指す上で重要な役割を担っています。Lumadaの今後の発展に注目が集まるとともに、IoTを活用した業界の変革に貢献することが期待されています。
日立がグローバルロジックを買収した効果
日立とグローバルロジックが融合することで両社の強みを組み合わさり、グローバルな競争力を高めることが期待されます。
日立は買収によりグローバルなクライアント基盤を獲得し、クラウド技術の導入やデータ分析、AI技術の活用など最新のテクノロジーを取り入れたサービスを提供できます。
日立とグローバルロジックは共通するビジネス領域や技術分野が多いことから、シナジー効果が期待でき新たなビジネスモデルを生み出すことが期待できます。
日立が用いた買収方法は「逆三角合併」
逆三角合併とは、照合する企業を自社の合併にするのではなく、照合する企業が自社の親会社になる合併手法の一つです。
逆三角合併のメリットは、活用する企業の事業のスキルや技術力を取り入れることができ、アプリケーションのビジネスに新たな要素を取り入れることができる点です。
これにより市場の変化に柔軟に対応することができ、競技力を高めることができます。
また逆三角合併の場合、調整企業が親会社になるため調整された企業の株主に対して株式を発行する必要があります。
株主が承認するような適切な価格を提示することにより、企業の利益を最大化し株主の利益も守ることができます。
注意点としては事前に詳細なDD(デュー・デリジェンス)を行い、リスクを把握した上で逆合併することを進めることが必要となります。
逆三角合併を利用した日立とグローバルロジックの買収の流れと理由
逆三角合併がどういったものか分かったところで、日立とグローバルロジックの買収に当てはめた流れと理由を解説します。
日立とグローバルロジックの流れ
今回の日立とグローバルロジックの買収が逆三角合併でどのように行われたか、を説明すると以下のような流れになります。
- 日立が隣接する持株会社を設立する。
- 日立のデータベースと、グローバルロジックが保有する子会社の株式を交換し、グローバルロジックが日立のデータベースとなる持株会社を設立する。
- グローバルロジックの株主は、持株会社の株主となり、日立は持株会社の親会社となります。
逆三角合併を行うことでグローバルロジックの従業員や取引先などへの影響を最小限に抑え、経営企業である日立もグローバルロジックが持つ強みや技術を保持することができます。
日立が逆三角合併を利用した理由
日立が逆三角合併を選んだ理由は、グローバルロジックの事業スキルや技術力を取り入れることで、自社のグローバル競争力を強化するためです。
グローバルロジックは人工知能やビッグデータ解析技術を持ち、金融業界やヘルスケア業界など、多様な分野でのビジネス展開に強みを持っています。
一方当時の日立は、鉄道やエネルギーロジックシステムなどの分野で強みを持っていまが、新しい分野でのビジネス展開には苦戦している状況でした。
逆三角合併は、買収された企業の経営陣や技術者が残ることが多いため文化の相性や人材の確保などが有利に働きます。
逆三角合併により日立はグローバルロジックの経営陣との間で十分な調整を行い、融和な経営統合を進めることができました。
なぜグローバルロジックの買収は「高値づかみ」と言われるのか?
日立がグローバルロジックを買収する際、一部からは「高値づかみ」と批判される声が上がりました。
下記では「高値づかみ」と言われる理由を専門家の分析と日立の過去の買収失敗を解説します。
「高値づかみ」と言われる理由
日立が総額1兆円を投じて米グローバルロジック(GlobalLogic)を買収することを発表しましたが「高値づかみ」と言われました。
理由としては、日本企業による海外企業のM&Aがうまくいかなかったケースが多いことや1兆円は日立には巨額、批判的な声、株価下落があったからです。
しかし、日立はグローバルロジックの高度なデジタルエンジニアリング能力と、テクノロジー大手企業を含む基本的な顧客が加わることで、「Lumada」のデジタルスタートアップが強化されることを期待して買収に踏み切りました。
IT、エネルギー、産業、モビリティ、スマートライフの5分野と自動車システム事業のシナジーを創出し、社会インフラの高度なデジタルトランスフォーメーションをグローバルに加速できます。
日立はグローバルロジックの買収についてさまざまな意見があるものの、日立にとっては投資に値すると考えたので「高値づかみ」ではありません。
過去の買収の失敗
日立は、グローバルロジックを1兆円で買収することを発表しましたが、日立は過去に企業研究に失敗した経験があります。
営業赤字が続き最終的にHDD部門を売却して解決する形になりましたが、業績にも大きな影響を与えました。
日立の失敗例を振り返ると、買収先が保有する知的財産と知的財産などの価値とリスクを調べる、DD(デュー・デリジェンス)が原因だったとされています。
日立が過去に大型買収に失敗した例としては、1990年にMCAを7800億円で買収しましたが、5年後には売却・停止が行われました。
専門家にDDを依頼・実施して事前にリスク管理を徹底することが求められます。
まとめ:買収後の現状と日立のさらなる飛躍は?
日立は米国のITサービス会社グローバルロジックを約1兆円で買収することを発表しました。
日立がグローバルロジックを買収することで、デジタル変革を推進するための中核である金融、保険、公共、ヘルスケア、エネルギー・環境、流通、製造業などにおいて、グローバルロジックが保有する顧客基盤や技術を活用することが期待されます。
具体的には、グローバルロジックの強みを日立のデジタル・ビジネス・プラットフォームである「Lumada」に統合することで、日立の顧客企業に対してグローバルなデジタルトランスフォーメーションサービスを提供することを目指しています。
今回の買収ではグローバルロジックの専門知識や人材を活用して、日立のコンサルティング力を強化しシステム開発や運用保守やデータ解析、AIなどの技術向上を狙いました。
結果、Lumadaの拡張に成功しエッジ技術、AI、クラウドを活用したサービスの提供拡大が続いています。今後もデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのソリューションを提供することが期待できます。
今回の買収が成功するためには、日立がグローバルロジックをうまく統合し過去の失敗を教訓にして、あらゆることへのリスク管理を徹底し続けることが鍵になります。
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