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未上場企業の買収方法とは?株式取引や価格の決定方法、手順を解説

中小企業庁によれば、国内のM&A件数は右肩上がりで増加しています。

2020年はコロナの影響があったにもかかわらず、3,730件と高水準となりました。

国内企業の約99.9%は未上場企業ですので、M&Aにおける被買収企業のほとんどは未上場の中小企業であると予想されます。

上場企業が売り手であるM&Aであれば、市場から株式を取得することで買収が達成されますが、国内のM&Aの大半を占める未上場企業はどのように買収されるのでしょうか?

また、上場企業のように正確な株価の把握が難しい中でどのように買収価格を決定するのでしょうか?

未上場企業の買収方法

未上場企業は、上場企業のように市場で株式が自由に取引されていません

したがって、市場から買収対象企業の株式を買付することによって買収を実施することができません。

それでは、未上場企業の買収はどのように実施されるのでしょうか。

株式譲渡

株式譲渡とは、売り手企業の株主が保有する自社株式を買い手企業に譲渡することで、会社の経営権を譲渡する方法です。

未上場の中小企業では、経営者が自社株式をすべて保有していることが多いです。

この場合、経営者と買い手企業が株式譲渡契約を締結した後に経営者が自社株式を譲渡し、その対価として現金を獲得します。

売り手企業の株主の地位が変更になりますが、会社の保有資産や取引上の地位、許認可などは買い手企業に承継されます。

外部への影響が最小限に抑えられ、手続き自体も簡便なので、未上場企業の買収にあたって最も一般的な方法です。

事業譲渡

事業譲渡とは、売り手企業が保有している事業のすべて、または一部を買い手企業に譲渡する方法です。

譲渡する事業については、事業に関連する資産や権利義務の範囲を指定して、譲渡されます

したがって、株式譲渡のように売り手企業自体を譲渡する方法ではありません。

会社自体を取得する包括承継ではないので、事業に関連する資産や負債、従業員について個別に承継する必要があります。

例えば、事業に関連する従業員との雇用契約や取引先との契約について、個別に締結することになります。

権利や義務の取得手続きが複雑になりますが、負債を承継するリスクを回避できることがメリットです。

株式交換

株式交換とは、完全親会社となる会社に完全子会社となる売り手企業の発行済株式のすべてを取得させ、完全親子会社関係を作る方法です。

買収後には売り手企業の株主は買い手企業の株主となります。

株式交換の対価として、親会社が発行する自社株式を子会社の株主に交付するので、買収にあたって現金が不要です。

また、売り手企業の株主の3分の2以上の賛成を得ることによって、経営の支障となる少数株主を強制的に排除することができます。

ただし、買収対象となる売り手企業の経営者が自社株式のすべてを保有していない場合には、株主交換によって買収することができません

第三者割当増資

第三者割当増資とは、売り手企業が新しく自社株式を発行し、買い手企業に割り当てることによって、経営権を取得する方法です。

未上場企業の買収手法として活用されていますが、本来は新しく株式を発行することで資金調達することを目的としています。

また、敵対的買収への対策として、友好的な第三者に株式を割り当てることで、買収企業の持株比率を意図的に引き下げる目的で実施されることもあります。

第三者割当増資は株式の譲渡ではなく、増資ですので、売り手企業には譲渡益が発生せず、課税されません

また、既存の株式の割当ではなく、新株を発行するので、売り手企業の経営者が自社株式のすべてを保有していない場合でも買収が可能です。

未上場企業の買収価格の決定方法

売り手企業が上場企業である場合、時価総額(株価×発行済株式)が買収価格となります。

しかし、未上場企業は市場で株式が取引されていないので、容易に時価総額を求めることができません。

それでは、未上場企業を買収する時にはどのように買収価格を決定するのでしょうか?

ここからは、未上場企業の買収価格の決定方法を解説します。

類似会社比較法

類似会社比較法とは、未上場企業の売り手企業に類似した上場企業を選定し、その株価を参考にして売り手企業の企業価値を算定する方法です。

選定の時には業種や企業規模、収益、キャッシュフローといった経営指標が考慮されます

選定した後に財務分析によって、評価額や時価総額を推定します。

例えば、選定した上場企業の営業利益が10億円、時価総額(株価×発行済株式)が20億円と仮定すると、倍率は20億÷10億=2倍となります。

この時に売り手企業の営業利益が1億円であれば、企業価値は1億円×2倍=2億円であると予想されます。

上場企業の公開情報を利用して計算するので、類似会社比較法の計算は難しくないのですが、類似した上場企業が見つからないことがあります

DCF法

DCF法とは、売り手企業が将来生み出すであろうフリーキャッシュフローを推定し、リスクを加味した上で設定した割引率によって現在価値に割り引き、企業価値を算出する方法です。

売り手企業の将来性を考慮して、企業価値を算定することが特徴で、割引率を正確に設定することができれば、具体的な売却価額を導くことができます。

具体的には5年目までの企業価値を以下の計算式で計算します。

1年目のフリーキャッシュフロー÷1+r(割引率)

+2年目のフリーキャッシュフロー÷(1+r(割引率))二乗

+3年目のフリーキャッシュフロー÷(1+r(割引率))二乗

+4年目のフリーキャッシュフロー÷(1+r(割引率))二乗

+5年目のフリーキャッシュフロー÷(1+r(割引率))二乗

このように事前に「フリーキャッシュフロー」と「割引率」を計算しなければいけません。

時価純資産法

時価純資産法とは、売り手企業の純資産の時価を基に企業価値を算定する方法です。

未上場企業の貸借対照表を見ると、左側に資産、右側に負債と純資産が記載されています。

売り手企業の資産、負債を時価に換算した上で、総資産から負債を差し引くことで純資産を求める方法です。

また、貸借対照表に反映されない簿外債務がある場合には加味した上で純資産を計算します。

例えば、総資産9,000万円、負債4,000万円の場合には純資産は9,000万円-4,000万円=5,000万円となります。

この時、売り手企業の企業価値、すなわち買収価格は5,000万円です。

時価純資産法は計算方法がきわめてシンプルであり、M&Aの交渉の初期段階で売却価額を概算するために利用されます

未上場企業の買収の流れ

非上場企業の場合には、有価証券報告書や決算短信などによって、詳細な企業情報が公開されていません。

したがって、相手企業への理解を深めたり、売却価額を決定するプロセスが必要になります。

上場企業とは買収の進め方が異なりますので、買収の流れをしっかり理解しておくことが大切です。

M&A仲介会社の選定

M&A仲介会社とは、売り手企業と買い手企業の間に立って、M&Aの仲介業務を行う会社のことを指します。 

非上場企業の買収を進めるためには、法律や会計、税務などに精通した専門家のサポートが不可欠です。

M&A仲介会社を選定したら、秘密保持契約とアドバイザリー契約を締結し、M&Aの検討段階からクロージングまでのサポートを依頼します。

買収が成功するかどうかはM&A仲介会社にかかっているので、知識や経験、実績の豊富なM&A仲介会社を選定しましょう。

相手企業の選定

M&A仲介会社を通じて、買収する未上場企業を選定します。

M&A仲介会社より配布されるノンネームシートを閲覧して、買収ニーズに合致した未上場企業を探します

ノンネームシートとは、秘密保持のために企業名を伏せたまま売り手側の事業内容や財務状況などを記載した資料です。

条件に合致する企業があれば、M&A仲介会社を通じて、連絡を取ります。

両社がM&Aの検討について合意した場合、より詳細な企業情報を記載した企業概要書が開示されます。

トップ会談

双方がM&Aの交渉を行うことに合意した場合、経営者同士のトップ会談を実施します

最初は双方の経営理念や運営方針などを共有して、企業文化が合致していることを確認します。

また、双方が聞きたいことを質問しあって、疑問点を解消します。

その後、様々な方法で売り手企業の売却価額について交渉を実施します。

売り手企業は少しでも高く売り、買い手企業が少しでも安く買いたいので、売却価額に関する交渉はお互いの妥協が必要になります

基本合意の締結

M&Aによる買収を進めることで双方が合意すると、基本合意書を締結します

基本合意書にはM&Aアドバイザーや弁護士等の支援を受けながら、既に双方が合意した内容を記載します。

基本合意書に記載される事項は以下のとおりです。

  • 売却価額
  • M&Aスキーム
  • デューデリジェンス
  • 独占交渉権
  • 譲渡対象範囲
  • 譲渡日
  • 今後のスケジュール
  • 秘密保持契約

ちなみに基本合意書で締結した内容は、独占交渉権や秘密保持義務など一部の項目を除いて、法的拘束力を持たせないことが一般的です。

法的拘束力はないもののデューデリジェンスや決済を円滑に進めるための道義的な責任を持たせる効果があります。

デューデリジェンスの実施

最終合意書を締結する前に最終的な売却価額を決定する必要があります。

そのために弁護士や公認会計士などの専門家が売り手企業の組織や財務状況、定款や登記事項などの法務、その他のリスクなどを調査します。

この企業監査をデューデリジェンスと言います。

デューデリジェンスを実施した専門家から提出されるレポートの結果を踏まえて、最終合意書の締結に進むかどうかを判断します。

最終合意の締結

売り手と買い手双方がM&Aを実行することについて合意した場合に最終的な条件を記載した最終合意書を締結します

未上場企業の場合、株式譲渡によって買収されることが多いですが、その場合には最終合意書は「株式譲渡契約書」と呼ばれます。

最終合意書では以下の事項について記載します。

  • 譲渡価額
  • 補償条項
  • 前提条件
  • 表明保証
  • 誓約事項
  • 債務不履行と損害賠償
  • 秘密保持契約
  • 競業避止義務
  • 一般条項

最終合意書は基本合意書と異なり、すべての事項について法的拘束力を持たせます

債務不履行の場合の損害賠償についても規定があるので、最終合意書の締結後に解約した場合には相手側に対する損害賠償責任が発生します。

未上場企業の買収方法や流れを確認しておこう

この記事では、未上場企業を買収する方法や買収価格の決定方法、そして具体的な買収の手続きについて解説しました。

未上場企業は市場で自由に株式が売買されていないので、市場から買収対象企業の株式を買付することができません。

したがって、株式譲渡によって買収を実施することが一般的です。

買収価格の算定については概算は純資産法で問題ありませんが、専門家のサポートを受けて、詳細な価格を決定する必要があります

また、買収手続きでは、法務や財務、税務に精通した専門家と一緒に進めることになります。

未上場企業の買収では、株式会社パラダイムシフトに相談しましょう。

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