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固定資産の売却益と消費税の関係性|減価償却や仕訳例を徹底解説

固定資産の売却益と消費税の関係性|減価償却や仕訳例を徹底解説

固定資産の売却益には消費税がかかるため、減価償却や税率を理解しておく必要があります。
また固定資産の売却益を経費計上する際の仕訳方法を知っておくことで、適切に消費税を処理できます。

固定資産の売却を検討している方は、売却益の消費税を仕訳する方法と減価償却の方法を確認しておきましょう。

本記事では、固定資産の売却益と消費税の関係性について詳しく解説します。
減価償却や仕訳例を交えて解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

固定資産の売却益と消費税の関係性

固定資産を売却した場合、売却益の有無にかかわらず売却価額に消費税が課税されます
ただし、土地は非課税取引であり、建物や機械などの事業用資産が課税対象です。

土地が非課税対象となる理由は、消耗しない資産であり、物品やサービスの提供として扱われないためです。

なお、土地に付随する建物や駐車場設備を売却した際は、消費税が課税されます。
国税庁のホームページでは、消費税の課税対象を次のように定義しています。

消費税の課税対象は、次の3つの取引に限られます。

  1. 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡など
  2. 特定仕入れ
  3. 保税地域から引き取られる外国貨物の引取り(輸入取引)

引用元:No.6105 課税の対象|国税庁

上記の条件1.に、固定資産の売却益が当てはまるため、消費税の課税対象です。

販売用の商品だけでなく、事業に使用していた建物や機械、車両などの事業用資産を譲渡する際も、消費税が課税されます。

固定資産の売却益と消費税の関係性について理解を深めるために、次のポイントを確認しておきましょう。

  • 固定資産の売却益とは
  • 固定資産の売却益を計算する方法
  • 減価償却とは
  • 消費税の税率

固定資産の売却益とは

固定資産の売却益とは、土地や建物、車両などの固定資産を売却した際に生じる収益のことです。

売却価額が帳簿価額より高いと「固定資産売却益」、低いと「固定資産売却損」になります。
固定資産売却損益を会計処理する際は、決算書の「特別損益」として計上します。

また固定資産売却益に該当する資産は、主に土地や建物などの有形固定資産を指し、特許権やM&Aの営業権(のれん)などの無形固定資産は含みません。

固定資産の売却益を計算する方法

固定資産の売却益を計算する方法は、次の通りです。

固定資産売却益=売却収入-(帳簿価額+売却にかかる諸経費)

固定資産の売却益は、売却収益から帳簿価額と売却にかかる諸経費を差し引くことで計算できます

譲渡価額とは売却額を指し、不動産売買で固定資産税や都市計画税を清算している場合は、固定資産税等清算金を加算しましょう。

また固定資産を売却する際には、手数料や印紙代などの諸経費がかかります。
そのため、帳簿価額と売却にかかる諸経費を足し、売却収益から差し引いた価格が、固定資産の売却益です。

減価償却とは

減価償却とは、経年劣化によって価値が減少していく固定資産の取得費用を、一定期間にわたって経費に計上することです。

土地や建物などの固定資産は高額であり、取得費用を全額その年の経費として計上した場合、大幅な赤字を計上してしまいます。

しかし、車両や建物は耐用年数があり、年月とともに価値が低下していくものです。
減価償却を行えば、固定資産の耐用年数に応じて毎年相当する金額を経費として計上できます

固定資産を売却する際は、固定資産の購入額から減価償却費を控除した取得費を使用して、売却益を計算しましょう。

消費税の税率

消費税の税率は、標準税率10%と軽減税率8%の複数税率が設けられています。
軽減税率が適用される対象は、主に次の2種類です。

  •  飲食料品の譲渡(酒税法に規定する酒類を除く食品表示法に規定する食品の譲渡、外食などを除く)
  • 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡

参照元:消費税の軽減税率制度|財務省

固定資産の売却益に課税される消費税は、標準税率10%で計算されます。

固定資産売却益の仕訳に関する際のポイント

固定資産売却益を仕訳する際には、次のポイントに注意しましょう。

  • 消費税は損益に関係なく課税される
  • 売却の手数料は計上しない
  • 期中の売却でも期首の帳簿価額を採用する

売却益を適切に会計処理するためには、上記のポイントを守らなければなりません。
それぞれのポイントを押さえて、固定資産売却益を適切に仕訳しましょう。

消費税は損益に関係なく課税される

固定資産を売却した際は、損益に関係なく消費税が課税されます
売却益が生じた場合だけでなく、売却によって損失が出た場合にも、消費税を支払わなければなりません。

消費税は固定資産の売却価額に対してかかるため、取引の損益に関係なく課税されます。
なお、固定資産の中でも土地の売却は非課税対象なので、消費税が課税されません。

売却の手数料は計上しない

先ほど説明した通り、固定資産の売却益は、売却収益から帳簿価額と売却にかかる諸経費を差し引いた金額です。

消費税は、売却価額に基づいて計算されるため、手数料や印紙代などの諸経費は消費税の課税対象には含まれません

そのため、売却価額にかかる消費税は、売却の手数料を計上せずに売却収益に税率をかけて計算します。

期中の売却でも期首の帳簿価額を採用する

売却益の消費税を会計処理する際は、期中の売却でも期首の帳簿価額を採用しましょう
減価償却費は、月割などの按分をして厳密な数値を計算できます。

しかし、減価償却費として計上した数値は、固定資産売却益で調整されるため、利益や税額に影響しません。

そのため、期中に生じた売却益でも期首の帳簿価額を採用して、会計処理しましょう。

減価償却の処理方法

減価償却の処理方法は、主に次の2種類です。

  • 直接法
  • 間接法

減価償却を処理する際は、固定資産から減価償却費を直接差し引くか、減価償却累計額の勘定科目を使用して間接的に仕訳する方法があります。

それぞれのメリットとデメリットを解説するので、自分に合った方法で減価償却を処理しましょう

直接法とは

直接法とは、固定資産から減価償却を直接差し引いて仕訳をする方法です。
減価償却費勘定を借方、固定資産の勘定を貸方に記入し、帳簿価額を直接減らしていく方法です。

借方残高は、固定資産の未償却残高を表しています。
そのため、貸借対照表を見れば、スムーズに固定資産の未償却残高を確認できます。

固定資産の価値をすぐに確認できるメリットがある反面、固定資産の取得費を貸借対照表で確認できない点がデメリットです。

過去に計上してきた減価償却累計額もすぐに把握できません。

間接法とは

間接法とは、固定資産から減価償却費を差し引かず、減価償却累計額の勘定科目を使用して仕訳をする方法です。

減価償却累計額勘定を作り、借方へ償却額を記入していくことで、貸借対照表で過去に計上した減価償却費を確認できます。

減価償却費を固定資産から差し引かずに、減価償却累計額で計上するため、貸借対照表で取得費をスムーズに確認できる点もメリットです。

対して、固定資産の未償却残高を確認する場合には、減価償却累計額を差し引く手間がかかるデメリットがあります。

直接法と間接法では、貸借対照表を見ることで把握できる情報が異なるため、自分の好きな方法で減価償却を処理しましょう。

2種類の経理方式

消費税の経理処理方法として、次の2種類があります。

  • 税込経理方式
  • 税抜経理方式

どちらの方式で経理処理しても問題ありませんが、選択した方式は法人が行うすべての取引に適用される必要があります。

ただし、次のケースでは税込経理方式と税抜経理方式を併用することが可能です。

  • 税抜経理方式を選択した場合に、固定資産、棚卸資産および繰延資産の取得に関する取引または販売費、一般管理費などの支出に関する取引のいずれかの取引を税込経理方式で処理する場合
  • 固定資産などのうち棚卸資産の取得に関する取引に、固定資産および繰延資産と異なる経理処理方式を適用させる場合

参照元:No.6905 税抜経理と税込経理の選択適用(法人の場合)|国税庁

上記のケース以外では、基本的にどちらかの方式を選択して経理処理します。
それぞれの方式を確認して、自分に合う方法で消費税の経理処理を実施しましょう。

税込経理方式

税込経理方式は、業者に支払った仕入代金や商品やサービスを提供して得た売上金などを経理処理する際に、消費税を含める方法です。

帳簿に記録する際は、仕入れにかかる消費税は「仕入金額」、売上にかかる消費税は「売上金額」に計上します。

決済の際に、消費税を租税公課と未払消費税にして、まとめて清算します。

税抜経理方式

税抜経理方式は、消費税と仕入代金や売上金を分けて経理処理する方法です。

帳簿に記録する際は、仕入れにかかる消費税を「仮払消費税」、売上にかかる消費税を「仮受消費税」として仕訳します。

決済の際に、仮払消費税と仮受消費税をあわせて、納税する消費税額を算出します。

固定資産売却益の仕訳例

固定資産売却益の仕訳例として、次の3つのパターンをご紹介します。

  • 売却益が生じた場合
  • 売却損が生じた場合
  • 除却した場合

なお、上記のケースで、直接法と間接法の2種類で仕訳例を解説します。
固定資産の売却益を正しく経理処理するために、仕訳例を確認しておきましょう。

売却益が生じた場合

車両(取得原価150万円、減価償却累計額70万円)を90万円で売却し、現金で代金を受け取った場合の仕訳例は次の通りです。

直接法の仕訳例

借方貸方
現金900,000円車両800,000円
車両売却益100,000円

直接法では、取得原価150万円から減価償却累計額70万円を差し引いた簿価80万円を貸方に記帳します。

売却で受け取った代金90万円は借方に記帳し、生じた売却益を貸方に計上します。

間接法の仕訳例

借方貸方
車両減価償却累計額700,000円車両1,500,000円
現金900,000円車両売却益100,000円

間接法の場合は、取得原価150万円を貸方に、車両減価償却累計額70万円を借方に記帳しましょう。

売却で受け取った代金を借方に計上し、売却益を貸方に計上します。

売却損が生じた場合

建物(取得原価800万円、減価償却累計額400万円)を300万円で売却し、現金で代金を受け取った場合の仕訳例は次の通りです。

直接法の仕訳例

借方貸方
現金3,000,000円建物4,000,000円
建物売却損1,000,000円

直接法では、取得原価800万円から減価償却累計額400万円を差し引いた簿価40万円を貸方に記帳します。

売却で受け取った代金300万円は借方に記帳し、生じた売却損を借方に計上します。

間接法の仕訳例

借方貸方
建物減価償却累計額4,000,000円建物8,000,000円
現金3,000,000円
建物売却損1,000,000円

間接法の場合は、取得原価800万円を貸方に、車両減価償却累計額400万円を借方に記帳してください。

売却で受け取った代金と売却損を借方に計上します。

除却した場合

事業に使用できなくなった固定資産を、帳簿から取り除くことを除却と呼びます。
取得原価30万円、減価償却累計額13万円の備品を除却した際の仕訳例は次の通りです。

直接法の仕訳例

借方貸方
備品除却損170,000円備品300,000円

直接法の場合は、備品取得費30万円を貸方に、借方に取得原価から減価償却累計額を差し引いた除却損10万円を記帳します。

間接法の仕訳例

借方貸方
備品減価償却累計額130,000円備品300,000円
備品除却損170,000円

間接法の場合、備品取得費30万円を貸方に、備品減価償却累計額13万円と備品除却損の17万円を借方に記帳しましょう。

固定資産売却益の消費税を適切に処理するため仕訳を徹底しよう

固定資産売却益の消費税を適切に処理するため、仕訳方法を理解しておくことが大切です。
消費税の経理方式は、税込と税抜の2種類があり、法人全体で選択する方式を統一する必要があります。

また減価償却の処理方法は、直接法と間接法の2種類があるため、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、どちらを使用するべきか検討しましょう。

消費税は損益に関係なく課税されるもので、土地以外の固定資産を売却した際には、経理処理する必要があります。

本記事でご紹介した仕訳例を参考に、固定資産を売却した際に生じた損益を適切に経理処理しましょう。

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