この記事ではデューデリジェンス費用の目安をはじめ、企業規模別の相場早見表や費用内訳、調査種類ごとの特徴まで徹底解説します。
費用を抑えつつ必要な情報を得る進め方、デジタルツール活用術、失敗事例から学ぶ注意点まで網羅しています。
この記事を読んで、納得感ある見積もり取得と、成功につながるM&A戦略の一歩を踏み出しましょう。
目次
- 1 デューデリジェンス費用の目安は100〜500万円前後
- 2 企業規模別の費用レンジ早見表(小規模〜大企業)
- 3 過去事例で見る費用と成果
- 4 デューデリジェンスとは?
- 5 デューデリジェンスの語源・英語表現・略語DDの意味
- 6 リスク把握と意思決定精度向上
- 7 デューデリジェンス費用を左右する4大要因
- 8 ①企業規模(売上・従業員数)が及ぼす影響
- 9 ②デューデリジェンスの種類
- 10 ③調査範囲と深度
- 11 ④専門家レートとチーム構成
- 12 デューデリジェンス費用の内訳
- 13 人件費:専門家の時間単価と稼働時間
- 14 資料準備・データルーム費用:開示コストの実態
- 15 交通費・現地調査費など諸経費の目安
- 16 【種類別】デューデリジェンスの費用相場
- 17 財務デューデリジェンス
- 18 法務デューデリジェンス
- 19 ビジネスデューデリジェンス
- 20 IT・人事・環境・人権デューデリジェンスなど
- 21 費用対効果を最大化するデューデリジェンスの進め方
- 22 範囲のメリハリでコストダウンする方法
- 23 デジタルツール活用で効率化するポイント
- 24 失敗事例から学ぶコストオーバー回避策
- 25 まとめ:デューデリジェンス費用を理解し、M&Aを成功に導こう
デューデリジェンス費用の目安は100〜500万円前後

デューデリジェンス(DD)の費用は、企業の規模や調査範囲、専門家の関与度合いによって大きく異なります。一般的に中小企業のM&Aでは100万〜500万円が目安ですが、内容次第では数千万円規模になることもあるため注意が必要です。
企業規模別の費用レンジ早見表(小規模〜大企業)
デューデリジェンスの費用は、企業規模によって大きく異なります。小規模企業では数十万〜数百万円程度でも対応可能です。しかし、規模が大きくなるほど調査範囲や関与する専門家も増えるため、費用は高額になる傾向があります。以下は一般的な企業規模の費用目安です。
企業規模 | 売上高の目安 | 費用相場 |
---|---|---|
小規模企業 | 数千万円〜数億円 | 50万〜300万円 |
中規模企業 | 数億円〜数十億円 | 200万〜1,000万円 |
大規模企業 | 数十億円以上 | 1,000万〜数千万円以上 |
上表はあくまで目安であり、業種や調査内容によって変動する点に注意しましょう。
過去事例で見る費用と成果
デューデリジェンスにかけた費用は、M&Aの成功やリスク回避につながる「投資」とも言えます。過去の事例では、以下のような成果が得られています。
- 小規模飲食店の買収:約80万円の費用で簿外債務を発見し、買収価格を150万円減額
- 中規模製造業の買収:約400万円で重要なリスク要因を特定し、事業計画を修正
- ITスタートアップの買収:約250万円でキーマンの流出リスクなどを把握し、早期に対策を実施
デューデリジェンスの費用は単なるコストではなく、将来の損失を防ぐための有効な手段です。
デューデリジェンスとは?

M&Aで頻繁に登場する「デューデリジェンス(DD)」とは、どのような調査なのでしょうか。ここからは、デューデリジェンスの基本的な意味や目的などを解説します。
デューデリジェンスの語源・英語表現・略語DDの意味
「デューデリジェンス(Due Diligence)」は、「当然払うべき努力・注意義務」を意味し、M&Aや投資の際に対象企業の価値やリスクを調査することです。英語では「Due=当然の」「Diligence=努力・注意」とされ、略して「DD(ディーディー)」とも呼ばれます。
デューデリジェンスを実施することで買収後のリスクを未然に防ぎ、適正な判断を下すために欠かせません。M&A成功のカギを握る重要な調査といえるでしょう。
リスク把握と意思決定精度向上
デューデリジェンスの目的は、対象企業のリスクや価値を正確に把握し、M&Aにおける意思決定の精度を高めることです。主な調査項目は以下のとおりです。
- 財務状況の確認:簿外債務や粉飾決算の有無をチェックする
- 法務リスクの把握:訴訟、契約、知的財産の問題を調査する
- 事業の将来性分析:収益性や競争力を分析・評価する
- 価格の妥当性判断:適正な買収価格を見極める
- M&A実行の判断材料:調査結果をもとに可否を決める
- 統合計画(PMI)への活用:円滑な統合のための基礎情報を収集する
デューデリジェンスを行うことで、M&A後の想定外のリスクを回避し、M&A成功の可能性を高められます。
デューデリジェンス費用を左右する4大要因

デューデリジェンスの費用は一律ではなく、案件ごとの特性によって大きく変動します。ここでは、特にデューデリジェンスの費用に影響を与える4つの主要な要因を解説します。
①企業規模(売上・従業員数)が及ぼす影響
デューデリジェンス費用に大きな影響を与えるのが、対象企業の規模です。企業規模が大きいほど、調査対象となる情報や範囲が広がり、費用も増加します。
- 売上規模:取引数が多く、財務調査の工数が増える
- 従業員数:人事・労務関連の調査が複雑化
- 拠点数:各拠点ごとに個別の調査が必要
- 事業の多角化:事業ごとに異なる視点での調査が必要
小規模企業では比較的簡易な調査で済みます。一方、大企業では広範囲かつ専門的な調査が求められるため、費用は高額になる傾向です。
②デューデリジェンスの種類
デューデリジェンスの費用は、実施する調査の種類によって大きく変わります。代表的なデューデリジェンスの種類と特徴は以下のとおりです。
- 財務デューデリジェンス:企業の財政状態を調査する
- 法務デューデリジェンス:契約や訴訟リスクを確認する
- ビジネスデューデリジェンス:市場性や競争力を分析・評価する
- 税務デューデリジェンス:税務リスクの調査する
- ITデューデリジェンス:情報システムやセキュリティを分析する
すべての種類のデューデリジェンスを実施する必要はなく、目的に応じて取捨選択することで費用を抑えられます。
③調査範囲と深度
デューデリジェンスの費用は、調査範囲と深度によって大きく変わります。調査の内容をどこまで広げ、どれだけ深く掘り下げるかが費用に直結するからです。主な影響要因は以下のとおりです。
要素 | 内容 |
---|---|
調査対象期間 | 過去1年分か、3年以上かで作業量が変動 |
調査項目の網羅性 | 全項目を調査するか、リスクの高い項目に絞るか |
分析の深度 | 書類確認のみに留めるか、経営陣・従業員へのインタビューを含めるか |
報告書の詳細度 | 簡易サマリーか、提言を含む詳細なレポートか |
調査を広く深く行うほど費用は上がるため、目的や予算に応じた計画を立てましょう。
④専門家レートとチーム構成
デューデリジェンスは高度な専門知識を要するため、公認会計士や弁護士、M&Aコンサルタントなどへの依頼が一般的です。費用は以下の要素で大きく変動します。
要因 | 内容 |
---|---|
専門家の経験・実績 | 実績豊富な専門家ほど報酬レートが高い傾向 |
所属ファームの規模 | 大手ファームは中小事務所より報酬が高め |
チーム構成 | 人数やシニア層の関与度により人件費が変動 |
デューデリジェンス費用の内訳

デューデリジェンスにかかる費用は複数の項目で構成されており、内訳を理解することで見積もりの妥当性を見極められます。ここでは、デューデリジェンスの主な費用項目について具体的に解説します。
人件費:専門家の時間単価と稼働時間
デューデリジェンス費用の中で最も大きな割合を占めるのが、専門家の人件費です。専門家の人件費は、次の2つの要素で構成されます。
要素 | 内容 |
---|---|
時間単価 | パートナーやマネージャー、スタッフなど役職や経験に応じて単価が異なる |
稼働時間 | 調査範囲や深度、企業の複雑性に応じて必要な作業時間が見積もられる |
人件費を確認する際は、「どの専門家がどのくらいの時間を使うのか」内訳を把握することが重要です。人件費の妥当性を見極めることで、不要なコストを避けられます。
資料準備・データルーム費用:開示コストの実態
デューデリジェンスでは、大量の資料を安全かつ効率的に共有する必要があるため、資料準備やデータルームに関する費用が発生します。主な内訳は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
資料準備コスト | 資料の収集・整理・電子化や人件費、専門家によるサポート費用 |
VDR利用料 | バーチャルデータルームの使用料(期間・容量・利用者数で費用が変動) |
物理データルーム設営費 | 必要に応じて実地型の設営・運営にかかるコスト |
特にVDRは大規模案件や遠隔地間のM&Aで主流となっており、無視できないコスト要素です。
交通費・現地調査費など諸経費の目安
デューデリジェンスでは、現地調査や情報開示に伴う交通費や宿泊費などの諸経費が発生します。調査の規模や場所により変動するため、見積もり時には内訳を確認しておくことが重要です。諸経費の一例は以下のとおりです。
- 交通費:新幹線代、航空券代、タクシー代などの移動費用
- 宿泊費:遠隔地での調査にかかるホテル代
- 印刷・通信費:資料印刷、郵送、国際電話などの実費
上記の諸経費は人件費とは別に請求されるため、総費用の把握に欠かせません。
【種類別】デューデリジェンスの費用相場

デューデリジェンスには財務・法務・ビジネスなど複数の種類があり、調査内容や専門性によって費用相場も異なります。ここからは、デューデリジェンスの種類ごとに費用の目安と調査ポイントを紹介します。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスの費用相場は、約50万~数百万円です。M&Aの買収価格や契約条件に大きく影響するため、公認会計士や税理士が中心となって実施されます。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 |
|
調査内容 |
|
財務デューデリジェンスは、正確な価値判断のために欠かせない工程です。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスの費用相場は、約50万~数百万円です。弁護士などの法務専門家が担当し、M&A後のトラブル回避に役立ちます。
項目 | 内容 |
---|---|
主な目的 | 契約・訴訟・知的財産・許認可などのリスク評価 |
調査内容 | 契約書・定款・登記簿・訴訟履歴・知財・許認可の確認 |
専門家が慎重な調査を行うことで、契約条件の調整や実行可否の判断に大きく貢献します。
ビジネスデューデリジェンス
ビジネスデューデリジェンスの費用相場は、100万~数千万円です。M&Aの戦略的妥当性やシナジー効果を見極める目的で、経営コンサルタントや業界専門家が実施します。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 |
|
調査内容 |
|
ビジネスデューデリジェンスは、将来の成果を見通すために不可欠なプロセスです。
IT・人事・環境・人権デューデリジェンスなど
財務・法務以外にも、M&Aの目的や対象企業の特性に応じてIT・人事・環境・人権などのデューデリジェンスが行われます。IT・人事・環境・人権などのデューデリジェンスも、リスクに応じた選定と費用対効果の見極めが重要となるでしょう。
種類 | 主な目的・特徴 | 費用相場 |
---|---|---|
IT | 情報システムやセキュリティ体制を評価する | 数十万~数百万円 |
人事 | 組織構造、人事制度、労務管理、キーパーソン評価など | 数十万~数百万円 |
環境 | 土壌・大気汚染や法令順守状況を確認する | 数十万~数千万円以上 |
人権 | 強制労働・児童労働・ハラスメント等のリスクを評価する | 調査範囲により変動 |
買収後の統合やトラブル回避に向け、適切な項目を選定することが大切です。
費用対効果を最大化するデューデリジェンスの進め方

デューデリジェンスには一定の費用がかかりますが、進め方を工夫すれば費用対効果を最大化できます。ここでは、デューデリジェンスの費用を抑えつつ、M&Aに必要な情報を効率的に得るための具体的なポイントを解説します。
範囲のメリハリでコストダウンする方法
デューデリジェンスの費用を抑えるには、調査範囲に戦略的なメリハリをつけることが有効です。以下の工夫で費用対効果を高められます。
- プレ・デューデリジェンス:簡易調査でリスクの高い領域を絞り込み
- リスクベース・アプローチ:重要度の高い項目に調査リソースを集中
- 段階的デューデリジェンス:初期は浅く広く、必要に応じて深掘り
M&Aの目的や企業特性に合わせて調査を設計することで、無駄な費用を抑えられるでしょう。
デジタルツール活用で効率化するポイント
デューデリジェンスの効率化には、デジタルツールの活用が欠かせません。作業時間の短縮やミスの防止、コスト削減に貢献する代表的な手段は以下のとおりです。
ツール | 概要 | 期待できる効果 |
---|---|---|
VDR(バーチャルデータルーム) | オンライン上で大量の資料を安全に共有・管理 |
|
AI文書レビューツール | 契約書や財務資料を自動で抽出・分析 |
|
データ分析ツール | 財務・販売データを集計・分析し、異常値や傾向を可視化。 |
|
上表のツールは初期費用がかかる場合もあります。しかし、長期的にはコスト削減と効率向上につながるため、導入を検討する価値があります。
失敗事例から学ぶコストオーバー回避策
デューデリジェンスにおいて、費用が想定以上に膨らむケースは少なくありません。以下のような失敗事例と対策を押さえることで、コストオーバーを回避しやすくなります。
失敗事例 | 主な原因 | 回避策 |
---|---|---|
初期の情報収集不足 | 調査目的や範囲の不明確さ | ・事前に調査範囲と目的を明確にする ・必要な資料を早期に入手する |
スコープクリープ(調査範囲の拡大) | 調査中に対象領域が次第に拡大する | ・範囲と深度を事前に定義・合意する ・追加調査には承認プロセスを導入する |
専門家とのコミュニケーション不足 | 情報共有不足による認識のズレ | ・目的・予算・懸念事項を明確に伝達する ・定期的な進捗報告を設定する |
まとめ:デューデリジェンス費用を理解し、M&Aを成功に導こう

デューデリジェンスは、M&Aの成功に欠かせない重要な投資です。費用は中小企業で100〜500万円が目安ですが、企業規模や調査内容により大きく変動します。費用を抑えつつ効果を高めるには、調査範囲の明確化やデジタルツールの活用、専門家との連携がポイントです。
デューデリジェンス費用の見積もりは複数の専門家から取得し、費用だけでなく実績や提案内容も比較しましょう。的確な準備と判断が、将来の損失回避とM&A成功につながります。
M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
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