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総合課税と分離課税はどちらが得?仕組みや違いなどを解説

とくに会社を経営する方は、事業の利益や個人の所得に対する課税方法で迷った経験はありませんか?

総合課税と分離課税、どちらを選ぶのがお得なのか知らないまま申告すると、無駄な税金を払うことになりかねません。

それだけでなく、税務署から指摘を受けるリスクも高まってしまいます。

この記事では、知っておくと得する総合課税と分離課税やそれぞれの課税方法の仕組み、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

お得な課税方法を採用することで、税金負担が軽減され、事業資金の効率的な運用を実現できます。

この記事を最後まで読むと、事業の成長と経営の安定化など賢い経営ができるでしょう。

【状況別】総合課税と分離課税はどちらが得?

総合課税と分離課税は課税の仕組みが違うため、どちらが得になるかは個々の状況によって違います。

ここからは具体的な3つの状況を挙げて、総合課税と分離課税のどちらがお得なのか詳しく解説します。

自分の状況に合うものがどれなのかで、どちらの課税方法が良いのか判断しましょう。

年収が高い場合

年収が高い場合、分離課税のほうがお得になる可能性が高いです。

総合課税は累進課税が適用されるため、所得が増えるほど税率が上がるのです。

課税所得税率
9,000,000円を超える33%
18,000,000円を超える40%
40,000,000円を超える45%

一方で分離課税は、特定の所得に対して一定の税率が適用されるため、高所得者にとって有利な場合があります。

例えば、上場株式の配当や譲渡所得は申告分離課税が適用でき、税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)と固定です。

年収が高い方は、総合課税の影響を最小限に抑えつつ、分離課税を選択できる所得を積極的に活用する戦略が有効と言えるでしょう。

専門家に相談しながら、自身の所得状況に最適な課税方法を選ぶことをおすすめします。

副業収入がある場合

副業収入がある場合は、事業所得や雑所得として総合課税のほうがお得です。

総合課税では、他の所得と合算されて累進税率が適用されるため、所得が増えるほど税率も高くなります。経費を適切に計上して所得控除を活用することで、課税所得を減らして税負担を軽減しましょう。

一方で、株式の譲渡益や先物取引など特定の副業収入は、分離課税の対象となる場合もあります。

総合課税と分離課税のどちらがお得なのかを専門家とも相談・検討し、適切な申告方法を選びましょう。

投資利益を得ている場合

投資による配当所得や譲渡所得を得ている場合は、分離課税のほうがお得になります。

分離課税は、特定の所得に対して一定の税率が適用されるからです。

上場株式の配当所得や譲渡所得の場合の税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)と、総合課税よりも税負担が少なく済みます。

ただし、所得の種類や状況によって最適な課税方法が違うため、専門家に相談することがおすすめです。

総合課税とは

総合課税の仕組みや対象となる所得の種類、メリット・デメリットを知っていますか?

ここからは、上記の疑問について詳しく解説します。

総合課税を理解することで、自身の税負担を正しく把握でき、適切な税務計画を立てられるでしょう。

総合課税の仕組み

総合課税は、個人の所得を合算し累進税率を適用して税額を計算する仕組みです。

具体的には、給与所得や事業所得、不動産所得などの各種所得を合計し、所得控除を差し引いた課税所得金額に対して、所得税の税率表に基づく税率を適用します。

累進課税制度では、所得が増えるほど高い税率が適用されるため、高所得者ほど税負担が大きくなります。 

下記で紹介する所得を合算し、適用される税率を確認することで、正確な税額を把握することが重要です。

対象となる所得の種類

総合課税の対象となる所得は以下の7種類です。

  1. 事業所得:個人が営む商業、工業、農業などの事業から得られる所得
  2. 不動産所得:土地や建物の賃貸による収入から得られる所得
  3. 給与所得:会社員やパートタイマーが受け取る給与や賞与などの所得
  4. 一時所得:生命保険の満期金や懸賞の賞金など、一時的に得た所得
  5. 雑所得:年金や講演料など、他の所得に分類されない所得
  6. 配当所得:株式の配当金などで総合課税か分離課税を選択できる
  7. 利子所得:預貯金の利子などで一部が総合課税の対象となる

上記の所得を合算し、累進税率を適用して税額を計算します。

メリット・デメリット

総合課税には以下のメリットとデメリットがあります。

メリット事業所得や不動産所得などで損失が発生した場合、他の所得と相殺することで全体の課税所得を減らし税負担を軽減できる
デメリット所得が増えるほど税率が高くなる累進課税制度が適用されるため、高所得者は税負担が大きくなる

総合課税の適用にあたって、メリットとデメリットを理解することは、自身の所得状況に応じた適切な税務対策を検討する上で重要です。

分離課税とは

分離課税とは、総合課税とは違う税額の計算方法です。

ここからは、分離課税の具体的な仕組みや対象となる所得、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

分離課税を正しく理解して、税負担の軽減に役立てましょう。

分離課税の仕組み

分離課税とは、特定の所得を他の所得と合算せずに独立した税率で課税する方法です。

所得全体の合計額に影響を与えず、各所得ごとに適切な税率が適用されます。

分離課税には「申告分離課税」と「源泉分離課税」の2種類があります。

  • 申告分離課税:土地や建物の譲渡所得、株式の譲渡所得、退職所得などが対象で確定申告により税額を計算し納税する
  • 源泉分離課税:預貯金の利子所得や公社債の利子などが対象で支払者が所得税を源泉徴収することで納税が完了する

分離課税は、所得の種類や状況に応じて適用される税制なので、適切な理解と対応が必要です。

対象となる所得の種類

分離課税の対象となる所得には以下の7種類があります。

  1. 譲渡所得:土地や建物、株式などの資産を売却して得た所得です。これらの譲渡所得は、他の所得と分離して課税される
  2. 配当所得:株式や投資信託の配当金などが該当します。上場株式等の配当所得については、総合課税と申告不要の申告分離課税との選択が可能
  3. 山林所得:山林を伐採して譲渡、または立木のまま譲渡して得た所得です。取得後5年超の山林の譲渡が対象となる
  4. 退職所得:退職金や退職一時金など、退職に伴って受け取る所得です。これらは他の所得と分離して課税される
  5. 利子所得:預貯金や公社債の利子、公社債投資信託の収益分配などが該当します。これらは源泉分離課税の対象となり、支払者が所得税を源泉徴収することで納税が完了する
  6. 一時所得:保険の満期返戻金や懸賞の賞金など、一時的に得た所得です。これらは総合課税の対象となりますが、特別控除額が適用される
  7. 雑所得:公的年金や副業収入など、他の所得に該当しない所得です。これらは総合課税の対象となる

それぞれの性質や税制上の取り扱いに応じて、分離課税の対象となります。

適切な税務処理を行うためには、各所得の分類と課税方法を正しく理解することが重要です。

メリット・デメリット

分離課税には以下のメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 税負担の軽減:特定の所得に対して独自の税率が適用されるため、総合課税の累進税率よりも低い税率が適用される場合がある
  • 損益通算の活用:株式の譲渡所得について損失が発生した場合、他の譲渡所得と損益通算が可能なため、投資活動における損失を将来の利益と相殺できる

デメリット

  • 他の所得との損益通算不可:分離課税の対象となる所得は、原則として他の所得と損益通算ができない
  • 計算の複雑さ:分離課税の対象となる所得は、それぞれ異なる計算方法や税率が適用されるため、確定申告時の税務処理に時間や労力がかかる

分離課税のメリットとデメリットを理解し、自身の所得状況に応じて最適な課税方式を選択することが重要です。

総合課税と分離課税の違い

総合課税と分離課税は、所得税の計算方法における2つの異なる方式です。

総合課税は、給与所得や事業所得などの複数の所得を合算し、累進税率を適用して税額を計算します。

一方で分離課税は、株式の譲渡所得や退職所得などの特定の所得を他の所得と分けて計算し、定められた税率を適用します。

ただし、分離課税の所得は他の所得と損益通算ができない点に注意が必要です。

総合課税と分離課税の違いをしっかりと把握して、賢い経営を目指しましょう。

正しい課税方法を選んで賢い経営判断をしよう!

総合課税と分離課税にはそれぞれの特徴があり、適用方法を正しく選ぶことで税負担を最小限に抑えられます。

年収が高い場合や特定の投資利益がある場合は分離課税が有利になることが多いです。一方で副業収入を含む複数の所得がある場合は、総合課税の控除を最大限活用できます。

最適な課税方法は、所得の種類や金額、長期的な資産計画によって大きく変わるのです。

自身の収入構造を分析し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することで、税負担の軽減だけでなく、経営や資産運用の効率化にもつながります。

自身や会社の資産状況を見直し、最適な課税方法を選択して賢い経営判断をしましょう。

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