自身の会社を売る行為は、創業者や経営者にとって大きな選択となります。会社を売ると決定した後、どのようなことが待っているのでしょうか?
今回の記事では、会社を売ることで得られるメリットと注意すべきデメリット、会社を売って儲けるためのポイントや今からできる準備などを細かく解説します。
目次
- 1 会社を売るとは?
- 2 経営者の立場から見た会社を売るメリット
- 3 売却益を獲得できる
- 4 時間の余裕ができる
- 5 廃業や倒産を回避できる
- 6 シナジー効果が期待できる
- 7 保証人から解放される
- 8 それぞれの立場から見た会社を売るデメリット
- 9 ロックアップなどで拘束される
- 10 意思決定が遅くなってしまう
- 11 売却後の事業が制限される
- 12 寂しさや虚無感を感じる
- 13 会社を売るためのポイント
- 14 自社を分析し会社を売る目的を明確にする
- 15 信頼のおけるM&A業者を見つける
- 16 シナジー効果のある買い手企業を見つける
- 17 買い手企業の経営者の人間性を見極める
- 18 今からできる会社を売って儲かるための準備
- 19 シェアを拡大する
- 20 社員教育を充実させる
- 21 安定的な取引先を確保する
- 22 不透明な取引きを整理する
- 23 条件を明確にする
- 24 会社を売るには入念な準備が必要
会社を売るとは?
会社を売ることは、創業者や経営者が自社の所有権を売却する行為です。所有者は、会社を売った対価として売却益を得ます。
会社を売る理由は、主力事業の集中など戦略的な理由、資金や従業員不足のため大手傘下に入るなど、様々なことが考えられます。近年では、後継者不足により自身の会社を手放す創業者が目立ちます。
そして、単純に所有権を売却するだけでなく、これまで関係を築いた取引先や、苦楽を共にした従業員の将来も関係するため、慎重に進めなければなりません。
会社の売却方法には、株式を譲り渡す株式譲渡や、2つの異なる会社が1つになる合併など様々な手法があり、簡単に決めることはできません。複雑で専門的な知識を要するため、専門の仲介業者を通して実施するのが一般的です。
経営者の立場から見た会社を売るメリット
では、会社を売ることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
- 売却益を獲得できる
- 時間の余裕ができる
- 廃業や倒産を回避できる
- 企業基盤の効果が期待できる
- 保証人から解放される
以上の5つです。詳しく見ていきましょう。
売却益を獲得できる
会社を売るメリットは、創業者(経営者)が売却益を獲得できる点です。会社を売る際には、多額の資金や株式が動くため、株主である創業者や経営者は大きな利益を得られます。
時間の余裕ができる
これまで企業を引っ張ってくるために、多忙な時間を過ごしてきた創業者や経営者の方々も多いことでしょう。
会社を売ることで、事業の責務から解放されて時間にも余裕ができます。余裕の時間は、家族と一緒に過ごす時間や、自身の趣味に費やす時間として自由に使うことができます。
廃業や倒産を回避できる
仮に、会社を売るのではなく廃業や倒産に陥った場合、企業の従業員と家族は路頭に迷うこととなります。これを回避するために会社を売るのは、とても勇敢な選択といえます。
会社のすべてを売るのではなく、業績の良くない事業のみを売り、現金化すると会社の負債返済にあてられると考えられます。これにより、企業の基盤を整えて財政状況を正すこともできるでしょう。
シナジー効果が期待できる
他社へ会社を売ることで、買い手企業とのシナジー効果を期待できます。シナジー効果とは、売り手企業と買い手企業、お互いの力を合わせることで、それぞれ単独では発揮できない新たな力を生み出すことです。
具体的には、それぞれの販路を活用し、お互いの製品を販売して売り上げ向上につなげることや、双方の技術を用いて新たなものを開発するのが一般的です。
保証人から解放される
会社を経営する際は、金融機関などから経営のための資金を借り入れます。借入時には、経営者や創業者が保証人となるのが一般的です。
会社を売った場合は、保証人は買い手企業に引き継がれるため、売り手企業の経営者は保証人でなくなり、重責から解放されます。
それぞれの立場から見た会社を売るデメリット
会社を売る行為にはメリットが多く存在しますが、デメリットがあることも忘れてはいけません。今回紹介するデメリットは以下の4点です。詳しく見ていきましょう。
- ロックアップなどで拘束される
- 意思決定が遅くなってしまう
- 売却後の事業が制限される
- 寂しさや虚無感を感じる
ロックアップなどで拘束される
会社を売った後、売り手企業の経営者や創業者は、一定期間の間、買い手企業に拘束される可能性があります。
業務の細かい引継ぎのため、買い手企業に籍を置いたり、一定期間の間、子会社の役員に就任して勤務したりする事例が考えられるでしょう。
意思決定が遅くなってしまう
会社を売ると決めた後には、これまで自分の判断で動かしてきたさまざまな事柄に対して、細かく買い手企業と確認していく必要があります。そのため、今まで迅速にできていた意思決定に時間がかかってしまいます。
売却後の事業が制限される
経営者者として自社を売り渡した場合、売却後の一定期間、事業領域が制限されます。これを競業避止義務といい、具体的には、事業を売却後の数年間は同業種の事業を経営できなくなります。
会社を売った後に、新たに事業を始めたいと考えている場合には注意しましょう。
寂しさや虚無感を感じる
これまで企業を引っ張ってきた経営者にとって、自分の会社が他者に渡ってしまうことにより、大きな寂しさを感じる経営者の方もいらっしゃると思います。
やりがいが失われ、時間に追われることもなくなるため、虚無感に襲われてしまうかもしれません。忙しくて後回しにしていたことや、自分のやりたいと思っていたことをやってみるのはいかがでしょうか?寂しさや虚無感を反らせるかもしれません。
会社を売るためのポイント
次に、会社を売るためのポイントについて考えてみましょう。会社の売却を成功させるためには以下の4点について考える必要があります。
- 自社を分析し会社を売る目的を明確にする
- 信頼のおけるM&A業者を見つける
- シナジー効果のある買い手企業を見つける
- 買い手企業の経営者の人間性を見極める
自社を分析し会社を売る目的を明確にする
自社の強みや弱みの分析により、どのような企業に会社を買ってもらうのかを定めることにつながります。そのためには、自社の分析は入念に実施し、売却の目的を明確にしましょう。
自社の弱みを買い手企業に知られたくないと思う方もいるかもしれません。しかし、弱みを明確にして買い手企業に提示すると、強みが際立ち、よりよい売却につながるでしょう。
信頼のおけるM&A業者を見つける
会社を売ることは、自分の力だけでは実行できません。専門知識を持つM&A業者などの第三者機関に依頼して手続きを進めていくことが一般的です。
仲介業者にもさまざまな企業があります。それぞれの得意な分野やこれまでの実績を調べて自社に合う仲介業者を探してみるのもおすすめです。
契約前に相談に乗ってもらえたり、見積もりをもらえたりするサービスもあるなどで利用してみるのも良いでしょう。
シナジー効果のある買い手企業を見つける
売却先にシナジー効果のある企業を見つけられるかどうかは、大きなポイントとなります。なぜなら、シナジー効果は、会社を売買する大きな理由となるためです。
たくさんの労力や時間をかけたにもかかわらず、シナジー効果が発揮されなければ、売上げ向上なども見込めず、失敗となって可能性があります。
買い手企業の経営者の人間性を見極める
会社の売る際は、多額の資金と多くの人が動きます。しかし、本質的には経営者同士の相性で結果が左右されると言っても過言ではありません。
そのため、買い手企業の経営者の人間性を見極めるため、密にコミュニケーションを取るようにしましょう。会社を売る前に面談を設定して、大切な会社を任せられる相手なのか、慎重に判断する必要があります。
今からできる会社を売って儲かるための準備
最後に、今からできる会社を売って儲かるための準備について解説していきます。
- シェアを拡大する
- 社員教育を充実させる
- 安定的な取引先を確保する
- 不透明な取引きを整理する
- 条件を明確にする
以上の5点です。会社を売るためには何年も前から、入念な準備が必要です。そのため、会社を売りたいと考えた日から少しずつ準備をしていくことをお勧めします。
シェアを拡大する
業界でのシェア率は会社を売る際の売却額を大きく変化させます。売却時には、できる限り業種や業界内で大きなシェア率を持っていることが重要です。
シェアの拡大は短い時間で達成できません。日々の業務や戦略を少しずつ着実に実行していくことでだんだんと成長していきます。そのため、何年も前から準備する必要があるでしょう。
社員教育を充実させる
買い手企業から見た際、買収の決め手として、優秀な人材がいるかどうかと言う点も大きく影響します。
自社だけで優秀な人材を育てようとした場合、何年もかけて教育する必要があります。しかし買収により、企業内の優秀な人材を一緒に取り込めれば、買い手企業にとって大きな利益となるでしょう。そのため、普段から社員教育を充実させ社員を育てていくことで、売却を成功させることにつながります。
安定的な取引先を確保する
常に安定的な取引先を要している事は企業にとって大きなプラスとなります。これによりその企業はある程度の売り上げを確保できていると言うことになるためです。
さらに、取引先との良好な関係を築いておくことで、自社が買収された後でも取引きを続けてくれるよう、交渉しやすくなるでしょう。
不透明な取引きを整理する
不透明な取引とは、内容や取引先がよくわからないものや、税務上の問題があるかもしれない取引などを指します。
このような取引がないかどうかこれまでの履歴を調べ、不安なものを抽出し、税理士や会計士など専門的な知識のある人に相談するのが良いでしょう。
万が一会社の売る際の交渉時などに、このような取引があると判明した場合、交渉先の買い手企業に良くないイメージを与えてしまう可能性があります。
条件を明確にする
会社を売ることを決めた場合には、売却の条件を明確にしましょう。単純な希望金額を決めるだけでなく、どの範囲まで譲歩できるかまでも考えておきます。
その他にも、どのように事業を進めていきたいのかどうか、従業員の雇用契約はどうするかなど様々な面から条件を決めておきましょう。
会社を売るには入念な準備が必要
今回の記事では、会社を売ることで得られるメリットとデメリットや会社を売って儲けるためのポイント、今からできる準備などを細かく解説しました。
会社を売ることは売却益を得られたり、重責から解放されるメリットがあります。しかし、そのために、何年もかけて入念な準備が必要です。
手続きは、複雑で専門的な知識を要するため、信頼のおける専門業者に依頼しましょう。
パラダイムシフトは2011年の設立以来、豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。M&Aで自社を売却したいと考える経営者や担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。