- キヤノンの最新決算を知りたい!
- キヤノンってどんな会社なのか?
- キヤノンの業績は今後どうなる?
2023年1月30日に発表されたキヤノンの最新決算は気になりませんか?
実は、キヤノンは2020年に流行した”アレ”で初めての赤字となりましたが、以降の業績は上昇傾向にあります。
そこで、M&A×ITに強みを持つ「株式会社パラダイムシフト」が、キヤノンの最新決算やキヤノン株式会社について、初の赤字の原因、今後の業績予想などキヤノンを丸裸にしていきます。
具体的には、
- キヤノンの最新決算(2022年12月期)
- キヤノンは急激な変化に対応して進化し続ける会社
- キヤノンが初めての赤字を出した原因は「新型コロナウイルス」
- キヤノンの業績予想(2023年12月期)
を解説します。
この記事を読むことでキヤノンの最新決算が把握でき、M&Aを検討する相手先に相応しいかどうかの判断ができます。
目次
キヤノンの最新決算を公開!(2022年12月期)
2023年1月30日に発表されたキヤノン株式会社の2022年12月期連結決算概要(2022年1月1日〜12月31日)は以下の通りです。
2022年12月期連結決算業績
2021年12月期 | 2022年12月期 | 増減率 | |||||||||
売上高(百万円) | 3,513,357 | 4,031,414 | +14.7% | ||||||||
営業利益(百万円) | 281,918 | 353,399 | +25.4% | ||||||||
税引当期純利益(百万円) | 302,706 | 352,440 | +16.4% | ||||||||
当社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 214,718 | 243,961 | +13.6% | ||||||||
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益
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総資産(百万円) | 4,750,888 | 5,095,530 | +7.3% | ||||||||
株主資本(百万円) | 2,873,773 | 3,113,105 | +8.3% |
(注)連結財務諸表は米国会計基準に基づき作成しております。
2022年12月期連結決算概要をまとめると、2022年12月期の世界経済活動が本格化した一方で不安定な経済環境が続いているなか、上々の結果と言えるでしょう。
半導体部品不足やサプライチェーンの混乱を受けましたが総じて堅調に推移しています。
しかし、レーザープリンターやインクジェットプリンター、FPD露光装置は在宅需要が減ったことにより伸び悩んでいます。
2022年12月期は、部品不足に対して代替部品への切り替えや新規調達先の開拓を継続して、輸送スペースの早期確保や代替輸送ルートを活用し製品供給に努めました
数々の事業努力の結果、税引前純利益は前期比16.4%増の3,524億円となり、当社株主に帰属する当期純利益は前期比13.6%増の2,440億円となりました。
キヤノンは急激な変化に対応して進化し続ける会社
キヤノンは、「進取の気性」「三自の精神」の理念を持って時代の流れに沿って進化を続けてきています。
このようなキヤノンの会社概要や事業領域、企業理念、中長期経営を解説します。
会社概要
キヤノンの会社概要は以下の通りです。
会社名 | キヤノン(Canon Inc.) |
設立 | 1937年8月10日 |
本社所在地 | 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 |
アクセス | 東急多摩川線「下丸子駅」より、徒歩約10分 |
事業内容 | 研究開発部門、本社管理部門、事業本部ほか |
代表取締役会長兼社長CEO | 御手洗 冨士夫 |
資本金 | 174,762百万円(2022年12月31日現在) |
従業員数 | 180,775人(2022年) |
連結子会社数 | 国内外併せて330社(2022年12月31日現在) |
事業領域
キヤノンはグローバルで幅広く事業を展開し、世界中に製品やサービスを届けています。
キヤノンの事業領域は以下の通りです。
- プリンター/事務機
- カメラ/レンズ/映像機器
- ネットワークカメラ
- メディカルシステム
- 商業印刷機
- 産業機器
- 材料
- コンポーネント
挙げた事業の中から代表的なものを詳しく説明します。
事業内容 | 代表的な機器 | 事業領域概要 |
プリンター/事務機 |
etc… | キヤノンは、ネットワーク機能を充実させた高品質プリントやソフトウェアによる付加価値の高い製品・サービスを提供して、顧客の生産性向上に向けた最適な提案を行っています。 |
カメラ/レンズ/映像機器 |
| キヤノンはカメラやレンズ、映像機器すべての製品を通じて、顧客に寄り添いながら毎日の暮らしを豊かに彩る技術を進化させ続けます。 |
ネットワークカメラ |
| キヤノンは世界的なセキュリティ意識の高まりから急成長が続くネットワークカメラ市場で、監視目的だけでなくマーケティング分野へ活用するなど新しいビジネスの領域へとカメラ分野を拡大しています。 |
企業理念・スピリット
キヤノンの企業理念は「共生」です。
キヤノンは文化や習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く幸せに暮らしていける社会を目指しています。
しかし経済や資源、環境など、いまの地球上には共生を阻むさまざまな問題があり、これらを解消するため積極的に企業活動に取り組んでいきます。
真のグローバル企業になるには、顧客や地域社会に対してはもちろん地球や自然に対してもよい関係をつくる社会的な責任が求められます。
キヤノンは、「世界の繁栄と人類の幸福」のために共生の実現に向けて努力を続けています。
中長期経営計画
キヤノングループは持続的な成長と中長期的な企業価値を高めるために、2021-2025長期経営構想及び2022-2025中期経営計画を立てました。
基本戦略と2025年の経営目標は以下の通りです。
基本戦略
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2025年の経営目標
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長期経営構想は企業理念の「共生」の考え方に基づき社会課題を解決することが、社会とキヤノンの持続的な発展(サステナビリティ経営)に繋がると考えています。
中期経営計画は基本戦略に基づき、2025年ビジョン及び経営指標の実現に向けて計画を推進していく予定です。
キヤノンが初めての赤字を出した原因は「新型コロナウイルス」
日本の優良企業の代名詞だったキヤノンが、2020年4月〜6月期に四半期ベースで初めて赤字を記録したことがあります。
原因は新型コロナウイルス拡大の影響で主力製品であるオフィス機器やデジタルカメラの売上が大きく落ち込んだからです。
2020年以前からペーパーレス化の流れがあるなか、新型コロナウイルスの感染が拡大し在宅勤務の需要が高まることで利益率の高い消耗品の需要が激減しました。
結果、2020年4〜6月期のオフィス事業の売上高は前年同期比3割減の3075億円、営業損益は9億円の赤字に落ち込んでしまいました。
しかし、日本の優良企業であり世界のキヤノンはこんな事態には動じず、初めての赤字を出してから稼ぐ力を着実につけて業績を伸ばしています。
今後のキヤノンは国際分業や他企業との連携強化、微細なモノを“見える化”する技術の創出など、強みに集中することで成長を加速することができるでしょう。
キヤノンの業績を上昇させた2つの理由
一時期低迷したキヤノンでしたが、ここ数年は業績が上昇傾向にあります。
そこでキヤノンの業績を上昇させた2つの理由を解説します。
①モノづくり力の向上
キヤノンの業績を上昇させた1つ目の理由は、医療機器やカメラなどの画像関連機器、半導体製造装置などのものづくりの力を磨いたからです。
防犯カメラや家庭でのIoT化は世界中で増えています。
キヤノンは人工知能が動きを検知して画像データを分析するネットワークカメラの需要が高まるだろうと考え、新しい画像処理を可能にする製造技術を磨いています。
例えば、SPADセンサはより感度が高く暗いところでの撮影が可能です。
このセンサはネットワークカメラや車載用の画像処理センサ、医療機器などの機能向上が期待できるのです。
このようにキヤノンは、モノづくりの力を磨いて設計・開発から生産、販売までを、高いレベルで自己完結して収益力を高めています。
②M&Aで組織力・技術力の向上
キヤノンは2016年に6,655億円で東芝の医療機器事業を買収した後、迅速にPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)を進めて組織の意識や経営風土、業務を統合し、組織力・技術力を向上させました。
買収後の組織の意識統一や業務引き継ぎなどは難しい課題ですが、迅速に2つの組織が一つにまとまれたことが成長に拍車をかけました。
その結果、SPADセンサなどの高付加価値で新しい光学系の製造技術が生み出され、値上げによるコスト吸収を可能にしています。
キヤノンが企業買収後に組織の意識や業務を迅速に行えたことが組織力・技術力向上を促進し、画像処理センサなどの設計・開発に集中できたので成長を加速させました。
キヤノンの業績予想 (2023年12月期)
2022年12月期連結決算短信で公開された2023年12月期年間業績予想を以下に示します。
2023年12月期年間予想 | 増減率 | |
売上高(百万円) | 4,287,000 | +6.3% |
営業利益(百万円) | 360,000 | +1.9% |
税引当期純利益(百万円) | 390,000 | +10.7% |
当社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 270,000 | +10.7% |
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 基本的(円) | 265.91 265.82 | +12.3% +12.3% |
(注)連結財務諸表は米国会計基準に基づき作成しております。
キヤノンは2023年の世界経済が金融当局の急速な引き締め政策などにより、成長のスピードが鈍化すると見込んでいます。
しかし、欧米でインフレに減速の兆候が見られるように政策の効果も徐々に現れています。
2023年後半からは緩和の方向に政策の舵が切られて、景気回復の力強い後押しになると予想しています。
まとめ:キヤノンの最新決算は優良!国際分業や他企業間連携でさらに成長
キヤノンの今後の展開として注目したいのは、他企業との関係や国際分業などを強化していくことです。
キヤノンの事業運営を効率化していくことが、国際競争に勝ち残る決定的な力になります。
今後、先端分野の需要は増えて自動運転技術や医療機器の性能向上、半導体製造装置分野のためには新しい画像処理センサが必要で、キヤノンの収益機会は増えていくでしょう。
しかし、中国では共産党政権が半導体メーカーや工作機械メーカーなどに産業補助金を支給して競争力の向上に取り組んでいるという情報があります。
激化する競争に対して国際分業や他企業間の連携強化は避けて通ることができないです。
今後キヤノンは、国際分業や他企業との連携を強化してさらなる成長を実現していくでしょう。
パラダイムシフトは2011年の設立以来、豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
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