M&Aを検討している企業が情報収集している中で、「ビジネスDD」や「デューデリジェンス」という単語が出てきます。
しかし、M&Aの知識やノウハウ、実績があまりない企業は、単語の意味さえわからないことが多いです。
M&Aを成功へ導きたいなら、ビジネスDD(デューデリジェンス)への理解は必須です。
この記事は、M&A仲介のプロである株式会社パラダイムシフトが、ビジネスDDの概要やメリット、進め方、活用できる分析手法、注意点を詳しく解説します。
この記事を読むことで、M&AにおけるビジネスDDの重要性と成功率が高い戦略立案に役立てることができます。
効率的かつ効果的なビジネスDDを実施して、買収先企業とのシナジー効果を最大化させましょう。
目次
- 1 ビジネスDD(デューデリジェンス)とは
- 2 ビジネスDD(デューデリジェンス)をする3つのメリット
- 3 買収先が属している市場状況を把握できる
- 4 買収先の商品やサービスの価値を把握できる
- 5 買収先の強みを活かしやすくなる
- 6 ビジネスDD(デューデリジェンス)の進め方
- 7 専門家(コンサル)に依頼する
- 8 調査範囲・内容を決める
- 9 買収先に資料の開示請求をする
- 10 買収先の外部・内部を分析する
- 11 シナジー項目を抽出して計画に反映する
- 12 事業計画を修正する
- 13 ビジネスDD(デューデリジェンス)に活用できる分析手法
- 14 SWOT分析
- 15 バリューチェーン分析
- 16 VRIO分析
- 17 PEST分析
- 18 5フォース分析
- 19 ビジネスDD(デューデリジェンス)の注意点
- 20 調査する項目を絞る
- 21 厳重に情報を管理する
- 22 自社でやらずに専門家に依頼する
- 23 まとめ:ビジネスDD(デューデリジェンス)を実施しよう
ビジネスDD(デューデリジェンス)とは
ビジネスDD(デューデリジェンス)は、M&A(合併・買収)のプロセスで行われる詳細な調査のことです。
ビジネスDDのプロセスは、買収対象企業のビジネスモデルや市場位置、競合分析、経営陣の能力、組織構造、および成長潜在力などを評価します。
買収元の企業は、ビジネスDDを通じてリスクを評価し、適切な買収価格や戦略を決定するために調査します。
ビジネスDDは、買収成功に不可欠な要素です。
ビジネスDD(デューデリジェンス)をする3つのメリット
ビジネスDD(デューデリジェンス)は、M&Aプロセスにおいて不可欠なステップで、いくつかのメリットがあります。
メリットを把握することで、戦略的な意思決定が促進されて投資のリスクを最小限に抑えることができます。
買収先が属している市場状況を把握できる
ビジネスDD(デューデリジェンス)をするメリット1つ目は、買収先企業が属している市場の状況を詳細に把握できることです。
ビジネスDDの調査により、市場の成長性や競争状況、業界動向、および顧客の嗜好などが明らかになります。
調査を行うことで、買収後の戦略策定やリスク管理に役立ち、長期的な成功に向けての戦略的な意思決定がサポートされます。
市場状況を正確に理解することは、適切な価値評価と投資判断のために不可欠です。
買収先の商品やサービスの価値を把握できる
ビジネスDD(デューデリジェンス)をするメリット2つ目は、買収先企業の商品やサービスの価値を深く理解できることです。
ビジネスDDは、商品やサービスの市場での立ち位置や競争力、品質、技術的な優位性、顧客満足度などを評価できます。
買収で得られる利益や成長の潜在性を把握できるので、適切な投資決定を下せます。
また、商品やサービスの強みと弱みを把握することで、将来の経営戦略やマーケティング計画を策定する際に重要な要素になります。
買収先の強みを活かしやすくなる
ビジネスDD(デューデリジェンス)をするメリット3つ目は、買収先企業の強みを活かしやすくなることです。
ビジネスDDを通じて、買収先の特有の技術やブランドの強み、顧客基盤、独自の経営戦略などの鍵となる要素を特定できるので、強みを最大化できます。
ビジネスDDで得た情報は、買収後の統合プロセスや将来の事業展開において、戦略的なアプローチを取るための基盤となり、効率的なリソース活用と競争力の強化に貢献します。
ビジネスDD(デューデリジェンス)の進め方
ビジネスDD(デューデリジェンス)を正しく進められれば、M&A成功の確率が高まります。
これからご紹介するビジネスDDの進め方は、効率的で実効性のあるデューデリジェンスを実施し、戦略的な買収決定をサポートする手助けになります。
専門家(コンサル)に依頼する
ビジネスDD(デューデリジェンス)の進め方の一つとして、専門家やコンサルタントに依頼することは一般的です。
専門家やコンサルタントは、金融や法律、市場分析などの分野で深い知識と経験を持っているので、より専門的で綿密なデューデリジェンスが実施できて、正確なリスクの特定と評価ができます。
専門家やコンサルタントのアドバイスは、買収戦略の策定と決定において重要な役割を果たし、より確かな投資判断をサポートしてくれるので依頼するのがおすすめです。
調査範囲・内容を決める
ビジネスDD(デューデリジェンス)の進め方において、調査範囲と内容の決定は重要なステップです。
買収先の企業に関する重要な側面を特定し、どの分野に焦点を当てるかを明確にします。
通常、財務状況や法的問題、市場環境、経営陣の能力、技術的資産などが主な調査項目です。
事前に調査して特定しておくことで、効率的かつ綿密なデューデリジェンスができるので、正確な情報に基づいた判断ができるでしょう。
買収先に資料の開示請求をする
ビジネスDD(デューデリジェンス)の進め方で、買収先企業に対して資料の開示を請求することが重要です。
情報収集の基本的な手段である資料の開示請求は、買収先企業の財務報告書や法的契約書、ビジネスプラン、市場分析資料など、業務に関連する文書が手に入ります。
資料の開示請求で得られる情報は、買収先企業の本当の状況を把握できるので、適切な評価ができます。
開示請求した資料は、リスクを適切に評価して買収に関する意思決定を行うために重要です。
買収先の外部・内部を分析する
ビジネスDD(デューデリジェンス)を進める中で、買収先企業の外部環境と内部構造を分析することは重要です。
- 外部分析:市場動向や競争環境、業界の規制などを評価する
- 内部分析:企業の財務状況や経営体制、運営効率、資産状況などを詳細に検討する
内外を総合的に分析することにより、買収の戦略的価値と起こり得るリスクを全面的に把握することができます。
シナジー項目を抽出して計画に反映する
ビジネスDD(デューデリジェンス)を進める上で、シナジー効果の項目を抽出して買収計画に反映させることは重要です。
シナジー効果とは、買収により予期される相乗効果のことで、財務やオペレーション、市場拡大など、さまざまな領域で発生する可能性があります。
シナジー効果の分析を通じて、買収後の企業がどのように価値を最大化できるかを把握できるので、効率的な統合戦略を立てることができます。
事業計画を修正する
ビジネスDD(デューデリジェンス)の進め方で重要なのは、得られた情報を基に事業計画を修正することです。
デューデリジェンスにより明らかになった買収先企業の強みや弱み、市場環境などの情報は、買収後の事業計画に大きな影響を与えます。
得た情報を含めて事業計画を見直すことは、買収後の戦略をより現実的かつ効果的に調整することにつながるので、M&A成功の確率を高められます。
ビジネスDD(デューデリジェンス)に活用できる分析手法
ビジネスDD(デューデリジェンス)は、複数の分析手法が有効に活用できます。
これからご紹介する分析手法は、買収先企業の総合的な評価と戦略的な意思決定に効果的です。
SWOT分析
SWOT分析は、ビジネスDD(デューデリジェンス)において活用される分析手法の一つで、以下の企業の要素を分析します。
- Strengths(強み)
- Weaknesses(弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(脅威)
買収先企業の内部環境をStrengths(強み)とWeaknesses(弱み)、外部環境をOpportunities(機会)とThreats(脅威)で分析・評価し、総合的な企業の状況を把握します。
SWOT分析は、企業の現状と将来の可能性を把握できるので、戦略的な意思決定をサポートします。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、企業が提供する商品やサービスの価値を生み出す一連の活動を分析する手法です。
具体的には、内部プロセスや生産、物流、販売、アフターサービスなど、企業が関与する生産活動の効率性と利益貢献度を評価します。
バリューチェーン分析により、買収先企業の競争優位や改善の機会を特定できます。
VRIO分析
VRIO分析は、企業の資源と能力を評価するために以下の4つの要素を分析する手法です。
- Value(価値)
- Rarity(希少性)
- Imitability(模倣のしにくさ)
- Organization(組織)
VRIO分析を通じて、買収先企業が持つ持続可能な競争優位を特定できるので、戦略的価値が評価されます。
VRIO分析は、買収における戦略的決定において重要な役割を果たすでしょう。
PEST分析
PEST分析は、ビジネスDD(デューデリジェンス)において有効な外部環境を分析する手法で、以下の4つの要因を分析します。
- Political(政治的要因)
- Economic(経済的要因)
- Social(社会的要因)
- Technological(技術的要因)
PEST分析により、買収先企業が影響を受ける外部環境の変化を把握することで、変化に基づいた戦略的な意思決定を行うことができます。
PEST分析は、長期的な戦略立案に有効です。
5フォース分析
5フォース分析は、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏によって開発された、業界の競争環境を評価するための分析手法です。
5フォース分析は業界の競争の程度を把握するために、以下の5つの力を評価します。
- 既存の競争者間の競争
- 新規参入者の脅威
- 代替品やサービスの脅威
- バイヤーの交渉力
- サプライヤーの交渉力
ビジネスDD(デューデリジェンス)において5フォース分析を使用することで、買収先企業が属する業界の構造と競争状況を深く理解できます。
5フォース分析は、戦略的な意思決定を行うために効果的です。
ビジネスDD(デューデリジェンス)の注意点
ビジネスDD(デューデリジェンス)をする際には、いくつかの注意点を考慮する必要があります。
これからご紹介する注意点を押さえて、効果的なビジネスDDを進めましょう。
調査する項目を絞る
ビジネスDD(デューデリジェンス)をする際の注意点1つ目は、調査する項目を絞り込むことです。
効率的で目的に沿ったデューデリジェンスをするためには、最も重要な情報に焦点を当てる必要があります。
過度に広範な調査はリソースの無駄になる恐れがあるので、必要な情報を見逃すリスクがあります。
調査対象の選定には慎重に取り組みましょう。
厳重に情報を管理する
ビジネスDD(デューデリジェンス)をする際の注意点2つ目は、厳重に情報を管理することです。
ビジネスDDで集められる情報は、機密性が高く不適切な取り扱いをしてしまうと、企業の競争力や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。
集めた情報の安全な保管やアクセス制限、情報漏洩の防止策を設けることが不可欠です。
また、合意された情報共有の範囲を遵守し、関係者間での情報共有を適切に管理することも求められます。
自社でやらずに専門家に依頼する
ビジネスDD(デューデリジェンス)をする際の注意点3つ目は、自社でやらずに専門家に依頼することです。
ビジネスDDを自社でするには、知識や経験、ノウハウが足りないことが多いので、調査結果に信頼性がありません。
しかし、デューデリジェンスの専門家やコンサルタントに依頼することで、買収対象の事業分野に関する知識に加え、外部環境に関する幅広い知見やM&A全般に関する知識・経験などが豊富なので、調査結果を信頼できます。
特に、異業種の企業買収を考えている場合は何もわからないので、自社で行わずに専門家やコンサルタントを活用しましょう。
自社と専門家やコンサルタントでは、M&Aの成功率が大きく変わってきます。
まとめ:ビジネスDD(デューデリジェンス)を実施しよう
ビジネスDD(デューデリジェンス)は、M&Aの成功に欠かせない買収先企業の調査です。
市場状況の理解や商品やサービスの価値評価、買収先の強みの活用などのメリットを最大化できます。
効果的なビジネスDDをするには、専門家への依頼や調査範囲の明確化、外部・内部分析、シナジー効果の特定、事業計画の修正が必要です。
ビジネスDDには、SWOT分析やバリューチェーン分析、VRIO分析などが有効活用できます。
調査項目の絞り込みや情報管理の厳重化、専門家の活用に注意して、慎重かつ戦略的に進めることがM&Aの成功の鍵です。
M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
パラダイムシフトが選ばれる4つの特徴
- IT領域に特化したM&Aアドバイザリー
- IT業界の豊富な情報力
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