- なぜエイベックスをドコモが買収したのか?
- エイベックス株式会社はどんな会社なのか?
- エイベックスは今後どうなるのか?
エイベックス株式会社(以下「エイベックス」)は、NTTドコモ株式会社(以下「ドコモ」)にエイベックスが保有する「株式会社dTV」の株式を譲渡することを2022年1月27日に発表しました。
株式譲渡した理由は、音楽事業に注力したいからという発表でした。
この記事では、エイベックスの買収についてもっと知りたい事業を営んでいる方のために、M&Aアドバイザリーとして日本を代表する企業やベンチャー企業にM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担ってきた「株式会社パラダイムシフト」が、エイベックスの株式譲渡や会社情報について、これまでのエイベックス買収に関するニュースなどを解説します。
具体的には、
- エイベックスは「dTV」事業から離れるためNTTドコモに株式譲渡
- エイベックス株式会社は感動と驚きを届ける会社
- 「エイベックス買収」に関連するニュース
- エイベックスの業績
を解説します。
この記事を読むことで、エイベックスとドコモの買収話が把握でき、エイベックスのM&Aの全貌が分かります。
目次
エイベックスは「dTV」事業から離れるためNTTドコモに株式譲渡
エイベックスは2022年1月27日に、エイベックスが保有する「株式会社dTV」の株式を共同創業者であるドコモに譲渡することを発表しました。
エイベックスは2012年に、ドコモと共同でdTVを立ち上げました。
dTVはドコモの携帯電話ユーザー向けの定額制動画配信サービスで、2022年2月時点で約1,500万の契約がされています。
しかしエイベックスは、音楽事業に注力するためdTV事業から離れることを決意し、ドコモは単独でdTV事業を拡大するためにエイベックスから株式を取得したというわけです。
今回の株式譲渡により、dTVはドコモの100%子会社となります。
今後ドコモはdTV事業を拡大し、国内No.1の動画配信サービスを目指す方針です。
エイベックスは感動と驚きを届ける会社
音楽で有名なエイベックスですが、音楽以外にはどんなことをしている会社なのでしょうか。
エイベックスの会社概要や事業内容、企業理念をご紹介します。
会社概要
エイベックスの会社概要は以下の通りです。
会社名 | エイベックス株式会社 |
本社所在地 | 東京都港区麻布十番1-10-30 |
設立 | 1988年4月11日 |
代表者 | 代表取締役社長CEO 黒岩克己 |
売上高 | 1,293億円(2021年12月期) |
従業員数 | 3,761名(2021年12月時点) |
グループ会社 |
|
ウェブサイト | https://avex.com/jp/ja/ |
エイベックスは、1988年に松浦勝人によって設立された日本の総合エンターテインメント企業です。
音楽・映像ソフトの制作・販売など幅広く音楽事業を展開しており、近年はデジタルコンテンツの開発・配信にも注力しています。
エイベックスは、日本のエンターテインメント業界をリードする企業であり、日本文化を世界に広める役割を担っています。
事業内容
エイベックスの事業内容は以下の通りです。
事業内容 | 概要 |
音楽事業 | 音楽ソフトの企画・制作・販売、アーティストの育成・マネジメント、イベント・コンサートの企画・運営を行う。 |
映像事業 | 映像ソフトの企画・制作・販売、映画の配給・宣伝、イベント・コンサートの企画・運営を行う。 |
デジタル事業 | デジタルコンテンツの企画・制作・配信、インターネットサービス事業を行う。 |
マーケティング・プロモーション事業 | マーケティング・プロモーション活動、広告・宣伝活動を行う。 |
ライセンス事業 | 音楽・映像ソフト、キャラクター、ブランドのライセンスビジネスを行う。 |
インベストメント事業 | エンターテインメント関連企業への投資を行う。 |
企業理念
エイベックスの企業理念は以下の通りです。
エンタテインメントの可能性に挑みつづける。 人が持つ無限のクリエイティビティを信じ、多様な才能とともに世界に感動を届ける。 そして、豊かな未来を創造する。 |
エイベックスは上記の企業理念を2022年に策定しました。
才能や作品を通じて、感動や共感を提供し続ける企業でありたいという想いが強く表れている企業理念です。
「エイベックス買収」に関連するニュース
今回ご紹介したエイベックスとドコモの買収以外に、エイベックスの買収に関するニュースにはどのようなものがあるのか気になりませんか?
下記ではエイベックスの買収に関する3つのニュースをご紹介します。
エイベックス買収を目論む「高山直樹」とは?
高山直樹は日本の実業家で、投資会社「シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズ」の代表取締役を当時務めていました。
高山直樹は2022年10月11日に、エイベックスの株式公開買い付け(TOB)を発表したのです。
当時の高山直樹が買収宣言をした内容が掲載されている講談社発行の週刊誌「FRIDAY」の記事には、エイベックスの買収について以下のような理由を挙げています。
- エイベックスは、日本のエンタテインメント業界をリードする企業であり、日本の文化を世界に広めるポテンシャルがある。
- エイベックスは、デジタルコンテンツの開発・配信に注力しており、成長性が高い。
- エイベックスは、経営陣の交代が頻繁で、ガバナンスが不十分である。
高山直樹のTOBに対して、エイベックスの経営陣は反対の意向を表明しました。
TOB価格が不当に低く、高山の経営計画に問題があると判断したからです。
その後エイベックスは高山直樹の記事を問題視し、エイベックスが高山直樹に損害賠償請求を出しましたが棄却となりました。
エイベックスが前本社ビルを売却
エイベックスは2021年3月24日に、東京都港区南青山にある本社ビルをカナダの不動産ファンドである「ベントール・グリーンオーク」に売却すると発表しました。
売却価格は720億円で、2022年3月に完了しています。
エイベックスが本社ビルを売却した理由は、以下のようなことが考えられます。
- 新型コロナウイルスの感染拡大で、音楽ライブやイベントの開催が減少し、業績が悪化している。
- 本社ビルの維持費が高い。
- 本社ビルを売却することで、資金を調達し、経営の立て直しを図ることができる。
エイベックスの本社ビル売却は、エンターテインメント業界の経営環境が厳しさの証明でもあります。
今後、他の企業でも同様の動きは見られるかもしれません。
エイベックスはサイバーエージェントから出資を受けた
エイベックスはサイバーエージェントが第三者割当増資を引き受けたことで、エイベックス株式の約12.25%を取得することを2022年1月20日に発表しました。
エイベックスとサイバーエージェントは、音楽ストリーミングサービス「AWA」の共同運営を2017年から行っています。
今回の出資の目的は、「AWA」事業のさらなる拡大と成長を目指すためです。
エイベックスは近年、音楽業界のデジタル化の流れのなかで業績が低迷しています。
逆にサイバーエージェントは、ネット広告やゲーム事業で成長してきたIT企業であり、デジタルコンテンツのノウハウを十二分に持っています。
今回の出資により、エイベックスはサイバーエージェントのデジタルコンテンツのノウハウを活用し、デジタル事業の強化を図っていきます。
サイバーエージェントはエンターテインメント事業への投資を積極的に行っている企業なので、エイベックスへの出資によりサイバーエージェントはエイベックスのコンテンツやIPを活用し、エンターテインメント事業の拡大を図るつもりです。
エイベックスとサイバーエージェントの提携は、エンターテインメント業界の構造変化のなかで生き残りをかける戦略的な動きと言えるでしょう。
エイベックスの業績
さまざまな買収を経験して、エイベックスの業績がどのようになっているのか気になりませんか。
エイベックスの最新決算と今後の業績予想を解説します。
2023年3月期第3四半期決算
エイベックスの2023年3月期第3四半期決算は以下の通りです。
売上高 | 855億円(前年同期比12.5%増) |
営業利益 | 3344百万円(前年同期比14.8%減) |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 2826百万円(前年同期比17.4%増) |
売上高は、音楽事業やアニメ・映像事業の映画作品などの売上増加により増収となっています。
営業利益は、販管費の増加などにより減益でしたが、親会社株主に帰属する四半期純利益は投資有価証券売却益などにより増益です。
業績予想
エイベックスの2023年3月期の連結業績予想は以下の通りです。
売上高 | 4000億円(前期比54.9%増) |
営業利益 | 3300億円(前期比258.8%増) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 7315円(前期比258.8%増) |
まとめ:エイベックスのアニメ・映像事業が回復傾向!完全内製化で事業拡大へ
エイベックスは、新型コロナウイルスがライブエンターテイメントに大きな影響を与えた前期から業績を大幅に回復させるなか、特に業績を伸ばしたのが「アニメ・映像事業」です。
売上高は前年より14%減少しましたが、営業利益は2億1900万円の損失から12億5900万円のプラスに転じました。
売上高の減少はイベント関連の売り上げが引き続き減少したことにある一方で、アニメノンパッケージ部門の利益率が向上したことが利益拡大に繋がっています。
アニメノンパッケージ部門は、アニメ商品やライブ・舞台イベント、声優・アーティストマネジメント、放送・配信権料から構成されています。
今期のアニメ・映像事業主要作品である「おそ松さん」「ゾンビランドサガ」などが予想外にヒットしたことでノンパッケージ部門の利益が予想以上に伸びました。
また、アニメ・映像事業が伸びた要因は、アニメ制作とゲーム開発の完全内製化を実現して事業拡大に向けた体制を整えたからです。
体制を整えられたのは資金調達のための出資や売却、つまりM&Aのおかげ言っても過言ではありません。
M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
パラダイムシフトが選ばれる4つの特徴
- IT領域に特化したM&Aアドバイザリー
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