- ANAの買収(合併)について知りたい!
- ANAとJALの統合論が出るのはなぜか?
- 大赤字を出したANAが取った行動とは?
2020年11月にある国の航空会社が違う航空会社を買収したことで、ANAとJALの統合論が再び取り上げられました。
なぜ日本が誇る航空会社2社の統合論が、他国の航空会社の買収話がある度にニュースになるのでしょうか。
この記事では、ANAとJALの統合論が出る理由や大赤字を出したANAが取った行動、ANAの最新決算などを解説します。
具体的には、
- ANAがJALを「買収」ではなく「統合」の話題が出ている
- ANAとJALの統合論が出ている理由
- ANA(全日本空輸株式会社)とは
- 大赤字を出したANAが取った行動とは?
- ANAの最新決算
を解説します。
この記事を読むことで、最新のANAとJALの統合論の本質を知ることができます
目次
ANAがJALを「買収」ではなく「統合」の話題が出ている
2020年11月に大韓航空がアシアナ航空を買収することが明らかになりました。
- 大韓航空:国際貨物輸送で世界2位、国際旅客輸送では世界17位の韓国最大かつアジアで大手の航空会社。
- アシアナ航空:1988年に設立された韓国で2番目に大きい航空会社。
他の航空会社の買収話が出ると必ず話題になるのがANAとJALの統合論です。
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を任命された経験がある経済学者の竹中平蔵氏は、「両社が一緒になったらいい」との見解を明らかにしたことで再燃しました。
しかし、ANAもJALも統合という考え方を否定してきました。
日本市場については、経済規模から見て大手が2社ある必要はなく再編すべきだという考え方もありますが、日本の航空行政は独占禁止法の考え方を重視しながら進められています。
現在業界関係者からは、「特にANAが厳しい状況に置かれている。ANAとJALを統合させた上で、ANAHDが出資するスカイマークなどは完全に独立させ、国内線での競争環境を保つというような考え方はあり得る」という意見も出ています。
ANAとJALの統合論が出る理由
なぜANAとJALの統合論が度々出るのでしょうか。
下記では大韓航空がアシアナ航空を買収したときに統合論が出た理由を解説します。
新型コロナウイルス拡大による不況
新型コロナウイルスの影響により航空業界は大きな打撃を受けました。
旅行や出張などが制限されて需要が激減したことで、多くの航空会社が経営環境の厳しさを訴えました。JALも例外ではありません。
両社はこれまで主力であった国際線におけるビジネス需要が大幅に落ち込んだことから、国内線や貨物輸送などへのシフトを図りましたが経営難が続いています。
そのため、両社は経営効率化やコスト削減の対策が急務です。
統合によって経営効率化やコスト削減を実行することで経営が回復することが期待されるので、両社の統合論が出てしまいます。
他国の航空会社の動向
ANAとJALの統合論が出るのは他国の航空会社に動きがあることが原因です。
特に中国の航空会社は近年急速に成長しており、世界でも最大手の1つとして認知されています。
アジアのLCCは安価な運賃やユニークなサービスを提供することで人気を博しています。
中国やアジアの航空会社は、競争力を高めるため新しい機材の導入や最新の技術を取り入れるなど積極的な投資を行っています。
しかし、日本の航空会社は国内線市場が傾向的に縮小していることから海外市場に反応する余裕がありません。
このことから、他国の航空会社の動向に敏感になるためANAとJALの統合論がニュースになりやすいです。
ANA(全日本空輸)とは
統合論が出ているANA(全日本空輸)はどのような会社なのでしょうか。
下記ではANA(全日本空輸)の会社概要や事業概要、経営理念を解説します。
ANA(全日本空輸)の会社概要
ANAグループは、航空事業を中心として国内外の航空ネットワークや顧客基盤としてさまざまな事業を展開しています。
持株会社のANAホールディングス(株)が最適な経営資源の配分をして、各事業会社の自律的な経営をサポートしグループ全体で持続的な企業価値の向上を目指しています。
以下の表でANA(全日本空輸)の会社概要と主要事業所を紹介します。
会社名 | 全日本空輸株式会社(ALL NIPPON AIRWAYS CO. LTD.) |
代表者 | 代表取締役社長 井上 慎一 |
創業日 | 2012年(平成24年)4月2日 |
資本金 | 25,000百万円 |
従業員 | 13,689名(2022年3月31日現在) |
本社 | 〒105-7140 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター |
国内事業所 | 東京支店、名古屋支店、大阪支店他 |
海外事業所・拠点 | 北京、大連、上海他 |
ANA(全日本空輸)の事業概要
以下の表でANA(全日本空輸)の事業概要を紹介します。
事業 | 事業内容 |
| 人材・ビジネスサポート、調査研究・シンクタンク、総合商社、不動産・保険、ビルメンテナンス、コンタクトセンター、フライトケータリング、貨物・物流、航空機操縦士養成、車両整備、航空機整備、航空運送、セールス&マーケティング、空港地上支援 |
ANA(全日本空輸)の経営理念・ビジョン・行動指針
以下の表にANA(全日本空輸)の経営理念やビジョン、行動指針を示します。
経営理念 | 安心と信頼を基礎に世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献する |
ビジョン | お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指す |
行動指針 | 私たちは「あんしん、あったか、あかるく元気!」に次のように行動する。
|
大赤字を出したANAが取った行動とは?
新型コロナウイルスの拡大などの影響によりANAは大赤字を出しました。
下記では大赤字を出したANAがとった経営回復の対策を解説します。
経営陣の給与カット
ANAの大赤字を出したことを受け、経営陣は自主的な給与カットを行いました。
具体的には、会長や社長をはじめとする取締役や執行役員への報酬を最大90%削減し、給与水準の高い管理職やスタッフも給与を一定期間自主的にカットしました。
また、全従業員に対して一定期間の休職や短時間勤務を課しました。
従業員や労働組合からの批判もありましたが、ANAの経営陣は事業の継続を優先しました。
しかし、給与カットや休職に対する補償策も検討し社員に対する支援も行っています。
経営環境の変化に対応し適切な対策を打ち出すことが、ANAの持続的な成長につながると考えた結果とった行動です。
早期退職希望者を募集
ANAは、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化したため、2020年6月に早期退職希望者の募集を行いました。
募集対象はANAグループの全従業員で、最大1,000人で応募条件は満60歳以上、入社から5年以上の勤続歴の条件でした。
勤続年数に応じて最大で3,000万円まで支給されます。
早期退職希望者の募集は、ANAが業績悪化によりコスト抑える必要があったため行われました。
ANAは業績悪化に対応し経営の持続性を整えることができました。
他社のホテル事業への参画
ANAは業績悪化の改善策として自社以外のホテル事業にも積極的に参画しています。
2019年には、IHG(インター・ホテルズ・グループ)と提携して、日本国内のANAグループの施設内に「ANAクラウンプラザホテル」を展開することを発表しました。
2020年にはホテル予約サイト「楽天トラベル」と提携して、「ANA楽天トラベル」を共同運営することを発表しました。
ホテル事業への取り組みにより、ANAは自社だけでなく他社の事業にも積極的に参画し業績悪化による経営不安に対応することができました。
ANAの最新決算
出典:2023年3月期第3四半期決算および通期業績予想について
ANAホールディングスは2023年3月期の第3四半期決算および通期業績予想を発表し、売上高を伸ばしつつあります。
コスト管理を徹底したほか、公租公課の減免等のご支援の継続もあり第2四半期に続き営業利益・経常利益・純利益が前回予想比で増加する見込みです。
新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けていたが、最近の渡航緩和もあり徐々に回復していくでしょう。
ANAのJAL買収は話題作り!大赤字のANAがとった行動に目を向ける
ほかの航空会社同士の買収や合併のニュースが出る度に、ANAとJALの統合論が話題に上がります。しかし、ANAとJALの統合論は注目を集めるための話題作りでしかないです。
統合論よりも注目すべきは大赤字を出したANAがとった行動です。
ANAは新型コロナウイルス拡大などで経営に大きな打撃を受けました。
対策として経営陣の自主的な給与カットや従業員の休職・短時間勤務、早期退職希望者の募集などのコスト削減策を行いました。
このように、ANAは自社の経営状況を改善するためにさまざまな対策に取り組むことで回復に向かっています。
ニュースは有益な情報もありますが正確な情報とは限らないので本質に目を向けるようにしましょう。
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