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トヨタ子会社による買収。今期決算と合せてポイントや考え方を解説。

日本だけでなく世界の自動車産業を牽引するトヨタ自動車株式会社。トヨタは自社だけを発展・拡大させるだけでなく、同業社を買収したり、事業提携をしたりし、日本の自動車産業の発展に貢献しています。

100年弱の長い歴史を持つトヨタは、これまでの企業規模を築くまでにどのような過程をたどり、現在に至ったのでしょうか。

今回の記事では、トヨタ自動車株式会社について、決算情報を交えながら企業情報や歴史を紹介するとともに、同社の買収に対する考え方を解説します。

トヨタの企業情報と歴史

トヨタ自動車株式会社は日本最大手の自動車メーカーです。トヨタグループの自動車販売数は2022年まで3年連続世界最大となっており、世界においても自動車メーカーを牽引する立場と言っても良いでしょう。最初の章では、トヨタ自動車株式会社の概要やグループの歴史、買収における考え方について紹介します。

トヨタグループの概要

トヨタグループの親会社であるトヨタ自動車株式会社は、愛知県豊田市に本社を置く企業です。グループの傘下には、自動車事業を中心に、部品や自動車本体を製造・販売する企業が数多く有ります。その中には日野自動車ダイハツ工業など、名のある企業も含まれています。

トヨタグループ傘下の多くの企業は、トヨタ製自動車の製造・販売などに関わる子会社がほとんどです。しかし、株式会社デンソーや株式会社アイシンなどは技術力や商品レベルの高さが評価され、トヨタグループ以外の企業へも部品を供給しているサプライヤーです。

トヨタ自動車の歴史

トヨタ自動車の歴史について見てみましょう。創業は1933年、豊田自動織機製作所(現:豊田自動織機)の社内部署である自動車部が自動車の開発を開始しました。そして、1936年に乗用車とトラックを発表し販売へこぎ着けたのです。そしてその翌年、「トヨタ自動車工業」を設立しました。

その後、第二次世界大戦での被害や倒産の危機、朝鮮戦争の特需を経て、「トヨタ自動車販売株式会社」を設立。1960年以降は自動車販売の整備を整えて、世界進出も果たしました。

バブル崩壊後は、日本の自動車業界が全体的に大きな打撃を受け、トヨタの業績も下降していた。しかし、環境保護を推進するハイブリッドカーのイメージを確立させ、2003年3月には世界で単独3位の企業規模を誇る大企業へと成長を果たしました。

2000年後半、リーマンショックやトヨタの大規模リコールが発生した頃は、トヨタ最大の危機と言っても良いでしょう。しかし、様々な企業努力で赤字を脱却、2013年には営業利益1兆円を突破しています。

そして、2015年以降は100年に1度の大改革の時代と称し、自動車の自動化や電動化などの技術革新をいち早く打ち出しているのが現状です。

出典:トヨタ自動車75年史|トヨタ自動車株式会社

トヨタの買収における考え方

日本を代表する企業を言っても過言でもないトヨタグループは、他社との関係強化のために業務提携や買収を進めてきた一面もあります。この章では、トヨタグループが実施してきたM&Aの歴史やその考え方について紹介します。

トヨタが実施した買収の歴史

まずは、これまでにどのような企業と関係を築いてきたのか見てみましょう。

1966年トラックやバスの製造メーカー日野自動車と業務提携
1967年自動車メーカー、ダイハツ工業と業務提携
2005年10月富士重工業の筆頭株主となり提携
2008年セントラル自動車を完全子会社化
2016年3月ヤンマーホールディングスとマリン分野の業務提携
2017年2月スズキと業務提携の基本合意
2017年8月マツダとの資本提携と技術提携を締結
2022年東北大学と社会課題の解決に向けた連携協定を締結

100年弱の歴史を持つトヨタグループとして見ると、買収した会社数は少なく、業務提携へ注力しているのが目立ちます。そして、その業務提携の数もそこまで多いと言うわけではありません。

しかし、1つ1つの会社との関係性を細かくみていくことで、トヨタグループの買収に対する考え方がわかってきます。

トヨタの買収でつながる日本の自動車業界

トヨタグループの傘下である企業の中には、ダイハツ工業や日野自動車などの大手企業も含まれています。この二社との関係を時間軸で見てみましょう。

トヨタが最初に日野自動車との協力関係を築いたのは、株式を取得し業務提携を締結した1966年です。その後、2021年にトヨタの完全子会社となりました。トヨタは初めから企業を単純に買収して取り込むのではなく、協力関係から始め、徐々に深い関係を築いていることがわかります。

ダイハツ工業においても同様、株式を取得したのは1967年で業務提携から関係が始まりました。その後1998年に子会社化、2016年に完全子会社化と長い時間を掛けながら順を追って関係を深め続けています。

特に、トヨタ自動車の主要市場は国内ではなく海外の新興国へ移っています。その新興国の中でも最近では個人へ向けた環境車や、安全性の向上を重視するなど、市場が求めるものは以前と比べ大きく変化してきました。

こうした中でトヨタは、小型車を得意とするダイハツへの出資率を100%に切り上げ、ダイハツがその市場を引き受けるための体制を整えた背景があるのです。

その他にも、スバルやフタバ産業など多くの自動車業界の企業の筆頭株主を務め、日本の自動車業界を牽引しています。

トヨタ先端技術を担うウーブン・プラネットとは?

2018年に設立したウーブン・プラネット・ホールディングス株式会は、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社が前進で、トヨタグループの子会社です。トヨタグループ内の先行開発や研究において加速化を強化するための企業で、同社が近年、多くの大型案件の買収を実施していることで話題となっています。

2021年4月配車サービスの大手、米リフトの自動運転部門を買収
2021年7月道路情報解析や高精度地図生成する米カーメラを買収
2021年9月シリコンバレーを拠点とするRenovo Motors, Inc.を買収

これらの買収により世界でもトップクラスのエンジニアチームを形成し、新システムやソフトウェアの開発、エコシステムの確立が期待されています。

ウーブン・プラネットが買収したリフトとは?

2021年に買収した米リフトについて詳しく見てみましょう。

配車サービス大手の米リフトは、Facebookを介した長距離の相乗りをマッチングするシェアライドサービスを提供していました。ドライバーの評価システムや課金システムなどを導入しており、ウーバーに続くシェアを誇ります。

しかし、リフトは自社の財務体質が原因で企業規模を拡大できずにいました。こうした中、トヨタがリフトの自動運転事業を買収することを名乗り出たのです。自動運転事業は、ドライバーコスト等を削減できる技術です。これによりリフトは、シェアライドのサービスに注力できる形となりました。

トヨタが買収した自動運転技術の日本市場

日本は自動運転技術の分野で他国に後れをとっています。近隣の中国では、完全自動運転技術を搭載したタクシーが販売を開始しているほどです。トヨタでも自動運転の技術を自社開発してきましたが、海外勢から受ける影響は大きく、自社以外の技術やシステムを取り入れ、開発を急ぐ必要があると考えたことがわかります。日本の自動運転の技術は、今まさに進化を遂げている最中と言えるでしょう。

トヨタの今期決算から見る自動車業界

最後にトヨタの決算状況について解説していきます。

2022年は、ご存知の通り、ウクライナ情勢の悪化上海のロックダウンなどで経済状況が急激に変化しました。さらに、そこへ重なる円の不安定な変動で、トヨタだけでなく自動車業界全体が大きな打撃を受けています。

トヨタは海外でも自動車を販売したり、部品を輸入したりしています。自動車販売において着目すると、海外に商品を販売できるトヨタは円安になると販売台数が上昇し、販売利益も増えると言う見方ができます。

しかしその反面、海外生産の部品を輸入して自動車を生産しているトヨタは、先の社会情勢の不安定さからくる原油価格や物価の高騰などマイナスの影響を受けているのも現状です。

そのため、商品の原価や価格も上昇し、単純に利益が増えたとは言えない状況下にあることがわかります。

問題はこれだけでなく、長く続く半導体不足もトヨタの決算に大きく影響している状況です。半導体の部品はここ数年品薄の状態で、代替え部品の確保が難しくなっています。特に、日本や欧米で販売する自動車は半導体の影響が出やすく、販売台数増加の足かせとなってしまっているのです。

このような状況から先を見通すのは難しく、今回の決算では、高水準を保ちながらも下方修正の結果となりました。

社会情勢を見極めながら新技術の買収でさらなる発展を目指すトヨタ

今回の記事では、トヨタのこれまでの歴史や最近の傾向とともに、今期の決算状況や買収に対する考え方をお伝えしました。トヨタは今や一つの大企業ではなく日本を代表し、日本の自動車産業を支える企業の中枢と言えるでしょう。

今後、日本の自動車産業を発展させるために、トヨタだけでなくそれ以外の自動車企業が協力体制を整えて開発を進めていくことが期待されます。

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