M&A

M&Aにおけるシナジーとは? 今さら聞けない基本を解説

企業同士のM&Aに関する報道では、頻繁に「シナジー」や「シナジー効果」という言葉を耳にします。

M&Aを活用することで、売上やコスト削減など、さまざまなシナジーに期待できます。しかも、その効果は1+1が2になる以上の、10にも100にもなる可能性を秘めています。

今回はM&Aにおけるシナジーの基礎知識やシナジーの種類、およびM&Aによって大きなシナジーを得た事例について解説します。

1. M&Aにおける「シナジー」とは

シナジー(synergy)とは、もともと薬学や生理学、生物学分野において、「2つ以上の要素が相互に作用することによって、単体で得られる以上の結果を上げること」を表す専門用語です。

ビジネス分野においては、「2つ以上の企業ないし事業が統合することにより、単独よりも大きな成果を挙げること」を指しており、「戦略的経営の父」として知られるアメリカの経営学者イゴール・アンゾフが、世界で初めてビジネスの分野で用いました。
M&Aによって2つ以上の企業ないし事業が統合することで、1社だけでは成し得ない売上・収益の増加、大幅なコスト削減、商品開発の技術力の向上といったシナジー効果が期待されます。

たとえば、家具や寝具の製造・販売メーカー(買い手)が、ホームセンターを展開している企業(売り手)をM&Aによって買収、ホームセンター事業に新規参入を図るとします。
買い手企業は、売り手企業が持つ商品開発能力や販売チャネルを取り込むことで、1から新規事業へ参入するよりも格段に早く事業を展開して、売上やコスト削減の面で大きなシナジー効果を得ることができます。

なお、シナジー効果とは逆で、2つ以上の企業が統合することでマイナスの効果が生じることを「アナジー効果」と言います。

2. M&Aにおけるシナジーの4分類

M&Aにおけるシナジー効果は、以下の4種類に分類されます。

  • 売上シナジー
  • 研究開発シナジー
  • コストシナジー
  • 財務シナジー

それぞれのシナジー効果について、詳しく見ていきましょう。

(1) 売上シナジー

売上シナジーとは、2つ以上の企業や事業がM&Aによって協力関係を築いたり、経営を多角化したりして、別々に運営していたときよりも大きな売上をもたらすことを指します。
簡単に言うと、売上においてM&Aによる効果が1+1=2ではなく、1+1が2以上になることを期待するシナジーです。

たとえば、売上高5,000万円の企業と3,000万円の企業が、販売チャネルの増加を見込んでM&Aを実施、一年後の売上高が1億円になった場合、売上シナジーがもたらされたことになります。

M&Aにおけるシナジー効果の4分類において、もっともポピュラーで定量化しやすいという特徴もあります。

(2) 研究開発シナジー

研究開発シナジーとは、高い技術力を保有する企業同士が、M&Aによってそれぞれの得意な研究分野を融合させ、商品開発の技術力を向上させることです。

たとえば、医療用医薬品のノウハウを持つ企業と、一般用医薬品のノウハウを持つ企業がM&Aを実施して共同開発を行えば、単独ではできなかった医薬品を開発できる可能性があります。
製品開発に限らず、管理システム、社員教育プログラム、研修プログラムなど、M&Aの当事者企業が双方の経営資源の強みを活かしたシナジー効果に期待できます。

比較的定量化しにくいというデメリットこそあるものの、シナジー効果がもたらされれば、企業の長期的な競争優位性が得られます。

(3) コストシナジー

コストシナジーとは、2つ以上の企業がM&Aによって1つになることでスケールメリットを得、生産や物流などのコストを削減することを指します。

たとえば、同じ原材料で製品を製造している企業同士がM&Aを行い、そのスケールメリットを活かして原材料を大量購入することで、生産コストの低下が図れます。
M&Aによって企業の規模を拡大すれば、それだけ大量仕入や物流の統一、価格交渉力の強化などが可能になります。コストを削減したぶん利益が増えることになるため、コストシナジーは売上シナジーと同様の効果に期待できます。

とくに同業種の企業同士がM&Aを実施した場合、大きなコストシナジーが生じる傾向にあります。

(4) 財務シナジー

財務シナジーとは、M&Aによって資金調達力を増強したり、節税したりすることを指します。

とくに財務状態の良い優良企業同士のM&Aで見られ、一方の企業が債務超過を抱えているような場合には財務シナジーが発生しません。

このような特徴があることから、4つのシナジーのなかでもっとも効果が得にくいと考えられます。

3. 代表的なシナジー効果の事例

M&A果によって大きな収益を上げたり、急成長を遂げたりしてシナジー効果を得た企業の事例をご紹介します。

(1) ソフトバンクのM&A事例

M&Aによるシナジー効果を語る上で欠かせない企業がソフトバンクです。ソフトバンクの歴史はすなわち、企業買収の歴史と言っても過言ではありません。

ソフトバンクの名前を一躍有名にした事例が、2006年のボーダフォン日本法人の買収です。
当時、携帯電話事業への参入を検討していたソフトバンクは、いち早く事業展開を進めるために、ボーダフォン日本法人の買収へと踏み切りました。

ボーダフォン日本法人を買収することで、ソフトバンクは携帯電話事業の新規参入でありながら、1,500万ユーザーの獲得に成功しました。
さらに、双方が持つ通信ネットワークの統合や販売チャネルの統合、グループとしての効率的な設備投資などを通じ、ソフトバンクは事業のさまざまな側面で効率化を図りました。

ボーダフォン日本法人に限らず、さまざまな企業とのM&Aにより、ソフトバンクは日本を代表する企業へと成長を遂げます。

(2) GoogleのM&A事例

Googleは、スタートアップの戦略的買収による自社サービスの創出を大きな軸としています。そのなかでも成功事例として語られるのが、YouTubeの買収です。

Googleは2006年にYouTubeを買収しています。当時のYouTubeは創立2年に満たないスタートアップでしたが、Googleは16.5億ドルというスタートアップの買収としては異例の高額買収によってYouTubeを獲得しました。

当時のYouTubeにアップされている動画は権利問題を抱えるものがほとんどで、ほぼ売り上げもなく、赤字が続いていました。
しかし、Googleは長期的に見て動画プラットフォームのニーズは右肩上がりになると判断、自社で開発していたGoogle Videoの伸び悩みもあり、同じ動画プラットフォームのYou Tubeの買収に踏み切ります。

現在、YouTubeは動画プラットフォームとしてはもちろん、検索エンジンとしては世界で2番めに利用されており、2019年の売上は150億ドルに達しています。

売上シナジーにとどまらず、動画プラットフォームと検索エンジンの研究開発を統合することで研究開発シナジー、コストシナジーも実現しており、M&Aにおけるシナジー効果の代表例に挙げられる事例です。

(3) ニトリホールディングスの事例

3つめは、想定のシナジー効果が得られるかどうか、今後の動きに注目が集まる事例をご紹介します。

2020年11月13日、家具・インテリア大手のニトリホールディングスが、ホームセンター中堅の島忠を1株5,500円のTOB(株式公開買い付け)によって完全子会社化することを発表しました。同年12月29日にTOBが成立し、正式に島忠はニトリ傘下となります。

ニトリが島忠を完全子会社化する目的の1つは、事業拡大です。
ニトリのメイン事業である家具・インテリアは人口減少により国内市場が縮小しており、成長に限界が見えています。

一方、島忠のホームセンター事業はニトリにとって親和性が高く、参入もしやすい分野です。ニトリが島忠を完全子会社化することで、売上シナジーはもちろん、共同開発による研究開発シナジーにも期待できます。

2つめの目的は島忠が首都圏に持つ店舗網を手に入れることで、郊外型の大型店舗で成長してきたニトリが首都圏への進出が容易になり、大きな売上シナジー、あるいはコストシナジーが見込まれます。

ニトリと島忠のM&Aのみならず、現在ホームセンターは業界再編が進んでおり、今後の市場の動きに注目が集まっています。

ニトリのM&A事例については、こちらのコラムもご参照ください。
ニトリ・DCM 島忠争奪戦のTOB、争奪理由

4. まとめ

M&Aにおけるシナジー効果の基礎知識、および過去の成功事例を解説しました。

「M&Aは時間を買う」とも言われます。自社が欲する技術やノウハウ、人材、販路などをM&Aによって手に入れることで、売上やコスト削減などさまざまなシナジー効果に期待できます。

シナジー効果の事例では国内外を代表する企業の例をご紹介しましたが、M&Aを実施する際には企業規模に関係なく、シナジー効果の最大化を模索することが重要です。

弊社パラダイムシフトは、IT分野のM&Aに特化したM&Aアドバイザリーです。会社や事業のM&Aを検討されているベンチャー企業の経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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