M&A

ベンチャー企業のM&Aの方法は? 注意点を解説!【事例5選】

ベンチャー企業のイグジットは、株式上場・新規公開株(IPO)のほかに、M&Aという選択肢もあります。
米国では株式上場・IPOの比率は全体のわずか20%弱で、M&Aは実に80%以上に増加しています。

日本でも近年、ベンチャー企業・スタートアップ企業のM&Aが盛んに行われているものの、まだまだ株式上場やIPOに比べると少数派です。

今回は、ベンチャー企業がM&Aを成功させるために知っておきたいM&Aの方法や注意点、昨今のベンチャー企業・スタートアップ企業のM&A事例を解説します。

1. ベンチャー企業のM&A(売却)の方法

ベンチャー企業が会社あるいは事業を売却する方法には、大きく分けて2種類あります。

1つは「相対(あいたい)方式」と呼ばれるもので、特定の買い手候補と1対1で交渉を進める方法です。間にM&A仲介会社が入ることもあるため、マッチング方式やM&A仲介方式とも呼ばれます。

もう1つは、「入札(オークション)方式」と呼ばれる方法です。複数の買い手候補に入札価格およびその他の取引条件を提示させ、その中から最良の条件を提示した買い手候補を売却先として選び、最終交渉を進めていきます。

いずれの方式にもメリット・デメリットがありますので、以下で詳しく解説していきます。

(1) 「相対方式」は非上場企業のメジャーなM&A方式

非上場企業のM&Aでは、通常、相対方式が採用されます。相対方式のメリットは、買い手候補1社1社と交渉を進められることです。

売り手と買い手が1対1で売却価額をはじめとして、売却後の経営陣や従業員の処遇、ステークホルダーとの関係、売却プロセスに関する要望などについて交渉します。
希望する事項が多岐にわたる複雑な取引では、信頼できる買い手候補と交渉できる相対方式のほうが、自社の意向に沿った結果が得られやすいと考えられます。

さらに、事業の価値を理解してくれる買い手が少ない場合や、特定の買い手しか考えられない場合は、当然ながら相対方式を採用することになります。

相対方式は良い買い手候補に恵まれれば交渉をスムーズに進められますが、そうでなければ取引に時間がかかってしまうというデメリットもあります。
M&Aを好条件で進めるためには、早期に良い買い手候補を見つけることが重要です。そのためにも、仲介役となるM&A仲介業者選びが売却成功のカギを握ります。

(2) 「入札方式」は業績の良い優良企業が採用する方式

入札方式は多くの買い手候補が興味を示すベンチャー企業、すなわち、ビジネスモデルが優れていたり、経営状態がとくに良かったりするなど、買い手側から見て魅力的なベンチャー企業に向いている売却方式です。

一般のオークションのように買い手が競り合うほど、売却価額が高額になる傾向にあります。また、価値評価を決めることが難しい企業や事業に対して、複数のプロの買い手が入札をするプロセスで適正な価値に集約されていきます。

ただし、売り手側は買い手候補への情報提供前に、ベンダーDD(デューデリジェンス)という手続きが必要です。
ベンダーDDとは、買い手側候補がM&Aを検討するにあたって必要と考えられる情報を事前に調査することで、売り手側自身が監査法人などに依頼して行います。

以上のように、入札方式は売却する会社や事業の価値を最大化できるというメリットがある一方で、売却までに複雑なプロセスが必要となり、相対方式よりも時間がかかるというデメリットもあります。

2. ベンチャー企業のM&Aの注意点

ベンチャー企業がM&Aで会社や事業を売却するにあたっては、以下の4つの点に注意が必要です。

  • 希望通りの価格で売却できない可能性もある
  • M&A完了までには時間がかかる
  • 財務状況に誤りがあると信用を失う
  • 従業員のモチベーション低下や離職につながるリスクがある

(1) 希望通りの価格で売却できない可能性もある

売り手側が想定した価格や希望の価格で、会社や事業を売却できるとは限りません。相対方式であれ入札方式であれ、もっとも高く売れるタイミングで売却することが大切です。
M&Aは法務・財務・税務などの専門的な知識が必要となるため、経営者だけでM&Aを行うことは困難を極めます。
したがって、ベンチャー企業のM&Aは、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーに相談してサポートを受けることが重要です。

M&Aの専門家を活用しないで経営者だけで判断すると、相場感から大きく外れた売却価額を提示してしまって買い手が付かなかったり、逆に相場よりも安く売ってしまったりします。

実績豊富な専門家に相談することで、自社のニーズに合う買い手候補の紹介や、交渉の代理人を務めてもらうといったサポートを受けることができます。

(2) M&A完了までには時間がかかる

ベンチャー企業のM&Aは、一般的に半年から1年程度の時間がかかります。通常のM&Aであっても、アドバイザーの選定、ベンダーDD、買い手候補さがし、交渉、契約、PMI、資料作成といった複雑なプロセスを経るためです。
スピーディーにM&Aを完了させるのであれば、早期にM&A仲介会社やM&Aアドバイザリーに依頼して、できる手続きから進めておく必要があります。

さらに、いざM&Aに踏み切ったところで、買い手候補さがしが難航することも少なくありません。よしんば買い手候補が見つかったとしても、交渉次第では決裂する可能性もあります。

M&Aの成功への近道は良いM&A仲介会社や、良いM&Aアドバイザリーに依頼することですが、並行して自社で買い手候補を見つけることも重要です。

(3) 財務状況に誤りがあると信用を失う

M&Aでは、買い手側がM&Aを検討するにあたって、売り手側が自社の正確な財務状況を提供する必要があります。

万が一、簿外債務や未払い給与が見つかった場合、売却価額が当初より引き下げられるだけでなく、企業としての信用も失ってしまいます。
こうしたリスクを避けるためにも、事前にベンダーDDを実施して財務状況に問題がないか確認しておくことが大切です。

(4) 従業員のモチベーション低下や離職につながるリスクがある

M&Aによって自社の社風や労働条件を変えなければならない場合、従業員のモチベーションの低下や離職につながるリスクがあります。
とくにベンチャー企業は従業員が少人数で、従業員1人あたりの企業価値に与える影響が大きいため、重要人物の離職は売却価額を大きく下げる要因にもなりかねません。

ベンチャー企業の経営者はM&Aに着手する前に従業員と話し合い、社風や労働条件の変化についての不安を取り除くようにしましょう。ただし、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーと事前に相談してから、最良のタイミングで話し合いの場を設けることが重要です。

3. ベンチャー企業・スタートアップ企業M&Aの事例5選

昨今のベンチャー企業・スタートアップ企業のM&Aで注目すべき事例を5つご紹介します。

(1) KDDIがIoT通信スタートアップの「ソラコム」を買収

日本3大キャリアのひとつKDDIは、2017年8月にIoT通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムを連結子会社化しました。
買収価額はスタートアップ企業の買収としては異例の約200億円、ソラコムは成立から約2年半足らずでイグジットとなったことも異例です。

SORACOMはIoT無線通信をグローバルに提供するプラットフォームで、1回線・1日10円からの従量課金で利用でき、提供開始から4年半で契約回線数が200万を突破しています。

(2) 投資ファンドのポラリスが製菓スタートアップの「BAKE」を買収

投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループは、2017年7月31日に製菓スタートアップ企業の「BAKE」を約100億円で買収しました。
国内スタートアップ企業としては異例の高額な売却価額もさることながら、創業から4年でイグジットというスピード感も業界で注目された点です。

BAKEはおもに国内外でチーズタルト店を出店するほか、オウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」によって企業認知と事業拡大に成功しています。

(3) ヤフーがレシピ動画クラシル運営の「dely」を買収

ヤフーは2018年7月にレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdelyを約93億円で買収しました。

delyはこのM&Aにより、ヤフーが有する広告・ECコマース事業等の多彩なリソースを活用することが可能になり、独自性や優位性をより強化することに成功しています。

(4) パナソニックがハードウェア製造ベンチャーの「Shiftall」を買収

パナソニックは2018年4月にネット家電ベンチャーの「Cerevo」に対し、「Shiftall」というハードウェア製造の子会社を設立させたうえで、その子会社を買収するという複雑な手法でM&Aを行いました。

ベンチャー企業はどうしても資金繰りに苦労しがちな面があり、M&Aは資金調達のひとつのスキームでもあります。Cerevoはshiftallを売却したことで資金調達に成功、パナソニックはCerevoが友于するIoT技術を手に入れることに成功しています。

(5) 富士フィルムが米再生医療ベンチャー「セルラー・ダイナミクス・インターナショナル」を買収

富士フィルムは2015年にアメリカの再生医療ベンチャー「セルラー・ダイナミクス・インターナショナル」を約368億円で買収、iPS細胞の開発・製造能力を獲得しています。

富士フィルムはヘルスケア事業を将来の柱と位置づけており、2014年に再生医療分野に参入、M&Aや事業提携で急速に事業を拡大させていました。

5. まとめ

ベンチャー企業のM&Aの方法や注意点、昨今の主な事例を解説しました。

本記事で解説したように、ベンチャー企業がM&Aでイグジットを成功に導くには、最良のM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーを見つけることが重要です。

弊社パラダイムシフトは、IT分野のM&Aに特化したM&Aアドバイザリーです。会社や事業の売却を検討されているベンチャー企業の経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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