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TOB(株式公開買付け)の規制についての基本と改正事項について解説!改正情報まで

株式公開買付け(TOB)を理解することは、企業の成長戦略を考える上で欠かせません。

TOBには厳格なルールが定められており、2024年の通常国会にて、「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案」が成立されました。

本記事では、TOBの基本から規制の必要性、最新の法改正の詳細までを分かりやすく解説します。

この記事を読むことにより、TOBを検討する際に適切な対策を講じることができるでしょう。

TOB(株式公開買付け)とは?

TOBの概要

株式公開買付け(TOB)は、企業が他の企業の株式を公開市場外で直接購入することを指します。

TOBを実施する主な方法には、株式購入、合併、株式交換、株式提供、会社分割、事業譲渡があります。

TOBには、特定の規制が適用され、公正取引委員会(FTC)のルールにより、総国内売上が一定基準を超える企業が他の企業の投票権を一定割合以上取得する場合、FTCへの事前通知が必要です。

これには、通常30日間の待機期間が伴いますが、必要に応じて短縮されることがあります。

TOBを行う目的

TOBの目的は多岐にわたりますが、主に企業の成長戦略、市場シェアの拡大、技術やリソースの獲得などが挙げられます。

また、TOBは株式市場での取引を経由せずに直接行われるため、取引の秘密保持が可能であり、市場の混乱を避けることができます。

TOB規制について

TOBの規制とは?

株式公開買付け(TOB)は企業が他の企業の株式を取得する手段の一つであり、市場の公平性と透明性を確保するためには適切な規制が不可欠です。

TOBを実施する際には、金融商品取引法(FIEL)に基づき、取引前の事前通知義務や公開買付けの条件の公表など、一定のルールと手続きが設けられています。

事前通知は公正取引委員会(FTC)に対して行われ、一定の売上基準を超える企業が特定の株式を取得する場合に必要とされます。

規制の必要性

公開買付けの申し出が市場に与える影響は大きく、不公正な取引やインサイダー取引を防止するために、TOBの規制は企業だけでなく投資家にとっても重要です。

たとえば、公開買付けによる株価の急激な変動を回避し、投資家が適切な情報に基づいて投資決定を行えるようにするためです。

TOBの規制の中でも特に重要なのが、義務的公開買付けです。

これは、特定の割合以上の株式を取得しようとする場合、全株主に対して公平に買付けを行う必要があるという原則に基づいています。

これにより、少数株主が不当に扱われることを防ぎ、全株主が平等に扱われることを保証します。

規制検討の背景と歴史的変遷

日本では、1990年代にバブル経済が崩壊して以降、市場の不透明性が顕著になり、これを受けて2005年に金融商品取引法が導入されました。

この法律は、TOBを含む金融市場の透明性を高めるためのものです。

また、2006年には企業の買収防衛策が社会的な議論を呼び、TOBのルールもさらに厳格化されました。

このように、TOB規制は市場の公正を守り、企業間の健全な競争を促進するために重要な役割を果たしています。

TOBの具体的なルールと条件

5%ルールについて

金融商品取引法(FIEL)では、特定の条件下での株式取得には、公開買付け(TOB)を通じて行う必要があると定めています。

この規則は、市場の公平性を保ち、透明性を確保するために設けられており、市場外で株式を取得しようとする者は、取得後の投票権の合計が5%を超える場合において、公開買付けを実施しなければなりません。

1/3ルールについて

市場外での株式取得で、取得後の投票権の合計が1/3を超える場合にも、公開買付けが必要です。

この規制は、大量の株式を一度に取得し、その企業の経営に大きな影響を及ぼす可能性があるため、特に重要です。

義務的公開買付けの条件

義務的公開買付けの条件とは、株式取得が一定の閾値を超えた場合、すべての株主に対して公開買付けを行う必要があるというものです。

この条件は、全株主に公平な扱いを保証し、市場の公正性を維持するために設けられています。

海外(アメリカ・EU)のTOB規制

アメリカとEUにおいても、TOB(株式公開買付け)に関する規制が存在します。

アメリカ

アメリカでは、TOBは主に証券取引委員会(SEC)の規則によって管理されています。

公開買付けを行う際には、SEC規則に基づいて詳細な開示が必要とされ、株式の取得意向、取得条件、資金源などを明確にする必要があります。

また、アメリカではウィリアムズ・アクトと呼ばれる連邦証券法の一部が公開買付けに直接適用され、5%以上の株式を保有する場合には、SECへの報告が義務付けられています。

EU

EUでは、各加盟国がEUの公開買付け指令に基づいて独自の規制を設けており、公開市場での公正な取引を保証し、全ての株主に平等を保障することを目的としています。

EU内の公開買付け規制は、取引の透明性を確保し、株主の権利を保護するための手続き的な要件を多く含んでいます。

TOB規制における手続きとプロセス

公開買付から結果報告までの流れ

  • 公開買付の開始と登録申請:公開買付けを開始するには、金融商品取引法(FIEL)に基づき、買収の目的や価格、資金源などを詳述した登録申請を提出する必要があります。
  • 公開買付の期間:通常20日から60日間設定されますが、この期間は案件によって異なることがあります。
  • 結果報告:公開買付け終了後、すぐにその結果を報告し、追加情報が必要な場合には提供をします。

公開買付の条件と変更点

  • 投票権の割合:投票権の5%を超える株式を市場外で取得する場合、公開買付けを行う必要があります。
  • 1/3の閾値: 投票権の合計が1/3を超える株式の取得は、公開買付けを行う必要があります。
  • 株主への公平な機会の提供:公開買付けでは、すべての株主が公平に株式を売却できるように法律で定められています。
  • 透明性と公正さの確保:公開買付けは透明性と公正さを保つために厳しく規制されており、不公正な取引を防ぐための措置が講じられています。

TOBのメリット

買収成立までの透明性と予測可能性

TOB規制には、透明性を確保し、市場参加者が予測可能な環境で取引を行えるようにする重要な利点があります。

公開買付けの手続きは、すべての株主に対して公平であり、買収の意向、条件、期間が明示されるため、市場の効率性が向上し、不確実性が減少します。

株価変動の少ない安定した売却機会

買収提案が公開されることで、株価が急激に変動することなく、株主は情報に基づいて売買の決定を行うことができます。

また、市場競争により適正な価格での取引が促進され、株主にとって公正な価値が保証されることになります。

TOBのデメリットと注意点

高い買付コスト

TOB(公開買付け)では、株式を市場価格よりも高い価格で購入する必要が発生する場合があります。

そのため、買収企業は大きな財務負担を負うことになります。

市場価格を上回る価格で株式を購入することは、大量の株式を確保する際に、買収コストの大幅な増加につながることがあります。

低い成功率の敵対的TOB

敵対的買収は成功率が低いことが多く、これは対象企業の経営陣や株主が買収に抵抗するためです。

敵対的買収が公になると、対象企業は買収防衛策を講じることがあるため、買収を完遂することが困難になります。

買収防衛策の一例

  1. ポイズンピル(中毒錠剤):買収を試みる企業が一定の割合以上の株式を取得すると、他の株主が割安価格で新たな株式を購入できる権利を行使できるようにする。
  2. スタッガードボード(交互任期制):取締役会のメンバーを数年ごとに部分的にのみ選出し、敵対的買収者が短期間に取締役会を掌握するのを防ぐ。
  3. ゴールデンパラシュート(黄金の落下傘):買収後に経営陣が解雇された場合に多額の退職金を保証し、買収コストを人為的に高める。
  4. クラウンジュエルディフェンス(王冠の宝石防衛):最も価値のある資産や部門を売却または分離する戦略。
  5. ホワイトナイト(白馬の騎士):友好的な企業や個人に援助を求める戦略。

強制売却のリスク

公開買付けが行われる際、株主が自らの意思に反して株式を売却することが求められることがあります。

このような状況は、特に少数株主にとっては自身の投資に対するコントロールを失うことを意味し、不本意な売却へとつながる場合があります。

2024年:TOB規制の改正について

対象取引の拡大

2024年のTOB規制の改正では、公開買付けの対象取引が拡大され、これまで市場外取引に限定されていた規制が、市場内取引にも適用されるようになりました。

この改正は、非友好的な買収が増加しており、またM&Aが多様化している現状に対応するためのものです。

具体的には、買収後の所有割合が発行済株式の30%に引き下げられ、これまでの3分の1ルールから30%ルールへと変更されました。

この新基準は、買収者がさらなる買付けを行う際にも公開買付けが必要となるため、市場の透明性と公正性の向上が期待されています。

大量保有報告制度の明確化

共同保有者の定義が再規定され、「経営に重大な影響を及ぼす合意がない限り共同保有者に該当しない」とされました。

この改正は、株主と企業間の建設的な対話(エンゲージメント)を促進することを目的としています。

共同保有者による協働エンゲージメントは、より効果的な対話が可能となるため、企業の成長と企業価値の向上に貢献をすることが期待されています。

まとめ:TOB規制を理解してビジネスチャンスを掴み取ろう

TOB規制について理解することは、企業運営において不可欠です。

以下にTOB規制の改正に関する主要なポイントをまとめます。

  1. TOB対象の拡大:市場内外の取引が対象に
  2. 所有割合の変更:公開買付が必要な割合が33%から30%へ
  3. 大量保有報告の明確化:共同保有者の定義が具体化

これらの改正は、透明性の向上と市場の公正性保持を目的としています。

各企業はこれらの規制を理解し、適切な対応をすることが求められます。

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