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SaaSビジネスのM&A動向とは?取引相場とメリットを解説

インターネットの普及により、SaaSビジネスが注目を集めています。

中には、SaaSビジネスへの新規参入や自社事業の強化を目的に、M&Aを検討している方も多いでしょう。

本記事では、SaaSビジネスの概要をお伝えしつつ、M&A動向とメリットを解説します。

SaaSビジネスとは?

SaaSとはSoftware as a Serviceの頭文字を取った用語で、ソフトウェアの機能やサービスをクラウド上で利用できるようにした提供形態のことです。

ソフトウェアを例に挙げると、以前はサーバーやパソコンへインストールして利用するケースが一般的でした。

しかし、インターネットやクラウドサービスの普及に伴い、必要機能やサポートサービスなどをクラウド上で提供する携帯が主流になりつつあります。

利用者は、インターネット環境とデバイスさえあれば、機能やサービスを享受できるのです。

代表的なSaaSビジネスは、動画配信サイトのNetflixやAmazonプライムビデオなどのサブスクリプションサービスが挙げられます。

また、プロジェクト管理ツールや、基幹システムなどのtoB向けソフトウェアも、SaaS(クラウド型)が一般的です。

本章では、SaaSビジネスの特徴と最新の市場動向を紹介します。

SaaSビジネスの特徴

近年、さまざまな業種で取り入れられているSaaSビジネス。

SaaSビジネスの提供側の視点で、主な特徴を見ていきましょう。

  • コストが安く高利益率
  • 中長期的な利益を確保できる
  • ビジネスの成長速度が速い

1つ目の特徴は、従来のビジネスモデルに比べ、コストが安く利益率が高いことです。

SaaSビジネスでは、製品の機能やサービスを切り出し、クラウド上で提供します。

物理的な製品を抱えないため、在庫コストや廃棄ロスなどのリスクを回避できます。

また、商品となるサービスは、クラウド上で販売・契約するため、物理的な店舗が不要。

物件の賃料や運送コストが掛からないため、従来のビジネスよりもコストを大幅に抑えられます。

2つ目の特徴は、中長期的な利益を確保できること。

SaaSビジネスの基本は、前述した動画配信サイトのようなサブスクリプション方式を採用しています。

顧客がサービスを利用し続ける限り、売上が出るため、安定的かつ継続的な収益が期待できます。

3つ目の特徴は、ビジネスの成長速度が速いことです。

SaaSビジネスは、短期間でサービスをリリースできるため、市場動向を捉えやすいのです。

また、ビジネス自体のコストが少ないことで、従来のビジネスモデルでは真似できない、「30日間無料」「永久サポート」「紹介ボーナス」などの強気なマーケティングを展開できます。

これにより、従来のビジネスでは考えられないスピードで事業を成長させられるのです。

SaaS業界における最新の動向

SaaSビジネスは比較的新しいビジネスモデルであり、市場の変化が激しい傾向があります。

国内市場では年間15%の成長率で市場が拡大しており、2021年には約5,800億円になる見通です。

また、多くのSaaS企業が資金調達に成功しており、数10億円、数100億円規模の調達も見受けられます。

近年はリモートワークやDX推進(デジタルトランスフォーメーション)などが追い風となり、toC、toBともに更なる市場成長が期待されています。

近年SaaSビジネスのM&Aが活発に

市場規模が急速に拡大するSaaSビジネスでは、M&Aを実行する企業が増加しています。

本章では、SaaSビジネスのM&A動向と取引相場を紹介します。

SaaSビジネスのM&A動向

SaaSビジネスのM&Aは、大きく下記2つのパターンに分類されます。

  • 既存のSaaS企業を買収し、市場参入の足がかりにする
  • SaaS企業が同業種を買収しシナジー効果を享受する

1つ目は、別業種の企業が既存のSaaS企業を買収し、市場参入への足がかりにするパターンです。

急速に市場規模を拡大させるSaaSビジネスは、他業種からしても魅力的なビジネスモデルです。

しかし、ITエンジニアやプログラマーなど、テクノロジーに長けた人材を多く保有する企業は少なく、思うように市場へ参入できないケースが見られます。

そのため市場参入への足がかりとして、すでにIT人材やノウハウ、サービスを保有する企業を買収するM&Aが活発化しているのです。

2つ目は、すでにSaaSビジネスをおこなう企業が、同業のSaaS企業を買収するパターンです。

類似企業の買収は、人材・ノウハウ・技術・ブランドなど、さまざまな面でシナジー効果を得やすい傾向があります。

そのため自社のSaaSビジネスをより強化する目的で、同業企業を買収するケースが多く見られます。

また、イチからこれらの資源を獲得するには、多くのコスト・時間がかかるでしょう。

しかしM&Aであれば、数ヶ月〜半年程度で取引が完了するため、短期間で自社の経営基盤強化を果たせるのです。

市場が急速に変化するSaaSビジネスでは、短期的に資源を獲得できるM&Aが、事業のスケールアップの手法として注目されています。

SaaSビジネスのM&A取引相場とは?

SaaSビジネスに限らず M&Aの取引価格は、企業の財務状況や資本、技術力や人材などさまざまな要因によって異なります。

そのため、一概に取引相場を算出することが困難なのです。

しかし実際にM&Aを検討する場合は、参考値となる価格の把握が必要でしょう。

この場合、自社と類似する企業のM&A事例を分析し、取引価格の目安を算出するのがおすすめです。

この手法は実際のM&A取引でも用いられる価格算出方法で、マーケットアプローチと呼ばれます。

マーケットアプローチは、自社の会社規模や業績、従業員数などが類似する事例を分析し、自社の企業価値を評価するというもの。

このほか、自社の企業価値を表する代表的な方法には、以下の2つが挙げられます。

  • インカム・アプローチ:企業の将来的なキャッシュフローをもとに価値を評価する手法
  • コスト・アプローチ:自社の純資産をもとに企業価値を評価する手法

いずれも、自社の財務情報と計算方法を把握できれば、比較的手軽に算出できるため、M&Aをご検討中の方はぜひ実践してみてください。

SaaSビジネスでM&Aを実施するメリット

SaaSビジネスのM&Aには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

本章では、売り手企業・買い手企業それぞれのメリットを紹介します。

売り手企業のメリット

SaaSビジネスのM&Aを実施する売り手企業のメリットは、以下のとおりです。

  • 売却益の獲得
  • 経営の最適化

一番のメリットは、M&Aによる売却益の獲得です。

SaaSビジネスに限らずM&Aでは、買い手企業から評価されると、一度に多額の資金を獲得できます。

そのため、SaaSビジネスを始め、創業者利益の獲得(EXIT:イグジット)を目的にM&Aを実施するケースも数多くみられます。

2つ目のメリットは、経営の最適化を実現できることです。

SaaSビジネスを含め、複数の事業を行う企業の場合、M&Aで不採算事業を売却することで、経営の最適化を実現できるでしょう。

たとえば、SaaS事業に投入していたリソースを、他の主力事業へ投資できるなどです。

また、事業を売却することで売却益を得られるため、これまでの投資を回収できる可能性もあります。

着手したSaaSビジネスが不採算な場合は、単に事業をたたむのではなく、M&Aで第三者企業へ譲渡するのも経営戦略としては効果的でしょう。

買い手企業のメリット

SaaSビジネスのM&Aを実施する買い手企業のメリットは、以下のとおりです。

  • 関連事業とのシナジー効果が得られる
  • 事業成長のための時間を短縮できる

1つ目のメリットは、関連事業とのシナジー効果を得られること。

先述の通り、SaaSビジネスを行う企業の場合、同業企業を買収することで、以下のさまざまなシナジー効果が期待できます。

  • 販売シナジー:事業統合による市場シェアの拡大
  • 生産シナジー:人材・ノウハウの増強により生産性が向上
  • 投資シナジー:投資・研究効果を共有できる
  • 経営シナジー:他社の経営ノウハウを自社へ取り込める

M&Aは、単なる総和効果以上の成果が期待できる取り組みです。

自社のSaaSビジネスをさらに拡大していくには、効果的な手段といえるでしょう。

2つ目のメリットは、事業成長のための時間を短縮できることです。

人材やノウハウを育てるには、膨大な時間とコストがかかります。

変動の激しいSaaSビジネスでは、どんなに効率化したとしても、イチからこれらの資源を集めると、市場の変化に乗り遅れる恐れがあります。

しかし、M&Aでは他社の資源を短期的に獲得できるため、事業の成長速度を格段に高められるのです。

SaaSビジネスのM&A成功ポイント

SaaSビジネスのM&Aを成功させるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

本章では、SaaSビジネスのM&Aで押さえておくべきポイントを、売り手側・買い手側の立場で紹介します。

自社のSaaSビジネスを売却する場合

SaaSビジネスの売却を成功させるには、自社事業の魅力を積極的にアピールすることが重要です。

買い手側に多くのメリットを提示できれば、M&Aの交渉を優位に進められます

結果的に、自社の要望が通りやすくなり、売却価格が高騰する可能性もあります。

自社が優位な立場でM&Aを進めるためにも、自社の魅力や強みを提示し、メリットを感じ取ってもらう必要があるのです。

他社のSaaSビジネスを買収する場合

SaaSビジネスを買収する場合は、シナジー効果の有無が最も重要なポイントです。

ただ闇雲に企業を買収しても、十分なシナジー効果は期待できないでしょう。

M&Aで最大限のシナジー効果を享受するには、自社の弱点や強化すべき分野を明確にし、戦略的に候補企業を選定することが重要です。

また、自社の弱点や強化すべき分野を明確にすることで、候補企業を選定する際の判断基準にもなります。

そのため、市場の動向にも配慮しつつ、どのようなシナジー効果を狙うのかを明確にし、M&Aへ取り組むことが大切です。

業界の動向を分析しSaaSビジネスのM&Aを成功させよう

本記事では、SaaSビジネスの概要をお伝えしつつ、M&A動向とメリットを解説しました。

SaaSビジネスは、急速に市場規模が拡大している注目のビジネスモデルです。

買い手・売り手ともに、多くのメリットを享受できることで、M&Aが活発化しています。

しかしM&Aの実行には、専門的な知識が求められるため、M&A仲介会社やFPのサポートが不可欠です。

自社のみでのM&Aに不安を感じている方は、IT領域に特化したM&Aアドバイザリー「パラダイムシフト」がおすすめ。

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