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カオナビがTOBによるカーライルの買収を進める背景や目的、影響などを解説

タレントマネジメントシステムを提供する「カオナビ」が、約500億円規模のTOB(株式公開買付)を実施し、米国の大手投資ファンド「カーライル」が買収しようと動いています。

今回の買収・TOBが成立した場合、両社の経営戦略や事業展開にどのような影響を与えるのでしょうか?

この記事では、カーライルによるカオナビ買収を進める背景や目的を整理し、両社の今後の未来などについて詳しく解説します。

カーライル、カオナビの今後の動向を知りたい方は、ぜひご覧ください。

カーライルがカオナビ買収を進める!約500億円でTOB実施

米国の大手投資ファンドのカーライル・グループは、タレントマネジメントシステムを提供する「カオナビ」の買収を目的に、約500億円でTOB(株式公開買付)を実施すると発表しました。

買収により、カオナビは非上場化し、カーライルの完全子会社となる予定です。カオナビTOBの概要は以下のとおりです。

  • 買付価格:カオナビの普通株式1株あたり4,380円
  • プレミアム:終値比120.21%
  • 買付期間:2025年2月14日〜3月31日
  • 公開買付代理人:大和証券

カオナビは買収されることで、非上場化による迅速な意思決定ができ、サービスの拡充や競争力強化を加速させられます。

業界全体にも影響を与える可能性があるため、今後の動向にも注目が集まります。

カーライルとカオナビの買収・TOBの背景と目的

カーライル・グループによるカオナビの買収・TOBは、タレントマネジメント市場の成長と企業の人材戦略の高度化を背景に進められています。

ここでは、各社が買収・TOBに踏み切った背景と目的について詳しく解説します。

カオナビがカーライルの買収を受け入れた背景

カオナビがカーライルの買収を受け入れた背景には、成長戦略の加速と市場競争力の強化があります。

タレントマネジメント市場の競争が激化する中、カオナビは事業拡大とサービスの多様化 を推進するため、非上場化を決断しました。

短期的な株主の意向に左右されることなく、柔軟かつ機動的な経営判断が可能になるのです。

また、TOBによって得た資金は、新サービスの開発や既存機能の強化に活用され、顧客ニーズに応じた革新的なソリューションの提供が見込まれます。

さらに、カーライルのグローバルネットワークや経営支援を活用することで、カオナビの企業向け人材管理ソリューションを進化させ、国内外での競争力向上が期待されています。

カーライルがカオナビを買収・TOBした目的

カーライルがカオナビを買収・TOBした目的は、成長が続くタレントマネジメント市場への本格参入とカオナビの技術力を活かしたビジネス拡大にあります。

カーライルは、カオナビのクラウド型人材管理システムの革新性を高く評価しており、非公開化によって短期的な市場圧力を排除し、持続的な成長を支援する戦略です。

さらに、カーライルのグローバルネットワークと資本力を活用することで、カオナビの海外市場進出や新規サービス開発を加速させる狙いがあります。

カーライルの買収により、カオナビは柔軟な経営判断が可能となり、競争力を強化しながら 企業向けソリューションの提供拡大を図れるのです。

カオナビにとって成長機会となるだけでなく、カーライルにとっても高い投資リターンが期待できる魅力的な買収・TOBとなっています。

カーライルに買収されたカオナビとは?

カオナビは、企業の人材管理を効率化するクラウド型タレントマネジメントシステムを提供する日本の企業です。

ここからは、カオナビの会社概要や事業内容、企業理念について詳しく解説します。

会社概要

クラウド型タレントマネジメントシステム「カオナビ」は、株式会社カオナビが人材情報を一元管理を支援するサービスです。株式会社カオナビの会社概要は以下の表のとおりです。

項目内容
企業名株式会社カオナビ
設立2008年5月27日
本社所在地東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 38F
上場市場東京証券取引所グロース市場(2020年上場)
資本金11億5,296万円(※2024年3月末時点)
事業内容
  • タレントマネジメントシステム『カオナビ』の開発・販売・サポート
  • 労務管理システム『ロウムメイト』の開発・販売・サポート
  • 予実管理システム『ヨジツティクス』の開発・販売・サポート
グループ会社ワークスタイルテック株式会社

主力サービスである「カオナビ」は、使いやすさと柔軟性が評価され、さまざまな業界で導入が進んでいます。

事業概要

カオナビを提供する株式会社カオナビは、企業の人材管理を効率化するタレントマネジメントシステムの開発・提供を行っています。

主力サービスである「カオナビ」は、社員のスキルや経歴、業績データを一元管理し、人材配置・評価・育成を最適化するクラウド型システムです。人事部門や経営層は戦略的な人材活用が可能となり、企業のDX推進にも貢献します。

人材管理の効率化と組織の成長を支える重要なソリューションとして、さまざまな業界で導入が拡大しています。

企業理念

カオナビの企業理念は、「人材の力を最大限に引き出し、組織の成長をサポートすること」 です。

個々の社員のスキルや経験を適切に評価し、成長を促進することで、企業全体の競争力向上を目指しています。

理念は、カオナビのクラウド型タレントマネジメントシステムにも反映されており、企業の 人材活用を最適化する革新的なソリューションを提供しています。

カーライルによる買収後も、企業理念は継続されると考えられるため、グローバル展開や新サービス開発の加速により、カオナビの企業理念がさらに推進されるでしょう。

カオナビを買収・TOBしたカーライルとは?

カーライル・グループは、米国に本拠を置く世界有数の投資ファンドで、幅広い業界で事業を展開する企業への投資を行っています。

ここでは、カーライルの会社概要や事業セグメントについて詳しく解説します。

会社概要

カーライル・グループは、1987年に設立された米国ワシントンD.C.を本拠地とする世界有数の投資ファンドです。

プライベートエクイティや不動産、インフラ、クレジットなど多岐にわたる投資領域を持ち、グローバルな投資活動を展開しています。

運用資産総額(AUM)は約3,825億ドル(2023年12月時点)に達し、世界29か国以上に拠点があります。2025年には約500億円でカオナビのTOB(株式公開買付)を実施し、完全子会社化を目指す予定です。

カーライルは、投資先企業の成長支援を重視し、長期的な企業価値の向上を目指す投資ファンドです。

事業セグメント

カーライル・グループは、複数の事業セグメントを持ち、幅広い投資領域で企業の成長を支援しています。以下の表に、主要な事業セグメントと概要をまとめました。

事業セグメント概要
プライベートエクイティ企業の買収・成長支援を行い、長期的な企業価値向上を目指す
グローバルクレジット企業向けの債務投資やストラクチャードファイナンスを提供する
グローバルインベストメントソリューションファンド・オブ・ファンズや共同投資を通じてリスク分散を図る
リアルアセット(不動産・インフラ)物流施設やデータセンター、インフラ事業へ投資する

カーライルは、これらのセグメントを活用し、投資先企業の競争力強化や成長戦略の実現を支援しています。

買収・TOB成立後のカオナビの影響

カーライルによるTOBが成立すると、カオナビは上場廃止となり、完全子会社化されるため、さまざまな影響が出てきます。

ここからは、買収・TOB成立後の影響について詳しく解説します。

上場廃止の影響

買収成立でカオナビが上場廃止することは、同社の経営にとって大きな転機となります。

市場の短期的な株価変動の影響を受けず、長期的な成長戦略に集中できるからです。一方で、株主にとっては以下の影響が考えられます。

影響項目詳細
株主への影響上場廃止後、市場での売買ができなくなり、TOBに応じて株式を売却するか、非公開化後も株主として残るかを選択する必要がある
企業の経営自由度株主からの短期的な利益要求が減り、長期的な事業戦略の実行や新規事業の展開がしやすくなる

カオナビの上場廃止は成長を加速させる可能性がある一方で、株主にとっては慎重な判断が求められる局面となるでしょう。

株価への影響

カオナビのTOB成立と上場廃止は、株価に大きな影響を与えます。特に、TOB価格と市場価格の動向が注目されます。

項目影響
TOB価格カーライルの買付価格は1株4,380円に設定されており、発表前の終値と比較して120.21%のプレミアムがつく
市場価格の動向TOB発表後、株価は一般的に買付価格に近づく傾向があります。ただし、市場取引ではTOB価格よりも低くなることが多い

株主は、市場での売却かTOBへの応募かを慎重に検討しましょう。

カオナビを買収TOBしたカーライルの今後の未来

カーライルによるカオナビの買収・TOBは、同社の成長戦略を大きく加速させると考えられます。

ここでは、カオナビを買収TOBしたカーライルの今後の未来について詳しく解説します。

グローバル展開が加速する

カーライルによるカオナビの買収は、同社のグローバル展開を加速させる大きな転機となるでしょう。

これまで国内市場を中心に成長してきたカオナビですが、カーライルの豊富な資本力と広範なネットワークを活用することで、海外市場への進出が現実的になるからです。

特に、成長が著しいアジア市場や、HRテクノロジーが進化する北米市場への展開が期待されます。

カーライルの支援を受けることで、各地域のビジネス環境に適応した戦略を展開でき、現地のパートナー企業との連携も強化されるでしょう。

買収により、カオナビは国際的な競争力を高め、タレントマネジメント市場において世界的なプレイヤーとしての地位を確立する可能性が高まります。

新サービスの開発が促進する

カーライルによる買収を受けることで、カオナビは新サービスの開発を加速させる環境を手に入れられます。

カーライルの豊富な投資経験やリソースを活用することで、より高度なHRテクノロジーの開発が可能だからです。

開発が加速させられることにより、企業の人事部門は従業員のスキルやパフォーマンスをより精緻に分析し、戦略的な人材活用ができます。グローバル展開を見据えた多言語対応や、各国の労働市場に適応した機能の開発も進むでしょう。

カーライルの支援のもと、カオナビはさらに革新的なHRテクノロジーを提供し、企業の成長を後押しする存在となることが期待されます。

より前向きな経営戦略がとれる

カーライルによるカオナビの買収は、経営戦略をより前向きに展開するための重要な機会となります。

非公開化により短期的な株価の変動に左右されることなく、長期的な視点での戦略策定と実行が可能になるからです。

カーライルの豊富な資金力と経営支援を活用することで、新市場の開拓や技術革新を積極的に進められます。また、業界内外の企業との提携や、M&A戦略の実行も柔軟に行えます。

カオナビを買収できたら、カーライルは持続的な成長を実現し、業界内でのリーダーシップを取り続けられるでしょう。

まとめ:中長期的な成長投資をしたカーライルの今後に注目

カオナビTOBによるカーライルの買収ニュースは、日本市場における中長期的な成長投資を進める重要な一歩を踏み出しています。

今回の買収は、カオナビにとっても新たな成長機会を提供し、グローバル展開の加速や新サービスの開発促進といった多くの可能性を生み出します。

カーライルの資本力と経営ノウハウを活用することで、カオナビはより革新的な戦略を実行し、競争力を強化できるでしょう。一方で、上場廃止や株価変動といった短期的な影響も考慮する必要があります。

今後、カーライルがどのような買収戦略でカオナビTOBを成立させるのか、動向に注目が集まります。

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