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ハードウェアのM&Aのメリットとは?買い手、売り手双方のメリットを解説

パソコンやサーバー、ディスプレイといったハードウェア機器はIT化した現代において欠かせないものになっています。

これらのハードウェア機器の製造業界では、M&Aによって事業規模を拡大する動きがあるようです。

国内市場の縮小、IT化の加速といった業界環境の変化に対応するために各社ともM&Aを進めています。

この記事では、ハードウェア業界におけるM&Aのメリットを売り手と買い手双方の視点で解説します。

ハードウェア企業のM&Aの手順についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

ハードウェアのM&Aとは?

ハードウェアのM&Aとは、ハードウェア業界において、ハードウェア製造業者や異業種の企業が中小規模のハードウェア製造業者をM&Aによって買収することです。

ハードウェアとは、コンピュータを物理的に構成するパソコンやサーバー、プリンタといった機器の総称です。

IT技術の発展やビジネスのIT化によって、ハードウェア機器の需要は常に高い状態にあります

製造業の中で需要が急拡大している珍しい業界です。

総務省の令和3年版情報通信白書によれば、世界の仮想化ソフトウェア・ハードウェア市場規模は拡大の一途をたどっています

日本には、世界市場で大きなシェアを誇るハードウェア製造会社が多数あり、これらの大手を中心としたM&Aも活発です。

ハードウェアをM&Aで売却するメリット

ハードウェア業界におけるM&Aとは、世界を代表する製造業が中小のハードウェア会社を買収することで、海外の競合他社との競争に勝ち抜くというイメージがあるかもしれません。

しかし、大手による寡占が進む中でも中小のハードウェア会社にとってM&Aは、生き残りをかけた有効な手段となっています。

ハードウェア会社がM&Aによって、自社を売却することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

事業承継対策になる

日本には、世界を代表する製造業が多数ありますが、ハードウェア会社の大半を占めるのは中小企業です。

経済産業省によれば、2025年までに、後継者が不足する中小企業は127万社と中小企業全体の3分の1を占めています。

中小企業において喫緊の課題となっているのが事業承継です。

経営者の高齢化が進む一方で会社を承継する後継者が不在ということが珍しくありません。

後継者未定のまま経営者が引退すれば、会社が黒字であっても廃業となります。

M&Aを実施することで、親族や社内に後継者がいなくても会社は存続できます

創業者利益の獲得

創業者利益とは、会社を売却することで経営者=創業者=株主が利益を獲得できることです。

M&Aは通常、自社株式の全部譲渡によって実施されますが、創業者が株式を保有している場合には株式交付の対価として資金を受け取ることができます。

また、経営者個人が個人保証によって、負債を背負っている場合には、負債が譲渡先に承継されますので、借金をなくすことが可能です。

このように金銭的なメリットを受けたうえで、引退後の生活を送ることができます

創業者利益によって、典型的なハッピーリタイアメントが目指せるといえます。

従業員の雇用維持

後継者が不在のまま経営者が引退すると、会社は廃業してしまいます。

この場合、会社に勤務する従業員は仕事を失うことになります。

家族経営の会社の場合、長い期間会社に貢献してきた従業員もいるでしょう。

会社の廃業によって、会社と強いつながりのある従業員が路頭に迷うことに申し訳ないと感じる経営者もいるかもしれません。

M&Aによって、会社が存続することで、従業員は新しい経営者のもとで仕事を継続することができます。

また、特殊な技術やノウハウをもつ従業員の能力も有効活用されることになります。

このように従業員の雇用を維持するという観点からもM&Aは有効な手段です。

ハードウェアをM&Aで買収するメリット

ハードウェア業界では、大手を中心に中小企業のハードウェア会社を買収し、規模を拡大したり、海外進出をしたりする動きがあります。

また、人口減少による国内市場の縮小や海外進出といった業界環境の変化によって、M&Aの注目度が上がっています

M&Aには、売り手だけではなく、買い手にとっても大きなメリットがあるようです。

ここでは、ハードウェアや異業種を買い手とするM&Aのメリットについて解説しましょう。

ハードウェア事業への新規参入

異業種の企業がハードウェア事業に新規参入することはハードルが高いです。

製造業ですので、ハードウェア製造に必要な工場、土地、設備、資材、人材を集めた上で事業を開始する必要があります。

そのうえで事業を軌道に乗せるためには長い時間がかかります。

巨大な大手企業が多数存在するハードウェア業界では、時間をかけても成功するか分かりません。

一方でM&Aによってハードウェア会社を買収することで、事業の立ち上げと発展にかかる時間を短縮することが可能です。

事業が途中で失敗に終わるリスクも大幅に軽減できるでしょう。

優秀なエンジニアの獲得

経済産業省によれば、2030年までに40〜80 万人の規模でIT技術を保有するIT人材が不足するようです。

ハードウェアを製造する業界においては、優秀なエンジニアの確保が喫緊の課題となっています。

一方で、AIやIoT、ビッグデータ活用などIT技術の発展によって、エンジニアの需要は拡大する見込みです。

M&Aによって、ハードウェア製造業者を買収すれば、優秀なエンジニアをまとめて確保することができます

新卒のように教育に時間をかける必要もなく、時間と資金の節約にもなります。

優秀なエンジニアをスムーズに獲得したい企業にとって、ハードウェア製造業者のM&Aは有効な選択肢です。

IT部門の内製化

ハードウェア製造業者を買収することで、多くのエンジニアを獲得することが可能です。

エンジニアやIT人材を獲得できれば、社内のIT化が進むことでしょう。

大手であってもIT部門を外注しているケースや社内のIT化が進んでいないこともあります。

IT部門は長い時間をかけて投資をすることが必要であり、なかなかIT化が進まないことで、業務の効率化にも影響が及ぶかもしれません。

M&Aによって、優秀なエンジニアを獲得し、IT部門やIT関連の業務を内製化できれば、業務の効率化が大幅に進みます

また、これまで外注していた費用も削減することが可能です。

IT事業の規模拡大

ハードウェアを製造する会社が中小のハードウェア製造業者を買収することで、自社の事業規模をさらに拡大することができます。

少子高齢化や人口減少によって国内市場が縮小しており、規模を拡大することで、市場のパイを確実に獲得しようという動きがあるようです。

また、事業規模が大きいということは、事業運営において大きなメリットとなります。

仕入れ先や販売先に対する交渉力の強化や製造コスト、仕入れコストの削減につながるでしょう。

つまり、M&AによってハードウェアやIT関連の事業規模が拡大することで、同業他社よりも優位に立ち回ることができます

ハードウェアのM&Aの手順

ハードウェア製造会社が自社をM&Aによって売却したい場合や異業種の会社がハードウェア会社をM&Aによって取得したい場合にはどのような流れでM&Aを進めればよいのでしょうか。

ここでは、ハードウェア業界における適切なM&Aの手順を解説しましょう。

これらのM&Aの全体のプロセスには最低でも3か月、長い場合には、1年かかると言われています。

ハードウェアに強いM&A仲介会社と契約する

通常、M&Aを進めるにあたってM&A仲介会社が必要になります。

M&A仲介会社は、相手企業の選定から成約までをサポートしてくれる心強い味方です。

ただし、M&A仲介会社には得意領域が存在します。

選定する時にはハードウェア業界に強みを持つM&A仲介会社を選ぶべきです。

M&A仲介会社のホームページで確認することもできますし、直接問い合わせしてもいいでしょう。

ハードウェアに強いM&A仲介会社を選んで、面談の結果、信頼できる場合にはアドバイザリー契約を締結します。

相手企業の選定

買い手企業には、M&A仲介会社からノンネームシートが提示されます。

ノンネームシートとは、売り手企業の企業名を記載せずに、財務内容や事業概要が記載された一覧表です。

買収候補として、10社から20社が掲載されており、買い手が興味を持った場合にはM&A仲介会社から売り手に連絡されます

相手企業の選定にあたっては、税理士や会計士、または金融機関などの助言を得るといいでしょう。

基本合意の締結

買い手と売り手の経営者がトップ会談を実施します。

その結果、交渉を継続することに合意できたら基本合意へと進みます。

基本合意には、売却価額や交渉期間、独占交渉権といった事項について合意の上、記載されます

ハードウェア業界には、特有な合意事項などがあるかもしれませんので、M&A仲介会社のサポートを受けながら進めましょう。

合意内容が記載された「基本合意書」には法的拘束力はありませんが、買い手、売り手双方に忠実にM&Aを進める道義的責任を生じさせます。

デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、企業調査とも言われているのです。

買い手が採用した会計士や弁護士によって、売り手企業の調査が実施されます。

調査は財務や法務、税務、人事といった多方面から実施され、M&Aを進めるにあたってリスクを洗い出すのです。

デューデリジェンスの結果、M&Aの最終合意に進むかどうかの判断を行います。

最終合意の締結

デューデリジェンスの後に取締役会や株主総会で承認が得られると最終合意に進むことができます。

デューデリジェンスの結果を反映させた最終合意を締結します

最終合意には、売却価額、従業員や役員の処遇、補償条項、表明保証、保証債務といった事項を記載します。

最終合意には、法的拘束力が生じますので、内容をしっかり確認しましょう。

最終合意が締結されると、クロージングに向けて双方が努力する義務が生じます。

ハードウェアのM&Aは双方にメリットがある

この記事では、ハードウェア業界におけるM&AのメリットやM&Aの手順について解説しました。

買い手企業は海外進出やシェアの拡大、売り手企業は企業の存続のためにM&Aを活発に行っており、ハードウェア業界におけるM&Aは今後も活発に行われると推測されます。

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